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キラキラダンゲロス2 応援スレ

14XX_ouga:2024/06/11(火) 12:48:44
二日目、立体駐車場
柘榴女VS鬼ころし

ttps://x.com/XX_ouga/status/1800141870426886618?t=GyTzVTcFi1YaxuJa6PzsfA&s=19

15XX_ouga:2024/06/12(水) 21:28:44
二日目、劇場
オムニボアVSDr.Carnage
ttps://x.com/XX_ouga/status/1800866651853971580

16XX_ouga:2024/06/14(金) 23:36:30
二日目、博物館
Killing忍者キリキリ切腹丸、スパイダーマン、ミッシングギガント
ttps://x.com/XX_ouga/status/1801623789371068834

17柘榴女:2024/06/15(土) 01:17:01
超偉い。
百万年無税。

18夕二:2024/06/16(日) 00:36:50
ここまで

19未来探偵助手黄狼:2024/06/20(木) 17:53:42
【博しき狂愛】須藤 久比人
ttps://x.com/nater_gamer/status/1800490897039393259/

『電車忍者』鮪雲 鉄輪
ttps://x.com/nater_gamer/status/1803710185263018159/

20XX_ouga:2024/06/23(日) 19:43:56
ちょっと惜しいので
ミッシングギガント

ttps://x.com/XX_ouga/status/1801606674043822523/photo/1
ttps://x.com/XX_ouga/status/1801639476193857730/photo/1

電車忍者

ttps://x.com/XX_ouga/status/1802275452201140536/photo/1
ttps://x.com/XX_ouga/status/1803222652548685999/photo/1

21XX_ouga:2024/06/23(日) 19:44:26
一日目
主にタイマンの戦場と墓場のハイライト
ttps://x.com/XX_ouga/status/1802193704431612131/photo/1

サンシャインシティ、学校、水族館のハイライト
ttps://x.com/XX_ouga/status/1802260341046296849/photo/1

ショッピングモールのハイライト
ttps://x.com/XX_ouga/status/1802264179807834593/photo/1

22XX_ouga:2024/06/23(日) 20:36:03
一家(にのまえけ)戦闘方法

一 端数(にのまえ はすう)
端数処理(マルミット)、端数に使う丸め処理と大鍋を意味するフランス語。
一家のテクノロジー系能力者に作られたロボット。
一家の技術を管理、統括、保全する『魔女の大鍋』。
ロボなのでいくらでも製造可能。
技術系の武装および精神系の攻撃、毒系に対するカウンター要員。

一 母偶数(にのまえ まざあぐうす)
交霊偶数(コーレーグース)、沖縄の調味料から。
霊能力者。一家の母である一一三七三を『降ろす』のが主な役目。
対オカルト要員であり一家の代表として闇カネモチなどとの政治戦交渉戦などもある場合そちらもこなす。
死んだ家族の交霊をしてバブみを感じておぎゃり殺したり娘や息子の声を伝えたり。
本人が死んでも霊となり他者に交霊することで何度でも復活可能。

一 (^ε^)-☆Chu!!数(にのまえ きっす)
御伽奇数(ホトトギス)、鳥の名前から。
『何もしない』、ただそこにいる怪異枠。御伽噺の住人。
怪異なので死んでもなぜかどこかからやってくる。ただそれだけ。
始めの被害者枠兼デコイ。
且つ怪異殺しをする場合の起点。相手の思い出とか過去とかにもなぜかいる。怪異だから。
パンク・キャノン発動のポインター兼初動要員としても使える。
対面殺人鬼の美学などを描写し、それをコイツで侵食して胡乱に持ち込む。

一 ヤク数(にのまえ やくすう)
新約数書(ディヴァイザー)、約数を使ったカードゲームの名前と『遺贈する』という英語。
聖職者。切り札。牧師にしてボクサー。
エブリシング・ナッシングの八百万虚無と対を成すエブリシング・ボクシング。
格闘要員。冥婚を起動させるための聖職者。

一 数の子(にのまえ しーすー)
ザギン☆DEATH☆指数(ザギン☆デ☆しーすー)そのまんま『銀座で寿司』。
忍者。胡乱のガヤでありオチ要員。
こいつが最後に入ればなんか出オチになった感を出すように意識する。
暗殺的なことが必要な時にこいつを出して「寿司・・・」ぱくん「うめえ」などといいながら暗殺させる。
それ以外は基本的にハジケリスト要員。胡乱対決へのカウンター。
(^ε^)-☆Chu!!数と組んで敵のシリアス描写を展開した後に胡乱で飲み込む起動要員。
分身の術を使える。忍者なので。なのでいくらでもいる。

23XX_ouga:2024/06/23(日) 20:36:27
VSドクター
魔人の心臓の使い道について。
最終的に動物、植物、機械にも『心臓を繋ぎだしている』ことを追加。

娘の交霊を軽いジャブとして使うもそこでは揺るがせない。
彼の周囲の人脈を交霊偶数で懐柔、オギャりにバブらせて骨抜きにして丸裸にしていくことを想定。
人として得たものをこそいでいって最後に縋れるものを『魔人の心臓』のみにしていく。
心臓とは血を運ぶ器官であり血とは魂の貨幣。
『だとするならば』今彼のもとに管理されて彼の元で運用されているその器官は、
誰の魂の貨幣になっているのか?なり果てているのか?

答えはドクターの魂。ドクターの貨幣。ドクターの心臓。
そう、心臓を掴んだあの日あの時あの瞬間に、すでに人間(ドクター)は、もう――――

この辺りをねっとりと書いて魔人災害を憎んでいた彼自身を魔人災害とさせる。
この時点で彼には一 iの姿は見えている。彼はもう一家の一人であったのだ。

お相手はテクノロジーを受け入れ飲み込む端数が候補。

VS俳人575号
夏子先生となるオリジンがいたことにする。
彼の能力の本質は覚醒したときの災害を忘れたい、
魔人になりたくないと自身に枷をつける自罰的なハンディキャップ能力。
もともとは特撮を好んでいた幼いころに『登場シーンで爆発する』能力に覚醒しかけていたところでこうなった。
爆発的に能力が上昇するのも爆発によるダメージのようなペナルティもこれによる派生。歪に歪みきった男。

「愛してます/ずっと前から/好きデシタ」
「――――遅いんですよ、バカ。0点です」

と掛け合いをさせて0点のペナルティで死体も残さず消滅、冥婚できずに消滅させることは決めていた。
後は交霊偶数で松尾芭蕉の霊を降ろして松尾芭蕉の句を詠むのが主な能力バトル要素。

VS鬼子
約数による『人を正面から殴り、防御回避のすべてを正面からねじ伏せる』性質のボクシングによる肉弾戦を全面に押し出した肉弾戦をすることだけ決めていた。

基本的に感情がない。すべて演技。すべて虚勢。
ただ人殺しの技と業を抱えた人生で得たものを空っぽな空洞の中を反響させて返しているだけの虚ろなコダマ。
常に風が吹いているようなポエムを織り混ぜたいなと思っていた。
拳や包丁の衝突音もパンク・キャノンの対象になり爆発させながら破壊をまき散らすようにしていきたい。
最終的に情緒を獲得させて虚ろな子供は虚数が見えるようになり、
一家の『養子』にして死んでいかせようかなと。

24XX_ouga:2024/06/23(日) 20:53:22
VS呑屋ホッピー
「酔い(よい)!」「酔い(よい)!」「酔酔酔い。酔い(よよよい、よい」)!!」の口上とともに
歌舞伎のように啖呵を切る必殺技だけ考えていた。

血に酔い、殺しに酔い、財に酔い、あらゆる渡世のしがらみを忘れ鬼と化す技術体系。
他者の物を奪い、使い、踏みにじる鬼畜生のマシラの剣。

これは最も有名で最も鬼畜で最もおぞましく最も華やかなとある歌舞伎の一演目。
『女に扮した』盗賊(ばけもの)が、夜鷹より財を命を尊厳を、根こそぎ奪い川へと捨てる鬼畜生の一演目。
それは、誰もが知る有名で軽薄な、浮かれたような一文で〆る一演目。
すなわち――――

月も朧(おぼろ)に 白魚の
篝(かがり)も霞(かす)む 春の空
冷てえ風も ほろ酔いに
心持ちよく うかうかと
浮かれ烏(からす)の ただ一羽
ねぐらへ帰る 川端で
竿(さお)の雫(しずく)か 濡れ手で粟(あわ)
思いがけなく 手に入る(いる)百両
御厄払いましょう、厄落とし!
ほんに今夜は 節分か
西の海より 川の中
落ちた夜鷹は 厄落とし
豆だくさんに 一文の
銭と違って 金包み

『こいつぁ春から 縁起がいいわえ』

その演目の名は、『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)』

そう言って呑宮ホッピーは鬼のように赤い赤ら顔を見せつけるように敵の遺骸を川に放る。
ああそこには武人のような気高さはなく。
修羅の道と血肉と財を浅ましく貪り奪う、鬼畜生の所業なり・・・

こんな感じで。

25Range:2024/07/01(月) 21:45:27
全キャライラストです。
ttps://www.pixiv.net/artworks/120156410

26XX_ouga:2024/07/07(日) 21:27:21

一i(にのまえあい)の柘榴女の殺し方

柘榴女、能力との相性も鑑みて
「彼女は自身の能力であらゆるものを隠していた」
「彼女の視点に真実は一切ない」
として殺すことを考えていました。
具体的には新興宗教に被れて旦那に逃げられ、残った子供もネグレクトで餓死させた。
それを隠して見えなくして認識できなくして自分が新興宗教にハマっていた事実すら認めたくなくて認識を改造する能力を得た。
それが柘榴女のディープだと。

認識できない(みたくない)
認識できない(ききたくない)
認識できない(さわりたくない)
認識できない(かぎたくない)

そして極めつけで死んだ『マー君』の本名を『真実(まみ)』とする予定でした。
彼女は、自分の子供が娘であることすら知らない、認識できない、認めたくない。
そんな精神状況にあった、なにもかもが救い難い『邪悪』であると。

何も認めたくなくてすべてを覆い隠して逃げている彼女が、
最期に鏡に類する何かで自分の右半分、肉塊を見て。

「あ――――」
「お帰り、なさい。マー君。おなかがすいたの?」
「用意してあるのよ。マー君の好きな、」
「はん、ばぁぐ――――」

とか言いながら肉塊部分を掴もうとする、みたいな展開に。
そのあと地の文で

マー君・・・『マーちゃん』は彼女からロクにご飯をもらったことがない。
そもそも彼女は、まだ離乳食を食べ始めたあたりでハンバーグなど食べたことがない。
そうやって彼女は自身の『味覚』すらもフタをして。
どこまでも自分に都合のいい妄想を見ながら何もかもから認識されない存在になり閉じこもる。

それは無明の地獄。
八大地獄のなによりも恐ろしくおぞましい、
誰にも顧みられず、何もなく摺りつぶされるだけの無間地獄。

そこで彼女の逃避のために犠牲になった、
彼女が認識せずに殺したマーちゃんも魂たちの怨念すら届かせずに逃げ続ける。

時の果てに摺りつぶされる、その時まで。

みたいな自滅パターンを予定していました。

コサジ少将氏、お疲れさまでした!

27柘榴女:2024/07/14(日) 18:00:42
柘榴女の結末については色々と伏線を張った状態でしたので、一応迄に用意していた結末を公開することといたしました。IFの世界の悲劇としてお楽しみくださいませ。


■■
決勝の相手と激戦。
その過程で池袋全域が戦場となり『NOVA』のVIP含めて皆殺し。
最終的に柘榴女は致命傷を負いながらも対面を撃破。
死体の山の上で勝利を高らかに叫ぶ。
これで捧げる魂は100になる!!
■■■



「ウェヒ!ウェヒヒッヒィ!!これで!これでぇえ!」

柘榴女は相手の目玉を抉ると、大切に、愛おしそうに瓶に詰め込んだ。
そうして、心底嬉しそうに、どこまでも無邪気に瓶を天に掲げた。


「これでぇ!!100!マー君ににに捧げるよぉ〜!!待たせ待たせたねぇ!御免ねえ!!!」


これで、集めに集め捧げに捧げた瓶の数は100。
柘榴女の異次元の理屈で言えば、愛息のマー君は蘇るはずであった。
しゅるしゅると、柘榴女の目前の幻覚が糸を集めるかのように現実化していく。

それは、柘榴女にしか見えない幻覚。
狂った脳髄が映し出す在りし日の幸福な面影。

「ママ…」

「ああ…!!!ああああぁぁぁ!!!マー君!マー君!」

それが幻覚であることはもはや柘榴女には関係ない。
何故ならば、柘榴女にはハッキリと愛息の姿が見えている。
鈴のような声が聞こえる。焼き立てのパンのような匂いがする。
駆けよって抱きしめてみればしっかりとした抱き心地がある。

狂った脳髄が生み出した幻覚は、柘榴女にとっては間違いなく本物なのだ。
それが幻覚であると指摘するものはもうこの池袋にはいない。
今にも死にそうな柘榴女は、最後、暖かな愛息の幻影を抱きしめて死に至ろうとしていた。


「マー君!マー君!もう離さないから!絶対に離さないからねェ!愛してるからぁ!」


血に体中を染めた柘榴女。
硬い義手による抱擁も、幻覚のマー君は優しく受け止めた。

「うん。僕も大好きだよ。ママ。」

最悪の殺人鬼は死に際、自らの狂気が作りだした優しい揺りかごに身をゆだね、意識を溶かしていった。




──愚かな、女の話をしよう。


愚か者というものは、自分が愚かだということに最後まで気が付かない。
自分は大丈夫だと本気で信じたまま崖に向かって車を飛ばして落ちていく。
目の前の地獄を楽園だと信じて笑いながら死んでいく。


しかし。嗚呼、しかし。
本当の、本当の愚か者は────


愚かであり続けることすらできない。


崖から落ちているまさにその最中に、何かを間違えたと後悔するのだ。
今進んでいる道がろくでもない道だと、引き返せなくなってから気が付くのだ。

そして…柘榴女は、悲しき母性のなれの果ては。
本当の愚か者であった。

28柘榴女:2024/07/14(日) 18:01:25


「────違う。」


柘榴女は、無意識に口から出た言葉に、自分自身が信じられないという顔をした。

「え…そんなはず…そんなはずが!!でも!でもォ???」

狂った脳髄が仕立て上げたマー君は、寸分たがわず記憶の通りの外見をしている。
キラキラ輝く瞳も、柔らかにカールする前髪も、赤みが差す頬も、あの悲劇直前と変わらない。

「…どうしたのママ?」

自身に無限の力をくれた鈴のような声も。
父に似た優しい表情も。
何もかも変わらないはずなのに。

柘榴女の脳髄の奥で、“違う”と声がする。

「マ…マー君はぁ??チチチ血の苦手な子でぇ?痛いのが怖い子でぇ?わ、わ、私が傷を負って家に戻ると、泣きそうな顔をして隠れちゃって??」

柘榴女はバリバリと傷口を掻きむしる。
地と肉片が飛び散るがもはやそんなことはどうでもよかった。

「少ししてからオドオドと、それでもしっかり近づいてきてくれる優しい子でぇええ??だ、ダ、だから!こんな!こんな血まみれで!!変わってしまった私に!怯えないなんてありえない!!!??」

本当に愚かであった柘榴女は、自らの妄執に浸ることすらできなかった。
残酷で冷酷な…誰も救われない答えを導きだしてしまった。

「チチチチ違う!そんなはずは??足りないだけ!捧げるものが!捧げるものがぁああ!」

半狂乱で周囲を見渡す。
何かが足りないのだと言い聞かせて、捧げるべき魂を探す。

しかし、周囲には死体の山しかなかった。
彼女自身が、周辺の何もかもを皆殺しにしていた。

「誰か!誰かぁ!??殺されてよ!!マー君のために!死んでよぉ!!???」

自らの残虐の檻に囲まれ、最悪の殺人鬼は生者を求める。
しかしその声は、叫びはどこまでも虚しく響くだけであった。

ガクリと跪いた柘榴女は、大雨の水溜りに映る自身の顔を見た。
そうして、「あるじゃあないか」とにんまりと笑った。


大雨の中、柘榴女は天に吠えた。

「神様ぁ!いい今から!最後の捧げものをします!だから!だからぁ!」

そういうと、柘榴女は柘榴の傷が走る自身の右顔面に指を突っ込み、眼球を抉り始めた。

「アギギギギ!わ、私はぁ!神社で!鬼神のような達人を殺しましたぁ!立体駐車場で!鬼神すら葬りかねない武侠を殺しましたぁ!!地下鉄でぇ!誰よりも冷静冷酷な覗き魔を殺しましたぁ!池袋の!池袋のぉぉぉ…!何もかもを殺し尽くしました!私は私はぁぁぁァウヒ!ウケヒィ!!」

ぶちりと嫌な音共に柘榴女の眼球が抉りだされた。
赤黒い視神経が雨に揺れた。


「これは!この池袋でもっとも“強い魂”で!誰よりも!何よりも強い魂で!魂で…」


柘榴女は自らの抉りだした眼球を高々と掲げた。
その眼球は度重なる薬剤投与と闘争の余波でうっすらと濁っていた。

そうして、柘榴女は泣き叫んだ。



「でも…でもぉおおお!う、美しくないよぉ〜〜!マー君に捧げるには!相応しくないよぉ!」



自らの蛮行が、その魂を濁らせていたことは彼女自身がよく分かっていた。
嗚呼、愚かな柘榴女!
そんな一般規範など無視して、私の魂は美しいと言い切ればよいのに!

柘榴女は、死の間際、子供のように泣いていた。
泣いて泣いて泣きつくしたその顔は、深い絶望に染まっていた。

自分が死ぬのが悲しいのではなかった。
願いが叶わないのが悲しいのではなかった。
無為な殺しをしてきたことが悲しいのではなかった。

ただ、夫と息子がもうこの世にいないということが、10年経ってもまだ悲しかった。

あの日から一歩も進まないまま、最悪の殺人鬼、柘榴女は、胎児のように丸まって死んでいった。


池袋の雨は、まだやまない。

29柘榴女:2024/07/14(日) 18:02:10

■■■

少しだけ、未来の話。

■■■


「お疲れっしたー!」

夜遅く。
長かった【池袋『NOVA』大量殺傷事件:死亡者リスト】の分析も終了。
軽薄な若者と陰鬱な大男が資料室を出る。

「ジャスティス先輩乙っす!これから飲みとかどーっすか!?」

軽薄な若者、刈口はどこまでも軽薄に先輩を誘った。

「…ん、ありがとう。そうだな。たまにはいいか…屋上で一服してから合流するとしよう」

陰鬱な大男の先輩は、仕事が終わったことに落ち着いたのか、彼にしては珍しく笑顔で応対し誰もいない真夜中の屋上へと向かっていった。

(おお?誘ってみるもんだなぁ。また断られると思ったのに。)

刈口は内心驚きながらもそれを口にはせず、空いている店を検索し始めた。


「お、刈口!例の仕事終わったんか!?」

髭の目立つ中年がバシンと背中を大きく叩きながら話しかけてきた。

「いっつ…何すんすかサンダーさん!」

「儂は三田だと何度も…まぁええわ。飲みに行くと聞こえての!儂も行くぞ!」

「うぃ〜っす!」

豪快な先輩の参戦に一瞬驚きながらも軽薄な若者は店の予約を進める。
その作業をしながら二人は世間話を始めた。

「で、どうじゃった?資料整理は?」

「いや〜全然向いてないっすよ。サボりまくったのジャスティス先輩に見逃してもらったし…つーかマジで内容頭に入ってねぇっす。明日には忘れてますよコレ!」

「気持ちは分かるけどのぉ!」

ゲラゲラと笑う後輩を、中年の先輩は複雑そうな顔で見つめる。
そして、眉を少しだけひそめて小声で問うた。

「というかお前、よくアイツをジャスティス先輩なんて呼べるのう…」

陰鬱な大男をあだ名で呼ぶ軽薄さに、中年の先輩はあきれ顔を浮かべた。



「えー。でもあの人まさにジャスティス!って感じじゃないスか。名前も正義(まさよし)だし。」



「最初、ジャスティス呼び怒られなかったんか?」

「大丈夫でしたよ!…ああ、でも初対面で『じゃあマー君先輩っすね』と言った時だけは、『お前がそう呼ぶな』ってマジにブチ切れられたっけ…」





■■■


警察署の屋上。
かつてマー君と呼ばれていた大男は、陰鬱な表情で煙草に火をつけた。
胸元から出した年代物のライターが、“柘榴女”と呼ばれた母の形見であることを知るものはどこにもいない。

大きい溜息とともに煙を吐き出すと、ポケットから一枚の紙を取り出した。
リストの最終ページに記載されていた柘榴女のページ。
彼はこっそりとそれを持ち出していたのだ。

凄惨な母の死体写真を前に、彼はこれまでのことに想いを馳せ始めた。

■■■



【神様、どうか今日だけは】



■■■

30柘榴女:2024/07/14(日) 18:02:46
神様…という存在がいるのかどうかは私にはわかりません。
ただ、私のこの懺悔を聞くことのできるものがいるとしたら、それは神様以外にあり得ないでしょう。

神様。私は罪を犯し続けてきました。
その罪の旅路が、今日遂に一つの区切りを迎えたのです。

それを今から母に…柘榴女と呼ばれたあの人に告げたく思います。

誰にも知られるわけにはいかない告白を、どうか神様。貴方の胸の内だけにお納めください。
これがただの自己満足の振り返りに過ぎないことは百も承知ではありますが。


■■■



…母さん。貴方は覚えているでしょうか。
貴方の道を決定的に違えた男の言葉を。


「“美しい魂”、もしくは“強い魂”を!100、息子さんに捧げるのです!そうすれば息子さんは現世に蘇りましょうぞ!」


そう言って貴方を唆した教祖…彼の言うことは本当だったのです
あの教祖は、貴方が思うよりずっと有能で…貴方が思うよりもずっと悪辣な男でありました。

『不合理なるトロッコ問題(フィリッパ・クエスチョン)』

それがあの男の能力名です。
100の魂を捧げたうえで、捧げた本人が自害することで対象を蘇生させる能力。

あの教祖はその能力を用いて、誰かを蘇らせたい者に教団の邪魔者を排除させ、最後には自分自身を始末させていたのです。様々な人の愛慕を食い物にしたうえで、死者蘇生という奇跡を披露するカリスマとして上り詰めていたのです。

そんなカリスマも、貴方の狂気を読み切れず外道には生温いくらいあっさりと死にましたが。


…貴方は、早々に100人殺しましたね。
その時点で私の魂は蘇生待機状態として貴方のそばに在りました。
あとは貴方が自害すれば蘇生される…そんな状態として傍らに在ったのです。

そうです。
私は、常に貴方のそばに揺らいでおりました。
貴方の凶行を、無意味な殺戮を見続けてきたのです。

最初は訳も分からず泣き続けました。
「ママ助けて」と何度も何度も叫びました。

貴方はそんな私の叫びを全く聞かずに人を殺し続けました。
それがどれだけ私の心を傷つけたことでしょうか。

それどころか貴方は、虚空を見つめ私ではない『マー君』に語りかけていましたね。
そこに私はいないと、何度叫んでも貴方は振り向いてくれませんでした。
それがどれだけ私の心を凍らせたでしょうか。

最初の数年は何が起きているか分からず泣き叫ぶばかりでしたが、魂というものも年月で成長するのでしょうか。5~6年経つ頃には状況を理解していました。

私は何度も何度も何度も、
「私はここにいます」
「お母さん、人を殺すのはやめてください」
「お母さん、お願いだからもう静かに一人で暮らしてください」
そう語りかけました。

それでも貴方は、血にまみれながら私のために人を殺し続けました。

…そうして迎えたあの日。
貴方が自らの命を私に捧げたあの日。

───母さん。貴方は酷い人です。

私が、本当に貴方を犠牲にしてまで蘇りたいとでも思うでしょうか?
私は、貴方には静かに暮らしてほしかった。
もはや許されない罪人なれど、私のことを諦めて、たまに思い出してくれるくらいでよかった。

そんな私の願いも知らず、貴方は絶望に包まれて死んでいきました。


そうして、私は人の死に絶えた池袋で二度目の生を得たのです。
魂とは不可思議なもので、私は10年は経ったであろう14~15の肉体で蘇生しておりました。
蘇りたての弱った体で私は貴方に縋りつき、ただただ泣き続け…そのまま意識を失いました。

意識を失った私を警察は保護してくれましたが、当然私の身元は誰にも掴めませんでした。
私とあなたを結び付ける線はどこにも存在していなかったのですから。


■■■

31柘榴女:2024/07/14(日) 18:03:11
病院で意識を取り戻した私は、罪の意識に苛まれておりました。
それも当然です。私を蘇生させるために、貴方がしてきた所業を私は全て見ていたのです。
貴方の所業は、まさに鬼畜生とでも言うべきものでした。

遺族の皆様からすれば、貴方は百万回殺しても飽き足らない外道でしょう。
貴方の罪を明らかにし、遺族の皆様の心を癒し、最悪の殺人鬼に唾を吐くことが、人間としてあるべき姿であったのでしょう。

すぐにそうすべきであると思いました。
呪われた蘇生を成した私の使命は遺族に真実を告げることだと思いました。



────それでも、私は貴方の息子です。貴方は、私の母なのです。



かつてヒーローのように私を守ってくれた貴方が、死後も糾弾される姿は見たくなかったのです。
それが人道にもとる行為であると知りつつも、私のために必死で戦い続けた貴方が、死後も罵倒され最悪の罪人として記録されることに耐えられなかったのです。

これが許されない行いだということは理解しています。
遺族の皆様からすれば、私の行いは人間の屑と罵られても仕方のないことだと思います。


それでも私は、貴方の罪をこの世から消し去ることに決めたのです。


幸いにして、元魔人警官である貴方の犯罪は上層部の手によって隠蔽されておりました。
政府の中枢が関係していた『NOVA』の宴に関わっていたということも大きかったのでしょう。
あれだけ派手に暴れた柘榴女の情報は一般には出回っておりませんでした。

それでも上層部の判断がいつ変わるかなど分からない。
正義感に満ちたジャーナリストが真実に辿り着くかもしれない。

私は、魔人警察に入るために必死で勉強をし、成長をしました。
いつ貴方の凶行が世間の目に晒されるかと怯えながらの日々でございました。

貴方の血筋なのか、私の身体は頑強に大きく育ったため警察を目指すといってもだれも止めず、応援をしてくれました。データ管理と分析を専門でやりたいと言ったときは不思議な顔をされましたが。

そうして、池袋の事件から約10年経過してから私は魔人警察の一員となり…貴方の罪を抹消すべく奔走をしたのでした。

貴方に憑いていた私は、『NOVA』のVIPしか見ることのできない一日目の結果を知っておりました。
その知識を利用してアンバードの真実を暴いてみせることで、データ分析のスペシャリストとしての地位を確たるものとしました。

警察のデータベースに残る柘榴女の、貴方の記録を私は少しずつ消していきました。
貴方が殺した被害者は全て【殺害者:不明】と登録しなおしました。
貴方が殺した膨大な人々のデータを、痕跡残さず改ざんするのは非常に骨の折れる作業でした。

何かミスをして、貴方と私の罪が明るみに出るのではないか、そんな思いに怯える日々は私の顔を酷く陰鬱なものに変えてしまいました。しかしそれも罪人の背負うべき業と理解し、私はただただ貴方の罪を消していきました。
貴方の罪を消すことは、貴方がこの世にいた痕跡を消すことでもありました。
一つデータを消すたびに私の胸は酷く痛みましたが、それを悲しむ資格は私にはないでしょう。

長い月日を経て膨大なデータの改ざんが終わり、残すは紙の資料をどうにかするのみとなりました。
自分一人で資料室をあさっていては誰かに疑念を持たれると思い、軽率で軽薄な後輩と一緒に作業することに決めました。彼ならば作業をいくらでもサボるし、興味のない内容はすぐに忘れると確信をしていたからです。

こうして、遂に今日私は貴方の罪の痕跡を全て消すことに成功しました。
あとは貴方の死体写真を燃やすのみです。
そうすれば、柘榴女の凶行も、柘榴女がこの世にいた証も、何もかも消えてなくなります。

…この報告を、きっとあなたは地獄で聞いていることでしょう。
私の行いに対しても喜んでいるとはとても思えません。

もしかしたら怒り狂い、「そんなことを貴方にしてほしくなかった」などと泣き叫んでいるのでしょうか。
「罪人になってまで私のために尽くさないでほしかった」とでも泣き叫んでいるのでしょうか。

母さん。その言葉をそのまま貴方にお返しいたします。
おそらく私も地獄に落ちることでしょう。
お説教はそこで聞きますのでご容赦ください。

32柘榴女:2024/07/14(日) 18:03:32
神様。
母への告白が終わりました。

長々とお時間をとらせ申し訳ありませんでした。
罪人の息子の、どうしようもない旅路の果てを見送っていただきありがとうございます。

誰にも知られるわけにはいかない旅路なれど、本当に誰にも知られずに終わるのは悲しすぎる。あまりにも愚かでちっぽけな私の我儘も、これで幕を閉じます。

嗚呼、神様。

…柘榴女は、私の母は、悲しんでやる価値もない外道でしょう。
あの人は、子を思う母を沢山殺しました。
母を思う子を山ほど殺しました。

そして、私には母の死を悲しむ資格などないのでしょう。
大勢の、母を亡くし子を亡くした遺族にとって、柘榴女の痕跡を消されるということは無念を晴らす機会を一生涯奪われるということなのですから。


────しかし私は、狂い続けたあの人が、ふとした瞬間に昔のような優しい笑顔を見せていたことを忘れられないのです。


神社で。鬼神のような強さの武侠を相手に惨めに這いずりながらも勝利を掴んだ姿を。
立体駐車場で。鬼神すら打ち倒す狩人を相手に躊躇わず火炎放射器を飲み込んだ姿を。
地下鉄で。顔のない殺人鬼相手に激情を漏らす姿を。

私のために、散々傷つきながらも戦ってくれた姿が忘れられないのです。
分かっています。分かっているのです。
あの人を哀れむべきではないと。
あの殺戮の日々を肯定してはいけないと。

ただ、今日この瞬間。
あの人の痕跡はこの世から消えます。柘榴女についての情報はすべて消え失せるのです。



───嗚呼、神様。どうか今日だけは、あの人の、お母さんのために涙を一つ流すことをお許しください。



■■■


かつてマー君と呼ばれた大男は、柘榴女の、母の無残な死体写真をじっと見つめた。

そこに、希望はなかった。
その女は、目先の安易な偽りの希望にしがみつき、無辜の民を殺戮した故に。

そこに、夢はなかった。
その女は、自らの欲望のために、数多の美しき夢を踏みにじった故に。

そこに、奇跡はなかった。
その女は、強き願いの奇跡を理解しながらも、その価値を顧みず噛み砕いた故に。


ただ、そこに愛は────

誰も知ることが無くても、愛だけはあった。あったのだ。


それを理解しながら、かつてマー君と呼ばれた大男は、柘榴女の死体写真に火をつけた。
この世に唯一残る柘榴女の証跡が燃えていく。

こうして、最悪の殺人鬼の痕跡はこの世から残らず消える。
そうして、柘榴女が、愛息のために我が身を削り続けた10年間の記録も消える。

灰となって風に消えていく写真は、どこか火葬を思わせた。
大男は一つ涙を零した。


その涙の意味を知るものは、神以外にこの世にはいなかった。




33電車が好きな普通の女の子:2024/07/23(火) 22:00:52
池袋駅5番線。環状線である山手線に、いくつか存在する始発ホームである。通常の環状線は向かいの4番線に入り、5番線に電車が止まるのは一日数本。池袋を終着駅とする電車と、始発駅とする電車のみ。全ての物語の終わりと、新たな物語の始まりに相応しい場所と言えるかもしれない。

4番線に到着した電車から、一人の少女が4・5番島ホームに降り立った。深い青色のストリート風ファッションに身を包み、野球帽を後ろ前に被った彼女の名は鮪雲鉄輪《まぐろぐもかなわ》。電車が好きで、虫ぐらいしか殺したことのない、普通の女の子。

一週間前。池袋にとてつもない戦闘破壊が吹き荒れた。数万人の殺人鬼による殺し合いだった、という荒唐無稽な噂すら囁かれるほどの惨状であった。だが、鉄輪はそのニュースを見て、なぜだか池袋に行かなければならないと思った。

このホームにも、破壊の爪痕が痛々しく残り、カラーコーンと虎縞バーやブルーシートで応急手当をした、継ぎ接ぎだらけのみすぼらしい姿と化している。この場所で誰と誰が戦ったのか、知る者はいない。秘密サイトNOVAの会員も、生き延びた当人すらも、それを知らない。

しかし、電車はそんなホームにも訪れ、池袋は日常を少しずつ取り戻そうとしていた。鉄輪は、駅を行き交う電車と人の流れを見て、その逞しさに感心し、安堵した。そして、鉄輪は、二人の人物に目を止めた。

一人は、大きな身体の男性。右腕を怪我しているのか、包帯を巻いてアームホルダーで吊るしている。もう一人は、鉄輪と同じぐらいの年頃の、銀髪の可憐な少女。恋人同士、というわけでもなさそうな、むしろ宿敵同士、といったほうがふさわしいような、奇妙な距離感の二人だった。

二人の様子を見て、鉄輪は胸と首筋にチクリとした痛みを覚えた。それは、初恋に破れたような、不思議な感覚だった。これはなんなのか。戸惑ってるうちに、鉄輪は二人の姿を見失った。

まあいいや、と鉄輪はきびすを返し、復旧に向けて慌ただしくうごめく池袋の町へと歩きだした。その顔には、穏やかな笑みが浮かんでいた。
「ばいばい」
誰へともなく、鉄輪はそう告げた。軽い足取りで階段を登りホームを背にする。前後ろに被った彼女の帽子には、浮かれたようなポップな書体で『HAPPY』と書かれていた。

【鮪雲鉄輪エピローグ『5番線、幸福行き』おわり】


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