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ダンゲロスSSヘル✿流血少女 本スレ
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:
榑橿(1話の前日譚的な幕間だけど別世界です)
:2022/10/16(日) 21:06:40
「今日は洋菓子。いつも言っているけれど早めに食べておくれよ、手作りだから」
「毎度、毎度。昼休みにでも頂くね。ケーキっぽいものは初めてじゃない?」
「うん、そうだね。くも相撲部にこの後付き合ってくれる分は何が良いか考えておくが、リクエストがあれば受け付けよう」
「いつにも増して太っ腹だあ。そんなに1人で行きたくないの?」
「できれば卒業までに一度も近づきたくは無かったさ。それでも一応愛玩動物の落とし物となれば届けないわけには行かないし、自分がぶつかったというのに不居潟さんに任せっきりというのも何だからね」
ブレファロスタ、君は意外と真面目だな。
私は恐ろしげな場所に近づかずに済むならば、人に任せるか蜘蛛を逃すぞ。
まあ、何というかここでの君の立ち位置が多少は見えてきたかな。
最後に“詳述片某”が発動する前、君は3人の相手に贈り物をしていた。
渡した相手に関する情報は省くとして、君がその3人に与えたイメージはそれぞれ“強い虚栄心の持ち主”、“貢ぎ癖”、“真面目”、に近いものだったのだろう。
“詳述片某”は、それぞれの要素が矛盾していようと他人が持つ君に関するイメージを統合し、次の君を生成する。
今のブレファロスタはその産物という訳だが、真面目ぶった君を見るのは新鮮だ。
虫の巣窟を覗くのは気が進まないが、面白いからなるようになれ!
校門を潜り、君達は教室にも寄ることなく部室棟へ直行する。
歩くのは両脇に文化部の部室が並んだ廊下だ。
窓を暗幕で覆っていたり、防音室になっていたり、電灯が点いていなかったり、点滅する古い蛍光灯が真っ直ぐに連なる外は薄暗く、カタカタと何かの物音がするぐらいで人気もない。
目的地は、廊下を進んで突き当たり左にある階段を登った三階に出てすぐだった。
引戸に白い画用紙、“全身外骨格超重量級女郎くも相撲部”の文字がカラフルなポップ体で浮かんでいた。
部室と廊下の間の高窓からはLEDの透き通った力強い白色光が漏れ出る。
相撲部と名付けられていても文化部だったのかと考える私を他所に君は3度ノックし、返事らしきものが聞こえると戸を引いた。
ドアは二重造りになっており、開けたそばからもう一つ同じ形が立ちはだかったが君は一つ目と同じくそれを開ける。
室内は光を反射するロープ様の糸と、異様な密度の綿毛めいた白食の束、デミタスの水面が如き暗い光沢の瞳が無造作に、無数に並び、戸を閉める動きや君達の動き一つ一つに反応して万華鏡のように姿を変える。
「早く閉めて。くもちゃん達が逃げたらどうしてくれるの」
部室内にいた人間は1人。
確か萱津(カヤツ)さんという一つ上の学年の子。
「ああ、これは失礼。落とし物を届けに来ただけです。こちらを置いてすぐに出るので」
言われた通りにドアを閉じると、君は袋に入った蜘蛛を萱津さんに手渡す。
「…これはどこで?」
萱津さんは君を見つめた。
気のせいか、若干睨まれているような…
「登校時にそちらの部員と衝突してしまって、その勢いで落としてしまったようなのでお届けに」
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