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ダンゲロスSSエーデルワイス 応援スレ
7
:
仙道ソウスケ
:2022/02/06(日) 22:38:06
――――――
(酷く寒いな)
英コトミは重力に抗えず、指の一本すらも動かせずにいた。
口の中に血の味がして、内臓がひっくり返ったような痛みが全身を薄く貫き続けている。骨が折れているのか、腕から先、膝から先が思うように動かない。
少しでも痛みに耐えるため、自分の身体を抱き締めるように丸まろうとする。
「……っ!」
身体中に激痛が走り、声にならない悲鳴をあげた。
悪態もつけずに、コトミは痛みを飲み込む。じっとしていると痛いし、動くともっと痛い。コトミは顔をしかめた。
目を開けようとすると、視界が赤く染まって染みる。頭からの出血が瞼を覆っているのだ。血を拭うために腕を上げようとして、折れていた事を思い出し、やめた。
小さく舌打ちをしながら、コトミがなんとか薄目で見た世界は、うすぼんやりと歪んでいた。
目の前に誰かがいた。
何か話しかけてきているが、まるで水の中にいるように、声がくぐもって聞こえない。
鼓膜が損傷しているせいだが、それをコトミは知る由もなかった。
(どこのどいつだ)
コトミが声を出そうと、息を吸う。広がった肺が折れた胸骨を圧迫する。痛みが走り、咳と共に血反吐が出た。とてもじゃないが、口を開けそうにもない。
(クソったれ)
何も見えず、何も言えず、何も聞こえない世界で、誰かがコトミを抱き上げた。
痛みで絶叫しそうになったが、そんな声はコトミには出せなかった。
せめて睨み付けてやろうかと思ったが、眉を寄せると酷い頭痛に襲われる。
コトミは、何もできる事が無い自分に呆れてしまった。
(アンタは、こんなアタシを見てどう思うかね)
気持ちの悪い笑顔が、脳裏に浮かんだ。
その時、コトミの体に異変が起きた。
身体の末端から、だんだんと体温が消えていくのを感じる。
心臓の鼓動が、弱くなっていくのを感じる。
頭の中から、パチパチと大事な何かが消えていく。
命が、消えていく。
(ああ、イヤだ。死にたくない。怖い。なんでアタシがこんな目に会うんだ)
いくつもの言葉が、弾けて消える。
そうして、結局たどり着くのはここだ。
(アンタもこんな気持ちだったのかよ。ソウスケ)
コトミの体から、先ほどまでの激痛が嘘だったかのように、痛みと共に五感が抜け落ちていく。
やがて、体が軽くなる感覚がコトミを包んだ。
それはとても心地よく。コトミ自身、呼吸が止まっているのがわかっているのに、まったく苦しくなかった。
何故かを考える余裕は、今のコトミにはない。
だが、その心地よさは、コトミに僅かながら思考の時間を与えた。
(結局、逃げられないんだな)
自分を曲げられないから、人を傷つけて。
傷付けたくなかったけど、結局耐えられなくて傷つけて。
逃げ出した先で、また傷つけて。
助けてくれるって言った奴を、傷つけて。
そうやって得た自由の先で、何も成さずに死ぬ。
そんなもんだ。
人を傷つけたら、傷つけられる。
人を殺したら、殺される。
そういう輪から抜け出したかった。抜け出して、許されたかった。
だけど、結局アタシは許されなかったんだな。
(いや)
唯一、アタシを許してくれたかもしれない奴がいた。
そいつも、もういないけど。
(アタシの人生って……)
コトミは、誰に伝えるでもなく唇を動かした。その声はコトミ自身にも届く事はなかった。
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