したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ダンゲロスSSエーデルワイス 応援スレ

12典礼(強敵NPC):2022/02/07(月) 11:47:02
強引に肩を掴まれ、異様な腕力で青年は公園の奥にまで連れ込まれた。
抵抗すれば上半身が折れる。
魔人の腕力に敵うはずもなく渋々歩くことになった彼が見たものは、公園の一画とはとても思えないようなアトラクションと張り巡らされたカラフルなテントの数々。

「これは…」
「君のために準備したんだ。無駄にはして欲しくないな」

あまりにも異様な光景が過ぎて、青年は動揺した。
見れば会場には人影がいくつもあった。
彼らは料理を乗せた皿を運び、ジェットコースターの点検を行い、芝生を掘り返しては瞬く間に地面をタイルで舗装していた。
その人物たちはよく見ると誰もが老人同様の異様な長身で、白いタキシードの胸に赤い花を挿し、浮かれきった帽子を身に付けた白い肌の人形だ。
目玉も口も髪もない。
表情を浮かべることなく黙々と作業を進める彼らは、とにかく不気味で仕方が無い。

脚が震える青年の肩を、典礼はぎゅっと握った。

「怖がることはない。あれらが君に危害を加えることは無いからね。我輩が独自に主催しているパーティに社の人間を借りる必要は無い。ただそれだけのことさ」

老人は青年の脚を強引に手近な施設にまで運ばせる。
元々は子供用のローラー滑り台があった丘がウォータースライダーに変わっている。

一人乗り用のボートに青年を力任せに乗せると、急角度の水流へと押し出した。

「It's your Party!遠慮はするなよ青年、存分に楽しんでくれたまえ!」

ノンブレーキの超加速と前後左右上下が入れ替わるボートから振り落とされないように青年は必死でハンドルを握り身を硬くした。
死の危険を予感して喉から絞り出される悲鳴が自分の発したものかどうか、彼にはもう分からなかった。


数十分後。
マリネランドとゲートに書かれた会場には、興奮で頬を上気させる青年の姿があった。

「うひょーっっっっ!!楽しい!楽しい!」

いつの間にか彼は奇声と楽しいの一言しか発さない珍生物に変貌していた。
ポップコーンと鯛の船盛りを両手に抱えて設営された小さな劇場の出口を抜け、青年は次に利用する施設を探していた。

「君の誕生日に貰った親からのプレゼント、自分で購入した品、中学校・高校・大学の文化祭で何をしていたか。我輩は誰よりもよく知っている。普段はインドア派でも社内の野球大会では優秀な投手として好成績を残したことも、食事会がある時には何に手を付けて何を残したのか。君の好みであれば全部、全部を我輩は知っているぞ」

陽気にはしゃぎまわる青年を眺めながら、老人は一人で笑いながら言った。

「楽しい、楽しいィーーっ!」

青年も嬉しそうだ。

「ちょっとーっ!待ち合わせ時間から十分経っても来ないし連絡もないと思ったら何なのヨこれは!」

ばっちりと化粧をした年若い女性が現れ、青年の腕を引いた。

「ああ、キミかい。楽しい、楽しいんだよ!本当に楽しいよーっ!」
「アンタおかしいヨ!?」

青年の異変に気が付いた彼女はしかし、典礼に肩を掴まれた。

「そういえば待ち合わせをしていたと言っていたな。君は彼の恋人だね?悪いことをしたからお詫びに君も参加して行きなさい」
「ちょっ…誰よアンタ」
「心配はいらない。当然君のことも我輩はよく知っているのだ。舞浜のランドに君は良く通っているね?ハロウィンにもイースターにもクリスマスにも、君は欠かさず顔を出している。パレードが特に好きなのかな。人混みを苦にすることなく、後列からでも歌と踊りに夢中になっている」

典礼が指を鳴らすと、女性の眼前に一体のマネキン人形とメルヘンな装飾を施された車両が現れた。
楽しげな音楽を流す車両。
その上で踊っていた妖精の仮装をしたおじさんは札束を渡され、何かマネキンに耳打ちされると混乱しながらも踊りを再開した。
他に車両に乗っていたハダカデバネズミの着ぐるみ数体もそれに倣う。

「さあ、楽しんでおいで」

典礼に背を押され、女性は幻想的光景に飲み込まれた。
彼女が歩を進める間にも会場は改装を続け、夢は彩りと深さを増していく。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板