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第19次 生徒会陣営応援スレ

8諏訪早苗:2019/01/13(日) 09:34:00
諏訪早苗と各務城玻璃乃のSSです。

諏訪早苗は楽しみにしていた。
今日は図書室に有名作家の鉄道ミステリーの本が置かれる日だったからである。
ずっとリクエストした甲斐があった!早苗は開室時間になるとすぐ図書室の前に向かった。

さすがに開室時間すぐでは図書室の扉は閉じているかと思いきや、開いていた。
「あっ…玻璃乃さん…」
「どうしましたか?早苗先輩」
受付には生徒会で一緒になっている各務城玻璃乃がいた。一緒になっているとは言え、早苗は最近入ったばかりで、しかも作戦会議にまともに参加できていない状態。
…とてもじゃないけど、顔を会わせづらい…!
「い、いや、ちょっと本を借りに来たんだけど…」
「そうですか」
そう言うと、玻璃乃は興味を失ったように手に持っている本に目を向けた。
だ…大丈夫かな…?

少々心配になりつつ、早苗は鉄道ミステリーの本を借りられるだけ持ち、受付に向かった。
「玻璃乃さん、これを借りる手続きをしてもらっていいかな」
「かしこまりました」
そう言うと玻璃乃は淡々とした表情で貸し出しの手続きを始めた。ううっ…やっぱり気まずい…。
そう思っていると、
「早苗先輩は本当に鉄道がお好きなんですね」
いきなり玻璃乃が話しかけてきた。
「えっ、そうかな?」
「借りている本の表紙が電車ばかりでしたので…」
そりゃそうだ、鉄道ミステリーの本なのだから。
「ほら、私って変かな?女子なのに鉄道が好きなんて…」
思わず鉄道好きを責められているような気がして、こう返した。
「別にそんな事は無いと思いますよ。女子鉄や鉄子という言葉もある位ですし。それに趣味に正しいとか変とかは無いと思いますよ」
「うん、ありがとうね」
「早苗先輩はもっと自分の趣味に自信を持ってください。一人で色々なところに行けるなんてそんなにできない事ですから」
「行けるって…一人だと大阪位までしか行った事が無いよ…」
「高校生にしては随分な遠出だと思いますよ」
「そうかな?ははは…」
玻璃乃の声は抑揚に乏しく、ずっと付き合いづらい人だなと早苗は思っていたが、いざ話をしてみるとそんな事は無く、早苗は玻璃乃との会話を楽しんでいた。

「…で、鬼怒川で温泉に入った後、SLに乗ったんだけど」
「鬼怒川にもSLが走っているんですか。色々なところで走っているんですね。
ただ早苗先輩、話が楽しいのはいいのですが、待っている人がいますよ」
「えっ!」
後ろを見ると、貸し出しを待つ男子生徒がちょっと戸惑った様子でこっちを見ていた。
「あっ!すみません!すぐどきますので!」
早苗は受付から離れようとするが、
「早苗先輩、本を忘れていますよ」
肝心の鉄道ミステリーの本を忘れていた。
「ごめんごめん、借りた本を持っていかないとね」
と、本を受けとると、
「今度の松本旅行も彼氏さんと行けるといいですね」
と、小さな声が聞こえた。
「ん?何か言った?」
「いえ、何でも」
そういう玻璃乃の表情は、少し笑っていた。


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