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第19次 生徒会陣営応援スレ

21ラムダ:2019/01/19(土) 06:11:15
『ラムダ_プロローグ』
2019年1月1日

新しい年を迎えたその瞬間、希望崎学園の裏山に雷が落ちた。
その轟音は人々の歓喜の声にかき消され異変に気付いた者は誰一人としていなかった。

-身体機能 異常無し- -通信機能 タイムラグ有り- -能力使用による各種機能の低下を確認-

落雷によって黒焦げ、真っ二つに割れた大木の前に屈んだ人影がひとつ。

-周囲の安全確認 異常無し- -目標の情報収集を開始 エラー発生- -聴視による探索を推奨-

ゆっくりと立ち上がる全裸の女性。
(衣服は焼失してしまいましたか。それとも『向こう』に置いてきてしまったのでしょうか)
自身の姿をぐるりと見渡すと深呼吸をし目を閉じながらゆっくりと顔を上げる。
すると女性の身体を黒い膜のようなものが覆っていく。
(ナノスキンによるラバースーツを構築、全裸でいるよりは不審がられないでしょう)
フゥッと息を付くとまだ多くの明かりが灯った街に向けて歩き出した。


山道を降りると初日の出を見ようと会話をしながら歩く学生たちの姿があった。

「なー、知ってるか? 校長の噂」
「あれだろ、科学部にすげー額の部費回してるっていうやつ」
「なんか変な実験させてるって話だぜ、業者がでかい機械運んでるの見たやつらもいるし」
「魔人嫌いの長谷部のことでしょ、絶対ロクなことやってないって」
「ナントカ計画がどうとか中二力がどうとか、同じクラスの科学部の子が独り言言ってた」
「あーあ、そんな訳分かんないことより運動部の備品に金使ってくんねーかなー」

(今のは希望崎学園の生徒でしょうか、中二力……魔人覚醒を促すエネルギー)
(もしそのエネルギーを操作できる何かがあるとしたら、ご主人様がいなくなった原因の可能性が高い)

「……調べてみる価値はありそうですね」

暗闇に紛れ希望崎学園校内へ忍び込む。冬休み中、さらに三が日であることが幸いし侵入は容易かった。
だがそんなハレの日にもかかわらず科学部では十数名の部員たちが夜通し作業をしていた。
全員が魔人であったとしてもおそらく身体能力の高い者はごく僅か、奇襲ならば勝ち目はある。
廊下を駆け抜けそのまま突入する……だがそれは謎の球体によって阻まれてしまった。

「廊下は走るなといつも言っているはずなのだが?」

咄嗟に距離を取り声のする方を警戒する、そこには魔法使いのような恰好をした老人が廊下の曲がり角にもたれ掛かっていた。

「生憎、私はこの学園の生徒ではないのです。ご老人」

「でしょうな、わしもアンタのような生徒は見たことがない」

警戒する様子もなく姿を現しこちらと向かい合う老人。

「そこに用があるんじゃろ? わしも奴のやることが気にくわん。できれば行かせてやりたいが・・・」
「わしより先に動かれるのもそれはそれで癪に障るのでな。まずは話を聞いてくれんか」

「……いいでしょう、手短にお願いします」

「わしは長谷部…校長に好き勝手させたくないだけじゃ。アンタは奴の計画を止めに来たんじゃろう」
「じゃがちぃとばかり面倒なことになっていてな、少しでも戦力が欲しい。力を貸してくれんか」

「敵の敵は味方ということですか」

「そんなところだ、難しく考えんでいい。利害の一致、一時的な共闘というやつじゃ」

「分かりました、その話乗りましょう。相手の手の内を知っておくに越したことはありませんから」

「交渉成立。さて、まだ名前を言っておらんかったな、わしは金四郎。この学園で教師をやっとる」

「……ラムダ、そう呼んでいただければ」

「訳ありのようじゃな、安心せい、詮索はせんよ。とりあえず宿直室にでも案内しようか」

そう言い電気の付いていない廊下を歩きだした老人の後を追う。
『アウェイクン計画』の内容、そして「この世界の」ご主人様の存在を確かめた私はハルマゲドンに巻き込まれることとなった。


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