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第19次 生徒会陣営応援スレ
18
:
中静鈴鹿
:2019/01/19(土) 01:38:17
☆中静鈴鹿プロローグ
私は走るのが好きでした。
風を切るように走るのはとても気持ちがよいものでした。
だから、私は陸上にのめり込んだのです。
レース中、前に誰かがいるのが嫌でした。
誰にも並ばれたくはなかった。
ずっと先頭で走っていたいと願っていました。
だから、逃げたのです。逃げて、逃げて、逃げ続けました。全力で。
より速く。もっともっと前へ。
誰にも私に追いつけないように。
誰よりも速く。限界を超えて。
思えば、私の脚はすでに悲鳴を上げていたのでしょう。
けれど、私はそれを見ないふりをしていて。
そして、あの日―――
私の脚は壊れてしまいました。
サイレンの音が聞こえます。
私はただ痛みにその場で蹲るばかりで。
悲劇のヒロインになんてなりたくはなかった。
ずっとずっと走っていたかった。
誰よりも速く。
ただ、それだけだったというのに。
どうして私の脚はもう動かないのでしょうか?
◆◆◆◆
中静鈴鹿は部屋で目を覚ました。
車椅子のまま、机に伏して眠っていたようだ。
「……またあの日の夢ですか」
鈴鹿にとって忘れられぬ出来事。
車椅子競技への参加を考える今も過去に未練はある。
この脚でまたトラックを駆け抜けられればいいのにと今も思う。
全力で人知を超えた速度で体当たりをしても壊れない今の頑丈さがあの頃の鈴鹿にあれば。
「いえ、あの頃の私が魔人になったとしてもここまで頑丈さを得ることはなかったのでしょう」
魔人とは自己の認識を他者に強制する能力者。
なら、壊れてしまった左足への未練がそれを生み出したのだろうと鈴鹿は思う。
「さて、いつまでも過去のことばかりを考えているわけにもいきませんね」
生徒会長として目の前のハルマゲドンに備えなくてはならない。
魔人の死も厭わない強引な長谷部校長への対策も。
校長がハルマゲドンの裏でいろいろ画策しているという噂も聞くが本当だろうか。
だとしても、もはやハルマゲドンが止まることなどありえないことだが。
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