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けものダンゲロスさばんな応援スレ

20インテル:2017/04/20(木) 23:26:01
ハイタカの獣化魔人インテルが空を飛んでいる。
天まで伸びた柱の周りをグルグルと螺旋を描いて上へ上へと飛んでいく。
どんどん上がっていくと、かすかに何かが聞こえてきた。
じっくり耳をすますと、

「………パス……サロ…パス……サロン…パス…」

それは呪詛めいた声だ。
どんどん上がっていくと、柱の先に丸い何かが見えてきた。
だんだん近づいて、しっかり目をこらす。
それは頭だ。女の子の頭だ。
2本の角が目立つそれは、キリンの獣人のキンちゃんだ。
柱はキンちゃんのながーい首だった。
ひたすらサロンパスと連呼しつづける声は辛そうで。
シャイなインテルも思わず、

「サロンパスが欲しいの?」

と呼びかけるが答えはなく、サロンパスサロンパスと連呼は続く。
頭に向かって飛びながら意を決して最大限に大きな声で呼びかける。

「サロンパスが欲しいの?!」

それでも答えがない。
なぜならばキンちゃんにはインテルの声が届いていない。
さらに言うなら、もしもキンちゃんが下を向いてもインテルの姿は目に映らない。
インテルの猛禽類の視力とキンちゃんの視力の差のもんだいではない。
さっきからインテルは全力で飛んでいるのにキンちゃんの頭は近づいてこない。
インテルが高く飛ぶのにあわせてどんどん高度を上げていく。
今にも雲に届きそうだ。

キンちゃんの耳には誰の声も届かない。

キンちゃんの目には誰の姿も映らない。

届かぬ高みへ遠ざかる。

それがキンちゃんの魔人能力。
いつまでも返らない答えを諦めたインテルは、
サロンパスを探して猛禽類の優れた視力を地上に向ける。
どこかに落ちているような物でもないのでとりあえず持っていそうな人を探してみる。

キラリと光った何かに目を引かれるとそれは日光を反射した水面。
プールだ。
ちょうど誰かが水中から出てきてよたよたと歩き出す。
それはトドのおっさん、あるいは単におっさんと呼ばれる盗撮魔だ。
校庭に出たおっさんの、周囲に目を向けると前と後ろに一人ずつ。
後ろを歩くのは日熊野 黄熊 (ひぐまの ぷう)
とても大きな彼女は、とても大きな歩幅。
よたよた歩きのおっさんにどんどん近づいていく。

ぷうさんがその大きな歩幅であと数歩まで近づいたとき、
おっさんが前方の人影に初めて気づいたように目を向ける。

「ギエエエエエエエエエエ!!」

そこにいたのはBBBBB。

Buffalo buffalo buffalo Buffalo buffalo
バッファロー市のバッファローは近くの敵を怯えさせる
驚きのあまりバランスを崩したかのようにおっさんは後ろに倒れこむ。

「あわわ、おっさん大丈夫?」

お人好しのぷうさんが慌てて駆け寄るが254cmの長身。
倒れたおっさんからはぷうさんのスカートの中が丸見えだ。
おっさんは下卑たニヤケ面を隠し切れない。すべては計画通り。
ぷうさんとBBBBBの位置関係を把握した上でプールを出ていたのだ。
だけど悪いことはするものじゃない。

「いやぁん!」

おっさんの視線に気づいたぷうさんは思わずおっさんを殴ってしまう。
なにしろぷうさんはヒグマの獣人だ。そりゃあ、すごーい力の持ち主だ。
おっさんは目にもとまらぬ速さで吹っ飛んだ。
吹っ飛んだ先が悪かった。

そこではメキシコプレーリードッグのアミーガ、レトロファイアがご自慢のトンネルを掘っていた。
吸い込まれるようにトンネルに飛び込んだおっさんは、
地下へ転がり下ってどんどん加速。
さらに速度を増して出口からスポンと飛び出した。

そこはたまたまキンちゃんの足元だ。
とてつもない速度で飛び出したおっさんはぐんぐん上空へ向かい、
またたく間にインテルを飛び越した。
その先にはキンちゃんの頭。

でも、
おっさんもキンちゃんの頭には届かない。
おっさんのすごい上昇速度に合わせてキンちゃんの首も伸びていく。
おっさんの速度はぜんぜん落ちない。
おっさんは空から落ちてこない。
あっという間に雲を越え、大気圏を突破する。
ついにおっさんとキンちゃんの頭は地球の重力を振り切った。

肺に残った最後の空気を震わせて、おっさんは悲しげにつぶやいた。

「やっべぇ、これってオチないぜ……」


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