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ダンゲロスSSドリームマッチ幕間スレッド

13対馬堂穂波:2016/01/30(土) 18:00:23



日差し降り注ぐ砂地には、一人の少女が佇んでいる。

黒い長髪をゆったりと結んだ、ゴシックドレスの少女。
過酷な環境には場違いなその出で立ちの少女こそが、夢の戦いの参加者の一人。
名を対馬堂穂波(ついまどう ほなみ)。

黒いロング・スカートは、この環境では熱を蓄えるのだろう。
涼しげな顔の少女の額にも、一筋の汗が伝う。
少女は少しばかり、苛立たしげに顔を歪める。手を翳し、額を拭った。


“無色の夢”が、対馬堂穂波に告げた、夢の戦いの場所。


――それが『蟻地獄』と言われた時は、どういうものかと思ったが。

熱射降り注ぐ、一面の砂漠に、巨大なすり鉢上のコロシアムが抉り作られている。

彼女の立つ位置はさしずめ、地獄の最外郭。
周縁から眼下を見下ろす。
角度のついて、日の差し込まぬ蟻地獄の中心は、視認することもままならない。

砂は徐々に中心に呑まれ、いずれは戦場全体が砂に沈むという。
実質的に制限時間があるということだ。

それまでに敵を殺すか、屈服させるか。すり鉢の外まではじき出すか、砂に沈めてしまうか。


これから踏み出すは、夢への一歩であり、地獄への片道切符。



それを彼女は、躊躇なく踏み出した。

流砂に乗るかのように、悠然とした所作ですり鉢を下っていく。

何歩か進み、日陰が生じたところで、その場に膝を折り、ゆっくりと腰を落とす。
スカートが地面を覆うように広がった。


「――解放(オープン)。では何某かの、お手並みを拝見いたしましょう」

対馬堂穂波は独り言つと、自らのスカートの下に手を伸ばした。
ぬっと、黒い棒が伸びる。

巨大なスコープに、長い銃身。
黒鉄が鈍く影色を湛える、大きなスナイパー・ライフル。

慣れた手つきでスカートから取り出す。それを抱えたまま、砂地にうつ伏せる。
瀟洒なデザインの洋服は、砂塗れに。


「服が汚れてしまって……汚れに見合うだけの価値が、あればいいのですけど」

口ではそう呟くものの、実際には行動を厭う様子はない。


彼女の能力、『スカートの中の戦争』は、スカートの中に古今東西の兵器武器を招来する。

そのような能力に目覚める以上、対馬堂穂波は、兵器に対し人並み以上の興味があるし、
普通に生活している限り、兵器を大手を振って扱う機会など来ない。
そして夢の戦いならば、殺しも夢の中の出来事である。
現実の罪を負うことはない。


――これはチャンスなのだ。

夢の戦いの報酬だけではない。
日頃、兵器をぶつけるべき場所に満足に揮えない、自分のフラストレーションを解消する機会。


身を伏せ、スコープに片目を覗きこませた対馬堂は、独り、薄く笑った。


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