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改訂版投下用スレッド
81
:
終焉のノクターン
:2003/07/10(木) 19:58
――遅れて別荘の中へ踏み込んだ響子の見た物は、逃げ手の少女を庇う様にして立つ、二人の鬼役の少年と少女。
そして、自分よりも先に窓から飛び込んだ弥生に見据えられ、顔を青褪めさせている青年。それら両者の間で戸惑った
様に銃を構えたまま固まっている若い女が一人…
「…三つ巴ってやつ?」
その呟きが聞こえたか、弥生と彼女に見据えられている青年以外の者達の視線が、響子へ集中した。――中でも、
銃を構えていた娘は、響子を見るなり鋭い眼光と共に銃口をも向けて来る。
「また新しい鬼…!?」
「ちょちょちょ…!? ちょっと! そんな物騒な物向けないでよ!」
まさか本物ではあるまいが、碌でもない物が飛び出してくるのは間違いなさそうだ。
――だが、響子と銃を構えた娘…晴香のやり取りを全く意に介していないのか、弥生はそちらへ一切気を向ける事も
なく、青年…和樹の方へと、一歩近付いた。
「…以前、貴方が作ったという、『表紙フルカラー・84Pの大作・森川由綺と緒方理奈2大アイドルが監禁、陵辱で奴隷化、
しかもレズシーン有り』なる同人誌について、少々伺いたい事があります」
静かな、感情の存在を感じさせない声音。だが、和樹は、その冷たい声の中に激しい何かがあるのを感じ取っていた。
――はっきりと。
「…当該の本、貴方が作ったという事で間違いありませんね?」
その迫力に和樹は思わず一歩後退ってしまったが、んぐ…と喉を鳴らしながらも、頷いて見せた。
「…た、確かにその本は、俺が作った物ですね…」
素直に認める和樹。他にも似た様な本を作っている、もっと酷い内容の物を描いている奴等もいる――という言い訳は
しなかった。
「う、訴え……ますか?」
「それは、私の判断する事ではありません」
弥生が、また一歩。
「只、知りたいのです。その同人誌、『表紙フルカラー・84Pの大作・森川由綺と緒方理奈2大アイドルが監禁、陵辱で
奴隷化、しかもレズシーン有り』を制作していた時――」
「あ、あまり連呼しないで…」
しげしげと、事の行く末を見つめている他の人々、それも、女性陣の視線が痛い。特に、この森川由綺のマネージャー
の物は…
「…『表紙フルカラー・84Pの大作・森川由綺と緒方理奈2大アイドルが監禁、陵辱で奴隷化、しかもレズシーン有り』を
制作していた時――」
だが、弥生は、和樹の訴えを完全に無視して再度言い放つ。
「………貴方の中にあった、森川への気持ちを教えて下さい」
「は……?」
「その時、貴方の中には何がありましたか? ――情欲ですか? 邪念…或いは、悪意ですか?」
和樹は首を傾げたが、弥生の眼差は冷たいながら、どこまでも真摯だった。
「……か、“監禁”とか“陵辱”とか“奴隷化”っていう題名だか内容自体、邪念だらけというか…」
この場で只一人の逃げ手である少女…岡田が、ちょっぴり顔を赤らめながらポツリと呟く。
「ん〜、どっちかって言うと、悪意じゃない?」
「や、情欲だろ、寧ろ」
続けて、岡田を他の鬼達から護る様にして立つ二人…志保と浩之がそう口にした。
「――違う!!」
ギャラリー達の物言いに、和樹は鋭く叫び返していた。
「…確かに情欲はあった。無いと言ったら嘘になるし。それが邪念や悪意と見られる事だってあるとは覚悟していた。
――でも! …一番大きかったのは、『萌え』…なんです!」
「…“萌え”……ですか?」
「そう、『萌え』です。…情欲だけでは良い物は作れない。悪意とかは以ての外……一番大切なのは『萌え』なんです!
トップアイドルが理不尽な欲望達の前に為す術もなく穢されてゆく……綺麗な物、美しい物を汚してしまいたいという
情念――それは、『萌え』に繋がるんです!」
「…只、背徳感を煽る様な性描写を描き連ねただけなのでは?」
「うぐ…――そ、それは、結果的にそうなってしまったというか」
…本来ならば例の本、アイドル萌え本(ちょっとお色気アリ)として完成するはずだったのだ。実際、ほぼ完成しており、
仲間内からも高い評価を得ていた。――が、「こんなのダメダメ! 売れないとダメなんだからぁ!」…と、某同人女王に
その原稿を没収されてしまったのだ。
そして、結局ゼロからの作り直しで修羅場をも乗り切ってしまった為に、トンデモない物が出来上がってしまったという、
何とも皮肉な話…
あの時の達成感が、こんな形で災厄として巡って来るとは。これこそ正に因果応報…或いは、人間万事塞翁が馬と
でも言うべき事なのか。
「……………何れにせよ、貴方は“ギルティ(有罪)”…。覚悟は…宜しいですか?」
「わ…!? わわっ…! ちょ、ちょっと待って…!!」
弥生が手を伸ばし、和樹へ更に詰め寄った。
――その時である。
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