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改訂版投下用スレッド

79(マンイーター水瀬名雪・リローデッド改訂版):2003/06/22(日) 22:24
「な、七瀬君?」
「お兄ちゃん?」
ごつん、という鈍い音に気がついた美咲とさおりがそちらを見る。
すると、彰が後頭部を抑えて蹲っていた。
「〜〜〜ーーーッ…!!」
痛くて声にならないらしい。
「大丈夫?」
二人が駆け寄ってそう訊ねる。
「ッ〜〜〜…ーー…だ、大丈夫だよ美咲さん…」
彰は親指をぐっと立て、起き上がる。
「それにしても…やっぱり起きない…」
後頭部をさすりながら、彰はまた一つ溜め息をついた。
その時、名雪が一つ寝返りを打ち、壁際のバケツのあたりで仰向けに転がった。
「うにゅ…」
すると名雪が何かに反応した。
ん、と美咲は目を凝らす。
よく見ると、天井から水が滴り落ちていた。雨漏りだ。雨漏りの雫が名雪の顔に落ちている。
そしてその雫が名雪の右目に落ちた。
「……冷たい…」
名雪は目をしばたたくと、むっくりと起き上がった。
これまでの苦労はなんだったんだ、と言うくらいあっさりと起き上がった。

「ごめんなさい、理緒ちゃん! 本当にごめんなさい!」
名雪は事の顛末を聞いて、理緒に素直に謝った。ぺこぺこ頭を下げて。
「い、いいって、そんなに謝らなくても…」
生来の人の良さから、理緒は軽く許す。
「七瀬さんもごめんなさい!」
「いや、いいって。このくらいなんでもないから」
まだ後頭部は痛かったが、本気ですまなさそうにしている名雪を見て、彰も笑って許すことにした。
「お詫びに御飯はわたしがつくりますから!」
台所に立とうとした美咲に変わって、名雪が包丁を握る。
その手さばきは、ねぼすけな先ほどとはうって変わって鮮やかなものだった。
そして実際出来た料理は、とても美味しかった。
さすが料理上手の主婦、水瀬秋子の娘である。
「それじゃあ朝ご飯も食べた事だし、雨漏りをどうにかしようか」
彰は濡れた天井を見上げ、立ち上がった。


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