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改訂版投下用スレッド

63鬼と力と情報と:2003/04/19(土) 02:07
 ガチャッと表口が開く音と、ドタドタとした足音に、耕一達は反応する。
「え、なに?」
「鬼だ、逃げるぞ!!」
 はたして、表玄関からのほうから鬼の男が一人現れた。あまり敏捷な動きではない。
(これなら逃げられる!)
 そう確認する余裕が耕一にはあった。瑞穂はすでに裏口の方に向かっている。
だが、
「残念だったね!」
「えっ!?」
 時間差をつけて今度は裏口から眼鏡をかけた男が飛び込んでくる。裏口の扉に手をかけようとしていた瑞穂がこれに反応できるはずも無く、あっさりとタッチされた。
(誘導された!?)
 耕一は歯噛みした。だが、まだ逃走経路はある。窓だ。
 裏口から来た鬼は、瑞穂が邪魔になってスタートダッシュが遅れている。これならば逃げ切れる。瑞穂ちゃんには悪いけれど―――
 だが、耕一が窓を開け放った瞬間、最初に来た男が叫んだ。
「南側、奥の窓だ!!」
「応!!」
 それに応じて、もう一人の鬼が、上から飛び降りてきて、耕一の前に立ちふさがった。
「な!?」
 耕一が驚愕する間に、鬼達は完全に獲物を包囲した。

 表玄関からきた月島に注意をひきつけておいて、裏口に誘導し、時間差をつけて久瀬がそちらからも襲撃する。
 さらに、月島は相手がとろうとしている逃走経路を確認して、どの窓にも一瞬で移動できる場所―――屋根の上だ―――に配置されているオボロにそれを告げる。
 それが久瀬の立てた作戦であった。
「嘘だろ……ここまでかよ」
 相手の男は観念したようだ。
 久瀬達が知るはずも無いが、狩猟者には一つ大きな弱点がある。その力を完全に解放するためには少し時間をかける必要があるのだ。
今回、その時間が与えなれないのは火を見るより明らかだろう。
 これで捕物は終わり。そのはずだった。だが、久瀬の作戦にはミスがあった。

 バアンッ

爆音が鳴り響き、水しぶきと共に地面が爆発する。
「な、なに!」
 一瞬、注意がそれる。そして―――
「し、しまった!?」
 オボロが叫んだ。隙をつかれて、獲物がオボロの脇をすりぬけ外に向かって駆け出したのだ。
「オボロ君追え!!タッチしろ!」
 久瀬の叫びに応じて、オボロも飛び出す。
「耕一さん頑張って!!」
 その瑞穂の声に、一瞬、久瀬の注意が向けられる。
(耕一―――その名前どこかで……)
 そう、それは確か、昨夜の屋台で―――


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