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改訂版投下用スレッド
52
:
クライム・ザ・ラダー/サウンド・ザ・ボイス(アナザー)
:2003/04/14(月) 01:20
「――ウルトリィ」
「ええ。聞こえました」
「にゃー、びっくりしましたです」
「……まだ上にいるみたいだな」
「二手に別れているのかも知れません。ここで相手方に合わせてみすみす見逃してはいけませ
んし……とにかくこの階を調べましょう」
「――くそっ」
国崎は扉を一瞥し、そして彼女達に加わって部屋を改めていった。
にわかに階下から音が響く。
「――まずいな。今のまいしすたーの咆哮に反応したということは」
「案外すぐ下かもしれない」
クロウが続ける。
慌てる瑞希。
郁美が別の問題に気付いた。
「太志さん……梯子、届きそうにないですよ?」
見ると、梯子はちょうど真正面――2m向こう側の壁にくっついている。ようやく気付いたのか、瑞希はやっと驚いた。
「うむ、分かっている。こういう時は――」
そう言って太志はいきなり助走を付け始めた。
「え? え? ちょ、まさかアンタ」
「そう!」
たたたたっ。
すばっ。
――がしゃーん。
「こうするのだッ!」
「出来るか!!!!」
2mの大跳躍を経、梯子にしがみつきながら器用にガッツポーズをとる太志。
瑞希が音速でツッコんだ。
太志の右手からボールペンが落ちたのには気付かない。
横で郁美が困惑する。んな離れ業一般人でも出来るわけ無いのだから当然だろう――
と、クロウが彼女に背中を差し出した。
乗れ、ということらしい。
「え? ……でも」
「なぁに、太志の旦那だって出来たんだ。大丈夫」
巨体に似合わずウインクなどかますクロウ。
ややあって郁美は決心した。
「ウッし、じゃ行くぜ!」
クロウは立ち上がり、ほとんどノーモーションで飛翔した。
がっしゃーんと一際おおきな音を立て見事着地する。
郁美は目を開けた。
「わっ……クロウさんすごいです!」
「何、お安い御用さ」
もう瑞希はたまったもんじゃない。ガクガクプルプルしつつその様子を見ていた。
「(やはり、か)」
瑞希から下方に目線を逸らし、太志は呟いた。
その数瞬後、三度大志は梯子の衝撃を感じた。
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