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改訂版投下用スレッド

51クライム・ザ・ラダー/サウンド・ザ・ボイス(アナザー):2003/04/14(月) 01:20


 4F階段のすぐ傍に四人は待機している。郁美が階下の様子を窺おうとしたが、鬼達の姿はお
ろか声すら届かなかった。
「どうだ、郁美嬢?」
「全然だめです」
「ふむ…」
「ちょっと、どうするのよ太志!?」
「まあまあ、ちょっと落ち着きましょうや」
 廊下の物品を弄繰り回したり、部屋に入って様子を窺っている太志と対照的に、全然落ち着か
ない瑞希。それをクロウがたしなめる。
「……」
 実は太志、ある方法を思いついていた。よく映画などでも襲撃から脱出するために使われてい
るあれ。実際この場合でも方法次第によっては有効であろう。
 彼はエレベーターの扉を見やった。
「――同志クロウ。ちょっといいか?」
「あん?」


 ちょうどそのころ。
 国崎もまた、3Fエレベーターの前に立っていた。
「どうしたのですか?」
 2F同様この階もあらかた調べ尽くして、手持ち無沙汰になったウルトリィが国崎に尋ねる。
 国崎は扉に手をついた。
「これが何だか分かるか?」
「扉――ですか。そういえば先ほどもこのようなものがありましたが」
「エレベーターだ。この扉の向こうがわに人間を乗せられるだけの巨大な箱が吊るされてある。
そいつが動いて上の階に人間を運ぶ」
「エレベーター、ですか……」
 さきほど獲物がどこへ行ったのかいまいち理解しかねていたウルトリィ、なるほどと得心する。
「というと、これを使われる心配が」
「一番下の階にムリヤリ止めてあるから大丈夫だ。――ただ」
 国崎は扉を指差した。
「向こう側に最上階まで続く竪穴がある」


「ふんっ……!!!」
 ギギギギギという重たげな音とともに、4Fエレベーターの扉が開いてゆく。機械の力を使わな
いそれは普段よりも重そうに見えた。
「気を付けろ同志クロウ。向こうは穴だ。落ちたらシャレにならん」
 後ろ側から声を掛ける太志。様子を心配している郁美と瑞希。
 やがて完全にドアが開き、そこには暗い空間が広がっていた。
「うわぁ……」
「へえー…こんなふうになってたのね」
 普通はエレベーター内部を見る機会などないだろう。二人は素直に感嘆した。が、ふとした勢
いで瑞希は見てはいけないものを見てしまった。
「……ず、ずいぶんとまた高いわね……」
「だからあれほど言っただろうが」
 やれやれといった感じで太志は嘆いた。
「しょ、しょーがないでしょ!」
 瑞希の罵声があたりに響いた。


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