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改訂版投下用スレッド
42
:
名無しさんだよもん
:2003/04/06(日) 14:02
小ネタ。ごめんなさい、ちょっと借ります。雪ちゃんがいるのは気にしないでくれ。やっぱりこのコンビの方がやりやすい。
川名みさきが、鼻をひくつかせた。
そのままふら〜〜と、夢遊病患者のようにおぼつかない足取りで歩き始める。
「ちょっとみさき、どこ行くの」
「カレー……」
「は?」
「カレーの匂いがするんだよ……」
「ちょ、ちょっと待ちなさいっ!」
懲りる、ということを知らない親友の食欲一直線な行動を、雪見が羽交い占めして食い止める。
「うー、カレー、カレー」
「あんたはどこかのネコ好きかっ! そのうちPT名雪とか呼ばれるわよっ!」
「おかしいよ、雪ちゃん。だってカレーなんだよ」
「あんたのほうがおかしいわっ!」
雪ちゃんぶちきれすぎ。
もっともカレートラップがある度に引っかかり、その都度穴から引っ張り出したり、
木の上から救出したりとさんざん苦労をかけられている身となれば、いい加減切れてもおかしくない。
だが。
「カレー……」
ずりずりずりずり。
「なっ、なんとぉーっ!?」
カレーの匂いを嗅いだみさき先輩は、天下無敵だった。
「カレーっ♪ カレーっ♪ しかもこの匂いはカツカレーだよ♪」
「わかるんかいっ!」
つっこむ間にも、みさきは着実にカレーへと近づく。否、カツカレーへと。
満身の力を込めて食い止めようとする雪見を笑顔で引きずり、羽交い締めを腕力のみでじりじりと返し、カレー皿へと手を伸ばす。
「みさきいいいいいいいっ」
「カレーぇぇぇぇぇぇっ♪」
雪見の絶叫も空しく、みさきの手は、カレーに届いてしまった。
地雷というものは、踏んで、足を放せば爆発するできている。と、昔聞いた。
そしてこの地雷の上にはカレー皿が乗せられており、それがみさきによって持ち上げられた瞬間。
カチリ。
「あ……」
「いただきまー……♪」
閃光が走った。
真っ白な光が島の中央から天を貫くほどに吹き上がる。
閃光と地鳴りと呼ばれた雷鳴とが、天を揺るがし地を揺るがし、轟音と共に島を引き裂いてゆく。
「なっ、なんだ!?」「火山の噴火かっ!」「うわああああっ!」「逃げろーーーっ!」「山神様のお怒りじゃあっ!」
その光は、島中の至る所から目撃された。
遠く離れた場所から、その光景がいつか起こることを予期していた2人にも。
「例のトラップが発動してしまったようだな、北者」
「うむ、ちょっと火薬の量が多すぎたような気もするな、住者」
「ところでそろそろ逃げた方がいいと思うんだが」
「はっはっは。あれをしかけた本人ならば、その威力も知っていよう」
「そうだな。逃げることなど不可能か。あっはっは」
その笑い声も、光の中に飲み込まれてゆく。
圧倒的な光と炎と黒煙との乱舞が爆散した。
――まるで、巨大な鉈でたち割ったようなその光景。
無惨な切り口を晒しながらも、島はかろうじて、かつての原形をとどめていた。
だが今日からは、甲乙、αβなどと、左右で呼び分けないといけないが。
その島の中央。片側が断崖絶壁となった荒野のど真ん中で。
「何が起こったんだろう……」
みさきはカレー皿を手に突っ立っていた。
顔はすすだらけ、髪はちょっと焦げてちりちりになってるが、元気そうだ。
奇跡的にというか、レンジの中から取りだした完成品の如く、カツカレーには埃一つついてない。
「……雪ちゃん? どこ?」
あんたの足元で黒こげになって倒れてます。
そしてみさきには読めないが、『こうなるって分かっていたのよ』とダイイングメッセージが書かれていた。
「うーん……いただきまーす♪」
見あたらない親友より、目の前のカレーの方が気になったらしい。
みさきはいつも通りの旺盛な食欲で、幸せそうに、おいしそうに、カツカレーを口に運ぶ。
「おいしい♪ おいしい♪」
作った料理人もこれだけ喜ばれれば満足だろう。無事かどうかは知らないが。
瞬く間にカレー皿は空になった。
「おいしかったんだよ♪」
が、すぐに物足りなさそうな表情で、
「おかわり……」
と皿を差し出したが、受け取ってくれる人は誰もいなかった。
【みさき 満足。やや不満足】
【雪ちゃん 黒こげ】
【参加メンバー 死屍累々】
【島 真っ二つ】
【続き ない】
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