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改訂版投下用スレッド
37
:
誤解、再び
:2003/04/03(木) 15:25
「……藤井さん」
「はい?」
冬弥は第一声が由綺ではなく自分にかけられたことに驚いた。が、
「…私、あなたのこと…本当は愛していたのですよ……本気で…」
「「「「「………………え?」」」」」
弥生の唇から紡ぎだされる予想外の台詞に、四人が四人とも凍りつく。
「…ま、ま、待ってくださいっ! 俺、弥生さんシナリオに入った覚えはこれっぽっちも…」
修行の成果か、いつにない立ち直りをみせる冬弥だったが、
「……冬弥君?」
背後から聞こえるのは抑揚のない、由綺の声。
ざぁ、と血の気が滝のように引く音を彼は確かに聞いた。
脳裏には、あの『お仕置き』の情景が浮かんでいるに違いない。
「『…俺だって、同じくらい愛してましたよ…。弥生さんのこと…』といってくれたのは嘘だったんですか?
事あるごとに身体を重ねあったあの日々も?」
台詞とは裏腹に、あくまで冷徹に、揺ぎ無く。しかし、確実に冬弥の『死刑執行文』を読み上げる、弥生。
冬弥の旗色はこの上なく悪かった。
「ふ、ふふふっ……そうだよね。メインヒロインっていっても、私のシナリオでない限り結局、噛ませ犬。
恋人を裏切る葛藤とドロドロした人間関係を楽しむのがWAの醍醐味だし、浮気されてもニコっと笑って、
罵声をあげたり泣き出したりしないで身を引く、都合のいい女だもんね。製作者からして元々浮気ゲーだった
とかいってるくらいだし……浮気のひとつやふたつくらい…………ふふふふふふふふふふっ」
やや壊れ気味の由綺。
震えている七海を横目に、由綺はシェパードの頭を撫でながら首輪を外した。そして、
「……GO」
――――刑の執行が告げられた。
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