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改訂版投下用スレッド

275DreamPower:2004/05/18(火) 21:55
 オーシーツクツク……オーシーツクツク……オーシーツクツク……

「……ツクツクボウシか」

 静寂を取り戻した森の奥。大きな岩に背を預け、虫の音に耳を傾けるDの姿が、そこにあった。
 
 ……原因不明の体調不良により、気付いたら瀕死状態。さらにそこで相手が子供とはいえ追撃戦をぶちかまし、少なからずの術を使ってさらに消耗してしまった彼。
 表示値では変数の都合で未だ1のままではあるが、実質的な体力はすでに真分数の域にまで達している。
 端的に言って、大神ウィツァルネミテアことD、ドぴんちである。
「……生きて帰れるのだろうか……」
 ボソリと、不吉なことも言ってしまう。だいぶ不安になってきた。
 すでに己が身体と付近一帯は深紅の血の海に沈み、深緑の森の中で異種独特の色彩を放っている。
 幸い大神は血の気も多いのか出血多量で死ぬこたなかったが、もはや動けるほどの体力は残っていない。
 暇で暇で仕方がない。岩切も先ほど出発したばかりだし、まさか半時で終わるほど楽な仕事でもないだろう。
「………………」
 話し相手も、やることもない。

 オーシーツクツク……オーシーツクツク……オーシーツクツク……

「………………」
 聞こえる音は、己の息づかい以外は虫の声のみ。……淋しい。そして、ちょっと怖い。
「よもや野犬の類は出ないと思うが……」
 今来られたらだいぶピンチである。正直言って負ける可能性も高い。
 いや、野犬ならずとも肉食系の動物全般が……蟲ですら集団で来られたら危険かもしれん。
「…………いやいやいや。考えすぎだ、我」
 頭の中に浮かんだB級スプラッタなシーンを慌てて打ち消す。
「……何とかならんものか……」
 見上げた空の青さがいやに目に痛かった。


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