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改訂版投下用スレッド
268
:
線が交わる時
:2004/05/15(土) 04:57
「アルちゃん……ひょっとしてカミュち〜探すのは忘れちゃった……?
というか、みなさん、無理しないでくださ〜い!!」
なんとかムックルから振り落とされないよう頑張るユズハの、その叫び声を無視して。
その同時刻。同じ街の外れにて。
「ハクオロさ〜ん! 待ってください、速いですよ〜!」
「ハハハ、だらしないぞエルルゥ。それでは私は捕まえられないぞ?」
「あ、言いましたね! ん、もう! 絶対捕まえちゃいますから!」
「ほう、なら私も頑張って逃げなくてはな!」
―――なんて、ハクオロとエルルゥの実にのどかな追いかけっこが続いていた。
(ハハ、こういうのもいいものだな)
走りながら、ハクオロは思う。
意識していたわけではないのだが、今思えばハクオロは、美凪達と行動している間ある程度彼女達に対して責任を感じてきた。
無論、それが重荷だと思ったわけではない。だが、自分のことを一番に考えなかったのも事実だった。
そして、今ハクオロは美凪達と別れ、陽光の下エルルゥと追いかけっこをしている。
なんのしがらみも危険も無い、ただの追いかけっこ。
槍衾の間を縫うわけでもなく、矢の雨の中を駆け抜けているわけでもない。
ただの、純粋な追いかけっこだ。
―――それが、こんなに愉快だなんて。
今残っている5人の逃げ手の中で、最も優勝にこだわっていない者はおそらくハクオロだろう。
彼が願う幸せは、今、この瞬間にあるのだから。
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