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改訂版投下用スレッド

267線が交わる時:2004/05/15(土) 04:56
 だけど―――楓は負けたくなかった。
どうしても負けたくはなかった。
 今残っている5人の逃げ手の中で、最も優勝を意識している者はおそらく楓だろう。
 楓は優勝したかった。
 優勝して、耕一を手に入れたかった。

 ―――いや、本当は分かっているのだ。
こんな鬼ごっこに優勝したところで、耕一を手に入れることなんてできないってことぐらい。
初音と一方的にかわした賭けが、何の効力も持たないってことぐらい。

(でも……私が優勝したら、きっと耕一さん、褒めてくれる。よくやったって、笑って頭を撫でてくれる)
 走りながら、楓は想い人の顔を思い浮かべる。
(―――そうしたら、その時にはきっと私も自然に笑える)
 いつもは引っ込み思案で、耕一となかなか話す機会も持てなくて、自然に耕一と話せる千鶴達に嫉妬してしまう楓だけど。

(でも、私が優勝したら、きっと耕一さんは私に笑ってくれて、私も笑い返せるよね……)

 そう思ったから、楓は必死に走り続け、それにつられるようにして、

「速い……!! 流石にここまで残った逃げ手だな……!」
 楓を追う光岡の目は鋭さを増し、
「勝つ……この強敵を倒せたのならば、この俺もユズハさんや蝉丸にさんに胸を晴れる!! 必ず勝つ!!」
「ん〜〜!! 勝つのはアルルゥ達!」
 このチェイスの熱はさらに増し続けた。


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