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改訂版投下用スレッド

266線が交わる時:2004/05/15(土) 04:55
 背後から伸ばされたタッチの手を、楓はほとんど直感で横に跳び、回避した。
 チ―――という、光岡の軽い舌打ちの音が風を切って聞こえてくる。

 それに構わず、楓は再度跳ぶ。その一瞬後、楓のいたところをムックルが通り過ぎていった。

「ん〜〜!」
 ムックルの上にのるアルルゥが残念そうな声を上げ、無理なタッチに挑み体勢を崩した光岡の方に向かって叫んだ。 
「悟! もっとがんばる!!」
「心得ている! ユズハさん! この光岡の活躍、見守りください!!」
「いえ……あの、見えないのですが……」
 激しい運動を繰り返すムックルに必死でつかまりながら、ボソっとユズハは呟いた。

 対する楓は、光岡達の声を聞き流しながら、少しでも距離を開けようと走る。
「はぁ―――はぁ―――はぁ」
 その息は荒い。普段無表情なその顔も、今は苦しげに歪んでいた。
(やっぱり、体力の差が出てるね……)
 苦々しくそう思う。
光岡達は途中参加。やはり余力という点では彼らに分がある。
 
「ぬぉぉぉっ! ユズハさんに見とれている内に距離が開いているだと!?」
「悟、ムックル、ふぁいと! 絶対逃がしちゃダメ!」 
「あの……アルちゃん……何か目的がすりかわっているのはユズハの気のせい……?」

 そんな漫才をかます余裕があるのだから。
 そんな漫才をかましながら、それでも楓が必死に開けた距離を詰めてくるのだから。


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