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改訂版投下用スレッド
260
:
自分の力で
:2004/05/05(水) 23:41
「いえ……あの量はわたしも退いちゃったんですけど……」
辛うじて飲まされることを免れた郁美が引きつった笑みを浮かべる。
「でも、カルラおねーちゃん。あんなにたくさんのおさけ、どこにもってるの?」
「フフ……さいか。大人の女には秘密が多いの」
さいかの問いにカルラは嫣然と答えると、皐月の方をむいた。
「それでは、私達の御代はこの酒瓶に致しますわ。少し強いものですが、それなりによいものでしてよ?
あの二人には何か軽いものでも差し上げてくださいな」
「OK、分かったわ。そうね、御粥でも作ってあげようかな」
皐月はうなずくと、室内のキッチンの方へ入っていった。
(んに……屋台じゃなかったよ……)
物陰から皐月達の方をうかがうみちるは、がっくりと肩を落とした。
レーダーに12つの光点が光ったときには、みちるは大分期待していた。
鬼がこんなにも大人数集まるなんて、屋台ぐらいしかないとみちるは思ったからだ。
実際、他になにがるというのか?
逃げ手を見つけたいのなら、こんなふうに固まっていたってどうしようもないはずじゃないのか。
みちるは、漠然とそう考がえていたが、結局これははずれいていた。
みちるは残ったわずか5人の逃げ手の一人。いわば、このゲームの渦中にいる存在。
故に、まさか半ば鬼ごっこをリタイヤして、別の楽しみをしている者がいることなど思いつきもしなかったのだ。
(と、とにかく、離れなくちゃ……)
こんなおいしそうな匂いを間近に嗅がされて、そして美味しい、美味い、なんて言葉を聞かされて、
みちるの空腹は耐えがたくなってきている。
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