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改訂版投下用スレッド
256
:
自分の力で
:2004/05/05(水) 23:38
―――と、不意にいい匂いが漂ってきた。
「……んに?」
パッとみちるは顔を上げ、鼻をひくつかせる。
日本人の食欲を刺激する、お味噌汁の匂いだ。それも極上の。
「だ、ダメだぞ……!」
フラフラっとそちらに足が向きそうになって、慌ててみちるは首を振った。
「鬼がごはんをたべてるかもしれないんだから……!」
だが、もう一つの可能性もみちるは思いついてしまった。
(ひょっとして、屋台があるのかも……!)
もしそうならば食事ができる。ふところにはわずかだが、美凪から貰ったお小遣いがあるのだ。
―――しばらく迷った後、
「だ、大丈夫だぞ! レーダーもあるんだし!」
みちるは結局誘惑に負け、匂いのするほうへ歩き始めた。
鬼となってしまった者達の中には、逃げ手を捕まえることに固執せずに、別の楽しみ方を見つけた者も結構いる。
皐月、サクヤ、夕奈の三人も、そんな者達だった。
超ダンジョンでサクヤが見つけた豊富な食材をもとにレストランを開く。
サクヤの提案ではじまった、そんなレストランは三日目終了時に既に5人の客を迎え、
そして、四日目では午後になってようやく二人の客を迎えていた。
「うまい……! これはうまいぞぉぉぉぉっ!!」
「みゅ〜♪」
ペンションの庭先のテーブルで上機嫌な声を上げる高槻と繭に、フフンと皐月は鼻を鳴らした。
「ま、和食は専門外なんだけどね。口にあってもらってよかったわ」
食卓に並んだメニューは豚汁に煮魚。魚の方はサクヤが午前中に川で用意したものだ。
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