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改訂版投下用スレッド

255自分の力で:2004/05/05(水) 23:38
 鬼ごっこも四日目を迎え、日も頂点を過ぎて大分立つ頃。
残ったわずか5人の逃げ手の一人、みちるは手にしたレーダーを見てため息をついた。
「ふぅ……なんとかやりすごせたよ」
 レーダーの画面には、先ほどまで存在していた光点が消えていた。

 ふう、とみちるは再度ため息をついた。
 残った逃げ手は本当に少ないらしい。Dと別れてからそれほど時間もたっていないのに、
鬼の側をやり過ごしたのはこれで三回目である。
レーダーは強力な武器だが、それでも絶対ではない。有効範囲自体はそれほど広くはないのだ。
走力で勝る相手にレーダーの有効範囲外から視認されてしまえば、
自分にもはや成す術がないということはみちるにも分かっていたし、
だからみちるはレーダーだけに頼らず常に周囲に気を配り、
やむを得なく移動するときもまた、細心の注意を払って移動していた。
 そういう思慮深い行動の仕方は、ハクオロと共に行動することでいつの間にか身に付いたものであり、
その行動を支える忍耐力と精神力は、『自分の力で頑張る』という彼女なりの決意から来るものだ。
 その甲斐があってか、みちるは首尾よく鬼の魔の手をかわしていた。
 少なくとも今までは。

 だが―――思慮深さや決意だけでは抑えられないものもある。

「うに……お腹すいたよ……」
 お腹を押さえて、みつるはつぶやいた。
 思えば、今朝ホテルを出発するときに美凪達といっしょに朝食を食べて以来、みちるは何も食べていないのだ。
昨日の夜ハクオロが調達してきた食料も、その朝食時に使いきってしまった。
 平時であれば一食ぐらい抜かせなくもないが、ハクオロと別れて以来
ずっと気を張り詰めてきたために、空腹も疲労も耐えがたいものになっていた。


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