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改訂版投下用スレッド

23あなざー:2003/04/01(火) 02:33

 何をたかがアイス如きでというツッコミは無かった。栞が今見せている迫真の演技、一
度確定された死を待つ状況を経験した彼女の台詞は間違いなくその場にいる全員を呑み込
んでいた。
 そして寂しく笑う、過ぎ去ってしまった過去に対する微かな憧憬を込めた瞳をともなって。
「でもお姉ちゃんは酷いです。こんな甘い、人類の宝を食べきってしまった後、唐辛子な
んて辛い物を無理矢理私に吹っかけるんです。人類の敵を武器にする人なんて少し嫌いで
す」
(今この場にはお姉ちゃん達、同じ学校の男の人、祐一さん達がいます。手を組んでいる
という訳ではなさそうです。きっかけがあれば私を狙って取り合いが始まる。ふふ、私っ
たらまるでヒロインです)

 栞の漂わせている雰囲気に、取り囲む面々の間に軽い動揺が走る。しかし実の姉だけは
たじろぐ素振りすら見せない。
「そうね、でも全ては因果応報よ。あたしを生け贄にして、男の人を利用し財布を抜き取
り、利用しつくすだけしつくした後はあっさり別の男に乗り換える。全く、こんな悪女な
妹なんてあたしにはいないハズなんだけど」
 ガスマスク越しの眼光は鋭い。栞が逃げ出そうとする素振りを微塵にも見せれば直ちに
リアクションを起こすことは間違いない。
(やっぱりお姉ちゃんが最大の問題ですね……でもそろそろ頃合いです。成功する確率は
凄く低いですが、このまま何もしないでお姉ちゃんに捕まることだけは避けなければなり
ません。行きます、美坂栞一世一代の大勝負です)
「お姉ちゃん。お姉ちゃんがどんなに私のことを嫌いでも私はお姉ちゃんの事が大好きで
した。でも……」


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