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改訂版投下用スレッド

227背景〜Background〜:2004/04/18(日) 14:45
 木々の緑がついに切れ、晴れ晴れとした青空が頭上に広がる。昨日の雨が嘘のような、雲一つ無い晴天だった。足元のアスファルトは、ところどころ濡れて色が濃くなっている。
アスファルトに出来た水溜りが陽の光を跳ね返してキラキラ煌く。市街地ならではの雨上がりの光景だった。それはそれで、風情があるのかもしれない。虹が出ていれば完璧だったのだが。
 だが、少女――柏木楓にそれらを顧みる余裕は無かった。少しでも気を抜けば、後ろから追って来る鬼たちにあっという間に捕まってしまう。それだけは避けなければいけなかった。
 靴底に付いた泥が、アスファルトに擦れてキュッという嫌な音を立てる。それを聞き流しながら、楓はどう逃げるかを頭の中でシミュレートしていた。
 ――まず、大通りは絶対に避けなければいけない。左右に広い道は無駄にスペースを作るだけでなく、遮蔽物が無いため、
上空から追って来る二人の鬼――神奈とウルトリィに捕まる危険性が増大する。適度に狭く、かつ遮蔽物の多い場所が一番いい。森に戻ることが出来ればいいのだが、それを許してくれるほど後ろの鬼は甘くは無いだろう。
この市街地にそんな都合のいい場所があるだろうか。
 と、そこまで考えた時だった。楓の目にある物が止まった。
 それは、商店街の入り口のアーチ。
(あそこなら……)
 商店街ならいろいろな店がある。大体にして商店街と言うのは脇道が幾つかあるものだから、森ほどではないにしても複雑だ。それに上手い具合に屋根がついている。上空の鬼の飛行制限になるのではないか、と考える。
 楓はそう結論付けると、商店街に進路を変えた。


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