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改訂版投下用スレッド
225
:
士族の愛憎劇
:2004/04/18(日) 14:43
「貴殿には借りがありますからな――――それを返さずして貴殿を見逃せるほどこのゲンジマル、人は出来ておりませぬ!」
「そうだろうなゲンジマル。だが私とて約束があるのだ。ここで立ち止まるわけにはいかない。押し通らせてもらう。……幼女、降りろ」
構えは解かぬまま、背中のまいかにツッケンドンに告げた。
「え?」
「邪魔だ。その上少々危険なことになるかもしれん。離れて見ていろ」
「う、うん……」
幼女もこれには素直に頷き、最後にばしゃっと岩切の頭に水を被せるとすたっと地面に降り立ち、とてとてと近くの木陰へと避難し、ちょっと考えた後、再度岩切に近づき、脇に倒れているトウカの腕をずるずると引っ張り、改めて木陰に隠れた。
「面目ない……」
「さて、準備は整ったぞゲンジマル。私はいつでもいい」
「何から何まで痛み入る花枝殿。ではそろそろ始めるとしましょうか」
「…………」
「…………」
肌に刺さるほどの沈黙。そして緊張感。
「……ふむ、いざ太刀会うとなるとタイミングが取り辛いものだな」
「……同意ですな。某も今まで幾度となく闘いはくぐって参りましたが、何度経験してもこの瞬間は緊張しまする」
「……だが」
「この瞬間こそが」
「もっとも血沸き」
「肉踊る」
「楽しい」
「楽しい」
「楽しいぞこれは」
「然様、そして……」
『勝ってこそ、その悦びも至上のものとなる……』
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