したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

改訂版投下用スレッド

223士族の愛憎劇:2004/04/18(日) 14:42
 当然のごとくDの剣は空中に踊り、緩やかな放物線を描くと二人の脇の地面に突き刺さる。
「!?」
 刹那、トウカの動きが止まった。
 止まった。
 さらに一瞬。
「――――がッ!?」
 うめき声すら漏らさず、トウカが膝をついた。
 水月を押さえながら、その場に蹲る。
 それを見下ろす岩切、ポツリと漏らした。
「――すまんな」
 地面に突き刺さる剣を抜くと、鞘に収める。
「お前は武士。闘うのが仕事だ。だが――――と、幼女。もういいぞ。目を開け」
「……ふう」
 岩切の声に従い、それまで背中でぎゅっと固まっていたまいかが目を開く。と同時に、身体の緊張も解けた。
「……かったの?」
「まぁな。少々卑怯な手段ではあったが」
「……ひきょう?」
「……いや、私は兵士。勝つのが仕事。それだけだったな。それより、先を急ぐぞ。
 足止めがいたということは、やはりこの先に獲物がいるということだ。急げばまだ間に合うやも――――ッッッ!!?」
 言い終わらぬうちに、岩切の背筋にゾクリとした感触が走った。
 すぐさまその場を後ろに一歩下がる。
「……いわきりのおねぃちゃん!? いまの……」
「お前も感じたか……間違いない。誰かの間合いに入った――――だが、これは――――!」
 付近を、岩切のそれだけで人を殺せそうな程鋭い緊張感が包む。

 パン パン パン

 ……しかし、そんな研ぎ澄まされた空気はまるで無視。聞こえてきたのは、呑気な拍手の音だけだった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板