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改訂版投下用スレッド
221
:
士族の愛憎劇
:2004/04/18(日) 14:42
「…………」
しかし浩平について走り出したのは3人。唯一トウカだけは先程の位置に佇んだまま、道の後ろのほうを睨みつけている。
「どうしたトウカ! 追いかけるぞ!」
「いや、先に行かれよ浩平殿! 某はここに残る!」
急かす浩平の言葉を、トウカは一喝する。
「なんだ!?」
「確証は無い、が、おそらく、追っ手が来る! 某は其奴を押し止める! その間に、浩平殿!」
正直、浩平には追っ手の気配など皆目わからない。音も何もしないし、喧しい本人等をのぞけば当たりは静寂そのものだ。
しかし相手は歴戦の勇士、エヴェンクルガのトウカ。その実力は浩平も重々承知している。
ここは彼女の言う通りに任せることにした。
「わかった! とっ捕まえたらまた戻ってくる! それまでここで待ってろよ!」
「承知!」
――この少し前。浩平たちから若干離れた場所。
「おお、宮内の!」
「あ、岩切サン! それに……まいかちゃん!」
「おねぃちゃん!」
――正確に言えば、詩子と観鈴が別れた場所。少し前まで壮絶な喧騒が支配していた場所。
そこで、岩切とその背中の幼女、道の向こう側から走ってきたレミィは再開した。
「獲物は!?」
余計な口上は挟まず、用件だけを端的すぎるほどに吐き捨てる。
「途中ですれ違ったヨ!」
「そっちか!」
睨み付けるのはレミィが駆け下りてきた山道。
「Non! ケド、一人だけ! さっきスゴイ音がしたから、たぶんもうダメ!」
「ならば!」
二人の視線が揃ってもう一つの森の中の獣道に向けられる。
「あっちか!」
「ところでDは!?」
「死にかけだが元気だ! あっちで寝ている!」
叫びながら自分の後ろをクイッと指差す。
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