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改訂版投下用スレッド

213Donate/2:2004/01/20(火) 22:30
(よし、落ち着け。冷静になれ私。考えをまとめるんだ)
コホンと一つ咳払い。己の採るべき道を探る。
(まず私は鬼だ。逃げ手を捕まえること自体はなんら責められることではない。むしろ推奨されていることだ。
 何よりここで1点ゲットしておけば他の連中を大きく引き離せる。そこはオッケ)
そしてみちるの顔を見る。
(だが……空蝉の落胤。己が道を独りで行くことを望んだ、そしてあえて空蝉との袂を分ったこの少女。
 その心意気は見事なものだ。あえて独り艱難辛苦の道を行く。……ちっ、空蝉の、そしてこの小娘の気持ちがわかる己が恨めしい)
 以前の我なら……このような感情に惑わされることはなかっただろうに……)
頭を抱え、身をよじり、ムーンウォークっぽい動きで思い悩む。
(……そうか。なるほど、これが……)
初めての感じている感情。
(義理と人情の板ばさみというやつかッ……!)

「ガフッ……」

血反吐を吐きつつ、目を閉じ、さらに思い馳せる。
(ふ……空蝉よ。何やかんやと言いつつも、我らは似ているのかも知れんな。
我も彼の者を連れ、汝も此の者を連れ、共に戦った。
 ……ふ、そうだな。それも、悪くはあるまい。ここはひとつ、貴様に、昨日の礼をするのも……悪くはあるまい。
 貴様に直接礼を言うのはさすがに謀られるが……代わりに、この小娘へでも構うまい)

決意を固めると、ゆっくりと懐に手を入れる。
「……少女よ」
そして静かに、目の前の娘に語りかける。
「……我は汝がオロと慕う男の分身。ハクオロと呼ばれる彼の男は我が空蝉。確かに、双子のようなものだ……。
昨日は汝らには迷惑をかけたな。その代わりというわけではないが、ここで汝は特別に見逃してやろう。
ああそうだ。これを持て。どうせこのようなもの、今の我が持っていたとしても何の役にもたたん。
鬼と逃げ手の区別もつかん安物だが、汝が持てば多少は役にたつであろう。
 ふ……感謝される筋合いなどない。これは貴様への『侘び』でもある。
残念だが空蝉は汝との約束を果たせん。何故なら我が空蝉は我がこの手で捕まえてくれるからだ。!
 ククククク……だからその代わり、貴様は逃げろ。せいぜい長く、一秒でもな。
 空蝉をそれを望んでいるだろう……さあ、受け取れ! これが、我からの餞別だ!」


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