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改訂版投下用スレッド

212Donate:2004/01/20(火) 22:30
「なるほど……それで汝は己の力のみでこの鬼ごっこを生き抜こうと空蝉と袂を分ったというわけか……」
「ん……」
ちょっとシュンとしてしまうみちる。
十数分に及ぶ尋問も終了。昨日別れてから、己の空蝉に何があったのか。一通りのことは把握できた。
「ふぅ……つまり空蝉は未だ捕まっていないわけだな。やれやれ、まぁ奴のことだ。私以外にはそう簡単には捕まるまい」
危惧していたことは避けられた事実に一安心するディー。
「さてと……」
そこで何気に目線を目の前の少女に向けた。

「……しまった」

不意に、壮絶な後悔の念が彼を襲う。
「…………」
目の前にはしぼんでしまった少女が一人。
 ……『逃げ手』の少女が一人。
少女は上目遣いに何やら言いたげな態度でこちらを覗き込んでいる。
(聞かなければよかった……)
冷静になったところで後悔する。思い切り後悔する。ディーは、己の行動を、心の底から悔やんでいた。
(落ち着いてしまった……)
先ほどまでのノリと勢いに任せたまま、さっさととっ捕まえてしまえばよかった。
そうすりゃ1点ゲットで合計9点。先ほど出会った他の連中に対して頭一つ抜け出ることができる。
(空蝉がいないことで動揺してしまった……参ったな。どうするべきか。あ、いや何を迷うか私。本来我は鬼で此奴は逃げ手。
 問答無用に捕まえてしまってもなんら問題は……)
「…………」
チラリ、チラリとみちるはディーの顔を見やっている。
(………壱であり弐である、か……)
もし世に運命の女神という存在があるのならば、どうやら彼女は相当に意地が悪いらしい。
(何故だ。何故今更此奴を我が前に連れてきたのだ……)
対の存在。空蝉と、分身。図らずも、その連れる者たちもが対の形になっていた。
そして今、同じように別れ、バラバラになり、そしてその一片が目の前に現れた。現れてしまった。
(……似ているな)
捕まえることは躊躇われた。


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