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改訂版投下用スレッド

162恋慕の袋小路・改定版/10:2003/12/05(金) 03:17
「そこまでですよ、千鶴さん」
「秋子さん…」

それは、島に数多く配備された管理用HMの1機であった。
いつまでも戻ってこない千鶴が森の中を走り回っていた事に、当然、管理室の秋子は気付いていた。
のみならず、千鶴が前日に森を走り回っていた動きから、今の千鶴の動きを正確に予測していた。
そのため、本来性能で千鶴に圧倒的に劣るHMをまったく破損させずに割り込ませる事に成功したのだ。

「管理者でもある貴方が、これ以上点を取ってはいけませんよ、千鶴さん」

HMは秋子の声で喋り続ける。無論、管理室からの声を放送しているのであるが。

「けど、楓は私の耕一さんを!」
「耕一さんは姉さんのものではないです!」
「千鶴さん、それに、楓ちゃん」

激昂する千鶴と、珍しく大きな声を出した楓を、静かな、しかし威厳漂う声で秋子は制する。

「私には、どちらが耕一さんにふさわしいのか、わかりません。どうやら二人とも、愛の深さでは負けていないようだし」

黙って頷く二人。ぴったりとタイミングが揃っていた。

「だから、この鬼ごっこでハッキリさせましょう。どちらが、ふさわしいのか」
「ですよね!なら…」
「いえ、千鶴さんは帰ってきてください」
「でも、今…」
「直接戦え、とは言っていないでしょう?」

なおも言葉は紡がれ続けた。


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