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改訂版投下用スレッド

150奥義・フリオニール式戦闘術/6:2003/12/04(木) 13:04
「……やるねぇ、お嬢ちゃん……!」
「あなた……こそ……!」
 両側からの攻撃でド派手に飛び散った岩。その後に残ったのは、ムツミの眼前に迫った耕一の拳と、クロスさせた剣でそれを受け止めたムツミの姿だった。
「けど……ここは俺が……!」
 当然のごとく、空いた左手を繰り出す耕一。が、ムツミは一瞬で右腕の剣を真横に反らし、これも受け止めた。
 耕一の右手を止めている左腕の不可がさらに強まり、ムツミの表情が歪む。
「くっ……!」
「ふ、ふ、ふ……!」
 対照的に、耕一は不敵な笑みを漏らした。
「さて……力比べの体勢に……なった、わけだが……!」
「あなたは……なにもの……?」
「ふ……ふ……知りたい……かい……?」
「そうだね……ちょっと……気になる……かも……」
「そうかい……じゃあ、そうだね……」
 ぱ、と耕一の足下の水が跳ねた。巨木のような脚が、呻りをあげてムツミの身体に迫る。
「俺に捕まってくれたら教えてあげるよ! 手取り足取り身体にね!」
「じゃあ別にいいよ! お父様に訊くから!」
 ムツミもその場にバク転。とんぼを切って前蹴りを避ける。
「させるか!」
 一歩、歩を進め耕一は手を伸ばす。この体勢なら、間違いなく……
「……甘い」
 パチン――空中で逆さになった状態で、指をはじく。
 ぱっ!
「なっ!?」
 刹那、耕一の目に火花が散った。比喩表現ではなく、事実として、目の前に小さな炎が。
「火ィ!?」
「そう。じゃ、さよなら!」
 生物の本能。一瞬だけ動きが止まった耕一の身体。
 ムツミは踵を返すと、その股の間をスルリと通り抜けていった。そのまま下流へ向かい、まっすぐ飛ぶ。
「トンネル!? くっ、そうはいくか!」
 耕一も慌てて跳ぶと、それを追う。
 ――決着は近い。狩猟者の本能がそう告げていた。


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