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改訂版投下用スレッド

141チェインギャング:2003/11/21(金) 21:39
 あれからどこをどう歩いたのかはよく覚えていない。
 脚の続く限り森の中を走り続け、ようやく頭が体の疲労を聞き取ったころ、家々の建ち並ぶ区画へと出た。

「……………」

 やはり何を考えていたのかは覚えていない。いや、たぶん何も考えていなかったんだと思う。
 僕の足は勝手に、目の前の一際大きな建物に向かっていた。

 エレベーターはあったんだと思う。ていうか普通あるよね。あれだけ大きい建物なら。
 だけど僕は階段を一歩一歩上っていた。体は疲れてもう一歩も動きたくないはずだったけど、なぜか、僕はわざわざ階段を使っていた。

 階段を一番上に上にと上ることしばし。やがて上りの段差が消えるころ、踊り場が現れ、奥に鉄扉が見えた。
 試しに近づきノブをひねってみる。……ガチャリと重い手ごたえと共に、回転した。どうやら鍵は掛かっていないようだ。
 そのまま体全体で押すようにして扉を開き、僕は、屋上へと進み出た。

 青い。
 澄み渡りどこまでも広がる空が青かった。とてつもなく青かった。
 目が痛くなるくらいに。
 建物へと吹き込む風が頬を撫でる。扉を閉めると止まる。
 どうやらこのマンションは近隣一帯で一番高いようだ。見上げれば、半円形の青空が僕を包み込んでいる。

 ガシャン。

 屋上の周りにグルリと張り巡らされているフェンスに指を掛ける。
 住宅街とはいえ、少し離れれば延々と森が広がっているだけだ。見下ろす風景は軒並み深緑だった。


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