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改訂版投下用スレッド

138BATMAN/2:2003/11/19(水) 19:12
『朝はウルトにかしづいて、さっきは俺達の邪魔をしてみて、
 それが終わったら今度は、俺、か。この蝙蝠野郎が』

「蝙蝠野郎か……」
 何とはなしに、昨日、国崎に吐き捨てられた言葉を思い出す。
「……そうだよね……」
 無理もあるまい。自分でも言うのもなんだが、錯乱した己は何をしでかすかわからない。
 傍から見れば全く持ってその通り。昨日までの自分の行動は、ただの卑怯な蝙蝠野郎にしか見えないことだろう。
「……けどね……」
 確かに、童話にあるように蝙蝠という動物には卑怯なイメージが付きまとう。少なくとも、その名を聞いてプラスの印象を持つ者は少ないだろう。
「……けど、きっと蝙蝠は……」
 物語の中の蝙蝠。鳥と、獣との戦いの最中、両者の間を行き来した卑怯な動物……
「……きっと、寂しかったんじゃないかな……」
 ツッ……と閉じた瞳から、一筋の涙が流れた。

 シャクコポル族として、穴人として、蔑みの、嘲りの、罵りの対象として生きてきた自分に照らし合わせてみる。
「きっと蝙蝠は……ずっと鳥と獣の……どっちからも仲間外れにされて生きてきたんだ……
 戦争になって……戦いの中ならどっちからか認めてもらえるかと思って……でもやっぱり仲間とは見てもらえなくて……
 そして……そして戦争が終わって……結局どちらからも卑怯者と罵られて……」

 ……物語はそこで終わる。蝙蝠に一片の救いも残すことなく。

「きっと……蝙蝠が望んだのは……勝利や保身なんかじゃなく……彼が、彼が本当に欲しかったのは……」


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