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改訂版投下用スレッド

137BATMAN:2003/11/19(水) 19:11
 青々と茂った草花の頭を微風が撫で、通りすぎていく。
 澄み渡った空の中央には太陽が煌々と輝き、命あるものに恵みを与える。
 ここは島の高台、なだらかな丘陵地帯。緑色の絨毯のその真ん中で、彼、ハウエンクアは一人大地に寝そべっていた。

「ぼっくらはみんなー 生きているー……」
 その口元から、鼻歌のメロディが漏れ聞こえてくる。
「生きーているから 歌うんだー……」
 誰に聞かせるでもなく、風のタクトに合わせ、静かに歌う。
「ぼっくらはみんなー 生きているー……」
 思えば、この島に来て以来こんなに落ちついた気分になったのは初めてかもしれなかった。
「生きーているから 悲しーんだー……」
 ヒエンの目を盗み、参加を決意したはいいが始まっていきなり路頭に迷い、
「てーのひらを太陽に 透かしてみーれーばー」
 まなみに騙され鬼にされ、しかも穴底に引きずり込まれ、
「まーっかーにながーれるー 僕のちーしーおー」
 なんとか助かり、ホテルに着いてからは国崎たちの捕り物劇に巻きこまれ、
「まーっかーな秋にー 囲まれてーいるー」
 ゴタゴタの後、まるで某アルティメットなSS群における北川のような扱いの果てに叩き出されてしまった……

「……ちょっと違ったかな……?」
 歌を止めると、いったんよいしょと起き上がり、頭の後ろの手を組みなおしてもう一度寝転ぶ。

「……でもディーに会えたしな……」
 数少ない友人の一人に会え、その幸せそうな姿を確認することができた。確かに、これだけは喜ばしいことかもしれない。
 だが……
「……僕の居場所がなくなっちゃった……」
 それは、初恋が破れた瞬間でもあった。


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