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改訂版投下用スレッド

129セパレイト(5):2003/11/08(土) 21:48
 しばしの沈黙。
「それはつまり、私に一人で行け……ということか?」
「……そうなります。ここで私たちはお別れして、ハクオロさんはご自分の優勝を目指してひた走る、私たちは自分の力で鬼ごっこに挑戦する。
 ……このまま私たちがいれば足手まとい。そのうちハクオロさんに取り返しのつかないご迷惑をおかけしてしまうことになるかもしれません」
「それに、もしみちるたちが最後の三人になれても結局優勝できるのは一人なわけだしね」
 しかしハクオロが素直に首を縦に振るわけがない。
「そんなことは、そんなことはどうでもいい。お前たちのせいで私が鬼になろうとも、それがどれほどのことか。私たちが三人一緒にいることの方がはるかに尊い。違うか?」
「違いません。違いません。違いません。私も、できればそうしたいです。けれど……」
「……それでも、やっぱり、こうした方がいいと思うんだ。みちるたちは、ハクオロに優勝してほしいと思う。みちるたちは自分の力で鬼ごっこをするべきだと思う。
 だから、みちるたちは、ここで別れた方がいいと思う……んだ」
「馬鹿な!」
 ハクオロは声を荒げる。
「私がいいと言っているのだ! 私はお前たちを守りきってみせる。最後の、最期まで! 私の優勝を望んでくれるのなら、私たちが三人になったところで、そこでもう一度考えればいい問題だ!
 第一このゲームも最早終盤戦! 島にいる人間はほとんど鬼だ! お前たちだけで……逃げ切ることなど!
 お前たちは、お前たちがそんなことを気にする必要はない。私たちが別れる必要も理由も、ただの一つもないのだ!」
「……ありがとうございます。けど、やはり……」
「……これが、みちるたちの、わがままだから。最後のわがままだから」
「今までさんざんご迷惑おかけしてこんなことを言うのは失礼なことだとわかっています。しかし……けれど……」
「みちるたちの最後のわがまま、聞いてほしい」
 それだけ言うと二人は手を取りあい、草むらの奥、道も無いような森の中に消えようとした。
 だが、納得できないハクオロはその背中に追いすがる。
「待て! 待ってくれ美凪、みちる! 私は、私はお前たちを……」
「……ごめんなさい」


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