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改訂版投下用スレッド

126セパレイト:2003/11/08(土) 21:45
「……ねぇ、美凪……」
「……みちる?」
 ホテルの暗がりの中、みちるは美凪の耳元に囁く。
「……まだ寝てなかったの……?」
「んに……目が覚めた……」
 時刻は、ちょうど先ほどハクオロと美凪が見張りを交代したところだ。
 二人の背後ではソファに腰掛けたまま、トゥスクル皇が瞑想しているかのような静かな寝息を立てている。
 美凪の睡眠も十分とは言えず、頭にはうすぼんやりとした睡魔がこびり付いているが、我慢が効く程度だ。
 少なくとも、ほぼ不休で動いているハクオロに比べればはるかにマシなはずである。ここで弱音を吐くわけにはいかない。
 しかしそれにしても、みちるは今夜一晩はゆっくりと睡眠を取らせる予定だったのだが……
「……ダメですよ……寝ていなくては……。二日続けて動き回ったのです……みちるもだいぶ疲れているはず……」
「んん、それは平気」
 諭す美凪だが、みちるは首を横に振る。
 むしろ、幾分か真面目な顔に頬を引き締め、話を続けた。
「それより、美凪にちょっと話がある」
「お話……?」
「ん。みちる、ずっと思ってたんだけど……」



「ん?」
 場面は移って四日目午前。ホテルから離れ、わき道をひた走るハクオロ一行。
 みちるを小脇に抱え、美凪の手を引いてずっと走ってきたハクオロだが、その美凪が森の中途で不意に足を止めた。
「どうした美凪。まだ旅館からは十分離れきっていない。悪いが、休憩はもう少し先で……」
 しかし美凪はハクオロの言葉をさえぎり、ふるふると首を横に振る。
「ハクオロさん……」
 そして、静かに口を開くと、
「……このあたりでお別れしませんか……?」
 ……と言った。


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