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改訂版投下用スレッド
118
:
Shioly Brownie
:2003/11/06(木) 19:35
鶴来屋別館、参加者の間では通称『ホテル』と呼ばれている建物。
ギギィ……
と小さな軋みを立て、そこの厨房にある裏口が僅かに開かれた。
「…………よし、誰もいないみたいだ」
隙間から中を覗き込んだ住井が安全を確認する。
改めて扉は全開に開かれ、地雷原ズこと住井&北川、そして……
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「……栞ちゃん、大丈夫かい?」
……北川の背中でへばっている栞が現れた。
「なんとか……」
「ふぅ……さすがに飛んだり跳ねたり走ったりといった野蛮な行動は病弱可憐な薄幸の少女には重荷ですね……」
北川が冷凍庫から持ってきたシャーベットをつまんでひと段落。三人は厨房の中で小休憩をとっていた。
「ところで栞ちゃん、ホテルにいったい何があるっていうんだい?」
「ああ、まだ俺たち聞かせてもらってないな。ホテルで英語の翻訳ができるのか?」
訝しげな二人。栞の自信満々な態度とは裏腹に、ちっとも教えてくれないその『希望の芽』に興味津々のようだ。
「わかりませんか……?」
だが栞はトコトンもったいぶるつもりなのか、挑発的な上目遣いの目線を二人に送るだけで、答えようとはしない。
ただ、嬉々として唇を歪めるのみだ。
「まぁ楽しみにしていてください。すぐにわかりますよ」
休憩もそこそこに、二人は廊下を抜けてホールへと出た。
だいぶ日も高くなってきているのだが、まだ寝ているのか、それともどこかへ出かけているのか。近くに先行者たちの姿は見えない。建物内は静まり返ったままだ。
「……好都合です」
栞はそのままズカズカとホールの側面、カウンターの台の中に入ると、さらにその奥、従業員詰め所になっていると思しき部屋に繋がるドアノブに手をかけた。
ガチャガチャ、ガチャガチャ。
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