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改訂版投下用スレッド
106
:
ランカーズ
:2003/11/05(水) 13:59
Dだ。
「OK,結構釣ったみてぇだな。こりゃニジマス定食がよさそうだな。ちょっと待ってろ」
「Thanks♪」
湖畔の屋台。先ほどまでのピリピリした雰囲気とは打って変わり、今はぽややんとした空気が場を支配している。
「私は刺身定食を。御堂、貴様は何にする」
「……食欲なんてねぇよ」
「何か食わんと治る傷も治らなくなるぞ。仙命樹があるとはいえお前の体力そのものはお前の体が回復するしかないのだからな」
「ケッ、言われるまでもねぇ……カツ丼よこせ。あと、茶だ」
「わかった」
注文を受けたエビルが手際よく調理を済ませていく。
屋台には今、岩切、御堂、D一家がそれぞれ腰掛けており、各々が自分の料理を口に運んでいた。
「にしても……とんでもねぇガキだぜ」
先に出された茶を啜りながら御堂が毒づく。
「ヒトの顔に思いっきり水ぶっかけるとは……おかげでまだヒリヒリしやがる」
御堂の顔は包帯でグルグル巻きにされており、さらにその下は軟膏がコテコテに塗られてある。
火戦試挑躰としての体と引き換えに手に入れざるを得なかった致命的な弱点――水。
さしもの仙命樹も弱点を突かれてはお得意の治癒能力を見せ付けることもできず、結果御堂は顔の傷は自然に任せるより他になかった。
「ま、油断した俺が悪りィんだけどよ……」
もう一杯茶を啜りながら、言葉を続ける。
「とはいえ次はねぇぞ。所詮クソガキの賭けの一撃が偶然決まっただけだ。知ってりゃいくらでも対処のしようがある」
さすがに少し悔しいのか、言い訳という名の悪態をつく。
「なにかいった? お ぢ さ ん ?」
が、まいかは笑顔のまま立ち上がると、静かに手のひらを御堂に向けた。
「……やめろ。おっかねぇ真似をするな」
体半分ずり下がる御堂。
「負けは負けだ。素直に認めろ御堂。戦場ではその偶然の一撃が生死を分かつ境界線となる。お前とてそのぐらいはわかっているだろう」
岩切は醤油にわさびをあえつつ、彼女にしては珍しく優しく御堂を諭す。
「そりゃわかってるがな……」
わかっているが、認め難い。
蝉丸への羨望と同じく、御堂のこのあたりは己でも御しがたい心のロジックだった。
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