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改訂版投下用スレッド

103睦(6):2003/11/04(火) 13:52
 咆哮。耕一は大きく吼えると体の中から吹き出る鬼の力をすべて発現、最強の鬼へと姿を変え、弾丸のごとくカミュへと疾った。
「ちょ……! 耕一さん!?」
 いくら耕一自身にその気がなかろうとも、あの質量の物体が加速をつけてぶつかれば常人ではただではすまない。ましてや今回の相手は華奢な女の子。
 下手をすると怪我ではすまないかもしれない。それを警告しようとする瑞穂。
 だが、耕一はわかっていた。頭ではわからずとも、鬼の本能が叫んでいた。
 これでも足りない。これでやっとかもしれない。たとえ自分の力を全て尽くそうとも、目の前の存在……

 ……カミュではない誰か、に勝てる保障など、ない。

「おおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!」

 轟音を伴ってカミュが倒れていた地点へと耕一の一撃が決まる。
 水面が弾け、川底がえぐれる。巻き上がった土砂と水は崖を超えてぶちまけられた。
 思わず目を覆ってしまう瑞穂。だが、一瞬後目を開くとそこには耕一しかいなかった。
 先ほどまでへたれこんでいた少女は、どこにも……いや。
 
 耕一の背後、己のすぐ横に……佇んでいた。

「………でも、大丈夫?」
「任せて……。私も今までカミュが頑張っていた姿は見てきた。カミュと一緒にすごした人たちの姿を見てきた……その気持ちを無駄にはしない」
「う〜ん、いざ面と向かって言われるとちょっと恥ずかしいかも……」
「それに……カミュばっかり鬼ごっこを楽しんでるのはちょっとズルイい。今まではずっとカミュが出てたんだから、今度は私の番になってもいいかもしれない」
「うっ……そ、そりは……」
「……決定だね……。今度は私の鬼ごっこ……」

 あたりの状況などまるで気にしないかのように、ブツブツと独りで何やら言っている。

(ひょっとしてこの人も電波さん?)
 即座に彼女がそんな判断を下したのも、普段の環境があってものだろう。ちょっと気味悪いが、この手の人間は慣れている。
(と、とにかく、チャンス……そーっと後ろから近づいて、タ……)
 忍び足で歩み寄り、手を伸ばすが……


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