したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【セ】彼方への郷愁【銀剣のステラナイツ】

36宍戸 香音:2019/01/16(水) 23:41:34

アーセルトレイ上層部、遊園地跡地。
かつて家族や恋人たちで賑わっていたそこは、今やひっそりと静まり返る無人の廃墟である。
色褪せた塗装がところどころ剥がれ、錆の浮いた遊具は、どことなく不気味な印象を与えるだろう。

平日の昼間。宍戸香音は小さな花束を携え、この閑散とした遊園地跡を訪れていた。
学校は、病欠 (という名目のサボタージュ) 。自分の立てるもの以外は、風で遊具が僅かに軋む物音ばかり。
少し寂しいが、ひどく落ち着く。

中央広場の片隅。
いくつかの花束が供えられた所に、持ち込んだ花束をそっと置く。
時を経てもなお変わらぬ焦げた地面は、当時の惨劇をありありと思い出させる。

「この間、昔の友達に会って……少し、昔の話をして。」
「……いつもみたいに、あいつに纏わり付かれてさ……」

「……人と関わらないって、難しいね……なんて。」
「お父さんも、お母さんも、怒るよね……ごめんね……」

誰にともなく、ぽつりぽつりと呟く。
ここにいない誰かへの、一方的な言葉。
奥底に溜まりに溜まった―――弱音。

「でも、今更どうしようもないじゃん。酷いこと沢山言ったし……嫌なこと沢山してきたし……」
「どうすれば、良いのかな……どうすれば、良かったのかな……」

ここは、宍戸香音の両親が死んだ場所。
たまたま落ちているカバンを見つけた人が、係員に届けようと手を伸ばした場所。

―――それが、爆弾だとも知らぬまま。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板