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『ヒーローズ・アカデミー』
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時は20世紀後半。
後に黄金時代(ゴールデンエイジ)と呼ばれる、ヒーロー達の最盛期である。
挑む子らの学園。
それは世界最大のヒーロー組織ガーディアンズ・シックスが設立した、全寮制の学園である。
その設立理念は、次世代のヒーローの育成!
教師はヒーロー! 校長もヒーロー! 卒業生もまたヒーロー! まさにヒーローのための学園!
キミたちは、そこへの入学―――即ち、ヒーローを志す学生なのだ!
―――キミたちは、まだ知らない。
これからキミたちを待ち受ける、数奇な運命を。
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シーン1:ナイトサムライ
かつてキミの命を救った初代ナイトサムライが死んで、もう3ヶ月になる。
キミは今、彼と親しかったジャスティカ“スペクター”の下に身を寄せている。
ニュース『―――昨夜未明、ベイカーストリート2番通りの裏路地で発見された変死体について、続報が入りました。』
ニュース『コスチューム等のデザインから、被害者はヒーロー“ドラゴンナックル”の可能性が高く―――』
ここはスラム街の一角にある、スペクターのアジト。
キミは今、留守番を任されている。もうそろそろ帰ってくる頃だろう―――
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_ -==≦三 ̄∨
、 _..ィ `丶.ー 、`ヽミ:., `;|
_x≦ィi 、 ヽ. ヽ 、マ〈. 丶
\ //! ヾ マ :. ヽ :. :i i 丶
. /イ;リミ:.、 、. マ i :!:i !_! !、. ∨
}/|、tッ:} ヾ、i !| :!:! !ノノ:.ト、. ∨
|!、!:!、〈 `リヾ|i!;./! i! ヾトi
:i.ヽ - .。; !/ :!〕ト.、 リ | 「――――嫌なニュースが続くな」
_...-| ト-≦_ -i' ! | レ、!:ト、
. ,ィ _ >::i:ト!;、__ | : .; ' }ニム≧ 。
//ノニニニ|!リ :. ( ,!,!/ .j'ニニムニニ≧ 。
f´rト、ー 、ニニi! :、./ | /ニニニニ〈\ニニニY
|ノ:、ニ|ニ/≧、ニ! f .イニニニニr_二..ゝニム
. /ニニヾi/ニニニヾ! }o /ニアニニニ、ニiニニニニニム
/ニニニニニiニニニf`i! i /アー;ニニニニ、|ニニニニニニ∨
ノニニニニニニ|ニニニ:L.i! |o ,:ニニニニニニニニ≧、;ニニニニニ∨
fニニニ、ニニ/、ニニニニム ノ /ーッニニニニニニニニ;!ニニニニニニ!
iニニ\ニ>! .マニニヽ。ィニニニニニニニニニニニニ/^マニニニニニ|
マニニニニニi! |ニニニニニ|ニニニニニニニニニニニ./ マ〉--、ニニ、
. マニニニニニ|Ti./ニニニr--i-----;ニニニニニニ./ !'ニニニニニ:
/;マニニニニイニトニニニニ/ニト---'ニニニニニニ〈 ___ i/ニニニニニ:'
ヾ ̄二ニニニ/三kニニ、ニ!ニニニニニニニニニニ!fT| iニニニニニリ
. ヾ @ニニ.∥.、三k/  ̄ ̄ うニニニニニニニi | i:! .i>==、|!
ヾ.@ニ/。 ` 。三≧z≦ニニニニニニニニ! ! !|イニニニニニィ;'
寸/ニ≧ 。 ` - 。三三三三三ツム `テヽ、`ー'/| リ
f Tニニニニニ≧ 。 _ /7==<ニニニニ!/ /`.yヽ`ノ
. Tニニニニニニf=|从=- i _ ー.7 / :! ̄! /-./;'
|ニニニニニニL.._iニマ---'ニ≧=----|  ̄|_ ノ.ノ
|ニニニニニニニニ!ニ!ニニニニニニニニニニ |イ_/
|ニニニニニニニニ:!ニ:!ニニニニニニニニニニiー':::!
|ニニニニニニ!__:!ニ:| ̄ ̄マニニニニニニ:::::::::!
|ニニニニニニー|ニニ!ト--≦ニニニニニニム::::::::!
Lニニニニニニニ|ニニ!.!ニニニニニニニニニニム:::::::i
iニニニニニ=''ニニ! Lニニニニ==≦ニニ:!::::::::!
. !ニニニニニニニニi iニニニニニニニニニ:::::::::!
iニニニニニニニニ:!. キニニニニニニニニニ::::::::!
!ニニニニニニニ| ヤニニニニニニニニiマ::::::!
. iニニニニニニニノ、 マ、ニニニニニニニ!.マ::::i
ト≦ニニニニレ':! マ込ニニニ戈': :| ::::::!
マ : : : : : : : : :、 。: :  ̄ : : : : i :::::i!
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素振りの手を止め、汗を拭う。
実力不足のヒーローが狩られたか、あるいはヒーローを狩るヴィランの台頭か。
ヒーローの数は増えた。
自分が生まれたばかりのころよりも、ずっと増えたと聞く。
そして同時に、ヴィランも。
増え続けるヒーローとヴィランは、お互いにお互いを潰しあいながら今に至る。
その中で死に至る者もいる。
今報道されたヒーローや――――師匠のように。
「……よそう」
気が滅入ることばかりを考えていても仕方がない。
そろそろ帰ってくるスペクターのために、茶のひとつでも入れておこう……
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i:::::::::::|ヽ/ |::::::::::::! \{ハ::::::::::::i|:::::::::::::::::::::::::::|
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}/ |::::从、tッ \{ ̄rtッ '/::::/ |:::|/ }:::;ヘ{ヾ
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, }/ イハ/
, ` ,.上=L
′ _ ___,.イ///////〕 ―――戻った。
fー=二__ -=ヘ 〈∧ ` ||////ヘ〈二二〉{ 留守中は何もなかったか?
. Ⅵ {{ Vハ ヽ _ ,.イ、_||/////////∧
. Ⅵ__}} Vハ }i:i:i:i:i||/_///////////> 、
. Ⅴ┘ , 、 ∠ノ Vハ、 /i:i:i:i:i||////////////////\
//} /// __ |//ヽ {i:i:i:i:i:////////////////////\
. {// /// /// |////∧ |i:i;///////////////////>=ミ\
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陰鬱なニュースを聞きながら暫し待つ。
今月に入って、同様の手口の殺人はもう三件目だ。
丁度淹れ終わったころ、仮面の男がアジトに入ってくる。
彼がスペクター。キミの現在の保護者であり―――常人種の身でありながらヒーロー活動を続ける男だ。
スペクターはアジトに入ってから仮面を外すと、キミに留守中の様子を尋ねてくる。
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「スペクターさん」
彼が不覚を取るとは考えていないが……それでも、無事に帰ってきたことに安堵する。
……師匠の事もある。
万が一、ということが無いわけではないのだ。
「……はい。特には、何も」
「そちらこそ、何か問題はありませんでしたか」
茶を差し出しつつ……意識が、腰に提げた刀へと向いた。
師から受け継いだ、誇りの一刀。
銘はなくとも、正義の魂が宿った刀。
「俺で力になれることがあれば……俺も」
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【スペクター】「そうか。」
スペクターは短く応え、差し出された茶に口を付けた。
多くのヒーローは超人種だが、それでも命の危険は多い。
常人種であるジャスティカは―――今更言うまでもないことだろう。
【スペクター】「特に言うほどの事はなかった。精々強盗現場に出くわしたくらいだ。」
【スペクター】「俺の心配より自分の心配をしろ、お前は。」
「そろそろ進学先を考える時期だろう。剣の修行も良いが、学業の方は疎かにしていないだろうな?」
―――そう。君は未だ、能動的なヒーロー活動を許されていない。
剣の修行と、学生としての生活があるからだ。
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「……ええ、まぁ」
疎かにしていないか……と問われれば、素直には頷きづらい。
無論、学ばせてもらっている身だ。
身寄りのない自分の面倒を見てくれた師匠が、不自由の無いように学校に通わせてくれた。
今は、スペクターが。
ありがたい、と思う。
無為に時を過ごすことなどできない。
だが……師匠の死を経て、ほんの三ヵ月。
気持ちの整理は、できたとは言い難い。
多少、成績が落ちたという自覚もあった。
「けど、俺は……」
「俺は、のうのうと生きていくことなんて、できない……!」
「師匠や、他のヒーローが殺されているのに……貴方たちが、戦っているのに……!」
「俺だけが、守られているだけなどと……っ!」
刀の柄にかけた手に、自然と力が籠った。
ギリ、と歯を食いしばる。
自分も戦いたい。
その焦燥だけが、胸を焦がす。
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【スペクター】「ヒーロー活動は危険を伴う。それはお前自身、誰よりもよく判っているだろう。」
「俺はナイトサムライからお前を任された身だ。今のお前を連れてストリートに出る気は、俺にはない。」
スペクターの言葉は、にべもない。
キミはまだ未熟だ。故にヒーロー活動をさせる気はない。
―――いつも通りだ。この話題について、スペクターが折れた事は一度もない―――
【スペクター】「とは言え、このまま頭から抑えつけるだけでは、お前はいつか我慢の限界を迎えるだろう。」
「勝手に飛び出されては俺も困る。そこで、だ―――」
―――はずなのだが、今日は少し様子が違った。
彼はコート掛けにヒーロー活動用のコートを掛けると、大判の封筒を一通取り出し、卓上に乗せる。
送り主は『挑む子らの学園』―――世界最大規模のヒーロー組織、ガーディアンズ・シックスが運営する学園。
次世代のヒーローを要請するために創立された、ヒーローのための学園だ。
【スペクター】「―――どうしてもヒーローを目指したいなら、保護者として署名してやる。」
「ただし、もし入試で落ちたり落第するような事があれば、その時点でヒーローは諦めろ。それが条件だ。」
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×要請
○養成
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「っ……!」
足手纏いだ、と。
そう、言外に突き付けられる。
自覚はある。
自分が師匠よりも強いなどと嘯くつもりはなく――――そして、師匠も死んだ。
ならば今の自分が戦場に出て満足に戦える保障など、どこにもない。
だが、それでも自分は――――
「――――――――え?」
そう、思っていたところだった。
卓上に置かれた封筒。
そこに刻まれた名。
そういったものがある、という噂は聞いていた。
ヒーローを養成するための学園。
あまりに特徴的なその名前を、どうして見間違えようか。
「……い、いいのか……?」
逆に困惑してしまう。
今までずっと、ダメだと言われていたから。
だが、それなら、その道を示してくれるのなら――――
「――――――――ああ」
「もし入試すら乗り越えることができなければ……わかった。俺は、諦める」
「その時はこの刀も、貴方に託そう」
「この刀に――――師匠の想いと、俺の正義に誓って」
鞘に収まった刀を腰から抜き、スペクターの前に掲げる。
「……俺は、あの人にこの刀と正義を託された」
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k :| |
k マk | |
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\ .。* ´ _ -≧=--イ ヽ. レイヽ
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/ ./ ト、 ./ .。イ;;/ ./// :|:| |
/ /. 丶` 、 /戈 /イ./ ; ! !
_ /.ィ. 丶 ー=才ゞ´ / / /∥
ー=' ;: \ /\ / ' ∥| |
∥ / ` ー,ィ ヽ_ .イ.。*゚ >、イ ,イ ./ !
;i ./ `>=弐-- = ゚ __ -才/ テ、!../ :| |
/ / / / iー./ ̄ ̄ 戈 / X、 /イ` .;: !
/ ./ ,イ /./ ,从:../ / /イ.。* ゚ ゞ艾 ,イ |
' _.。イ // /.イ/./;: :、' / イ- .* `` .。イi、_:! |
 ̄ア ,イ/ .。' / / .// ∥ /ア / / / :. ! | 「――――必ず」
イ \:.. ___. イ / |イ/! i! i/ / .ィ'/イ .ゝ | 「俺は、ヒーローになってみせる」
/≧z _ /i i,川 i! :i ./ ー ´゙ i < | !
.戈/ /イ,イ .T ~ :i ! :. | i | !/ _____...ノ / | i!| ∧
´ ./ .// .∧ ヾ! Ⅶ k i:\ . イ / /! i:| .ムik.
_ ノ /,.イ ./ .ヘ :.、 Ⅶ、キ :::ゞ.、 ./ ,.イ ./ i:;| ム/!k
イイ ヽ :.、 .Ⅶ、キ Yi. >-=イリ /i |/\ィ;!:;! __i/ :i ; __,イ_
 ̄,ィzzz, イト.、----、 :.、\ i.| 从 |/ / | | \ヾミ、r' .L;;; j
´ 。 ≦ .: 丶` .、\ マ` 、ヽ i__∠、 :i/`ヽ. ヽヽ i!.L_ :j__ )
´ :i \ `ヾ、 マ `:..、. 寸ニニニ ./ i Y :! | ; :T ヾ
>  ̄| i / <. :...、 \. 丶 |ニニニム、::..ノ.ノ ノイー! i
´ i! :: ∥ ` < ≧ 。 _:..、 \ マニニニX ̄ / | /`ヽ
;i! ; ∥ `< ` ≧==.、 マニニニニ辷イヽ, --===-<
ノ`ー' .∥ ーイ !. `ー= _ \ー、ニニi/ ./ :i! |_.ノ
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「……ありがとう、スペクターさん」
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【スペクター】「前から、考えてはいた。お前がどうしても諦められないようなら―――とな。」
「常人種の俺では、お前の指導者にはなれない。前提が違う。俺のやり方では、お前には合わない。」
「本来お前を鍛えるはずだったナイトサムライも、もういない。」
キミの見据えるその目は、どこか寂しげな色を湛えていた。
思えば、この三ヶ月―――彼のそんな目を見たことが、あっただろうか。
【スペクター】「そうだな。その時は、その刀も俺が貰い受けよう。」
「戦友の形見だ。半端者に預けておくわけにはいかん。」
―――だから精々頑張ってみせろ。
そんな言葉が、聞こえた気がした。
気のせいかもしれないが―――どうにも、彼は不器用らしい。
【スペクター】「―――このところ、成績が落ちていると聞いたぞ。」
「実技の前に筆記で落ちないよう、精々効率よく勉学に励め。」
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jノ |:;ハ. 丶::..- ,′|::::::::/
′ヘ. _,. / ノ!:::ハ′ ―――全く、保護者失格だな、俺は。
ヽ `¨二  ̄ / |:/ ̄ ̄ `: .、
__丶 / / |ー…ァ-、ヽ: :\ やるからには半端は許さん。良いな?
,. : : : : : :_:\ / / |. / {:.:}. : : .ヽ
/. : :,. '" |ヽ... ´ / / V. : : : : | ̄ヽ
__/. : : :∧ | ,. '" ,'. : : : : :j: : : j
/. : /. : :.:./ ヘ | /、 /. : : : : :/. : :厂`丶
/. : : |: : : : | ヽ /| / ハ /. : : : :/. : :/. : : : : :\
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OP1『ナイトサムライ・ワンス・アゲイン』―――End
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シーン2:ミス・セカンド
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l / : :| i| | {`^/.: .:| l
. l / : : :l i| | __ /|.: : :|: ,
l '.: .: .:, i| | _ イ: : :|.: : :|: ′ ―――学校、であるか。
l : : : : .′ i| |`Τ: :| : :|.: : :|.: : :|:. ,
| l : : / :i| |: |.: .:| : :|.: : :|.: : :|:. ′
| |.:.:/ ,八 | '、.:.rァ┴ー┴ー┴- ,_
| |: ′ ゙:, | fフ¨ ̄ ̄ ̄ `/^7 、
l. ´ }ノ fフ¨ ̄ ̄´ / / \
/ ` ̄ ̄`ア . ‐- .,_/ / \
. / _ '^ヽ ∠ィ^ 、 / :l / //
′  ̄ ̄ ̄ >‐、 {`'ト-く/ ,
{ //⌒\>_/ ^:, ‘,
, 、 // ゙:,-=彡ヘ, ‘,
′ / ̄ ̄ ̄ ‐- \// iー----' ‘,
, \ / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´ |ー----' ‘,
・ .・ .・
―――キミは、受胎した星より生を受けた地球人である。
一般常識や基礎的な学問などは、キミの保護者である星の端末―――ギリシャで言う所の地母神ガイアが教えてくれた。
さて、そんなキミであるが。いい加減学校に行ってみたい年頃である。
そんなわけで、キミはガイアと対面しているわけだ。
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,..--、 /`ヽ-
,.ィ'´ .:::;::::V_:;ヘ::. `ヽ、
,.' .::;;:-y゙ ヽ' ゙ ヽ:::. ヽ、.
,.' .,ィ'゙ .,ィ :i _ ヽ::. Vヾ
/ ./,.',ィオz/! .l! ,!ー-l二ヽ::.. V. Y
. ' :l;' /"| /: l .ハ ,'.:ヽ lヽ l`l::: l:: |
i ::l イ:::::i/ 、! :'l }ソ ソ |::: l:: |
/| :::i':::ゝ三三 三三三: l:: ,'ヽ. l
/___;| :::::::;' 、________ /// l:: ,'..__ ヽ 「そーなの、学校。これ入学願書!」
.  ̄ /.l ::::::ハ. |'´ ヽノ| /: /、 V¨ヾ 「地上活動用の分体(オーバーコート)ももう用意しちゃったし!」
. /.ィ;| ://ニ、>.._、 ,'_,.ィ':/ /、:;ヽ l! ヽ
i/ \|へ≧-≦//ィ゙. / ヾ
lヽ´ヽ>,-,</ /ヽ
.| | ヾi-i〃 / !
.|,' ∨ ', .|
. |{. ..:;;:.. } {
. | ', ハ |
.|/ .', j ハ
./ .∨ j
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く ヽ /
/ヽ、 ゝ、
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ミス・セカンド
星の子供――地球の二代目は思春期を迎えた。
親から独立して一つの世界として歩き出す年齢になったのだ。
「お母様の本棚(レコード)で人間については学んではいるけど、記録だけじゃ実感が薄いんだもの」
「ねぇねぇ、いいでしょ!ガイア叔母さま!」
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【ガイア】「成程。確かに道理である。情報でしか知らぬよりは、実際に触れた方が教育にも良い。」
「お前も、もうそんな年頃になったのだな。クロノスも勤勉なものよ。」
我々人類にはなかなかスケールの大きな話であるが、結局の所キミもまた思春期の子供である事に変わりはない。
いわば動物図鑑だけ見て動物園に行ったことのない子供と一緒だ。今の所、その根底にあるものは未知への興味。
情操教育の一環として、実際に人界を経験させるのも後のためになるやもしれない―――どこぞでは罰の一環らしいが。
・ .・ ・ .・ .・ ・
【ガイア】「―――とは言え、お前は小なりとは言え天体そのもの。いわば我ら神霊に近きものである。」
「真っ当な人の子の学び舎には、ちと荷が重すぎよう。どれ、見せてみよ。」
す、とガイアが手を差し出す。
ただ情報を閲覧しただけのキミにも判る事だ―――キミは、普通の人間たちの中には溶け込めない。
大母結界(グレートマザーウォール)と呼ばれる結界によって、地上ではキミの力は制限されるだろう。
が、それでもキミの発揮できる力は、常人にとっては剣呑に過ぎるのだ。
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「はーい!これが第一志望の……おっと」シュボゥ
気づいたら手にしていたパンフレットと願書が炭になっている。
地上の物質をこっちの世界に持ち込んで油断するとすぐこれだ。
「(チョチョイッ)」
セカンドが指揮者のように空中で指を動かし幾何学模様を描きだす。
その動作に呼ばれるようにして、大地から半透明の冊子が抜け出し、セカンドとガイアの手元に収まる。
この大地に記録された「挑む子らの学園」の入学願書の情報体にございます。
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【ガイア】「どれ―――なるほど。強き力を持つ善き戦士の養成を旨とする学び舎、か。」
「良かろう。こちらで送付するよう手配しておこう。こう言った雑事は、保護者の務めよ。」
「お前も人界で善き心と悪しき心を学び、力の制御も確かなものとして来るがよい。」
ガイアがふっと息を吹き掛けると、情報体に再び実体が与えられた。
キミもまだまだ、力の制御が上手く行っていない事を実感する。
せっかく地上へ行くのだ。少しでも大人―――キミの知る大人は概ね神霊たまに宇宙人だが―――に近付きたい。
なんだかんだで背伸びしたい年頃なのだ。
【ガイア】「―――このところ、世界を隔てる壁が徐々に薄らいでおる。」
「どうも地上で悪しき者どもが策動しておるらしい。気を付けるのだぞ。」
神霊は、地上においそれと降りる事ができない。
理由は様々だが、ガイアの場合は―――地球そのものを統べると言う事もあり、少々大母結界の影響を受け辛すぎるらしい。
さすがに降臨するだけで天変地異が起きるとあっては、おいそれとは降りられないだろう。
幸い、『挑む子らの学園』は全寮制だ。落ちたら落ちたでまた戻って来ればいい。
つまるところ、キミはそこまで気にする必要がないようだ。
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「ねぇ、叔母さま」
入学パンフレットを映し出している幻影の本を頁をめくり、46億年分の歴史をさかのぼる。
星間物質の集合、地殻の形成から始まって、大陸の大移動、
生命の発生、カンブリア大爆発、大寒波、多くの進化と絶滅の繰り返し。
さらに400万年前から現人類の出現して、情報量が爆発的に増える。
「なんで今なのかしら?」
――セカンドの発生は15億年前。
その間に起こった大地を抉る大隕石の飛来も、
大型爬虫類の大絶滅も、地球の生命を燃やし尽くす量の兵器の出現にも、セカンドの心は動かなかった。
だが、膨大な情報群の中、地球の歴史全体から見れば一瞬で過ぎ去るこの時代に、セカンドは強く引き付けられた。
「今、地球の二代目である私の中に『独立しよう』という思いが生まれたことが不思議なの」
もうすぐ、二代目の自分が歩き出さなければいけない何かが起こるのかもしれない。
「だから……知らなくっちゃ、学ばなくちゃ!」
「ありがとう、叔母さま!アメリカ土産はなにがいい?」
女神像?ステートビル?大統領?
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【ガイア】「さて、な。私とて、全てを推し量る事はできぬ。」
「しかし、お前に自立の兆しが見えた事には、きっと何らかの意味があるのだろう。」
恐竜の絶滅。核兵器の出現。いずれも、ヒトの尺度では大事件に他ならない。
しかし―――こと星の尺度で見ればどうだろうか。結局の所、それは星の表面での事象に過ぎない。
核兵器でさえ、いわばダニがちょっと厄介な病気を持っていた、程度の話でしかないのだ。
そんな彼らが興味を惹かれるとは、どういう事か―――
【ガイア】「ああ。行って全てを見聞して来るがよい。」
「お前の見るものすべてが、お前を育て、正しき道へ導くであろう。」
ガイアはただ、キミの思うままに任せてくれた。
であるならば、きっと悪いようにはならないだろう。
彼女もまた、キミを愛している。
【ガイア】「土産、か。そうさな―――」
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-=彡 .::::::::::::::::::/ .: / ,イ !.:/:.l::l:: :i / }:}:l \ }
/.::::::::::::::::::::/.: .: / /:/.:: |/l|/! |::: .:| ! /.::|:| }
/ .::::::::::::::::::::::/.: .: / .:| :l::.:: |`メ、レl::: .::|l: l:::/!| |
.// ̄/.::::::::::/.: .: l .:| :|::::. |、fツ'`|从/{: レ リ /
' /.::,.::::::/.: .:: /:| .:| :ト、:. | {:::: l: |
/.::/.::::/.: .::: :/ | .:::| :|: ∨ l ゝ::. ヾ:、
∠:::イ .::/.:.:::: .:|: :| :. .:| :!: ∨ ∧ /:\:. :. l\、 ―――お前の見聞きしたものを、たくさん聞かせておくれ。
/.::/.::::: .:::|: :ト、:. :|::ト、 ∨ ∧::::::::::}:. :| \_ ホ シ ホシ
. /.::/.:::: .::::,イ:. :l::::.:. ヽ{:::.`´:∨ |::. .:|:. : ト、 地球より分かたれた、新たな命よ。
/.::/.::: .:::::/.:|::. l::::ト、 \:::::::::} ∧::::. :}: .:∧ \ ワタシ
. /.::/.:: .: .:/ ̄ ヽ::::..∨.:::.\ \::ノ/:..∧ミノ/:::.. \ お前が健やかにある事こそ、地球の何よりの幸福なのだから。
´.::/.: .:: .::/.: ’:::::.ヽ:::::::. \ \:::::. ∧´ ̄`ヽ:.. `ー―-、
.::/ .:: /{::: \::.\ :::..`ー、`ー-、:∧_ `ー―‐---、 `ー―- 、
/ . : /.::::::!::. \ ゝ. `ー-、`ー-ミ、 `ー―---、二ニ
.:/.:::::::::::::}:::. /.\ \ ァ―‐`ー、. \、_
/.::::::::::::::::r'―――-- 、 /-、::. \ \//´ ̄ ̄¨`ー、 \ `ー‐-、
.::::::::>‐'´. : L: : `: . X \ ヽ \ `ー‐- 、
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地表に知的文明が反映していようと、沸騰する硫黄に覆いつくされていようとも、星は気にしない。
神の視点から見れば夜空の無数の星々の輝きの一つだ。
神の中には、この星に生まれる一瞬一瞬を守ろうとするものがたまに現れたりもするのだが、
セカンドにはまだわからない感覚だ。
「正しき道………?」
大母結界に影響が出ているなら、多少事情は変わっては来るかもしれない。
神々の力が減衰されることなく地球で振るわれれば、星の自転は停止し
自分の心を動かしたのは、ただの防衛本能だろうか……?
「わからないけどわかったわ!私見てくる!」
「46億年の歴史の中で、地球(ハハ)が何を作り上げたのかを!」
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/ ., '. /´:/,..'/.,.`/ .,:' .; ,' .}-| . li !
ノ´ /゙'ミt、.、'":/.'":/,.:'/ /tx' .i.゙,r''´l /` 、;
/./ /.:;;;,,. .゙'ミt、 : :./.' /,.イ.,ィ゙V.y´ `丶、 / ヽ
/ '/ |;|: : : :,、: : ゙: : ' : /'./.':,'. / ! ヽ_../ ,!
./// l: : / \: : : : ゙ミt、.、'.゙/ !`ヽ-、 ! 人 アルバムをテラバイト単位で作ってるくわね!
.〃 │ ∨. \: : : :゙'ミ. ゙/ ! ヽ`ー'’i`ー l
:、 , z=>、 レ>: :.;;;;/ ヽヽ `ヽ_ト、__ _./ ――――それじゃあ、いってきまーーーす!
.,..-、 ,r''´/<` ー<.: : '/ `、 ヽ  ̄ ̄/
/、 `/ヽヽ' ,rヽ,/¨7 .`i ! `ー--->--‐′
,! `ー<__/ヾ! V´ /¨/、l __,,./
!_`ーi'’,r'! `ヽ' `、ヽ___,, ‐‐‐'''¨ ̄
!__ニ!'/! .i i:. ..::::`,/ 、 ヽ ヽ ハ
` 、__/l .:l !::::::::::::::::/、__,,,_ヽヽ ) . ハ
_/ ! ::! ::::::::::/!::::::ヽ;;;;;ヽ 人ヽヽ、.ヘ
/;! .::! :::/ ./::::::::;!l¨''‐-!_ !、 ',
r''´;;;>:::::. :.. :: :::::://;;;;;;;;;;;;;;l. l !', ;
l;;;/;;;`,、 :::.. _;//;;;`ヽ、;;;;;_;! :| l ', i
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ヽ;;;;;;;;;/;;!;;;;;;;;;;;;;;;;l;;l;;;;;;;;;;;;;;ヾヽ;;;;;;;;;!
`、/;_;!;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ´v7´
ヽ;;;;;;;;;;;;__;!;;;;!;;;;;;;;;;;_;:/ イ
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ヽ: : : : : : : : : :/:.l
ヽ: : : : : : : :/_;/
ヽ: : : : : :/
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星の子は、もっとも強く光り輝いて見えた時代へと飛び込んでゆく。
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様々なヒーローたちが活躍する、華々しき時代。
ゴールデンエイジ
―――人の子は、この時代を黄金時代と呼んだ。
【ガイア】「ああ―――お前は、それでよい。」
「それで、よいのだ。」
一つの時代の終わりが、近付いている。
けれどそれは、神々ですら知らぬまま。
運命の車輪は、静かに回り続ける。
OP2『セカンド・アース・スタンディング』―――End
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シーン3:ライト・ロード
__r‐‐'7≧= ァ‐-ミ___
_/ { / └┐
/ \ { / 、
. / / 、 ヽ { / >ミ 〉
∨ ≧=‐- ..,,___/=/ / {
ト _ ノ-=ニ/ `~^~^~'〈 〈 \_/{
. \ ,′ (V) } 丶__/{
┌――――/ト-= ..,,__ 、 斗 七´ }≧=‐=≦<__
. _\__ ∧ト:γ芹ハ__ γ芹ヽ― },ン| /
. \ ∧,r乂辷ノ} }{l人辷 ノ=ッ レ′ /―┐
_ > 人__/}-{\___ ,′三二ニ=-- / よく来ましたね、英雄。
\____/∧ r、__≧≦_ ノ ∧__ ,,,... -‐=≦
\ ハ `¨¨こ¨¨´// 丶=ォ=ミ__ また新しい研究の話―――というわけではないようだ。
≧=‐‐‐---〕iト、 / }::. // ア / ̄\
≧==≦ }: -=ア /
∧/ /ニ/ /
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ト、./= / / ‘:,
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|i:i:i|ニニ| | |
ハヤカワ・インダストリィ、社長室。
キミは休み時間を見計らってキミの父―――ハヤカワ・インダストリィ社長、早川英輔の元へと足を運んだ。
何のためか? 決まっている。入学願書に保護者の署名を貰うためだ。
知性を発展させた超人種、テクノマンサーであるキミにとって、一般的な学校の授業内容などお遊びに過ぎないだろう。
キミはここで研究されていたクローン技術を発展させ―――キミ自身を、自我を共有する群体に変えてしまったほどの頭脳を持つ。
キミの父も、進学そのものについては何ら心配をしていないようだ。
【英輔】「―――進学というのは、学生にとっては一大イベントです。」
「まあ―――普通の学校など、キミにとっては幼稚園の砂場のようなものでしょう。」
「いっそ進学せずに、わが社で研究を続けると言う手も―――」
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,.ィ<´__
,ィ≦爪マムマムミム、__
,ril州lム.Ⅶli、マムⅥli圭圭≧=‐'
ィil州州Ⅶl|!ト州州Ⅶ州州圭'′
i!ソリl州}.Ⅵliムヾ;rt‐Ⅶ州州ミヾ、
リjネィf'li ̄ヾⅦ、,`リ '.}州州lム、
イ州州iz‐zミ イl云lil州州` ヽ
,ル州=li fサ ゞ-''洲ハヾl、
.lr.、マ、 .} i|ハ! そうだねパピー。もちろんパピーの研究の手伝いはしたいけど――
.!}ヽ_ム、 ., ァ ./′ 『ボク』は『僕の研究』も進めていきたいんだ。
l从}.ヽ.、` _, イ_
|l二ニ===┬┴≧ __
.,ィ≦三三三}.| l三Zト、_ / / ,___
. ,.ィ//////////ミリ///////7777z、 / ` ̄`ヽ、二ニ≧
,ィ/ハ'//////////,o'///////////,'ハ、 .| , -―‐―─‐}
〃///ム'////////f´_ ̄-=}'//////,i//i、 ,ィ77Z} ./ , '´ ̄ ̄´
,イ'/////,ム'///////,{;; ‐=}'/////,i///≧、 ////l,.ヽ__z,/
f三ニ=///ム'//////l=--、=}'/////l//ニ三ハ、 //////>zzハ、
ル'/////////Z7=/'´ ー―‐`/////,{三三三'ム、_ _////////////>
}三二彡'///,.イ/}l{ `二二/////,{///////////////////////
ル//ィzzzrz'///|..| ,.ィ///////,トミ//////////{:|l///////,'´
.,'/,イ/////o'///l、`Z7///,o'//////ハ ヾ////lリ'//!:!;'//////
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そう言って願書を見せる。どの学園に行こうとしているのかを。
『分かってもらえたかなパピー?』
『ここはおそらくは今後最も重傷者の増える場所。その症状の具合も様々で患者も様々だ』
『ボクは医者の端くれとしてこんな場所を座して眺めるつもりはサラサラない。それに―――』
『ぼくの研究をさらに進める上でこの学園は最高の環境になるであろうと確信しているよ』
-
【英輔】「ふむ―――確かに、データ収集という点からヒーローとの接点を持っておくのは悪くない―――」
「超人種研究、超人種のクローニング、自我のクラウドファンディングについても多様なデータが取れる―――」
ブツブツと呟く調子には、どこか鬼気迫るものを感じる。
キミの父は、元々君が現在行っている研究の前任者だ―――正しくは、挫折者だ。
中断されていた研究を、キミが勝手に復活させ―――まだ改善点はあるが、実用可能な段階まで発展させた。
【英輔】「ですが英雄。聡明なキミの事だ。もちろん判っているとは思いますが―――」
「キミは私が一度挫折した研究を復活・発展させ、自我を共有した群体―――新たな人類とも呼ぶべき存在となった。」
「群体で自我を共有すると言う事にはメリットも多い―――しかし! 現段階では無視できないデメリットもまた確実に存在します。」
「ヒーロー活動の現場とは、即ち超人種たちの戦場に他ならない。もし君の分体が負傷したなら! ―――その苦痛は、他の分体にも共有されます。そうでしたね?」
【英雄】「―――ヒーローの援助にも、さまざまな形があります。」
「技術提供。資金提供。物資援助。それらだけでは満足できない―――そう、言うのですね。」
-
×【英雄】
○【英輔】
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『当り前さ、パピー。』
『そう』『僕は』『満足できない』『ボクは』『納得』『できない』
『ぼく』『は』『精倒』『できて』『いない』『のさ』
『僕は』『世界の至宝』『だ』『人類が』『到達した』『最高到達点だ。』
『人の歴史』『とは』『ボクを生み出すために』『紡がれた。』
『・・・』『そんなぼくを』『差し置いて』『ヒーロー?』『超人種』『?』
『『『『『舐めないでほしいね!!』』』』』
『自分こそが最高だと思っているのなら、学園の連中にも知らしめてやるさ・・・この早川英雄神の素晴らしさって奴をね。』
-
・ .・ .・ .・
【英輔】「英雄。キミは、私が妻と共に作り上げた最高傑作です。恐らく、キミを超える素体は、私にはもう作れないでしょう。」
「高度に発展した知性ゆえの高すぎる自尊心はやや危険ですが―――それさえも、科学者には必要な要素です。」
そう。キミは、早川夫妻の遺伝子情報を用いて作られたデザインベイビー―――言うなれば、人造テクノマンサーとでもいうべき存在だ。
勿論、それはキミ自身も既に理解している。何しろキミは、キミ自身の身体を既に完全に解析しているのだから。
【英輔】「そう。思えば私の人生は―――きっと、キミを生み出すために存在したのかもしれません。いえ、事実そうなのでしょう。」
「ですが、キミの器はまだ発展途上! まだまだ改良・発展の余地があります!」
「いいえ、キミの器だけではない! キミには! 人類には! 世界には! まだまだ進化の、発展の余地がある!」
父が言葉を紡ぐごとに、父のテンションが高揚していく。
こればかりは悪癖以外の何者でもないが、いつもの事だ。
【英輔】「―――フゥ、フゥ、フゥ―――既にキミは、私の想定を何度も越えて来ました。」
「全て覚悟の上と言うのなら、良いでしょう。掣肘はしません。」
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/ . .::;;;゙|:;;'::::::::::;;:;:::::::::;:::;;/::::;:/;;;:::::::::;::::::;;;::;;;;;;;;, ` ̄ /' /r―==ト ミ__ _)
. _ i ..::i_ 人 _:::;;;!;:::;;;:/;;;;;:::;;;:/ ;;;::;;;:::;::::::;;;;;::;;:;;;;;;;. /{ // 廴_ ヽ
. / ; i; __人__`Y´ ::;;::;;'l;;:/i;'`!丶;':/ ,'/;;;;;:::;:;::/;;;;;:;;;;::;;;;;;;;.. 廴_ ノ / , 'nト、
/ / l;;;:;`Y´゙;;| :: 人..V_,゙__l;;;' ,"丶' ;;;;;;:;;;::/ ;;/;;;;;;;:;;;;;;;:;;,. ┌‐ ´ / }_}_}ハ
. / / l;;;;;;;;;;! ;;;;゙_;;;;l:;`Y´. ィ;;;;;了ヽ、 ,/;;;;;;;/_,;:_;;;;;;;;';;;;;;;;;ヾ、  ̄´ _ /ノ
/ /_ ,';;;;;;;;;;; / .ノl:;;::;;!!'〈 {::::℃ , ,/:;/ .,;'",;/;;;;;;;;;;;:' ` `¨´
,.′ ', ヽ.,;;;:;;;;/ ./゙{ !;;!;;|! `"" ´ /" , ,,':;;jヾ,,';;;;;;;;;;;;;'
,. / / )/ ./......く i;|l;;;! {::℃ ノ;;;/,';;;;;;:;' モチのロンさパピー!!
. ( ../ / //;;;;;;;;`;;;.゙i ヾ ; `´ /;;;;.'/;;;;;"' 見てなって、僕の素晴らしさを見せつけてあげるさ!
. 、て_/ / ノ'";;/i;;;;゙;;;l 、 \- ._ ′ /!;'レ//
ヽ `, / ノ' _.l!!| ゙!. ヽ ` .>‐ ' リ ′
.' (. l ̄ー-..._ \ , ''"~ヽ.,. '"ヽ
ー‐- .、 丶 i-.._ `‐.._ ‐ -, .,.{、 /,.' .::::::::\
. ,.. ヽ ゙. _,..l二ニ=-.._ ヽ ,.-‐=ヾ>、..,_ } ̄!
/二......ヽノ..゙二三三二ニニ=、 V\ ::::::::: ;!' / \ ̄:::::::!
,./二二二二二二三三三二ニ三、 l ,' `、 / l/ / ` ー-'
/三ニニニニニニニ三三三三三i !/=// ':::: { . '.. ィヽ` ヽ
自我を繋げる性質を持った脳――――素晴らしき『僕』の脳は一つの自我で直結し、同じ意識を運営することで互いに補い合っている。
バイト
容量を増やすだけじゃなく、
メモリ
性能も『ボク』が増えるごとに増していっている。
今はまだ一つの町にも満たない『ぼく』だけど、このまま増えていけば『僕たち』はきっとさらにさらに優秀になるだろう。
『行ってくるよパピー!まず手始めに世界を救ってくるさ!』
-
_,ィ´ ̄ラ'´ ̄ ̄`゙`ヽ、
_,=-'´/´ _,ィ'´ ̄`゙`ヽ、
., '´/ , ' ./ '´ ./´ ̄ ̄ ̄`゙`ヽ、
/ ,' , ' ., ' , '´ ノ´ ::::::i
.,イ ,' .,'/ , ' / ,ィ'´ ,ィ'"´ _,=-‐''´ ゙̄ヽ、
i( i ,'/,' / ., ' , '´ ,ィ'´ ,ィ'´ ,=-‐―‐‐ ::‐ト、
r'ヽ .', ii ii /, .//,ィ彡'´/ _,='´,ィ⌒`゙`ヽ、 :::i .,イ
ト-‐―‐' .Y ゙゙゙ヾヾ!!////'´ノ∠´,ィ彡'´,ィ彡'´-‐'⌒゙ヽ、 `>-‐'´:::i
ヘ -‐ .{ ,リ´ ..::::::`ゞ`‐-ミ、`゙`‐-彡'´., ' ::::/ , .,イ
\_ノ彡i ,ィテ{ ..:::::::::::::ミ、 `゙ ̄ '´ ::::ノ,イ|//
.ト-‐彡'´ } i U リ ' ノノ .:::::::::::::::〉ミヾ、 ::::‐-‐'´ '´:::ノ
\ミ二´ 人,, ;;ヽ } リ/ ;;:: i{ '´ ,,,,j:::::(ミ`ヾミニ三彡'´ ::::/
木ニ彡'´{`iヌ、} il r// リ ,,,,,,ィ≦'´〉テ〉-、ミヾ、 .>≦-ィ
`、彡' r、弋)゙)、,;ヽ=ラ=テヘ ヽヽ=ィノ_rュニ=Y‐-、_,ィ' '´::::,=-'´
ヘミニ彡' ヘ入ニjノ==彳( ゝ辷ノ) /.ノ二 `|:::::::: j: ヘ、}`ゝ-==ニ-‐ィ
∧ ∧ i | トゞ-=ニノノノニ :::. ノ:::::::.. し'./、`ミ二ニ=-ノ´
`ゝ-ィ二ゝィト‐'`‐つヽ、 ..:::::::/::::::: ,' /`ヽ、二./"´ `゙ヽ、
`ゝ-ヘゝィニ彡___こ==ュ―ィ'´/::::::/ゝヘミ、ミ彡'´ ヽ、
`ト十十十イ匕Yト) ./,;'::: :::/: :. / /ラ´ヽ . . . . . . . ヘ ええ、行ってきなさい英雄! 私と妻の到達点だったものよ!
λこニ‐ラ'´⌒}_ノ./'´::´_,ィ'::: .:/ /ノ ヘ: : : : : : : : : \
{:'´ ゙`/ ` ̄/ ,ィ< :::./ / .,' .:::::::::ヘ: : : : : : : . ::ヽ、 あなたの可能性を! 人類の可能性を! もっと先へ進めるために!
ゝ、... } ==} .∠:::: ::, ' .ノ , ' .:::: ./ ̄ ̄ ゙̄`ヽ、 ::ヽ、
__,ィ‐=、_ ゙フ |‐'´,イ⌒ヽ、/ /,' ! .:: ., ' `ヽ、 ::∨
( ...::( ` ̄´ ∨〈 ( i/ ,' .,' ! :: / `ヽ、:::∨
`ラ-ュ'´`ヽ ...:::Y \ .( i { | : ./ ...::::::::::::::.... `::∨
OP3『No.1×∞』―――End
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OP4:B×B
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ィf;;;;;;;;;;;;;;;、;;;;;;;;;;,ヽ
/;;;r`‐'" ̄`ハ;;;;;;;;;;;;'.
〈;;;;! \ , ヽ:;;;;;;;;〉
!;;{ 、___\!r≦=、 レィ'´'.
ヾ} rヵァ} 弋辷メ、ミ λ}
{! `´ l 、 , \ノ
ヽ--ヽ-'――-、 ハ ―――とりあえず、話はこっちで付けといたさかい。
/ ,、 \――‐'/ .! ・ .・ ・ .・
/ 厶〉 ヽ》__゙/' 八 しかし、まさかお前がぱわあずやったとはなぁ。
_/ (, -―彳、 } / `ヽ
/ 、__/ ゚% _、 ヽ V / 。゚\_
/ /ー=.__ ‰‐ゞ ,′ 。゚ ,,=三:≧. 、_
/ /゙=、:.ニ=ー__ ‰ - =- 。゚゚ __'':゙,ィ;ゞ=‐' ,'゙` tftヽ
/ /ハノ.:f,.-=三’”`、 ゚∞∞゚ ,.r::,ノ-',, ,tzァ',ィ,}弋:}‘,
/ ,/”,,|゙t「 `ァ:::> ; ゙、. 〃,,_≦ィr=オハ,,メノ A‘,
/ ∧、`゙!.、ヽ `‘、ヽミ`rリ ',ィイ_,ヽヾゞ}リ√|キf7゙ ,,ム:}
/ /゙`` ノ!、.:ノ} i} ゙’ 从 }{ !'(:::(r::У’ レ゙ ィ,|、く{ _.,ィム{
キミはちょっと人に言うのがはばかられる感じのスジ者、水嶋組の組長の娘―――娘で良いんだよね?―――だ。
今日は空手の組手をしていたのだが―――組手の途中、突如キミの体は異様な熱気に包まれた。
余りの熱気と、湧き上がる高揚感が体を包み―――気が付くと、メチャクチャに荒れ果てた道場の真ん中に、キミは立っていた。
無事な道場の門下生たちも、震えながら君を遠巻きに見るばかり―――紆余曲折あって、結局キミの父、水嶋五郎の出座と相成ったわけだ。
【五郎】「道場じゃあ、もう面倒見ぃきれへん言うとったで。」
「一体何があったんや? なんやイラッとするような事でもあったんか?」
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/ r-<,/ ヽ , 〉 ∨
/ ∨イ'/ / / , l l ヾ ゛ ∨☆ .l
/ ☆゙〉 ; ; 、 /; |ll| i ヾ ゛ 、 ヾ ゙ }' ! l
/ 。j´7 7ヾ { ト、 、 , ィ´ . }j l
,' / , , / ヾ ト、 、 .{ ヾ ィ' 、 , } j {
. ,' /i l l { _ ヾ ヾ ゙ 〉 >、二 、l j リ l /
/ ' ´l {. {L{'´ア芋ミ 丶、_{ イ斥jハ`ヽ.l jノ ∨ /
/ j{ .ハ.ヘ ゛ いしj 乂しシ j ; ∨
. / ∧ .{ {ヾ〈 ` ´ ノl トミ、
. /,斗 ∧ .l .ヽ.ヾ//// //// /1 ,' } 「イライラしてないもん!」
'´ { ∧.{ヾ∧ r = ニ ヽ /./;/ l
l }゛`ヾ.ゝ 乂´ ノ ノj/ ;/ }
∧ i } ゙ ヾ.> 、 ` , イ ' ' И ,'
/ ∧ . ,リ _,ィニ={ ` ´ lニニニヽ.{ j ./
/ ∧{、 / ,.s≦ニニニマ'1 {.〉ニニニ>n、 ,ノj''
∧ /ィニニニニニニム ムニニニニニマノ
. / ヽ f´ ゙マニニニニニニム ムニニニニヌ ヽ
/ ミ ゛ `マニニ> '彡'ニム ムニニニヌ'´ ヽ
r' ヽ //ニ二ニム. ムニ>'" / i
_ノ , 、_ィ ´ ' ´二 ユ-<ニヽ、/> '´, -― 、 ' } .ハ
j ⌒ / ヽ ´ _ -<´二 f  ̄{´ - (.〈 , j ハ
/ -ァ' へ ヽ ` <_ ィ j-ァ=ヽ ` ノλ{ ,' l /
f _,ィ ヽ ヾ' ̄ア=' / / i、ヽ、 } } ヽ ,' ∨ /
}'´{ ヽ j < ゝ 、/ /{olヘ ` <ノ / ; ∨ /
j ,' ゛ / ヽ= ゙ / .{ l ∨ .){ ∨
{ ' ) ゝ, ./ { ol ヽ f' l ヽ
しゅんとしたように背を丸めて正座をしている。
「ぷぅ。別にあたし悪い事したくてしたわけじゃないよ」
思えばあの時は変であった。
突然の熱気と高揚感。相手を打つということへの快感。
正直に一つ一つ話していく。
「あ、それとねそれとね! 背中がピピッとしたの」
「背骨からぶわぁって広がっていって、それが体中に流れてきてぇ」
突然カレンが服を脱ぐ。
それから自分の背中を五郎に見せた。
歳の割には発達した背中である。
「なんかね、まだちょっとムズムズするんだけど自分じゃよく見えないでしょ?」
「どう?」
背中には多分なんかいかにも怪しげな印があるはずだ。
それは彼女の四肢や首にも伸びようとしているが伸びていくほどに薄くなっていっている。
現状、背中全体が印のはっきりしている場所だろう。
「ねぇ、あたしもうあそこに通えないのかな?」
-
・ .・ .・ ・
【五郎】「オヤジん言うとった先祖返りいう奴かのう―――しかし聞いとったんとなんや違うのぉ。」
水嶋の家には、鬼の血が流れている―――
大方ハク付け程度の与太話だろうと、キミも思っていたが。
まさか、事実だったと言うのだろうか。
【五郎】「背中ァ? あ、ちょ、年頃の娘なんやから、もうちっとこう恥じらいっちゅう、モン、を―――」
「―――なんやコレ。お前いつの間にこないけったいなん入れたんや。わしなんも聞いとらんで。」
キミの父は、どうやらキミが内緒で刺青でも彫ったものと思っているようだ。
言うまでもなく冤罪である。
【五郎】「―――せやなぁ。超人種の体っちゅうんは、これもうにんげ―――ああいや、常人種のとは別モンやからなぁ。」
「相手できる奴がおらんのやったら、通ってもしゃあないやろうし―――」
-
「先祖返り? え、あたし鬼になっちゃうの?」
「ぷー。そんなの全然可愛くないよー」
いやしかしまさか事実だとは。
「えー別に昔は一緒にお風呂とか入ってたんだからいいじゃんいいじゃん」
「? あたし、なにも入れてないよ?」
「あ、スマホ。写真撮って」
なんか親父にスマホを渡そう。
鏡とか持ってきてもらうのは手間だろう。
「あたしあの道場好きなのに?」
「それに、あそこが駄目だったらどこに行ったらいいんだろう」
「もー! いきなり過ぎてピプペポパニックなんだけどー!」
-
【五郎】「見たとこツノとか生えとるわけやないさかい、今んところは大丈夫やろと思うけども。」
「言うてもわしもよう知らんからなぁ。もうちょいマジメにオヤジの話聞いとくべきやったかなぁ。」
昨今は妖怪が実在するだのの話も色々と耳にする機会はある。
超人種なる超常の存在が現れたのさえ、今や昔の話だ。
―――そんな話をしながら、五郎が不慣れな手つきで写真を撮って、スマートフォンを返した。
背中には、どこか禍々しさを感じさせる奇怪な印が浮かんでいる。もちろん、キミに覚えはない。
どう見ても趣味に合わない感じだし、そう言うの入れると色々不便だしね。
【五郎】「無理なモンは無理や。今までどおりには行かへん。」
「お前がさっき何やらかしたか忘れたんか? お前がよくても、他が今までどおりにでけへんのや―――」
五郎としても、キミは可愛い娘だ。できるだけ応えてやりたいところである。
しかし、無理なものは無理だ。キミを見る道場の人々の視線が、記憶に蘇る。
アレは明確な―――恐怖の視線だ。
【五郎】「せや! わし名案閃いたで!」
「普通の連中と殴り合えへんのやったら、殴り合える連中のおるとこに行けばええんや!」
-
「もう、パパっておっちょこちょい」
ぷんぷんと頬を膨らませる。
「えー……」
スマホに映し出された写真に少し引く。
可愛くはない。
「え? 名案!? なになに? 教えて教えて?」
「殴り合える連中……? それってその、超人種の人ってこと?」
-
【五郎】「せやかて、このご時世に鬼がどうこう言われてもピンと来ぃへんかったんや。」
「お前かて聞いた時は『なんやその与太話』言うとったやないか。」
まあ、今更言っても仕方ないのだが。
それはともかく、これはなんとかしたいところだ。
・ ・ .・ .・
【五郎】「おう、なんやテレビでやっとった。なんでもひいろおを養成する学校言うんがあるらしいやないか。」
「そこなら腕っぷし強い奴も多いやろし、そのけったいな彫りモンの事も調べてもらえるかもしれへんやろ。」
【五郎】「まぁ、スジ者の娘が通うっちんは、ちっとけったいやけどな! ハッハッハ!」
-
「なんやその与太話って言ったけど、こうなるんだったら聞いとけばよかったなーって」
そういうものらしい。
特に鬼になるのが嫌とかではないようだ。
「ひぃろお? それっとヒーローって事? すごいすごい! あたし、ピピッとやる気湧いてきた!」
ぐっと拳を握る。
力強い拳だ。多分瓦とか板とか割れるんだろう。
先ほどの力があれば多分骨とかも割れるかもしれない。
「ううん。スジ者の娘もスジ者も全然変じゃないよ」
「だってパパもママもあたしヒーローなんだもん!」
「よーっし! 水嶋カレン。パピッと強くて可愛いヒーローになるよー!」
「パパ、教えてくれてありがっとー」
_f⌒>Yノv' : : : : : : : : : : : \ Lュ
/ し‐'' l: : : : :/: : : : :l: : : : : ヽ '⌒>
/ _/: : : : /l: : : : : :',: : : : : : Yヒ
′ /マレV: : :l: lィ=マ',: : : : :',-ミ、',: : :',l\
/ ,′Y イ: : : /lj 从: : \\: : l: : :l:\ヽ
/ ' /: : :ハd: : l:(,ィ斧圷 `ーィ斧圷ミ: : :.}: } ヾ
ゝ.,____,. -'": 〃 ,': / ゚ ∨: l:',弋zり 弋り '/: : : }: } ,
≧‐: : : : :// ア´ γ⌒ゞヾ〉 """ ' """ ハノ: l:.l:.:} ,
_ -‐/, -'": :_/-/ ノ`''ーヘ^V ヾ辷_,弋 ソ , ′V:l/: :ヽ }
r´ //: , -''"/ '、 } } マ''- .__ イ 乂: : : : , l}
//// l ` ー- __/ / l=|ヾY^Y7__ ´ l: : : : :} _/
{j l し `マ 人f/≧=ミリセ ハ : :从
丶- r─'''" /二二二ハム /ア∨: :lヾ
ト、_, イ二二ニニニ}マ〉 '" }: : l ヾ
__ lニニニニニニニノニヽ }: / ,
γ´ `) ̄`丶、 マニニニニニニ/ニニ} /; ' l}
γV_ -─- 、ゞ _ヽ_〕iト _ /ニニニニニニ/ニニ/ ー'" _/
_{ ( ) (⌒Y \ニ〕iト\ニニニニニニィア〉
′⌒丶ー.、 r´ l __ノ lニニニ}、\ニニニニ/ ‘,
{ { / ノ\'⌒ ̄i´ f⌒i }ニニニ} \ヽニニ/’ ‘
| 乂_ γ‐ r'\ /乂_} 人_/ニニニ} ヽY/ ‘, ‘,
| __ノ ⌒У ̄ゝ--( /ニ二二{ \γーっ , ,
〈 (.r─イ ⌒Yニニニニゝ __⌒_''‐- _ヽ ‘,
ゝf⌒> __) l マニニニニニニ\  ̄ ̄ ̄\
、 ( ‘, ``'〜-=ニニニニ\ l ‘,
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γ ̄///ぅァ‐''// 〕iト l \/ 丶ノニニニ/ r'
. ////// , -〈/ 〕iト \ 丶つ Τ __ノ
/////イ / \ 〕i \ 丶しイ´
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【五郎】「おう、正義の味方や。 ―――ん? スジ者が正義の味方? 」
【五郎】「クッハハ、なんやおもろいやないか! コレもう我ながら完璧すぎるやろ!」
握った拳には、ちょっとした岩くらいなら粉砕できそうな力が籠っている。
これで人を殴ったらどうなってしまうのか? ―――まあ、そんな細かい事はいい。
新たな未来が拓けた今、そんな細かい事はどうでもいいのだ。
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_, ≦ ̄  ̄ニ=z._
イ /´.:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`` 、
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厂∨/.:.:∠ ̄ ̄"~'*.≧ミ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ヽ
/ Ξ{.:.:.:/〃≧=- .~'*.`ヽ、:.:.:.:.:.:.:. 寸ヽ
. /" ー=廴(((ヘ√´ `'<\ヽ\.:.:.:.:.:.:.:. t
レ ,≦Ξ~´___ ソ >く.\\、.:.:.:.:. \
厂〃/斗 ̄ ̄ ̄ ̄`'*∠_,ィ斥===v\\ト\、 丶 ゝ
| /イ 尨 ___ヽ、 -tイ{圭圭し)ノ`,†¨¨≧tハ\「`
|ハ i|ハ「了二ニ=ミゝ,==(込乞彡…ヘ、 ミ勹∧^
! !l|! 小 ^`ミ斧彡 ,{ハ マ ̄ \ミ`/
ⅶハ斤\_ ..・‘ ヘ._,、 _ 寸
` ハヾ、 ′} 、、、、xt、` 儿
\マ ,,,μ仏ヾ斗-イヘ リ|! ぎょうさんダチ作って、ビッグになりや!
\ 〃,ィ´ __, 斗- '^レハ / ,|
、 刎\r'^ __,ノ/ V / | ついでにええ男も捕まえて帰ってくるんやぞ!
ヽヽ`二 ̄_ r‐=" ∨/ |
_ノトミ,, 〕!し、 、yイ'/ ト、
__ / ,丿\ミ心从)L沙刋/ /:i(\
/__  ̄><`ヽイ......../:i:i:i:i:i:i≧=-、`i _≦=-':i:i:i:i:i:| マニ=-、___
_/..........\....、...............ヾ/...........[:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/У斗、:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|:.......∨:./..................
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:::::::::::人_  ̄`ヽ:::\::::::::::::::::::::::::.∨:i:i:i:i:i|//////∧:i:i:i:i:/.::::::::::::::::‘*.:::||::/:::::::
::::::::::::::〈 `ヽ._ノ \::.\:::::::::::::::::::::.∨:i:i:i:|///////∧:i:/.::::::::::::::(廴).:冫||/.::_ノ´
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OP4『アウェイクン・リトル・オーガ』―――End
-
シーン5:チャレンジ
各々に準備をして、いざ入試の日を迎えた。
しかし、入試の舞台へ赴く途中、キミたちはそれぞれハプニングに出くわしてしまう!
勿論放っておいてもキミたちに害はないが―――
1. 車に轢かれそうな子供がいるぞ! 〈運動〉〈霊能〉など
―――キミが道を歩いていると、ボールを追いかけて道路に飛び出した子供が見えた。
そして高速で走ってくる1台の車! とにかくどうにかなんとかして子供を助けろ!
2. 道に迷った老人に声をかけられた! 〈追憶〉〈作戦〉など
―――キミが道を歩いていると、一人の老人に声をかけられた。
なんでも、道に迷ってしまったらしい。
手早く老人を目的地に届けてあげよう。
3. 火事だ! 逃げ遅れた人がいるぞ! 〈意志〉〈生存〉など
―――キミが道を歩いていると、進路上で火事が発生している。
聞けば、逃げ遅れた人が屋内に取り残されているらしい。
とにかくどうにかなんとかして逃げ遅れた人たちを救出せよ!
4. ごろつきが市民を襲っている所に鉢合わせた! 〈白兵〉〈射撃〉など
―――キミが道を歩いていると、響き渡る悲鳴!
見れば、ごろつきが無力な市民を襲っているではないか!
ごろつきを無力化し、市民を救え!
このチャレンジ判定は、失敗してもリトライを消費することなく話を進めることができる。
(もちろん、失敗したまま話が進むので後味は悪くなるだろうが)
ただし、一人につき一つしか参加できない。
例えば1の判定に参加したキャラクターは、リトライを使用しても1の判定しか行えない。
-
じゃあ僕が2の判定を〈作戦〉で行うよ。
みちあんない!:ダイス合計:38 (1D%10 = [8] 1D%100 = [30])
――――成功!
『やあやあ』『おじいちゃん』『お目が高い!』『この優秀な』『ボクの助けを借りるとは!』
『じゃあ僕が案内するよ』『いやいやボクが』『ぼくが案内するよ』
20人位のライト・ロードがおじいちゃんを胴上げよろしく目的地まで運んであげた!
多分これが一番早いと思います。
-
【老人】「おお!? おお、ありがとうですじゃ……」
ご老人は多分に驚いていたものの、無事目的地に届けられた。
もうちょっとなんとかならなかったのかという気はしなくもないが、無事ご老人を助けつつ、キミは入試に向かう―――
-
ワオ!空を飛びながら下界の様子を見てまわっていたら濛々と黒煙が上がっている。
お目当ての超人種のヒーローは……まだ駆けつけてくる様子はなし。
これはヒーロー学校に入学を決めた者として助けにいかなければ
「おっけー、任せて!」
早川から支援を貰った、〈意思〉44%で判定。
diceBot : (1D100) → 85
ぐ、グリットで振り直しをさせてもらいます。
diceBot : (1D100) → 67
「ていっ・……あっ」グッ ボカーン
グッとガッツポーズをすると、燃えてるビル屋上の水タンクが爆発した。
地上世界って力加減が難しいね!
-
火災は鎮火できたし、人命も救えたが―――
爆発したタンクの破片で周囲に負傷者が出てしまった!
さらに水道設備にも無視できない被害が及んでいる。
キミは自分の力がもたらした結果に、何を思うだろうか?
まあともかく、判定は失敗だ。先を急ぐといい。
-
「あぁっ! あんな所に車に引かれそうな子がいる!」
これは大変なことだ。
ヒーローを目指すものとしてこれは見逃せない。
助けなければ。
「うーん、『術式レベルつー!』」
『魔法の言葉』を使用する(クレジット 12-1=11)
<霊能>の判定に+10%
そしてミス・セカンドから支援を受ける。
自分自身でも集中を使用(サニティ 16-4=12)
+30%
<霊能>が現時点で45なので足して75%だ。
diceBot : (1D100) → 41
これならブーストなしでもいけたがとりあえず成功だ。
「大丈夫!? 怪我とかない?」
車に思い切り正拳突きなどをかまして無理やり進行コースを変えてやろう。
へこんだりするかもしれないけどごめんね。
それはそうとこの子供がアプリとかしてて飛び出したんならそれはそれで正拳突きだぞ。
(うーん。術式レベルつーはイマイチかなぁ)
座りの良い魔法の言葉を模索しよう。
-
【運転手】「ぬおぁぁぁぁ!?」
なんか別の意味で酷い事になった気がしなくもないが、奇跡的に犠牲は車が板金7万円コースに乗っただけで済んだ。
あ、さっきも言ったけど子供は本当にボールを追いかけてて周りが見えてなかっただけだ。
【子供】「おねーちゃん、ありがと!」
子供のお礼を背に、キミは先を急ぐ。
-
「むっ……」
ゴロツキ……無視して進むことは容易だ。
万が一にも入試に遅れることなどあってはならない。
だが――――義を見てせざるは勇無きなり。
仮にもヒーローを志す者として、これを放置するわけにはいかない!
というわけで4番チャレンジ……《ミリオンパワー》使用!(ライフ25→23)
<集中>使用!(サニティ16→12)
白兵は55%なので……成功率75%!
diceBot : (1D100) → 17
問題なく成功だ。
「……そこまでだ!」
重量変動。
軽量化によって得た俊足で素早くゴロツキの背後を取り、鞘に入ったままの刀を叩きつける。
刀で殴る瞬間、重量を瞬時に倍加させる小細工も忘れずに、だ。
「安心しろ……みねうちだ」
峰じゃなくて鞘だが。
-
【ごろつき】「な、なんだてぐえっ……」
ごろつきはキミのスピードになすすべもなく、倒れた。
もちろん死んではいない。ただの気絶だ。
【市民】「あ、ありがとうございました……!」
市民の感謝を背に、キミは先を急ぐ。
-
_, :´: : : : :_: : : : : : > 、
. :´: : : : : : : : 彡ミヽ: : : : : :ー=ミ、
/ : ; ´ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
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.ィ: : :; : : : : :; : : : ! : /: : : :}: : : l: : : :}、: : : : :ト、: く
, -―――: : ´ : : : /: : : : : :!: : : :|: /:/: : :ハ: : : }、: :/ム : : : } '. }
/: : : : : : : : : : : : : : /: : : : : : :! : : : {/:/: } / }: : / }:〃,ィ: : : :∧ リ
. {: : :,. ´  ̄ ` ー イ: : : : : : : :{: : : : :V: :ム' ‐ナメ .ム'くツ: : }/ : '.
X( / : : : : : : r 、; : : : : {ノ_ .ィfン´ 、 リノ : : : :、
{:トゝ . ': : : : : : : : ヽ リハ : : :、 ¨´ , 〉 ': : : : : : : ヽ _ ―――入学志望の子かな?
乂 _ .ィ: : : : : : : :ハ! : `ー}: : :、:ヽ、 _ , /: : : : : : :ヽー 、: ハ
, :´: : : :  ̄: :ノ: : : : : :/: : }: : : : }リ从} `ヽ} ∠ ノ /、_:_: : : : : : :} }: : l それなら、そこのテントでボディチェックを受けてくれ。
/: : : : : : : : /: : : : :/: : : :ノ : : : ノ: :/ ハ> .. _ . ∧ \`ー-<:l__.ノ_: :|
: : : イ : : /: : : : :/: : : :/ : : /. イ / '. } '. ヽ ; V
: :/ {:/{:{: : : ; :彡': : :/: :r ´ ̄ / ; '. / ヽ 、 / '.
:/ 乂 `; : /: : : : :/: : : :| l / i! ,ヘ _/__厂丁`ー` \ / }
/: /: : : :/: : : /:| l / l| ハY⌒Y ノ ! > ,
.' :/: : / : : :/ : : | 、 `ヽ |レ'ヽ V/ム ∠ニ| _ . ィ´/ 〈ヽ
{: ハ:イ: : : : イ: : : : :.〉 ヽ/ ! ,ィ77人//\ } `ヽ V } }
'.{ {: {:{: / { : : : : :{ | ,ィ//, ´ |ヽ//ヽ | / ∨ / ∧
X:、: :、{: : :ヽ: : : : | | /// | \/ハ ./ニ=‐∨ / '.
/: :ノ: : :ヽ< \ : |_ ,ィ/> ´ .| /〉イ / ! / '.
―――かくして、四人は校門に辿り着く。
校門の前には、仮設テントが設営されており、一人の白衣を着た女性が立っていた。
ヒーローネーム“ドクター・ノーチラス”。ガーディアンズ・シックス所属のテクノマンサーだ。
【Dr.ノーチラス】「ボディチェック後にゲストパスを発行する。校内での行動に必要だから、失くしたりしないように気を付けてくれ。」
「それと、武装の類は一度こちらで預かる事になるが―――」
【Dr.ノーチラス】「―――実技試験前には、返却する。以上だ。」
その言葉が意味するところは一つ。
実技試験には、武装の類が―――必要な者には―――必要になると言う事だ。
シーン5『モーニング・ハプニング・ロード』―――End
-
シーン6:クエリー1/ナイトサムライ
―――筆記試験はつつがなく終わり、試験用の教室から全員が退出、ロビーで待機するよう指示を受けた。
この後は、休憩時間を挿み、面接試験と実技試験が残っている。
さて、ロビーでなんとなく時間を潰していると、校門前で出会った3人が目に留まる。
キミは声をかけても良いし、誰かから声がかかるまで時間を潰していてもいい。
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「(刀がないと落ち着かないな……)」
この数ヵ月、常に肌身離さず持っていたものだ。
規則であれば仕方ないが、どうも落ち着かない。
……幸い、筆記はどうにかなりそうだ。
次は面接と実技……なんとしても乗り越えなくては。
「(ここにいる全員……それぞれの想いを胸にこの入試に臨んでいる)」
「(負けてはいられないぞ……!)」
そんなわけで冬は、自然と瞳を閉じ、瞑想の構えに入っていた。
完全なるぼっちモードへの突入とも言う。
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,..--、 /`ヽ-
/∧>‐'-'ゝ, ∨ヽ、
//´ ,ィ ⌒ー', ∨ ∧
//イ .ハト、{ヽィzzx_ マニ=―ァ
{ ´从{{xz: : : ィzzリ´ マニ=<
ム ハfィzユ: : : :, :w, ハ ', ,、
<>'_人:_ _v_ツ:_;ム .} l´' ' 〉
>'、`ー<リル' , ィ ./ 「でさでさー、空から見てたけどすっごいよ2人ともー!」
/∧ ` >> ’ ,<
ヽ`ヽ、 l _, <
`!::::::::` ´ ノ
∨::: ∧
ノ::::::: ∧ゝ、__
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, イヽ、___, _/-'ヽ_` '
ヽ::::::::::::::::::::l::/::ヽ::`ー:::〈
L::::::::::::::::::/:::::::::\:::::,:/
ヽ_::::::/:::::::::::::::::::::/
l ̄\:::::_,ィ、::/.|
,′ .7⌒l .!
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「同じ顔が20人もいてワーッと動いてアリみたいに運んじゃうしさー」
「それに、超人?とは違うのかな!背中からグーッとナニカのエネルギーゲインが見えたり!」
その頃、地球人はというと道中で見かけた2人が会場にいるのを目ざとく発見。
自分の世界に取り込むべく交流を始めていたのであった。
「にしてもすごいねー。超人種って70年くらいの間にこんなに増えたんだ」
「……あっちの彼も2人とはちょっと違うタイプかな?おーーーい!」
独立した世界を構築しているサンプルを発見した。
アレは一部の動物が身を守るためにやる「休み時間中は寝たふり」というやつだな。
興味深い、ちょっとこっちの取り込んでみようと話しかけにいった。
-
__
{////// ヽ
r‐、,..イ///
人 甘 l==L
, -'">''⌒丶、く.、r‐、 _
, -'"⌒ : : : : : : : : : \しY : : \
/: : : :./: : : : : : : \: : : :ヽし、 : : : :}h、
' : : : ; :/ : : : : l匕⌒: ヽ: : : :',_ソ: : : : :丶 〕iト
/: : : :/- ミ: : : : l>、ィ芹符ミ: : : l_ソ : : : : : : ヽl: }
_.,': : : : l: :l弋ト、: : :Y'´トィJ 7: : : :lマヘ : : : : : : : : }
//{: : : : :',: r‐ミ `ー‐ 乂zアl: /: : lノ } : : : : : : : ‘ 「先祖返りっていうんだって」
〃/ : l: l : : : 'vi⌒` 、、、l/: : :/ }:ト、: : : : : : :‘
{:レ: : : Vl: : : ゞ〉、、、γ ヽ l: :/__ ノ' ヽ: : : l\:}
{:l:/ : : : 入: l: :l ゝ ノ _,,.ィ:.イ {_}{ ̄з }l : / }'
lヾ: : : :/ {f |: /` ー--rァ<‐7/、弋У `¨ ノ/
∨{ : : l |:.{ __,ィアレ'^/イニ寸¨ 「あたしにもよくわかんないけど、ペポペポって感じだよね〜」
\: { ヾー ゝ辷/斗゚┼-=ニl
ゞー ィi〔大= L_ `ー─-、
r=ィi〔三 ̄ニ\ ゝ'^ー'' ̄/つ
ヒ⌒ _Y⌒YY辷\ /ュソ‐'´
ゞ─ゞ'" |ニУ⌒ ̄
ヾ=ム
ヾJ
「七十……?」
お前は何歳なのだろうか。
ただ女性に年齢を聞くのは失礼だろうとカレンはスルーすることにした。
「ねぇねぇ! そこの君ー! 何て名前? あ、あたしは水嶋カレン。パピッとよろしくね!」
「カレンちゃんでも、カレンでも好きに呼んで〜。仲よくしてね☆」
-
『フフーフ!!当り前さ!何せボクは世界の至宝だからね!』
地球人相手に思いっきりぶちかまし居丈高になる。鼻はもうそろそろ大気圏を突破しそうだ。
基本的に褒められると天に上るし頼られるといくらでも手助けする。人手はいくらでもあるからな!
『そう、僕こそが天才!最強!大喝采!!この世界を守るヒーローに相応しい存在なのさ!』
『おっとサインはお断りだぜ☆』『え?欲しい?えーどうしよっかな〜〜〜』『ううん仕方ないなあ、皆にはオフレコにしておいてよね(キャピ』
『☦人類最高ζにして偉大なる至宝ξライトロード☦〜早川英雄〜』とか書かれたサイン色紙を君たちに配ろう!
裏にはハヤカワ・インダストリのことも書かれているからジッサイ名刺だ。
もちろん瞑想中の男にもこの奥ゆかしいサイン色紙が配られるぞ!
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ア:::::::::::::::,、ヽ`::::::ノ:/:::::::::::\(::::::h
ー=彡:::::::-=ニ::::::::::::/::Λ:::::::::::::::::゙,:::::::',
/:::/ ::::::ィ:::::::::ムイ::::::゙、::::::::::::::::゙,:.:.:.\
厶:/:/:::/:::::::::::/ V::::::::::i:::::::::,、:::::゙,:.:.:∧\
}//イ:::/:,イ:;::::::/jI斗=≦::::::i::::::/ハ::::{:.V ∧
}{::/:/::::/__{:::;::::{ イ迩芽}::::::jj::::}'〉 八{::::V{
八{::{::::弋莎トミ{ __ :}:::/ |::/_ノ|:::::::::::|ヽ
`{:::八 ,' u }/ ,ノィ「::::::|::::::::::{ (なんだかすごい人たちに話しかけられてしまったぞ……!)
乂ト、:、` 从::厶::::::::{
jh゙ 、 - ¨¨ / |/ /八:::::{
}イ:\ ./ ⅰ/イ |Λ{__
}八:ミo。-く j八i{ 从。s≦⌒ム
}イ}:沁 /_。s≦=二二二二ム
_。s≦_ノ:::::从 。s≦ニニニニニニ。s≦ミh。_
。s≦ニrセア:::::::::::八 Vニニ(◎)ニ=。s≦ニニニニニミh。_
イ〔ニニ∧:/::::::::::,イ Vニニ=。s≦ニニニニニニ//ニニミh。
_。s≦ニVニ。s≦{:::::/ ,' ,孑≦二二二二ニニニニ//ニニニニム
{ニ|ニニイi[7: :ノイ/ / , -''{ニニニニニニニニニ/-/二二ニニニニ
{ニiニニ{i///: : / / ‘,ニニニニニニニニニ{_/ニニニニニニニニ
{ニiニニ{i//: : { { ./}二二二二二二二二{(二二二二二二ニ
{ニiニニ{i/.: ヽ {__。s≦ .八ニニニニニニニニ{{ニニニニニニニニ
ⅱ:,'ニニ;/ }「 / ヤニニニニニニニニヤ二二二二ニニニ〉
|_:,'ニrV 八__。イ ヤニニニ_ -=ニ7二ヤ二ニニニニニ∠(
|_,'ニニ/ i『・Υ 。ニL__ 。s≦ニニマニニニニニイニイ=V
|,'ニニ/ i{彳}i Vニニニニニニニニマニニニニ/ニ/二ニV
l:l二/ V人 Vニニニニニニニニマ二ニニ{ニ/ニニニニV
|/=イ{ Vニニニニニニニニマニニニ{:/ニニニニ
流石は超人種……なんて凄まじさだ……!
交わす会話も、その在り方も、躊躇いなく他者に話しかけられるコミュ力も、あとなんかその数も、驚嘆に値する。
しかし話しかけられたからには返事をしなければ無礼と言うもの。
名刺……名刺?色紙だこれ。を受け取りつつ、返答しよう。
「ああ……俺は春夏 冬(ハルカ・トウ)だ」
「秋無しの春夏秋冬でハルカ・トウ……よろしく頼む」
よろしくも何も、ここで落ちれば二度と会うことも無い気もするが……
……それを口にするほど無粋でもない。
縁起でもない発言は、場の空気を悪くするだけだろう。
「しかし……お前たちは、すごいな」
「俺は次の面接と実技を思うと、緊張してしまうよ」
三人とも、随分と明るい。
これから試験などと感じられないほどだ。
-
※なおOPとは外見が変わっているように見えるが、これはライターとイラストレーターの齟齬に由来する設定の修正である。
作画ミスとかAA選択ミスとかではなく、ライターとイラストレーター、そして出版社の和解は成立済みなのでごあんしんください。
-
_ =ニ ̄ ̄ニ= _
/_/: -─ミ: : "'- 、: : :.r、
r‐ミ ,ィ/:/:.\: : : : : : : : \:.L Y^ぃ、
___) ∨: :/: : : : : \: : : : : : : : ヽ〕r¨〈 : ヽ
./: とこ)〉 : : : ハ:{: :\: :\ : : : : ',: : V辷ノ : :',
': : :fY^7: : : :/ ヾ\ : \: :__ : : ',: : マ__ノ : : ',
| : : 辷7 : : : l -─=、: : :\\: : : :l: : lゝ) : : : |
|: : :r=ア : : l:.l \``'〜,ィ示斥ャ: : lァ=': : : :| (なんか変な色紙もらった。ハヤカワ・インダストリ……?)
| : : lゝl| : : l:.l r=尤ミ '゙ 弋zソ ト: l☆: :l: : l、
|: : : :☆ : : lfV` ヾzソ l: :l☆: :l: : :',
|l: : : ☆l: :l:l ゝャ ' /: :ll: : : |: : : ',ヾ
|/: : : : ハ: lヾ ゝ __ f¨Y7//-ィ/: 八: : :| : : : } }:',
/: : : : : :从:l 、 r=rオ ヽ^i }V/フ' l:/ l: : | : : : } }: l (これはパパに上げようっと)
/:/l:ハ: : : : / \ 〈ヾ l |‐' 乂\ /: : | : : / l: l
/:./ 乂: : : {__,,.. .-‐八 、 トャノ`ヽ \‐':.//ミi l: '
{: { l:ゝl : : l /_ -\ ハつ l 乂' '⌒Y/
{: { r寸ミ: :rr‐vv'⌒ヾ==ノヽ Vつ j/ ̄ ̄ / l
ゞ=-\ニニ={{⌒⌒/>‐'ニニ) V¨ミイYつ ノ / /
色紙を思い切り四つ折りにする。
ぐにゃぐにゃの四つ折りにする。
「とうっていうんだ。パピパピッとよろしくね☆」
「面接も実技も別に普通じゃない?」
「だってあたし達おんなじ……えっと、完全におんなじじゃないけど、超人種なんでしょ?」
「だから大丈夫だよ! 全力でぶつかればピプペポパーフェクトッ☆」
超人種だから大丈夫とか言う脳筋とも言いきれない感じの理論である。
「あ、ねぇねぇ! とうって何が出来るの?」
「新幹線受け止めたりとか、ドーム球場を持ち上げたりとか出来る?」
-
『何を言ってるんだい!』『君が緊張するんじゃない・・・彼らが緊張するのさ。』
『そう!ボクというビッグネームを迎え入れることについて彼らは対応に苦慮しなかればならない!!』
『まあ、スカウトに来なかった非礼はぼくの寛大で広大無辺な瀬戸内海のごとき心で許してあげるさ。』
肩をすくめて春夏冬の問いに答えよう。
『君も僕の足元程度には優秀な凡人なんだろう?超人種扱いされたってことはさ。』
『優秀な人間は他人に自分が優秀だと見せつける義務がある!』
『いつも笑って世の中はこんなに楽しいのさって凡人に教えてやるのが天才の仕事だからね!!』
『いつも笑顔で、リラックスの仕方は覚えた方がいいぜ!』
〃イVミハV/ハ マミ==-//////////ハ ,. ―― 、
リ,イlヽVトィムマハY、ー'ミ////////////ム. /
/,イ/ハミ〈ヽ' .l`マlイヽ`リ|//////////ムミ、`ー | ┐
l/ .ll//ハ、リ-、 ' Ⅵ lリハマムチ'///,Zム―-、 | そ
|! .V,トミム' f,、ヽ l! 〈: ヽヽ/ __,ィェzzzzi! |. う
ヽl| ヽ.ハ,ヾj ' ! ';... / ,ィ仁三三三ミV だ
ヽ、 } :..:.、 : / // `´ !
` ヽ、 /ヽ、 ;::.:.:.V // └
'ー.、ヽノ .:::;ィ././,i
ヽ_/ .〈,.イ/! ┐
//ニミ| 思 エ 本 僕 .rイハ
〈l'/トミ| っ ロ 屋 .|//ハ
V/〉, . て 本 さ 帰 |///ハ
____ ヽ/| .た を ん り .|////ハ
, <〃 ハ `| . ん 買 .に に |//////l、
/ =〃= ,.イ ヽ | .で お 寄 .|//////|ハ、
/ 〃 , .< ヽ / l|. す う .っ |//////|'ハ
ト、__, < V/ .l|. け と て ..|//////|/l/l
V//∧ ,ィ'___ .l|. ど l//////,l/|/!
V,//∧ .ィ´/、_//、_,`l| └ ハV//////,l/!
 ̄ ̄` '´〉/,仆、_ ヽ ハ.V///////!
じト,/イ 〕テト、 \ ,イ//////////,|
トイ / /ハ,`ーi'/ヽ、 _,.イ////////////|
しイ/// ,ハ`ーl////777777チ/|'/////////////,|
`.イ//,イ. V///////////|'/////////////,|
『君も一緒にいかないかい?なんか君巨乳とか好きそうな顔してるよね?』
早川くん、初手からブッコんだぁ――――――!!!
-
「わぁすごい!粉砕して四角く再形成された植物繊維だー」
「私は、うーんと――――……」
パスポートを取り出して確認。なにか地球っぽい名前を付けた気がする。
地上活動用のボディは容量が小さいので、搭載する情報量を取捨選択してきた。
電気信号を使った神経塊からの情報検索って時間がかかるね。
テラザワ
「――照澤 るうど!よろしくね」
「むしろ不安さからじっとしてられないとか、周りを知りたくなるニンゲンもいるともさ」
硬直して危機をやり過ごした生き物もいれば、暴れて抵抗する生き物もいる。
うん うん それもまた生存戦略(たようせい)だね。
-
くっ話題の矛先が一気にこちらに向いてしまった!
いや、別に嫌というわけではないのだが。
「新幹線は……決死なら受け止められるかもしれない」
「ドームは無理だな。大きすぎる」
「どこにでもいるような……いや、超人種はどこにでもいるわけではないが……ありふれたサイオンだよ、俺は」
サイオン。
突然変異によって生まれついて異能を持つ、新人類。
恐らくハービンジャーと並び、最も超人“種”の名に相応しい存在。
……ヒーローの活躍でマシになったとはいえ、謂れなき迫害はまだまだ多い。
冬自身、幼少期はそのような経験がある。 オリジン
とはいえ……超人種揃いのこの空間なら、さして眉を顰められるようなこともあるまいと、自らの出自を明かした。
「……ああ、その」
「すまない。ポルノはあまり……いい思い出が無くてな」
根っからのストリート育ちだ。
ポルノと言えば、“実物”か“自作”かという世界だった。
……そういう道に引きずり込まれた者、それ以外の道を選べなかった者、それらに全てを壊された者。
それらを思うと……どうにも、気乗りしない。
「だが、買い物と言う事なら喜んで付き合おう」
「試験の結果がどうであれ、不安を紛らわすには丁度いいだろうしな」
「(……しかし、照澤と言ったか……偽造身分か?不思議な子だが……)」
やはりここにいる以上、なんらかの“事情”があるのだろう。
自分にしても、照澤にしても……カレンにしても、早川にしても、だ。
自分はサイオンだが、そうでない者もたくさんいるだろう。
それぞれの事情、思惑がある。
……全員が受かればいいのにな、と。
現実性をさておいて……冬は心の中で呟いた。
-
「こんな小さい体で何百倍も大きな鉄の塊を押しとめられるの!?」
「人間の進化ってすごいなー……おっと質問攻めになっちゃってるよ」
冬の表情の変化を敏感に察知する。
だが、父から与えられた人の心のマニュアルに沿ってるだけなので、心の機微というのまでは分からない。
この場で必要以上に踏み込むべきではないかと判断してみる。
「みんなが他にも何ができるかとかは本試験で見れるでしょ。見れるのかな?本試験何やるんだろ?」
-
『笑顔でいろっていったろー!暗い奴だな!!』
しかしポルノがダメときたか・・・女性の裸が嫌い、なのか?
少し距離をとって尻の穴をおさえておこう。
『武器とかどうとか言ってたからね。本試験は戦闘でもするんじゃないの?』
『ゴジラとか出てきたりして』『マグロ食ってる奴?』
『それがありならコンボイもアリじゃない?』『この校舎が変形したりして!』
『『『『『HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!』』』』』
-
「本試験……? 瓦割とか?」
本試験というものをなんと考えているのだろうか。
「まぁでもあたし達ならパピっと合格できちゃうよね!」
「あ、とうは何が得意なの? あたし、すっごく気になるな〜」
-
「……例えば……銀行強盗の現場を再現し、解決して見せろ、とかか?」
「あるいは災害救助か……いずれにせよ、『ヒーローらしい』ことをするのだろうな」
まさか身体測定をしておしまい、ということはないだろう。
100m走に刀はいるまい。
「特技、と言っていいのかはわからないが……剣術を少し」
「見せ物でもないが……そうだな。試験になれば、わかるだろう」
「……あるいは、合格して肩を並べれば、な」
-
「ヒーローらしい……『ヒーローらしさ』か」
「災害救助は、ここに来る途中に失敗しちゃったばかりだからなー」
/ ハ V / ノ´:{::}: : : : : / / /  ̄ \\\ \`>
V ノ / {: : : / l: : : :〃 / / \\\ \
/ / イ{:./ l: // / / / / ̄\\\ \
l / /´ | / { { / / ̄ \} \\ _ノ
, ´ , '´ |/l ∧\\ / /: : : : : : \ ヽ ヽ、
/ / ;′ l / . : \ V /\: : : : : : : \ \ \
{ . . : . :.! i . : : : : : : :. l / / :`ー':/: : \: : : : : : :..〉 \ | 「火災現場でパワーを使った後からミョーに体が重いし……」
| '、、. : : : : : : . ′: : : ノ : / : /: :/: :/: : : : ./ / \|
乂 '、\ /〈: :/: /: :/:/: : : :. / / 「細かい作業じゃなければ自信あるんだけれど!」
{ ≧=r‐=f´ ≧=-----=彡 V: /: : /: : : :./{ { /
L_ _ ノヽ V: :/: : : :/ i i /
_ ノ ト、 r一' ´: : : /:.:.\ ヽl |
ゝ -イ l ヽ /: : : : : . イ: : :\ \ | |
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{ { { V L_ \: : : : ニノ: \: : \|
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_ ノノ: : /: ://: :l l: : : :i: : : : /: : : : : :l: : :l : : : : :\ \|
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地上活動用のボディを抑え込んでいる太母結界の影響か。
消耗も精密動作も、どうにも地元とは勝手が違うな。
「うん!ただ競争になった場合は恨みっこナシだよ!」
-
『ヒーローらしいことか・・・任せな!』
『こんなこともあろうかと専用BGMも作成済みだぜ!!』
どこまでもネアカな男である。馬鹿というかもしれない。
『まあ競争になった時は悪いことするね。僕が勝つに決まってるからさ!』
-
「へぇー剣術が出来るんだぁ。あたしはねぇ、空手とか得意だよ」
正拳突きの空にはなとう。
いい音だ。余裕の音です。馬力が違いますよ。
「ヒーローらしいことかぁ……全然おっけぇー」
「競争になったら、その時はお互いに頑張ろうね。絶対負けないんだから!」
-
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{/:.人: : :〈\:\ : : : : : : : : : : .、: : : :<⌒`
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厶ィ:V⌒ヽ\、⌒fッ\: : : : : : : : : :>: :\⌒
|:人l⌒{⌒乂___ノ V: ∧: : {\{: : T⌒`
|: :/l |、 Vソ \{: : : ハ〉
V l | __/: : : / ―――はい、伝達事項がありますので静粛に。
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厂// / {⌒l _ ィ {/}: : :{ / ̄厂 7
,' { { { |―=≦⌒ /}/\>_/ / /
il { |{ { ̄「 ̄ 7⌒_ ノ 7 / /\
i| 八r―r―‐┐// / / / 、
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i| ' l l ^\ \ \ \ l
i| / l l\ } \ \ \ ノ
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, 〈⌒} } } 7 { /^ イ / /∧ ', ∨
v ⌒ ̄ ̄ { ⌒/\/ // l l |
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―――受験生同士で親睦を深めていると、眼鏡の神経質そうな男性がやってきた。
彼は“ザ・ウォッチャー”。報道などにはほとんど姿を出さないヒーローである。
能力についてもよく知らない者が多く、知名度は低い。
【ザ・ウォッチャー】「これから面接試験の時間となります。受験番号を呼ばれたら、指定の教室に向かってください。」
「経路については、そこに地図がありますのでご確認を。」
【ザ・ウォッチャー】「待機中は引き続き歓談していて構いませんが、うっかり自分の番号を聞き逃したりしないように。以上です。」
シーン6『ブレークタイム』―――End
グリット+1―――現在のグリット:4
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シーン7:クエリー2/ミス・セカンド
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ト、} 人  ̄〕ト----一'’ 厂`ー- __
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さて。キミの番は最初から2番目であった。
ノックをすると、初老の―――しかし重々しくも力強い声が入室を促す。
中にいたのは、白髪の男性。生涯現役を標榜するジャスティカ、“マスター・ドラゴン”である。
【マスターD】「ま、楽にしてくれて構わん。いつも通り、普通に答えてくれ。」
「いつも通りでないと、面接の意味がないのでな。」
-
「よろしくお願いします!わかりました、いつも通りですね!」
この身体に詰め込むために記憶とかの容量をずいぶん削ってきちゃったから、
実質今日生まれたばかりみたいなものなのだけれど。
まずは、ちゃんとマニュアル通りに入室して着席。ズシン、ミシッ。
-
ちょっと椅子が妙な音を立てた―――ような気がしたが、とりあえずいきなり壊れると言う事はなかった。あんしんだ。
様々な超人種が通う事を想定しているのだろう。椅子も机もかなり頑丈だ。
【マスターD】「うむ、結構。儂は君の面接を担当するマスター・ドラゴンだ。宜しく頼む。」
極めて礼儀正しく名乗られた。
やや上から目線ではあるが、現状キミ達は受験生で、彼らは教師である。
当たり前と言えば当たり前なのだろう。
【マスターD】「さて。今朝、東通りのビルで火事があったと聞く。」
「なんでも給水タンクが突如爆発し、鎮火こそされたものの飛び散った破片で周囲の野次馬が負傷したとか。」
【マスターD】「―――これは、君の仕業だな?」
-
「はい、そうです。炎が上がっているのが見えたので」
「周囲に消防やヒーローが来ていなかったので、被害が大きくなる前にと私が対処しました」
「まだ元世界と地球との差で、精密性にはブレがありますが調整してゆくつもりです!」
失敗したことを自認している≠反省している
-
【マスターD】「誰かの到着を待ってはおれぬと行動したこと、それ自体は褒められて然るべきこと。」
「だが、引き起こした結果については反省が必要だ。」
【マスターD】「ヒーローの活動に“次”はない。別の場所でどれだけ良い結果を出しても、失敗した現実は覆らぬ。」
「どうもハービンジャーと言う奴はその辺りを軽視する奴が多い。真摯に受け止め、今後に活かすように。」
なんだか面接と言うより授業―――いや、説教めいてきた。
老人の説教は長い。キミの得ている情報にもあるし、実際神界でも古い神ほど説教が長かったものだ。
【マスターD】「―――ま、やってしまったもんは変えられん。そして失敗は未来に活かさねばならん。」
「よろしい、君の今後のためにも、少し考えてみるとしよう。」
【マスターD】「再び君が同じ状況に置かれたとしよう。ただでさえ慣れぬ地上で、パワーの制御は未熟な事が判っている。」
「君はこの場合、どうするのが正解だと思うね?」
と思ったら早々に切り上げられ、問いが投げられた。
この老人、中々思い切りが良い。
とは言え、一応これも面接である事を思えば下手な解答はできない。
実際に今後同じような状況に置かれる可能性も十分ある状況だ。
であるならば、その時キミがどうするのか? これを考えるのは、キミにとっても意味のある事だろう。
さあ、キミはどうする?
-
「(現人類なのに、実家のような既視感!)」
「正解……より良い結果をもたらすような方法、ですか?」
「環境ステータスは同じの状況でのシミュレーション……ううん」
制御の失敗は自分でも想定外ではあったが、あの場では最適解の行動と思えた。
しかし、人命にかかわる制御ミスがあると知っていたらどうだろう。
照沢るうどは地球「人」だ。
自分と近い形を持つモノに共感を覚えるし、生命全て平等という機械的な割り切りはしない。
人が生み出した大きな時代の変化を観測しに来た。
その選択肢を大きく損なってしまう可能性となると、難題だ。
「一番いいのは、他のヒーローや消防を呼ぶ―――」
「……でも、できないです」
「私は地球に来たばかりでヒーローたちの居場所や、誰が状況を変えられるのかを“知らない”」
少し、返答に詰まってしまう。
-
【マスターD】「―――ま、今この場で答えを出せとまでは言わん。これは面接であって、授業ではないしな。」
「この場は宿題としておこう。また今度、会った時にでも聞かせてもらおうか。」
【マスターD】「とは言え、儂は待てても現場は待っちゃあくれんからな。きちんと考えておくように。」
そう言うと、マスター・ドラゴンは手元の書類に何やら書き込んだ。
これは―――よい手ごたえなのか? 人間関係を知らぬキミが推し量るのはちょっと難しい。
―――その後は、特記するほどの事もなく、面接にありがちな質問ばかりであった。
最初の質問は難しく、未だ答えは出ていない。
が、今ここで答えを出す必要がなくとも、いずれ必ず問われる事だ。
必ず、答えを出さねばならない。
【マスターD】「―――では、以上で面接試験を終了する。」
「案内の者に従い、一足先に実技試験の場へ向かうように。」
-
「分かりました……」
「私が貴校を志望した理由は―――――」
「暗記するだけの勉強ではなく―――より創造力豊かに――――」
「はい、10代以前の火山活動を通して学んだことは――――」
「最近見たニュースは――――産業革命以降の人口推移に感動を受け―――」
その後は詰まることなく、回答してゆく。
「――ありがとうございました、失礼します」
マスターDの言う通り、現在地球上にはヒーローヴィラン問わず、
多くのハービンジャーたちが公に姿を現し活動している。
地球侵略をたくらむ悪神や宇宙人、その力を悪用する者が現れたというのなら、
公平な地球視点から、淘汰を見守るだけの時代は終わった。
これからは自分も積極的に干渉してゆく。
「(安全性の高い選択肢……うーんうーん)」
照沢るうどに『待つ』という選択肢は浮かばない。
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/ ' /´ \彡ニ=-、゙、l ,,.z=二ミ、ヽ::::::::l
/ , l r‐'`ヽ、_,j --┬┬―――┬-- 、.|_:/
/ / | r=ヽ l | || _ | | ,ィ'ス
''´ / `ー'"´ `ヽ、_| || / ゙、 |l,.-'"| lヽ )
-‐' ,.-‐''"| ̄ ``''ー' `ー''" l:/ノ/
/ ヽ:l , 、 ,. , k'‐' お疲れさん。
__,,.-‐--‐''"´ r''l、 `''ー―――‐一'' / \
|ヽ、\ -‐‐‐- /l /⌒7 1名様、安全運転でご案内だ。ついてきな。
-――ァー---- 、...____,,| l ヽ , ' l/ /
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:::::::::\ ヽ、 | `'ー‐'' / / \ ̄``ヽ
::::::::::::::\ \ | / / / ヽ::::::::::
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教室を出ると、やや軽薄そうなサングラスの男が待っていた。
ヒーローネーム“スピードキング”。最速のヒーローを自称し、メディアの露出も多いヒーローだ。
キミは、“宿題”について考えつつも、彼の後を追った。
シーン7『クエスチョン/インストラクション』―――End
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グリット+1―――現在のグリット:5
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シーン8:B×B
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j}  ̄ ̄}¨¨´ 丶 .:仁ア| || }=}}〕iト _ 〕iト._
圦 ヽ .,,_ -‐/ニア.=| |_}/二二二ニ=- _ \ どうぞ。
「Ⅵ\ /^ニニうニ´ニア゙ニ=| ||二二二二二二二-_}i
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|二j .|二二二二二二二_j⌒'\二二二/{ 二二二二二二-_
|二| |二二二二二二-ア _≧=-/ / 二二二二二二二-_
〈'⌒| |二二二二二ニア _ア{_/ {_ ‐-=ニ二二二二
〈_二| |二二ニニ-ア´--=≦ア´ / }=-‐'’
. }二l \‐- .,,__|i二二二ア゙////_ア´ (_/
. /二.}i≧=\ `¨¨¨¨}/¨¨¨¨¨¨¨´ / 〉 _ -=ニ
/_二/ ////∧ r-‐' _ア _ -=ニ二
二二{'//////∧ 圦ニニア _ -=ニ二
二二{////////} }-=ニ二
キミのノックに答えた声は、聞き覚えのあるものであった。
先ほど面接のアナウンスを行った眼鏡の男、ザ・ウォッチャーである。
キミを見たとき一瞬ぎょっとしたのをキミは見逃さなかったが、彼もプロと言う事か、すぐに表情を戻してしまった。
【ザ・ウォッチャー】「―――と、すまない。君の面接を担当するザ・ウォッチャーです。よろしく。」
「ま、楽にして。普段人と話す時と同じ感覚で話してくれればいいよ。」
【ザ・ウォッチャー】「願書によれば、呪いか何かの影響―――多分自己防衛反応かな? で最近目覚めたばかりと言う事だね。」
「で、なっちゃったものは仕方ないから、制御の方法とか、上手い付き合い方を模索して、うちに行き当たったと。」
【ザ・ウォッチャー】「身体の方に異常とかはあるかな? 気分が悪いとか、どこか痛むとか。」
-
>>83
(失礼な先生だなぁ)
ぎょっとされる覚えてというのがない。
いや、なにかしているかもしれない。
この力は制御できていないのだからどこかでなにかやらかしたのではないかと内心ひやひやする。
「はい! あたし、水嶋カレンです☆」
いつも通り自然体だ。
「そうなの、いきなり超人種になっちゃって、道場にも行けなくなっちゃったし……」
「それにここでヒーローになるのもいいかなってピピッときたの!」
「調子……? うーん、背中がムズムズするかなぁ」
「パパは変なのが出てるって、これ」
スマホの写真を見せよう。
-
・ ・ .・ ・
【ザ・ウォッチャー】「―――ああ、大丈夫だよ、見せてもらわなくても。もう視えてるから。」
スマホを差し出すのを制止された。
なんでも、君の背中からはなんかオーラ的なものがじわっと出ていて、彼にはそれが視えているとの事だ。
初見でギョッとされたのも、それが見えてしまったからとの事である。
説明ついでに、初対面の相手にちょっと失礼な反応をしてしまった事を改めて謝罪された。
【ザ・ウォッチャー】「なるほど。人助けに使ってみるのも良いかなと思ったわけだね。」
「うん、現役のヒーローにも、そういう理由で活動を始めた人はたくさんいるよ。」
【ザ・ウォッチャー】「ただ、長続きしない事も多い。楽しい事ばかりじゃあない―――と言うか、むしろキツい事の方が多いからね。」
「人によるけどメディアのバッシングとかもあるし、救助に失敗して遺族から恨まれたりもする。」
「中にはそういった周囲の悪感情を煽って、ヒーローの活動を妨害するヴィランなんてのもいる。」
考えてみれば当然の話だ。
単にヒーローになる、と言うだけなら、それこそ『僕はヒーローです!』と言えば、今日からキミはヒーローだ。
だが、ヒーローには辛い面も多い。周囲から活動を常に見られ、失敗すればバッシングも受ける。
時に人命を左右するだけに、周囲からのプレッシャーも大きい。
ザ・ウォッチャーが言っているのは、そういう現実だ。
【ザ・ウォッチャー】「そう言ったことに実際直面したとしよう。負けない自信や立ち直れる自信、あるかな?」
-
「え? ……いやん」
なんか透けて見られていると思っていたらしい。
謝罪には丁寧な態度で対応しよう。
そういう世界では上下関係というのが大事だったりする。
「……」
ウォッチャーは別にこちらに意地悪をしたいわけでない事を理解できる。
今までたくさんの生徒を見てきたから言えることなのだろう。
カレンは憧れや綺麗な面を見て入学を志した素人だ。
そういう現実をまだ知らない。
「先生、あたし負けないよ」
強がりではない。
「あたしはね、強くて可愛いパピッとしたヒーローになりたいの」
「負けるのも立ち直れないのもあたしの思うヒーローじゃないし、そんなのあたしらしくない!」
「だってあたしのヒーローの……あたしのパパもママも、絶対に立ち上がってきた人だもん」
「あたしだって、パパとママの子として負けてらんないんだから☆」
-
【ザ・ウォッチャー】「なるほど―――」
ザ・ウォッチャーはキミの回答を聞くと、小さく頷いて手元の書類に何事か書き込んだ。
なんとなくだが、キミは好感触を得たように感じる。
キミなりに真面目に答えた甲斐があったというものだろう。
【ザ・ウォッチャー】「―――うん、以上で面接試験は終了しようか。お疲れ様。」
「廊下に案内担当がいるから、退室後はそっちの指示に従って。」
その後、2〜3程度の簡単な質問を経て、面接試験は終了した。
恐らく、最初の質問以外は形式的なものだろう。本当に何処でも聞くような質問ばかりであった。
【ザ・ウォッチャー】「それと、その呪いだけど―――よかったら、後で専門家の診断が受けられるように手配しておこう。」
「男の僕が診るより、女性に診てもらう方が色々気楽だろうしね。」
-
(やったね バッチリ好印象!)
好感触でるか確信はないがそんな気はするので内心ガッツポーズである。
「うん。先生ありがっとー」
「……あ、ねぇねぇ。呪いが解けちゃったらあたしって普通の人間に戻るの?」
-
【ザ・ウォッチャー】「礼はいいよ。もしかしたら、僕らの不始末の皺寄せかもしれないしね。」
「―――最近は、そういう事件が多いんだ。僕らも頑張ってはいるんだけど、いかんせん後手に回らざるを得なくてね。」
もしかしたら、何者かの勘違いや逆恨みとかではなく―――ヴィランによる無差別な攻撃であった可能性もある、とのことだ。
もしそうであったとすれば、たまたま呪われた事を恨めばいいのか、周りの人らが呪われなかった事を喜べばいいのか。
いずれにせよ、ヴィランの脅威と言う奴は思ったより身近にあるものだということを実感させられる話であった。
【ザ・ウォッチャー】「いや、恐らく君のパワー自体は元から持っていて、その呪いから君自身を守るために目覚めたものと推察される。」
「だから君があえてそういう処置を望まない限りは、一度目覚めた力がまた眠りにつくと言う事は、まずないと思うよ。」
朝、目覚まし時計の音でスッキリ目覚めたとしよう。
仮に目覚まし時計の音を止めても、キミはすぐさま眠りにつくだろうか?
まあ、時には二度寝する事もあるだろうが、基本的には起きたままだろう。
鬼の血がキミ、目覚まし時計が呪いだ。
まあ、キミとしては良い事だろう。ヒーローになろうと意気込んだ矢先に治すとパワーがなくなりますとかだと、文字通り出端を挫かれる形になるしね。
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「ふうん。そうなんだ」
「じゃあ、あたしがもしヒーローになれたらそういうのからも皆を守るね!」
呪いによってカレンの道は開けた。
ただみんながみんなそうではないだろう。
カレンに流れていたものが目覚めたからこうなったのだ。
そうでない人間が呪われたらどうなっていただろうか。
「大丈夫なんだ。安心した。先生、教えてくれてありがとう」
「えへへ」
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【ザ・ウォッチャー】「うん。合否とは関係なく、君が皆を守れる頼もしいヒーローになる事を願っているよ。」
たまたま対象がキミだったから、今の状況がある。
もし他の誰かが対象だったら? もしその人が普通の常人種だったら?
不安は尽きないが、同時に―――狙われたのがキミで良かったという気持ちがキミの中にあるのなら、キミもまた立派なヒーローだ。
【ザ・ウォッチャー】「さ、そろそろ行った方がいい。案内の人が待ちくたびれて眠っちゃうかもしれないからね。」
穏やかに退出を促され、キミは教室を出る。
―――誰もいなくなった教室で、ザ・ウォッチャーは一人、呟いた。
【ザ・ウォッチャー】「―――今年は、面白い子が多いなぁ。」
シーン8『アウェイクン・リトル・ヒーロー』―――End
-
シーン9:ライト・ロード
|: :/| : : |: : : :ハ ll: : :/ |: :|: :/__| | |: : |: : : : : :||: :|: :ヽ
| / | | |: : : :| |:|ヽノ | /|/ ヽハ/|: /|: : : : | |ヽ |: : :ヽ
| | |: : | |: : ハ|ー-ヽ、 ハl/リ ,イ弋夕フゞ// : : : : | | ヽ: : |: : \
| | |: : |: : : :| ,-i--iゝリ  ̄三三´ リ/: :/ : : / |: : ヽ: :|: : : :ヽ
レ /|: : | : : |弋彡イ .i /: /|: : / リヽ_: :ヽ |: : : : : :ヽ
∠ハ :|: : : |. ~~~. / /:/ .|: :/,、 ) ノヽ、l |: : : : : : : : ヽ、
/ヽ |: : : :ミ ヽ レ / / --イ/: : : : : :!: : : : : : : : : : )
レイヽ!: : :ヽ レ ,--イ|: : : : : : ヽ: : : : : : : : /
| : : ヽ ____ / .| : : \::: : : : : :ヽ: : : : : :/、 ―――それでは、実技試験の説明を行う。
|: : : : \ ´ __ , ヽ: : : :ヽ: : : : : : ヽ、: : /: :ヽ
|: : : : : : \ , イ / .,ヘ、: : |: : : : : : : : |: ::|: : : : ヽ、
〉: : : : : : : _>ー-、ー、イ |/ ー-|: : : : : : : /: ::|: : : : : : : ヽ
/: : ,へ´ `ヽ、_ \ \ / //: : : : : / `' - 、: : : : : :
. , -イ / , \-,,, ヽ-、 \─- 、 / ̄: : : : : / ` - 、: :
/´: : / 、|、 ヽ \ ヽ 丶、__ヽ `' 、/ : : : : : : / / , --- ヽ: :
|: :/ | `| .i ヽ ヽ ヽ:: : : : : : :| / / ヽ
Y ヽ ヽ iヽ、___ヽ-` ,--、_ヽ_: : :|、 | / / i
_| \_____/ ヽ ヽ_|、__|-!`ー´`i /´~  ̄ヽ: :|\|/ / |
/\ /ヽイ / ヽリ | / |
面接試験を終えたキミ達は、グラウンドC―――仮想工場地帯のゲート前に集められた。
周囲には、休憩中に話した3人もいる。春夏は休憩時間と違い、腰に刀を下げているようだ。
【Dr.ノーチラス】「これから君達には、最大で四名一組のチームを結成し、実際のヒーロー活動を想定して動いてもらう。」
「誰と組むかは自由だが、五名以上での協力は基本的にできないものと思ってほしい。」
「―――ああそうそう。試験番号3150番に関しては、複製体も一名の中に含まれる。安心したまえ。」
ちなみに3150番はキミの事だ。なかなかイカした番号である。
【Dr.ノーチラス】「今回、誰と組むかは特にこちらから指定はしない。好きなように組んでみると良いだろう。」
「結成後の相談、試験に関する質問も含め、チーム結成のためにこちらから与える制限時間は30分だ。」
【Dr.ノーチラス】「―――以上。これよりカウントを始める。何か質問があれば私の所まで来たまえ。」
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『ふーん・・・』
自分たちで組め、か・・・そうなると、だ。
『まずはミス・セカンドの所に行ってみるか。』
簡単な話だ。一通り『全員』とは会話済みだが、彼女はその能力の一端を見ている。
『力をまだ使いこなせず、振り回されてる感が一番強く、危なっかしいのはあの子だ。』
『超人種として彼女が不幸になるであろう様は見過ごせないね!』
一番強力な存在へ上から目線を貫いていくスタイル!!
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そんな考えはつゆ知らず、別の男子グループから勧誘を掛けられ中の照沢。
質量のある惑星だから周りに人が集まってくるらしい。全ては重力。
「私は空を飛んだり、常人の3〜5倍くらいのパワーで投げ飛ばしたりができるんだけど――」
「あ、早川くんだ。やっほー!面接はどうだった?」
見覚えのある顔が近づいてくるのに気づいて、輪を抜け出してきた。
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『フフーフ!僕をだれだと思ってるんだい?余裕も余裕さ!』
面接時間は30分にも満たない物であったがぼくの才能で分かりやすく、
且つ20人体制で喋れば面接官に10時間の講義に匹敵する情報量を詰め込ませることが可能・・・!!
『彼は幸せ者だよ!ボクの素晴らしさをこの上なく語ってもらえたんだからね!』
多分その面接官は今頃情報過多で寝転がっているだろうが。
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「聖徳太子の逆バージョンみたいだねぇ」
「今はその20人で勧誘をかけて回ってるみたいだけど成果はどんな具合かな」
周囲では着々とチームが形成され始めているけど、
早川顔の個体が混ざっているチームは見受けられないような。
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『ああ、今の所順調だよ。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ちゃんとチームを組むことが出来るような子たちは順調に組めているとも。』
『後はぼくがフォローしないといけないような問題児を見繕って組むだけさ!!』
超!上から目線!
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「……なるほど、チームアップもヒーロー活動の一つ」
「キミは既に試験が始まっているものと考えて、行動を始めているんだね!すごーい!」
「早川くんが考えて『環境』を組んでいるなら、それを踏み荒らしちゃうのは避けたいな」
じゃああとは誰が残っているの?という顔をしている。
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『そうだね、まずは君と――――』
『さっき話してたあの二人、だね。』
それではカメラをまずあの寡黙なサムライに移そう
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――――さて、その頃冬はというと……
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二ニニ/.}「ニニニニニニ{____ `ヽ、 }[≧{ニニニニニニ
二,/ /ニニニニニニ厂 `〜、 `ヽ、____,}[Ⅵニニニニニニ
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八ニニニニニニ∥ ≧s。、_ \ `¨^ }[ニニニニニニ
〜==――――≧==-― 、_「ー´ }[ニニニニニニ
周囲を全力で睨んでいた。
……いや、睨んでいるわけではない。睨んでいるわけではなく……
「(チームアップ……となると俺から声をかけるべきなのだろうが……)」
「(困ったな……誰に声をかければいいんだ……?)」
「(突然声をかけて、怯えられたりしないだろうか……)」
ものすごく思い悩んでいて、その結果眉間に力が入ってしまっているのだ!
率直に言ってコワイ。
デカくて強面で目つきが悪くて腰に刀まで提げている。
そりゃあヒーロー養成学校、強面や異形はごろごろいるし、ヴィランと戦う覚悟をキメている奴もたくさんいるが……
……それはそれとして、そんな奴とチームを組みたいかと言えば、まぁ、その、否だろう。うん。
「(不味いな……こんなんじゃいつまでたってもチームが組めないぞ……!)」
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