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【セ】『怒りの日 -Dies irae』【アマデウス】
338
:
烏丸 弥太郎
:2016/10/02(日) 23:09:12
「五右衛門さんは」
静かになった頃合いを見て切り出す。
間違っても、親神の前では口にできないことだ。
「本当は、どう思っていますか。今回の神話災害について」
ずっと迷っていたこと。
悲劇の老英雄、ワイナミョイネンの話は、本来ならば悲劇でもって幕を閉じる。
「僕たちは――――ハッピーエンドを、押し付けた形になります」
「彼の正当な怒りや嘆きを、理解も共感も出来たのに、
神殿(こっち)側の都合で、否定して、踏みにじって……」
「望まないハッピーエンドを押し付けて、彼の影霊を打倒しました。
ヴィルがいたから、彼女の言葉が届いたから、最期は少しだけ報われたかもしれない。
けれど……、そういう『都合の良い正義』で、今後も誰かを否定していくのだと思うと……」
一つ一つ、言葉を慎重に紡ぐのは、その結果手に入れたものにも価値があると知っているからだ。
無理やりにでも救ったことを否定してしまっては、救われた相手が立つ瀬がない。
けれど、道理だけで回る世界ではないだろう。
いかに正義が正しくとも、やりきれない思いだってあるはずだ。
そうして生まれた影霊の叫びを否定し、存在しないもののように扱って、その上に打ち立てた平穏は、果たして本当に良いものだといえるのだろうか。
「五右衛門さんは、今回の結果に、胸を張って『最善だ』って言えますか……?」
恐る恐る、けれどもしっかりと、目を見て尋ねる。
339
:
石川 五右衛門
:2016/10/02(日) 23:58:41
「それ、聞くか〜?身勝手な正義代表張ってた、義賊・五右衛門様によ」
「……少なくとも、あの荒御霊は完全に消えたわけじゃねぇ」
倒された〈影霊〉の記憶と力は、基本的に『本体』の元に取り込まれることになる。
今回の場合は、主導権を握っているワイナミョイネン――ヴィルが引き取っていった方に戻っているはず。
「今のところアレが、暴れ出する様子がないってんなら、『とりあえずの納得』はしているってことだろ」
まぁ、単にブン殴られて不満を抱きながらも、黙ってるだけかもしれない。
心の底から納得いかなければ、いずれまた噴出してくることだろう。
分離・信仰の力をほとんど使い果たしたろうから、小規模の怪物を発生させるのが限界だろうけど。
「あ〜、本音の怒り・悲しみなんてものは……。
例えるとアレだな。『スシのワサビ』みたいなもんだ」
若干おどけつつも、後輩神子の真剣な目を見て、
ちょっと普段使わない脳の部分を働かせて言葉を探してみる。
「無視はできないが、山盛りにもできない……っていうか。
『はっぴーえんど』っていうのは、大勢に受け入れられる結末って事だろ?
魚人になりかけてた市民は解放された。泣いてる女の子を助けることができた」
「……みんなウニやトロが好きでいいじゃねぇか。
客に山盛りワサビの乗ったシャリを出す寿司屋なんていねーよ」
「ま、ちと後からツーンとキいてくるかもしれないがな」
340
:
GM
:2016/10/03(月) 21:56:33
そんな風に二人で語り合っていると・・・
「うびゃあああああ〜〜〜五右衛門〜〜〜〜!!!」
「ツクヨミさんが酷いんだよー!せくしゃるはらすめんとなんだよー!!」
ウケモチが五右衛門の胸に向けてダイブしてきた。
宴の真ん中ではスサノヲが草薙剣を呑みこむ芸を披露していたり、
一言主が超饒舌に演説かましたりし始めている。
なお、もれなく全員脱いでいる。割とアルコールが回ってしまっているみたいだ。
『幸せ』が、そこには在った。
そこに在れ、そこに在れと全面の信幅により預けられる親愛の情。
八百万の神全てがこの土地を愛し、人を愛し。護れたことを心の底から言祝いでいる。
君達の目の前に、泣いて喚いて逃げ出しても逃げられない『ハッピーエンド』が酒の匂いを撒き散らして呑みこもうとしているかのように。
逃がさねえぞ。お前たちは私たちが幸せにし続けるんだと今日も世界を楽しんでいる。
341
:
烏丸 弥太郎
:2016/10/05(水) 22:00:58
一言も発さずに、五右衛門の言葉を聞いていたが――――
ツクヨミのセクハラで中断されてしまったようだ。
大きく息を一つ吸って、吐く。
「……僕にはまだ、飲み込めません」
「けど、飲み込む努力はしてみます」
喉元を過ぎれば、というものだ。
誰からも支持を受ける最高の結末はないのだろう。
義賊の在り方が例えばそうだ。多くの市民のために、権力者を敵に回した。
けれども、最善ではなくとも、より多くのものを救うことは出来た。
一先ずは、それで。
「……さておき、どうしましょうこれ」
342
:
石川 五右衛門
:2016/10/06(木) 00:01:04
「英雄ってのは大勢に向けた筋書きを演じなきゃいけない役者だ」
「そいつが一番容易い、受け入れられやすい……」
「――とはいえ」
「『しばりぷれい』の『はーどもーど』。
厳しい道を乗り越えたときの方が、ウケが良いのも事実」
ジッキョウプレイヤー
「悩めや若人。この時代の舞台に上がった新人役者。
俺たちの仕事には『こんてにゅー』はない。
取りこぼしたくなきゃ腕を磨いて準備しておくんだな」
>ウケモチが五右衛門の胸に向けてダイブしてきた。
「おふぅっ!?ウケモチ様もだいぶ酔ってるでしょ!?」
「……よし、弥太郎!さっそく険しい道を選ぶぞ!
ヤマトの主神たちの不興を買わずに、この場を収める方法を考えるんだ!」
343
:
GM
:2016/10/06(木) 22:36:55
見渡す限りの八百万。
とりあえず彼らは何かやる気になっている君達の前に杯構えて突撃の構え。
君たちはここから生きて帰れるのか、すべては次の瞬間にかかっている――――!!
344
:
烏丸 弥太郎
:2016/10/07(金) 23:04:51
「止めろ止めろ! こんなところにいられるか、僕は自分の部屋に戻って実況する!」
「五右衛門さんが出るまでもありません。まずは僕が様子を見てきましょう」
345
:
石川 五右衛門
:2016/10/07(金) 23:09:34
「それ口にする役どころは、早々に退場するヤツからね!?
なんで二つも重ねた!あっ、なんかもう黒っぽいムードが這いよって――――」
346
:
GM
:2016/10/07(金) 23:25:51
酒の海に呑まれて溺れる神子二人。
かくして事件は終わりをつげ、新しい日常がやってくる。
やることは変わらない。いずれまた新たなる災いが起こり、君達に襲い掛かるだろう。
潰しても潰しても尽きることなき、人々に降りかかる争いの種。
だけど、それでも――――
どうにかなるんじゃないかって、『私たち』は思うんだ。
〜FIN〜
347
:
GM
:2016/10/10(月) 00:36:20
それでは君たちに最新の経験値をお送りしよう。
・戦闘にてレベル2のヤマタノオロチ(偽)、レベル3のワイネミョイネン(荒)を倒したので
5×10で50点獲得!
・想いはゴエモンだけワイナミョイネンへの想いを+2で持っています!
ゴエモンだけ20点獲得!
・親子は文句なし!全員親孝行をしてくれたため
それぞれ10点獲得!
・琴線はそれぞれ一人ずつよりの評価を得たため
それぞれ10点獲得!
・全員任務達成!
それぞれ20点獲得!
・冒険は、少女愛野を全員助けてグッドエンドに迎えてくれました!
全員50点獲得!
ゴエモンは160点、他三人は140点の経験値を獲得しました!
ありがとうございました!
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