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【セ】『怒りの日 -Dies irae』【アマデウス】
299
:
ヴィルへルミナ
:2016/09/27(火) 01:45:09
「道は開いた――――!」
ヴンケルの腹を蹴り、一直線にワイナミョイネン目掛け駆けて行く。
恐れはない。
躊躇いもない。
同情もなければ侮蔑もない。
ヴィルヘルミナの胸中にあるのは、ただひとつの原風景。
雪原を駆ける騎兵隊――――勇気と、愛と、友情と、自由!
彼女はいついかなる時もそれらを高らかに叫び、無垢なる魂で駆けて行く。
それが……それが、乙女騎兵の“デザイン”だ。
彼女は騎兵隊であって騎兵隊ではない。
当然だ。騎兵隊に銅像などいない。
ただ、ある芸術家が作り上げた、騎兵隊の銅像に過ぎない。
――――即ちそれは、夢だ。
芸術家が編み出した、民の夢だ。
勇気と、愛と、友情と、自由!
それらを胸に、雪原を駆ける可憐な乙女!
そのためだけに作られたヴィルヘルミナは、それ故にその行為に疑問を持たない。
勇気と、愛と、友情と、自由!
それこそが、それだけが、乙女騎兵ヴィルヘルミナの存在理由なのだから!
「行くぞ、ヴンケル!」
ヴィルヘルミナの持つサーベルが白熱する。
放つのは剣戟――――ではなく、ヴィルヘルミナの体内で眠る信仰のエネルギー!
スウェーデン騎兵隊は決して負けないという、絶対の確信!
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