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83名無しさん:2011/03/08(火) 07:50:06
FINAL FANTASY IV #0620 8章 1節 「エブラーナ」(7)

「おい大丈夫か!!」
カインがやや乱暴な声をかける。
生きているかどうかの確認だろう
「くっそ……あの野郎止めを刺さずに帰りやがった」
そう言って立ち上がろうとしてがっくりと膝をおろす。
「ならば話は早い――」
「へっ! このまま帰って傷を癒せってか。冗談じゃないね!!」
続くはずのカインの言葉を言葉になる前にかき消す。
「まだ終わりじぇねえぞ……ここから第二試合の開始だぜ……」
「だったら――」
薄暗い洞窟の中、男たちの会話に場違いな声が割り込む。
「リディア」
蚊帳の外にしていたがどうやら追いついてきたようだ。
「私達もあいつら――ルビカンテ達と戦ってるの……協力したほうが……」
「御免だね!」
少女と女性の中間点を彷徨う彼女の台詞をエブラーナ忍者の怒声がかき消す。
「手を出すな! 奴は……俺が……この手でブッ倒す!」
「その傷でか」
感情的な忍者をあくまで冷静な竜騎士の言葉が響く。
「相手は四天王最強ルビカンテだ。それにそのまま行っても同じ結果になるのが目に見えている……」
「なんだと!」
「あくまで冷静に分析して言っているんだぜ。王子様」
「なっ!」
「そうだろうエドワード・ジェラルダイン王子」
どの名前にはセシルも聞き覚えがあった。
「何故それを知っている!?」
「奴が――ルビカンテが最後に言っていただろう。それに俺もバロンに仕え、それなりの地位についていた者。
他国の事情くらいは知っている。
おそらくはローザも。ここにいる者ではリディア以外は知っていたであろう。
「王と王妃が討ち死にされた事。息子の王子がかたき討ちに燃えている。王子は行方不明と聞いていたが
こんなところにいたとはな」
そこまではセシルも知らない。カインはゴルベーザの元にいる時に知ったのだろう。
「聞くところ王子様は王位も継がずに延々と何処ぞやを放浪していたそうだな……にその様な未熟な腕前で
奴と再戦するのは無謀と思えますが」
「手前ぇ……その事とこの事は別だろうがっ!!」
おそらくは王位に関する事とだろう
「カイン! やめないか!」
エドワードの言う事は確かに間違っていない。だからと言って皆を納得させる正論でもない。
――エブラーナでは次期当主になる息子が中々王位に即位しようとしないのはセシルもバロンにいた時聞いたことがあった。
エブラーナを治めていたのは年老いた王の方であった。ついこの間までは……
何故今ここにいる王子――エドワードが王位につかないのかは向こう側のつまりはエブラーナ側の事情だ。
無理に詮索するものではない。
それにここにはリディアがいる。幻獣界で成長したとはいえ精神面ではまだ幼い。そんな彼女の前で大人の事情だる王位継承
問題の話などしたくはなかった。それにこれには複雑な家庭の事情も絡んでいるはず……なおかつリディアの前では話したくない。
「エドワードの言うとおり。今ここでする話ではない! だけど……」
カインがこの王子に突っかかり気分は分からないでもなかった。否、セシルもこの王子を前にして何を言わない事は出来なかった。
「カインの言う事にも一理ある。奴の強さを見ただろう。今のまま言っても結局、結果は一緒だ!!」
今度はエドワードへ言葉を向ける。
「第一、君の動きには無駄が多すぎる」
肉体的な面や精神的な面両方でだ。
「何……! もう一回言ってみろよ!」
この言葉にはカインの言葉以上に彼を怒らしたようだ。
「まだまだ未熟だってことだよ。君には理想ばかりで現実的な問題が何一つ考えられていない。個人の事情に顔を突っ込むつもりはない。
だが、今の戦い方は必ずしも正しいとはいえない」
「ぐっ……」
黙り込んだせいなのか、セシルは更に続ける……
「正直言って、僕は君と一緒に戦いたくはない。これから敵の本陣に乗り込む際に君に身勝手な戦い方では無駄に被害を増やすだけだ――」


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