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81名無しさん:2011/03/08(火) 07:48:37
FINAL FANTASY IV #0618 8章 1節「エブラーナ」(5)

音がした場所はバブイルの抜け道のある方向、要するに今までの順路を道なりに進んだところであった。
前に頼もしい二人がいることに加え、今まで進んだ道を引き返すわけでもないのでリディアの手を引きつつも
迷うことも魔物に襲われることもなく女性二人で辿りつくことが出来た。
その場所は今までと同じく、薄暗い闇に閉ざされた場所である事は間違いなかった。しかし、これまで通ってきた
場所とは違って開けた広間のようになっていた。
その場所に銀の太刀筋と共に斬撃音が鳴り響く。先ほどセシル達が聞いた音の原因はこれであることは間違いないであろう。
「誰か戦ってるの?」
リディアが不安げに尋ねてくる。良い雰囲気ではないのは察したのだろう。
「ああ……」
カインが頭を縦に振る。
「だが、時間の問題だろう」
それはセシルも同感であった。
先の広場は闇で閉ざされてはいるが定期的に舞いあがる炎が明かりとなり定期的に様子を
伺う事が出来た。
うっすらとした闇の中でも目立つ白装束の男が両手にそれぞれ太刀を構え、対峙する相手へと
その矛先をむけていた。
「エブラーナの忍者というやつか」
二刀流という特殊な剣術を使いこなす他にも擬似的な魔法ともいえる忍術を操る者――
異国と呼ばれる地エブラーナの戦術はバロンにも届いていた。
今、この場を照らす炎はあの者の忍術なのであろう。
「あの男……乱れた剣筋だな……」
それはセシルも感じていた事であった。先ほどからあの忍の戦士の攻撃はひたすらに
一辺倒なのである。
「怒りに身をまかせている。あのままでは」
それはかつてのカインや自分のようであった。己の中の感情だけに捉われて回りを見据えていない。
その戦い方は相手に手の内をばらしているのと同じなのだ。
「あのままでは負けてしまうな……」
「助けましょう!」
セシルの言葉を引き継いだカインの冷静な台詞にローザが反応する。
さしづめ国を滅ぼされた恨みを込めた打倒といったところであろうか。だとすればその者が
相手をするならばゴルベーザの手の者だということになる。
どの道、目的を同じくする者だ。協力し合うのも悪くはないし、目の前で誰かがやられるのを
黙って見てるのもいい気分ではない。
「しかしどうやって助けに入る?」
一対一の戦いとはいえ、混戦を極めている。それにあのエブラーナの男の元に急に割って入れば、
誰彼構わず攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
「その程度か――」
助けに行くといいつつ、中々その機会を見いだせずにいる。新しく響く声が一つ。
新たな人物がこの場所に現れたわけではない。先程からエブラーナの忍の攻撃を無言であしらい
続けていた対戦相手が声を上げたのだ。
「エブラーナ王直伝の技を受け継ぐ者だと聞いて期待したが……まるで話にならんな」
「ん――だと!」
相手の露骨な挑発の言葉にエブラーナの忍者も太刀をとめて怒りを口にする。
「やはりな……この程度で気を散らすなど未熟者の証拠――」
「何をぉ――!!」
感情の揺れの激しいエブラーナ忍者に比べ、相手はどこまでも冷静だ。
男が二つの太刀で相手へと斬りかかる。よけられたと思えば今度は相手の回避場所へと炎の弾速を飛ばす。
炎が対戦相手へとぶつかり爆発を上げる。
「やった!」
男が感嘆の声をあげる。しかし、それで終わりではないことは当事者以外の誰の目から見てもあきらか
であった。
「ふ、なんだこの哀れな忍術は……」
爆煙の中から相手が姿を現す。その手には炎が宿っていた。
「てめぇ……受け止めやがったのか!!」
相手の宿す炎が明りとなってその姿がセシル達にも見えてくる。
斑模様の紅色のマントを羽織った背の高い男――先程の一撃をそのマントで受け止めたようであった。
「我のマントは炎を受け止める――」
「あいつはルビカンテか!」
見知った姿なのかカインが声を上げる。
「四天王最後の男ルビカンテ――その実力は四天王最強でもある――」
「これで最後にしようかエドワード・ジェラルダイン!!!」


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