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79名無しさん:2011/03/08(火) 07:45:59
FINAL FANTASY IV #0616 8章 1節 「エブラーナ」(3)

エブラーナに来ていた。
飛空挺も無事に修理できたのでこのまま地底に帰りドワーフの城に戻っても良かった。
だが、巨大砲は無事に破壊したもののクリスタルを取り返してはいない。加えてヤンやシドは犠牲になった。
結果的には目前に迫った危機は回避したものの、総合的に見れば状況は不利になってるとまではいかないものの
好転しているとは言い難い状況であった。
このまま安全策として拠点に帰り、防御を固めつつ作戦を練る。そういう決断を下すのも決して間違いでは
無かっただろう。
しかし、今のセシルには戻ってヤンやシド達の事を含め今の状況を報告する事は嫌であった。
多少危険であっても再びバブイルへと舞い戻りクリスタルを奪還する目的を果たしたかったのだ。
とはいってもその為の手段を講じる必要はあった。飛空挺を修理し、地底に戻ることは出来たとしても警戒を
強めたバブイルに再び正面からはいる事など不可能であったからだ。仮にそれが出来たとしても犠牲がつきもの
になるであろう。それでは意味がなかった。
答えは思った以上に早く出た。それも思わぬところからだ。
飛空挺を修理している待ち時間、セシル達はバブイル潜入の新たな手段を考えていた、その場にいたシドの技師達や
ドワーフの民にも意見を聞いてみた。しかし誰もが首を傾げる様子であった。
そう簡単にはいかないか――そういう思いがよぎったその時、脱出の際に乗りあわせていた一人の者がセシルに進言してきた
のだ。
その者は以前、ドワーフの城の各国の集会に居合わせた老人であった。以前聞いた通り彼はエブラーナ王国での重役――
向こうの言葉では家老という立場らしいのだが。
家老の言葉によると、エブラーナ国には地下一杯に張り巡らされた通路が備わっているらしい。それがいつできたのかは
彼も知らない、要は家老である者が知らないくらい古くから存在する場所だ。
エブラーナの民は先祖代々伝わるものだと思い、日々日頃からその場所を整備していた――結果、ゴルベーザ達の
襲撃の際にも戦いに身を投じた男達を除いて、殆どの者が地下へと逃げ延びる事ができたのだが。

そして家老が語るにはその地下通路は、<地下一杯>の名に恥じぬ程の広さであり、エブラーナの民であっても
未だに把握できていないそうなのだ。一節によるとエブラーナ国にそびえ立つ謎の巨塔バブイルへと
続いているのではないかと噂されている。
「あくまで噂ですが……それに塔へと続くと言われている道は我々ですら未知の領域。整備も行き届いておらぬ上、魔物
達がはびこっている。危険な道のりになるのは間違いないでしょう……」
老人の不吉めいた言葉はセシル達を引きとめようとしているのだろうか? それとも何か試そうとしているのだろうか?
いずれにせよ、残された道があるのならセシルは賭けてみたいと思っていた。勿論、後先考えずに突入し可能性の低い戦いを
挑むつもりもないのだが。
迷う事は無かった。それはカイン達も同じであった。
「安全なところまででいい。案内してください」
老人の会話に同行していた仲間達の了承を得てから、すぐさまセシルは切り出した。
「なんとっ……! いくというのですか……」
断ると思っていたのだろうか、あるいは少しの躊躇も無かった事に驚いたのか、老人は声を荒げた。
「いいでしょう案内しましょう……後一つお願いがあります……」
しかしそこまで言って老人は声の勢いを弱め――。
「いえ……やはりいいです。セシル殿達の手を煩わせてしまうかもしませんから……それにもう手遅れかも
しれませんし」
消沈し言葉を下げた。それは追及を許さぬ沈黙であった。


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