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71書き手 ◆W4g5HNoLOg:2010/03/17(水) 03:42:04
FINAL FANTASY IV #0609 7章 3節 「去りゆくもの 残されるもの」(16)


今回の作戦としては目的は二つあったのだが、巨大砲の破壊は目下に迫る大問題であった為、作戦における最重要要素であった。
クリスタル奪還は無理だとしても巨大砲だけは断固として破壊しなければならなかったのだ。
作戦の成功の暁には陽動部隊に報告、脱出の手引きをしてもらう為に合流地点を定めていた。
本来ならばクリスタルを奪還してから合流する予定であったが、ヤンを失ったセシルには続けて作戦を続行する
気力はなかった。
目下の脅威であった巨大砲は破壊したのだ。しばらくはゴルベーザ側も攻撃をしかけてくる事はないだろう。
一旦退却するという自分の判断は間違えていなかったとセシルは思った。
合流ポイント向かう道中、誰も口を開く事は無かった。皆複雑な気持ちなのだろう。
思えばヤンはここにいるメンバーとは最も長く行動を共にしたものであった……
ファブールの道中でセシル達と志を共にして、その後敵に利用され刃を交えたが、今思えばそれがより一層絆を強固にしたようにも
思えた。
ポロム、パロム、テラがその身を犠牲にした。ギルバートとシドは色々な事情があって別れなければならなかった。
しかしその中でもヤンは激しい戦いの中をずっとセシルと共にした。苦しい時にも大切な時にもいつもヤンはセシルの前に立っていてくれた
気さえした。いつの間にかヤンを拠り所とする部分もセシルの中では大きくなっていた。
そのヤンが……あの状況では生きていることを望む事は絶望的であろう。
双子の魔道士や賢者の時は悲しみや悔しみが大きく心を支配していた。しかし、今はそれら以上に恐怖と不安が大きかった。
年長者として的確な助言をくれた数少ない存在――共に前線を駆け抜けてくれた頼れる存在。
軍人時代も旅をしていた時も皆を率いる事が多かったセシルには貴重な存在であったヤン。
彼がいなくなればこれから自分はどうすればいい? もし、立ち止まってしまったら、迷ってしまったら? その時は誰が自分を助けてくれる?
危機に陥ったら? 今はカインがいる? しかし人生の年長者としてヤンはカインにはないものを持つ存在であった。
これからは粋がる若者二人でローザやリディアを守らなくてはならない。
頼れるヤンがいない。
その事実はセシルに巨大な威圧感と先の見えない恐怖と焦りを募らせていた。
しかし迷っている時間は無い。今はとにかく前に進むしかないのだ。


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