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48書き手 ◆W4g5HNoLOg:2009/12/06(日) 05:33:34
FINAL FANTASY IV #0586 7章 2節 「罪の在処」(12)

視界の黒が一瞬のうちに白に入れ替わる。
「これは……」
辺りの空気を支配する雪のような白は次第にその勢力を増し、前を見ることすら困難なほどになった。
この感覚には見覚えがある。
「霧」
セシルが旅立ち最初に立ち寄った場所。ミストへと続く場所。長い旅の始まりの場所。
しかし何故、急にこのような事態が? 霧の先からかすかに見えるゴルベーザの姿にも動揺がうかがえる。
つまりこの状況はゴルベーザにとっても誤算だという事だ。
お互い何がおこったのかすぐには理解できずに立ち尽くしていると、霧が一つに集まり始めた。
黒き波動が黒龍を生みだしたように、白き霧も今何かの形を生み出そうとしている。
輪郭を描いたそれは見覚えのあるものだった。
「これは霧の龍」
そんなはずはない。頭によぎった可能性を否定した。
霧の龍――過程がどうであれ結果的にセシルはあのミストへと続く洞窟で霧の龍を傷つけ退けた。
それは故意でないにしろ術者の命を奪ってしまうことになった……
更には王の偽物、カイナッツォの策略で召還士と呼ばれる者が集まる村を壊滅状態にしてしまった。
つまりこの霧の龍を呼び出した者以外の他の召還士すらも根絶やしにしてしまったのだ。
もはやあの龍を呼び出せるような力を持ったものはいないはず。
いないはずだ……

――たった一つ小さな可能性を除いては――


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