したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

【やりたいように】スマクエから10年後【やればいいんじゃないの】

100名無しのカウンセリングだべ:2017/03/25(土) 20:06:21 ID:PSUd/iZ60
>>99
「いや、俺でもエイラでもない……!アレイスター!お前……誰を変身させたッ!?」

自分の力を利用されたことでは無い。
誰かの意思を奪い、自らの手駒の用に扱っていることにイクス――絵楠は怒りを覚えていた。

「ははは……そりゃ、生きる価値もない屑を媒体にしたよ?折角平和ボケした世界なんだ、こうでもして使ってあげた方がいいだろう?」
「!お前……ッ」
「――ウルトラゼロキックッ!!」

人の命を物の様に扱い、憎らしげに笑みを浮かべるアレイスター。
自分、ひいてはエイラと同じ顔で笑うアレイスターに怒りを抑えきれなくなったイクスが二刀の剣を構え飛び掛るよりも先に――ゼロが炎を纏ったキックをオーズに放つ。
オーズは手に構えた斧『メダガブリュー』でそれを受け止め、強い衝撃が廃工場を襲った。

「テメェのその態度もやってる事も許せねェ!この世界のことはオーブに任せるつもりだったが……俺もお前等に協力するぜ、嬢ちゃん達ッ!」
「――俺のビックバンはもう、誰にも止められないぜッ!!」

メダガブリューごとオーズを蹴り飛ばし、力強く着地するゼロ。
その身から溢れ出す怒りのオーラは、絵楠にも負けていない。

101名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 00:29:55 ID:snl6iVV.0
>>100
「っ!」

廃工場全体が揺れるほどの余波、外に出て中の様子を伺っていたが衝撃に耐えきれず後ろにジリジリと下がる
自分のかつて通っていた学校にそっくりな男、アレイスター、という奴が裏で糸を引いているというのは、詳しいことはわからずとも理解できた
しかしキックを放つゼロも…… それを受け止めたオーズも、力量さから自分をかなり上回っていた

果たして自分はこの場にいて、一体何の役に立つのか

「……ただのゲーム感覚でこんなゲスい事するんッスか?」

そして、怒りを覚えていたのは絵楠やゼロだけではない
アレイスターを見た瞬間声を荒げ、大声を出していたワサビが、静かな声で問いかける

「よくある享楽的な野郎かと思ったら…… 予想以上に救えね―奴だったッスね」
「もう怒りすら沸いてこねーッス」

「―――ただお前は潰さないといけない、絶対に」

感情的にぶっ飛ばしたいとか殴りたいとか、腹が立つとかそんな理由ではない
こいつだけは生かしてはいけない、周りをこうやって利用し自分のほんの一瞬の遊びのためだけに使う
……共存できない存在だと、認識した

102名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 01:24:43 ID:eMHibEhY0
>>101
「ゲスい?ははは、この程度普通だろう?屑はこうでもして使ってあげた方がいい、ってさっきも言っただろう?」
「それに僕は君と戦うために来たわけじゃないからさぁ、さっさとコイツと遊んでよ……ね?」
『――オオオオォォッ!!!』

愉悦に歪む表情と共に指を鳴らす。
それに応じるかのようにオーズは全ての力を解放し、巨大な翼と尻尾を具現化させ雄叫びを上げる。
所謂――暴走形態、という奴だ。
絵楠や、TVの中でも抑えるのに圧倒的な精神の強さを必要とするそれを、操られただけの人間が持ち得ているとは思えない。
恐らく、戦闘データを取るだけ取った後に変身者は――

「チッ……"ウルティメイトイージス"ッ!!」
「恐らくギルも、操られている筈……何としても助けないと……!」

オーズが暴走を始めると共にゼロは先程弓として使ったウルティメイトイージスを身体に装備し、矢となっていた部分をソードとして右腕に装着。
絵楠、いやイクスもソードガンとメダジャリバーを構え相対する。

先に動いたのは――

『ガァァッ!!』

オーズだった。
和とワサビが少し前に見たであろう、地面を走る冷気――絵楠が使った能力。それが今度は、こちらに向かって牙を剥く。
しかもその規模もスピードも桁違い。いや、メダルの枚数分こちらが本質か。

「ッ、速い!」
「クソッ!!」
「ッ!」
『マイティアクショ……ガシャッ、レベルアーップ!』
『マイティジャンプ!マイティキック!マイティ・マイティ・アクション!エーックス!』
「――あぶねっ!?」

ゼロ・イクスは咄嗟に空中へと跳び上がり何とか凍結を避ける。
永夢も状況を理解し、即座にエグゼイド・アクションゲーマーレベル2へと変身、レベル1から変わる瞬間のジャンプを利用して避けるが――

「……ッしまった!?」
「ワサビッ!和ッ!!」

全員、自分達が避けることに必死になり二人も助けることには至らなかった。

103名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 11:01:01 ID:snl6iVV.0
>>102
「ッ――!!」

先程と同じく障壁を足元に展開し、打ち出す要領で天井の照明を掴むワサビ
だが、廃工場から出ているがそれでも効果範囲内に和は立っていた

「い、今打ち消すッス――!!!ハァァァ!!!」

出てきた相手に喰らわせようと溜めていた、雷を放つ
相殺を狙っていた、威力的には十分 しかしスピードが明らかに足りていなかった

「和――――!!」



「―――――――」ターン

冷気の波が和を覆い、全てが手遅れになったと思ったその瞬間
凍結が砕け散り、ワサビが放った雷さえも破壊する―― 一つの弾丸が放たれた

二つの大技を破壊し、打ち消したにも関わらず
その貫いた弾丸は勢いを衰えず廃工場の壁に向かい飛び、壁に当たると衝撃音とともに砕け散った

「…………さっき使った銃」

和の手には、先程まで無かった黒と赤を主にした銃が握りしめられ、
銃口からは今しがた発砲したことを示す紫煙が立ち上る

「もちろん麻酔銃とも違う……これは………」
「………私が”作り出した”?」

104名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 12:03:35 ID:eMHibEhY0
>>103
「――へぇ」
「力を持たない可哀想な子かと思ってたけど」
「凄いじゃないか、君……いいねぇ、その力も僕のものにしてあげたいよ」

和が生み出したと思われる銃の効果を見ても動揺せず、逆に気持ちの昂りを感じる。
紫のメダルの持つ"無"の力にも負けないその力は――アレイスターが手にしたい力の一つとして見定められてしまった。

「デェェヤァァッ!!」
『グルゥッ!!』

その傍らで続く、ゼロとオーズの攻防。
ゼロが振るったイージスの刃をオーズが腕で防ぎ、またオーズが振るったメダガブリューの一振りをゼロも腕で防ぐ。
同時に後退しては、再び距離を詰めイージスとメダガブリューによる鍔迫り合い。
互いに一歩も引かないその攻防は、他者の介入を許さない程。

「……ッ!」
『『ガシャット!キメワザ!!』』
『マイティ!』『ジャングル!』
『『クリティカルストライク!!』』
「セイヤァァーッ!!」「おりゃぁぁっ!!」

イクスとエグゼイドは同時にガシャットをホルダーにセットし、アレイスターに向かいダブルでキックを放つ。
和の方へ気を取られていたアレイスターには確実に当たる、そう確信しての行動だった。

「――邪魔しないでほしいなぁ」
「何……ぐっ!?」
「なんだこれ……ぐわっ!?」

――けれど、当たらなかった。
アレイスターが手を翳したと思えば、彼を包むように障壁が貼られてしまい、二人を弾き飛ばす。

105名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 13:06:47 ID:snl6iVV.0
>>104
「(――――さっきのあの怪人の時もそうだった)」
「(槍の一部は消えたように削り取られていたけれども…… 壁はビクともしていなかった)」

ワサビ、オーズ両名の攻撃をたやすく打ち砕き、廃工場の壁には傷つける事すらできない弾丸
《空想の物》を破壊し、《現実の物》は破壊できない力

「(現実よりも離れた存在を、破壊する力……?)」

「―――――」

ゼロと戦うオーズに、銃口を向ける
空想の存在を破壊し、現実の物を傷つけないのならば、元現実世界住民の彼を助けることができるのではないか

「ゼロ! 離れて!」

警告とともに発射される弾
その弾の威力は破壊力としては十分すぎるほど、たやすくバターのように破壊できる


だが、人外染みた反射神経を持つ、彼らにとってスピードはどうだろうか?

106名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 13:53:57 ID:eMHibEhY0
>>105
「あぶねッ!?」

和の呼び声に反応し、その場を離脱するゼロ。
オーズは自らに放たれた弾丸を切り捨てようとメダガブリューを振り上げるが――

『ぐ……!?』

弾丸がオーズの肉体へと到達する方が先だった。
オーズの体を雷が駆け巡り、変身は強制解除。
紛い物のオーズドライバーは砂となって消滅し、セットされていたメダルは地面へと落下。
オーズの中から現れたのはボロボロの衣服を身にまとった浮浪者だった。
和の思う通り、中の人間を助けることが出来た――

その、筈だった。

「あ――」

「……おい」
「さっきまで生体反応は……あったはず……何が、起こりやがったッ!?」

力無く声を出した浮浪者の身体が、銀色のメダルに姿を変え崩れ去る。
エグゼイドも、あのゼロですらその光景を見て驚きを隠せずにいた。
ただ一人驚かず――いや、驚きよりも動揺を隠せずにいたのは。

「……あの人は、……もう、助からない」

最もメダルの性質を理解していた絵楠――ただ、一人。


「……はぁ」
「台無しにするなんて酷いなぁ」

一方で溜め息を吐いた後、アレイスターは一瞬にして和の目の前へと出現。
いつもよりも歪んだ笑顔で、和の首を手で締め上げ始める。

「本当はもう少し様子を見ようと思ってたけど……気が変わったよ」
「君のその力、僕の今日の実験を阻止した事は憎らしいけど……尚更欲しくなった」
「――僕と、来てもらおうか」

107名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 14:58:02 ID:snl6iVV.0
>>106
「当たったッス! これで…・… え?」
「―――――!?」

解除された時は、これで助かると確信していた
実際、弾は飽くまで装甲のみを破壊し、体に達した時の弾けて消えたはず

そもそも、銃弾により倒れたわけじゃない
変身が、解除されるとともに変――

「っ!」
「! 和!」

まばたきする暇さえなかった
気がついたら目の前に出現し、ぎりぎりと首を絞められる
――恐れていた、状況
人質にされ、周りの足を引っ張る できれば避けたいと願っていた

「……あな……た…… 彼に、何をしたの……?」

108名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 15:11:29 ID:eMHibEhY0
>>107
「知りたいかい?いいよ、教えてあげる。但し――」
「僕の本拠でね」

にっこりと、それでいて邪悪な笑を浮かべるアレイスター。
言葉と共に、彼が現れた歪みは今度は真横に発生。
――このまま和を連れ去るつもりだろう。

「ッ、待っ……」
「あー、君達にもプレゼントはあるよ。じゃあね――メガフレア」

逃がさないとアレイスターの元へ走り出すイクスに、いやイクス達に向けて放たれる強力な核爆発。
以前エイラが使ったフレアとは威力も規模も比較にならない程強大なそれをまともに食らえば、命は――

「くっ、ウルティメイト――」
「間に合えッ!!」
『激突ロボッツ!』『ガシ――アガッチャ!』
『ぶっとばせ!突撃!激突パンチ!ゲ・キ・ト・ツ!ロボッツ!!』
『ガシャット!キメワザ!!』
『ゲキトツ!!クリティカルストライク!!』
「――うおおおおおおッッッ!!!!」

皆の前に出たゼロが再び弓を放とうとした寸前、エグゼイドが赤いアーマーに身を包んで核爆発へと特攻。
左腕に溜め込んだエネルギーをぶつけ相殺しようとするが――その場で大爆発が巻き起こる。

「あぁ……命知らずだねぇ、彼」
「さて……行こうか、ええと……和ちゃん、だったかな」

同じ声。同じ顔。優しげなエイラと正反対な男、アレイスター。
これで見栄を張っているだけなら、まだ救いようがあっただろう。
その実態は――強大な魔法と道理を外れた実験を行うマッドサイエンティスト。
和の首を掴んだまま、彼は――歪みの中へ、消えていった。


『ガッシューン……』
「あ……ぅ」

爆風が止み、身体中ボロボロの永夢がその場に力無く倒れ伏す。
拠点の一つは潰すことが出来たが――この状況。
――単純な勝利とは、言い難いだろう。

109名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 15:43:46 ID:snl6iVV.0
>>108
「―――っ………」

首を絞められ、意識が遠くなる
横で核の音が聞こえ、横を見れば煙と倒れる仲間たち

「……………」
「……………………」

歪みへと引きずり込まれる
既にアレイスターは手以外歪みの中へと消え、後は我が身だけととなった

「………私は…… 魔法も妖精も妖怪も異世界も、信じない…………」

意識が朦朧とする、目の前に涙が溢れ視界がぼやける

「…………存在は知っている…… 頭では理解している…… ……けれども駄目、心がそれを否定する……」

胸の前で、神に祈るように手を握る

「……………… 私の力がほしいなら、それで構わない。 貴方が信じているだけだから」


「私は《私の異能》を信じない」
「そんな存在ありえないのだから」

我が身が歪みへと、二度と帰ってこれない場所に浸かり始めた
手を開く、白と黒の太極型の水晶 ”存在しない異能の結晶”が入っていた

力を込めると、結晶の表面にひびが入る
それを自分を引きずり込まんとする歪みの中に放り込み、そして

”否定” した

《 現実よりも離れた存在 》、歪みは、その向こう側はその最もたる存在だった
結晶全体にヒビが走り、粉々に砕け散る
それとともに中に収まっていたエネルギーが外側に溢れ、破壊の限りを尽くし

和は歪みから出て廃工場の中へ、床へと叩きつけられた

「ゲッホ、ゲホ! ゲ、ゲホ……!!」

110名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 15:58:18 ID:eMHibEhY0
>>109
「……何だと?」

一瞬動揺したアレイスターは歪みが破壊されたことに気づくと、すぐさま後退――
改めて歪みを生み出すと、その中へと一人消えていく。

「……! 和、大丈夫か!?」

何が起こったのかは即座には理解できない。
けれど、何らかの現象が起きて。そのおかげで。
和は、アレイスターに誘拐されることなくここに戻ってきた。
その事実が何より、イクスには喜ばしいことで。
変身を解除して、すぐさま和の方へと駆け寄った。

「……どういうこった?」

その一方で、先程まで残っていたはずの紫と銀のメダルが綺麗さっぱりその場から無くなっていることにゼロが気づく。
アレイスターの仕業だろう。和だけでなく、自分の手に紫のメダルを再度収める気だったとすれば――なんとも強欲な男だ。

「よ……よかっ、た……和ちゃんも、無事……みたいで」

どう見ても自分のほうが怪我をしているというのに、倒れ伏せたまま微笑む永夢。
どこまで優しいのだろう、この男は。

「……とにかく、バーに戻ろう。それと永夢は、CR……彼が勤めている病院で、見てもらうほうがいいか。和も、一応……行くか?」

辺りの状況を確認。とにかく今は、戻る方が先決だ。
拠点の一つは、潰したのだ。目的は達成出来ている。
怪我を負った者こそいるが、誰も死んではいない。
結果論ではあるが――これならば、勝利と言えるか。

111名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 16:17:25 ID:snl6iVV.0
>>110
「ゲホ、ケホッ……………… 大丈夫」

体のアチラコチラに、擦り傷、火傷が見える
歪みを破壊した時、衝撃や熱が自分まで伝わってきたのだろう
涙が溜まっていた目を拭うと、すぐにいつもの無表情フェイスに戻った

「…………私の能力が……まぁ、信じていない能力が欲しかったみたいだからしこたま上げてきたわ」
「………………そのせいで、また役立たずの木偶の坊に逆戻りだけど」

自分の銃を再び出現させようとも、霞のようなものしか出現できずそのまま不安定な状態となり消えた
まぁいい、元々愛着もない…… 信じていない、自分には存在し得ない力なのだから

「………私の心配よりも自分自身の怪我をしなさい 私は…… ……軽症だからいい」

傷を追ったとはいえ、そこまで重くない、軽めの傷
気にすることはない、それよりも痛いのは……

「………………」

もはやボロボロの衣服が残る、自分が…… 助けるどころか、殺してしまった人間のことを思うと
胸が傷んだ

112名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 19:01:51 ID:.PQuwCps0
>>111
「……和」
「あのメダルは元々俺の物だった。それを、あいつに奪われている」
「……元を辿れば、俺が悪いんだ。お前だけが……責任を感じる必要は、無い」

改めて、自分がメダルを奪われたことによって引き起こされてしまった事実を受け止め――絵楠は、行き場のない怒りを拳に込める。
自分があの時、メダルを奪われていなければ。
自分があの時、アイツを撃退できていたら。
全て、結果論だ。それでも絵楠は自分が許せずにいた。
力を取り戻したのに、無力な自分を。

「……お前ら、落ち込むのは後だ」
「まずはコイツをどうにかしないと、だろ?あー……あと、和だったか?ちょっとばかし頼みがある、後で来てくれ」

ボロボロの永夢の身体を肩に掴まれるようにし、ゼロは皆に告げる。
とにかく永夢を、彼の勤め先に即刻送ってあげなければいけない――

113名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 19:52:50 ID:snl6iVV.0
>>112
「…………」
「……山亘理さんは悪くない」

ボロボロの衣服から、顔を上げる
罪悪感と、無力感。 考えから目を背けても、胸の痛みは消えることはない
だが、胸にある感情はそれだけじゃない

「一番悪いのはこんな事したあの人 ―――私は彼を許さない」

「そうッス!元々アイツが仕出かさなきゃメダルだって奪われなかったッス!」
「誰がなんと言おうともアレが一番の悪、それだけは間違いないッス!」

しっかりとした意思を感じさせる目で、山亘理を見据え、すぐにまた視線をそらす
どこか意気消沈していた犬も和の言葉に奮起し、アレイスターへの怒りを露わにした

「そうね、見たところ決して楽観視できる傷じゃないし…… 山亘理さん。」
「マスターに私は無事だと伝えて。 怪我したとか攫われそうになったとか首しめられたとか襲われたとか、そういう不穏な部分は話さなくていいから」

「え、バーに戻らないッスか? マスター心配して」

「だからこそよ ……それじゃあ行きましょう、ゼロさん」

有無を言わさぬ様子で告げると、ゼロと永夢と共に病院へ向かう
今回も体の自由が効かなさそうな二人に変わって、近くに怪人がいないか索敵しつつ向かうのだった

―――――――――

「……なるほど、拠点を破壊して…… 彼女は無事なんだね?」

その後、エクスとワサビは無事にバーへとたどり着き、状況の説明をした
和の話した通り、不穏な要素はカット…… 出来たと思う、多分

「ま、まぁそうッスねー無事ッスよ無事、ね?」

「……まぁ彼女が戻ってきてから話すとしよう、色々つもる話もありそうだ」

何やらマスターの様子が 恐らく和に隠し事するよう頼まれたのだろう、長い付き合いだ
しかし営業時間が近づいてきたのか、エクス達以外にも客達の姿がちらほら見える
お面で顔を隠している狐であったり、のっぺらぼうだったり、鬼であったり どこから湧いてきたのだろうか

「しかし、次の拠点…… 夕闇町以外の近くの町にある拠点は、まだ見つかっていないのだろう?」

114名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 22:39:39 ID:eMHibEhY0
>>113
----CR----

「……研修医。患者の生命を救うドクターが、患者側になってどうする」
「……すみません」
「無茶しやがって……一つしかねぇ命なんだ、もっと大切にしろ」
「……、はい」

通常の病院の地下にあるCRの施設の特殊な医療ベッドの上で、包帯ぐるぐる巻きの状態にも関わらず二人の男性に咎められる永夢。
彼を研修医、と呼んだ方は『鏡 飛彩(かがみ ひいろ)』――世界一のドクターとして、エグゼイドの世界では名を知らしめているドクター。
もう一方、髪の毛に白のメッシュが入っている方は『花家 大我(はなや たいが)』――元CRのドクターの闇医者。
そしてこの二人もまた――仮面ライダー、である。

「生命に別状はない。……が、怪我が治るまで休んでおけ。……お前達、研修医が迷惑を掛けたようだな」
「おめぇらも、精々コイツみたいに怪我だけはしないようにすんなよ」
「分かりました……ありがとうございます、飛彩さん、大我さん」

永夢の傍らに座る和とゼロ(男性に擬態中)に声を掛け、飛彩と大我は医務室を出ていく。
二人揃って、どことなく――不器用な男達である。

「……さーてと、和」
「頼みつっても簡単なモンでなはいま俺はこうして男に擬態してるが……あんまりこれに慣れてないもんでな」
「俺は、この左腕のウルティメイトブレスレットの中に入る。そんでもって、和。これをお前の左うでにつけておいて欲しいんだ」

一旦話にキリが付いたので、ゼロが話題を出す。
つまり――簡単に説明するのならば、腕輪になるので腕に付けてくれ、ということだろう。


「えぇ、無事です。何より和のおかげで拠点を早めに潰すことが出来ました。感謝してます」
「ただ……そう、ですね。まだ他の拠点の情報は見つかっていなくて」

『それなら、この作業と並行してもらいたいです』

マスターとワサビと会話する中で、通信機からの投影映像にエイラが映し出される。
胸にペンダントを掛けたエイラは、神守町とその周辺の町の地図を出しながら続けて話す。

「僕らの戦力が少ないのは未だに変わっていません。なので、拠点を探すのと並行して――」
「この世界に迷い込んでいる、あるいはこの世界でアレイスターの軍勢と戦っているであろう人達を探して、仲間にしてもらいたいんです」

115名無しのカウンセリングだべ:2017/03/26(日) 23:57:02 ID:snl6iVV.0
>>114
「(…………ここ、こんな地下室あったかしら)」

こうして非現実な場所を見ると、やはり現実世界と異世界との融合が行われている事を実感する
極秘だから隠されていた、にしては特定の病気に対する施設のようであるし、その特定の病気の認知度がいまいち低い
そうした差の違和感が世界の違いなのだろう

「えぇ…… お世話になりました、鏡先生、花家先生」
「永夢先生、 ……お大事に」

ついでに自分も応急処置が施され、火傷や擦り傷にはバンドエイドが貼られたため頭を下げ、
二人揃って病院を後にする
このままバーに戻ってもマスターの大目玉が下りそうだ、なんだか久しぶりな気がするが迷い込んだ異世界人がいないか情報集めを――

「……………え」

そんな時、ゼロからのお願い事が下った

「…………………………」
「あの、ゼロさん。 私一応女なのだけれど……」



「オイラみたいに他の異世界人が迷い込んでるかもしれないって事ッスよね?」
「もとよりこの町はそうした人が迷い込みやすい場所だ。 君のような場合もあるのだし、戦闘力がない一般人でも保護しなければならないね」

「それに拠点が近くにあるということは、怪人達が多く存在しているということだ。 そこから逃げてきたという話が出るのなら…… 場所が絞れるのではないかな?」

元々保護をモットーにしたプログラムのメンバーなのだ、マスターも、和も
こんな状況だから余計に気になっているのだろう、ふと口に出す

116名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 00:32:19 ID:eMHibEhY0
>>115
「そこに関しては安心しろ!ちゃんと配慮してやっから」

――本当に配慮してくれるのかどうかはともかく。
一応彼はウルトラマンではあるから信用は出来るだろう。恐らく。
多少ではあるが。

「とりあえず……いいか?そっちの方がお前の方も動きやすいだろ?」


「なるほど……マスター、頼りになりますね。ありがとうございます」
「……ってわけで、そんな感じでいいか?エイラ」
『えぇ、異論は無いです』

確かに拠点を探して潰す事も先だが――
一般人の保護も確かに必須だ。保護と、必要であれば協力を仰ぐ。
この二つをこなせば――アレイスターに一矢報いる事も、出来るはず。

117名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 09:52:14 ID:bywp5M/c0
使わないか、もし使っても1回って思ってたけどあれ使うぞ
最初にあれ倒したいから仕方ないか


 ――自然と。
 ――右の瞼を押さえていた。

 ――なぜ。なぜ、目の前にアレがいるのか。
 何故かはわかる。けれど、理解することはできない。

『……ホ、シ、イ……』

 それは悲鳴に似た叫び声を上げる。

『……ヨ、コ、セ……』

『……黄、金、瞳……!』

 人型が仰向けに這うような姿の怪物。昏い炎を纏った火の蜥蜴。荒れ狂うもの。熱く滾り焦がれるもの。炎熱の恐怖。
 《怪異》(メタクリッター)サラマンドラ。
 炎の中の無数の瞳。そのどれもが、俺の、右目を見ていた。
 道を灼きながら、こちらに、向かってくる。

 恐怖。恐怖に支配される。
 呼吸ができない。動くことができない。何も、考えることができない。

「おまえの右目、狙われているみたいだけど……? あれは何だ?」

 何か言っていた。けれど、頭に内容が入ってこない。喋ることも、できない。

「しっかりしろ!」

 すぐ側まで来ていた。このままでは死ぬ。けれど、俺は、何もできない。

『……ヨ、コ、セ……!』

「渡さない――」

 俺を、庇うように立った。

「――あの右目は私の輝きだ!」
「は?」

 自然と声が出た。それにより、酸素が脳へと回る。呼吸ができる。動くことができる。考えることができる。
 ――今、なんて言った?
 それを気にする時間はない。これからどうするかを考える。

118名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 09:53:19 ID:bywp5M/c0
――諦めますか――
――諦めませんか――


 これから起こり得る運命。どちらを選んでも決して変わらず。
 右目が告げる。間が悪かった、と。

 俺たちに、あの敵は早すぎる。
 人間の攻撃はあれに通じることはないが、あれの攻撃は人間を容易く殺す。

 せめて、力があれば。
 だが、俺に力があっても意味はないだろう。あの敵には、逃げることしかできない。
 けれど彼女ならば。恐怖を与えるあの敵を嘲笑う、雷電の彼女ならば。

 もし、この世界のどこかにあるのなら――
 もし、この世界のどこかに顕現する未来があるのなら――

 諦めるという選択肢は消えた。前にそう告げたから。
 だから、俺は――


――右手を伸ばす――

119名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 09:56:09 ID:bywp5M/c0
 伸ばした右手に、感触があった。何かを持っていた。冷たい鋼の感触。
 機械の帯(ベルト)。――機械帯(マシンベルト)。

「! これを使え!」
「え? 何これ……っていうか、こんなの持ってた?」
「機械帯だ。それで戦える!」
「マシンベルト? 変身ベルトみたいな感じ?」
「変身ベルトだ」
「えぇ……8時ちょうどより30分からの方が好きなんだけどなぁ」

『……カガヤク、黄金瞳……!』

 コンクリートを灼き、溶かして、俺の右目を欲して進む。
 迫り来る《怪異》。炎の熱がこちらにも伝わる距離。

『……ソレガ……ホシイ……』

「渡さないっていったろ!」

 彼女は機械帯を腰に付ける。

「――機械帯、起動」

 ――彼女の姿、変わって――
 ――黒い髪が靡いて――
 ――閃光が迸る――
 ――雷鳴が轟く――
 
 まばゆい光が、迸る。
 それは蒼色をした輝きだった。
 それは蒼天の輝きだった。
 空に見えるもの、空に輝くもの。
 雷の、輝き――
 
 ――そして――
 ――赫い瞳、輝いて――

「セーラー服!?」

 思っていたのと違った。白い詰襟服だと思っていたが、彼女が纏っているのは黒いセーラー服。
 ――この機械帯、誰の?

「うん、いいね! セーラー服着てみたかったんだ! ……それで、あれが何なのか、答えることはできるね?」
「ああ、アレは《怪異》(メタクリッター)サラマンドラ。人間の攻撃は一切通じない――」

 人間であれば、逃げて殺されるか、その場で殺されるしかない。

 けれど、どうやら。雷電の彼女は人ではない。

「そう。それじゃあ、私の出番だね?」

 笑顔で言って、刹那に消えた。
 右目が追う。
 ――上! 浮いてる!?

「おまえの、輝きを見た。ならば私は、それに応えよう」

 こちらを見て、微笑んで。
 左手と右手を、輝かせて。
 左手と右手に、紫電を溜めて。

 ――閃光が、視界を埋めて――

120名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 09:59:31 ID:bywp5M/c0
 空。青い空が広がっていた。
 自分が気絶していたことに気付く。

「やっと起きたね。大丈夫?」

 右の目尻をハンカチで拭われた。
 右目から涙が流れていたことに気付く。

「怖い夢でも見た?」
「……声を、聞いた……《怪異》の……。けど、よく、覚えてない……」

 起き上がろうとして、気付く。

「膝枕?」
「そうだよ」

 頭に太ももの感触。少し硬い。けれどこれは、紛れもなく、膝枕だ。だが、男だ。

「男に膝枕されたの初めてだ」
「女の子にはされたことあるの?」
「ない」

 即答。思い当たる節などないから。

「彼女いない歴イコール年齢というやつかな?」
「ああ。28年間彼女なんていたことねぇよ」
「28……28歳? そ、そうでしたか。8歳も年上なんですね?」

 急に敬語になった。俺を同年代か年下……は、ないか。そう思っていたのか?
 右目は告げる。気にしていなかった、と。

「気にするな。今まで通りでいい」
「そうか。わかったよたっくん」
「たっくん!?」
「私のことは咲ちゃんとでも呼んでくれ」
「さ……いや、あの、男にちゃん付けはちょっと……」
「それじゃあ好きに呼んでいいよ?」
「あ、ああ」
「それで、たっくんはいつまで膝枕をされているの?」
「……飽きるまで」

 この貴重な体験、逃すわけにはいかない。……相手は男だが。

121名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 12:01:12 ID:jz6eJhNs0
「……ここね」

騒動から数時間が経った後。
先ほどまでの剣呑とした空気もなく、誰もいなくなった廃工場。
一人の女性が、その中に滑り込み、辺りを見渡す。
踏み荒らされた床、三日前に閉鎖されながらも全く人気のない様子。
そして、ときおり遠くの空に見えた、招かれざるものたちの影。
厄介事になりそうだ、と人知れず呟いた。

(まるで、二十年前の再来ね)

何回か現場の写真を撮ってから、踵を返した。
時折見える異形を、昔より得意になった見ない振りをしながら

122名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 16:18:57 ID:eMHibEhY0
「……気配を追ってたら、いつの間にか見逃しちまったみてぇだな」

何らかの怪獣の気配を察知していたガイは再び単独行動に出ていたが、どうやら見失った模様。
――そして同時に鳴り響く、腹の虫。
思えばマガゼットンを倒してからまともに食事を取っていない。
いくらウルトラマンとて、お腹は減るのだ。

「仕方ねぇ、今日のところはバーのマスターんところに世話になるか………」


「ってなわけで帰って来たぜ。……絵楠、そいつは何だ?」
「そいつって……あぁ、ワサビのこと、ですか?」
「……ワサビには見えないだろ」
「……ガイさん、それ素の感想?」

あっさりとバーに戻ってくるガイ。
明らかに自分がいた時とは人ではないものが増えたにも関わらず、あまり動揺していない様子だが。

123名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 19:36:55 ID:snl6iVV.0
>>116
「………………」

力強く配慮すると言われても、年頃の女の子には厳しいものがあった
着替えもあるし、トイレを行く時に一声かけなければいけない
そもそも常に一緒にいるというだけで精神的にプレッシャーがかかるのだ、人間付き合いが苦手な自分にとっては、特に

「………… 大人しく慣れなさい」

それ以上お願いされるのはごめんだと言わんばかりに早歩きになると、そそくさと病院を出る
年頃の女の子の扱いは難しい、理論的に正しいことでも却下されるのだった


「それで、私は迷い込んだ異世界人がいないか一度夕闇町で探すつもりだけど…… 貴方はどうするつもり?」

さっさと話題を切り替えるに限ると踏んだのか、これからの予定を告げた
拠点が破壊された以上、怪人達が夕闇町に居座る理由はなくそもそも永夢がケチらしてくれたおかげで怪人が少なく、他の町よりも安全になったはずだ
和はまだ他の町に拠点がある、という情報を共有されていないため(そして恐らくゼロも)、一般人の捜索に当たるつもりらしい
何かを探るべくポケットを弄り、肩を落とす

「(…………前の携帯も壊れてたんだった 誰か拾って…… ……拾われるくらいなら破壊されてたほうがマシね)」

>>122
「おうおうおう兄さん、オイラを指してそいつとはご挨拶ッスね」
「オイラは異世界より召喚されし蒼天の勇者ことワサビッス!ハッハッハー!」

「……昔のよしみでエクスの手伝いしてるッス」

椅子の上に立ち上がり、芝居がかった仕草で名乗りを上げるも
すぐさま恥ずかしくなったのか、耳を垂れ尻尾を力なく下げ座り直した
バーのマスターが生暖かい目でその様子を見てた

「おかえり 君も無事だったようで何よりだ、 ……今回は単純に食事かな?」

メニューはこっちだよ、とカウンター席に座るガイに差し出す
宿屋兼業だけあって普通の食事も取り扱っているらしい、おつまみもある……

……もしかしなくても、金出さなきゃ駄目か?

124名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 19:49:26 ID:snl6iVV.0
>>121
「……そういえば、今は彼女無事で……付き添いで病院行っているんだったね?」

それならば、と携帯を取り出す
こちらからは連絡するなと言われていたが、そろそろ隠密行動をやめている頃合いだ
普段送っている連絡先へとメッセージを書き込むと送信し ……間違いに気づく

「………… しまった、片方紛失しているんだったか」

―――――――
―――――
―――

廃工場から帰る道すがら、夕闇町の道を歩いていると携帯の着信音が前方から聞こえる
異常事態だけあって息を殺しているように静まり返る住宅地には、その音がよく響く

そのまま進むと、帰宅途中に襲われ命からがら逃げたのか
女学生らしき物と思われる鞄、散らばった教科書 

―――そして、かつて使用していた童守学園の電子生徒手帳
傍らには、「三味線」という名前の黒猫のアイコンの人から届いた『無事かい? もしも余裕があるなら返信するか、バーに戻ってきてほしい』のメッセージが表示された携帯が転がっていた

125名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 21:08:53 ID:eMHibEhY0
>>123
「え?お、おーい!?……いや、こういう場合俺が間違ってるのか……!?」

流石のウルトラマンゼロも、まだまだ青二才の様だ。
それなりに、いや――かなりの数の星や人々を救った彼でも、まだまだ学ぶことは多い。

「そうだなぁ、今んところお前とガイは別行動してるんだろ?俺はお前の方に着いてくとするぜ、和」

和の隣を歩きながら呟く。
あまりこの世界のことを知らないゼロに取っては、和と共にいる方が情報も得やすいとの判断か。



「お前、ホントにワサビって名前なんだな!俺はガイ。クレナイ・ガイだ、よろしくな」

意気揚々と名乗ってくれたワサビに微笑みながら、頭をぽんぽんと叩く。
何とも強く、しかし優しい手だ。

「それもあるけど、何か新しい情報でもねぇかと…… ……」

メニューを差し出された途端、まじまじと文字を見つめるガイ。
その瞳は明らかに――キラキラ輝いている。
全部食ってやる、と言わんばかりの食欲がその瞳から伝わってくる程だ。

「は、はは……ほんとに、テレビの中のガイさんと同じだな。あ、俺ももう少し食べていこうかな」
「何だ、絵楠も腹減ってんのか」
「まぁ、腹は減ってますね」

ほんの少しではあるが、休憩も必要である。
今はむしろそっちを優先した方がいいかもしれない。

126名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 22:37:02 ID:QoqKhBp60
>>124
一見したら、なんらかの誘拐事件が起きているとでも連想しそうな状況だが、
学園の機械型生徒手帳が別の可能性を示唆してくる。
十年前、学園にて一騒動も二騒動も(正確には一桁では足りないほどだが)起こし続けてきていた結果、あのどことも繋がりにくかった奇妙な世界は、他の世界の架け橋ともなるものへと変貌したらしい。それは、彼女自身も知っていた。
それでも、まさかこの世界で見ることになるとは、と感慨深そうに生徒手帳を拾う。

(さて、この荷物の持ち主はなんらかの事情で全てを放り出しているわけだが、持ち主の手がかりはないだろうか……
しばらくしたら戻ってくるか?
いや事件に巻き込まれていたり、何かに追われていたりしたら戻れない可能性も……)

散乱していた教科書や筆記道具を鞄に片し、道路の端に移動する。
学園の生徒がただこちらに迷い込んできたにしては、持ち物がこの世界に準拠しているようにも思われた。

(携帯……は、さすがにロックかかっているな。
……うん?)

(黒猫……バー……そして童守学園……ああ、うん、なるほど)

目先の目標は決まった。




副業として無害な異世界の動物を保護・帰還の手伝いをしているのだけどその一環として、《踊る猫》を知っている設定にしようかと
面識があるかどうかはお任せ

127名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 23:09:11 ID:snl6iVV.0
>>125
「…… ありがとう」

聞かれたくないのか、聞かせる気がないのか 着いてくるゼロに小声で礼を告げた

ついさっきがさっき、誘拐されかけ、能力も喪失し やはり一人では心細い物があったのだろう。
横目で見た顔は無表情だがどことなく安心したように見える
そんな風に思っていたのなら腕輪を素直に装備しろ? それとこれとは話が別なのである

「…………っ」

首元、うなじが傷んだのか、咄嗟に抑えた
あっちこっち怪我をしているため、そのうちひとつが痛んだのかもしれない

――――
――


「怪人達には会わないけれど…… 人の気配もあまりしない」
「……流石に遅かった?」

それからしばらく、夕闇町の廃工場付近を捜索中の二人
和が鞄を落とした場所に行ってみたり、廃工場の付近を探索したり
物陰を探索中、 今のところ迷い込んだ者の確保には至っていない

「…………私の見当違いだったかしら、怪人が多い場所だったからここに直接出現しない限り近寄ら……」
「…………… 翼の音?」

何かが羽ばたく音が一瞬聞こえた
空を見上げても鳥一匹いない、上からと言うか近くから聞こえた

128名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 23:29:11 ID:snl6iVV.0
>>125-126
「おー!よろしく…… おうコラ、ガイ!オイラは狼ッス!犬扱いするなッス!」

頭をポンポンと叩かれると、口では抗議するも尻尾がパタパタと動いていた
精神的には犬に近いかもしれない、飼いならされているし



「食料庫を枯らさない範囲で頼むよ、仕入れに行けるかが怪しい…… おや?」

バーの出入り口に取り付けられたベルが、来客の合図を送っていた
新しい客――來咲が、来店するのを見ると、目を細めるマスター

「やぁ、久しぶりだね來咲君 君も無事だったんだね ――よかった」

古くからの知り合いが来店したのを見て、穏やかに尻尾を振るマスター
店の中は相変わらず異世界の住民たちに溢れているが、どことなく空気がざわついていた
それと ――見知った顔もいるかもしれない



バーのマスター →保護を始めた辺りからしょっちゅう顔を合わせる知り合い
烏屋 →お互いマスターから話を聞くくらいで存在は知ってても顔を合わせたことはない

くらいの面識かな

129名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 23:32:13 ID:eMHibEhY0
>>127
「ん?何か言ったか?」

――どうやらゼロには、聞こえていなかった様子。
ウルトラマンゼロ、少々鈍感か?元から小さな声だったようなので、仕方ないみたいだが。


「確かに、どうにも姿が見えねぇな……いくら何でも、ここまでいないとなると」

一人や二人くらい、迷い込んだ人物がいてもいいはずだが――
今の所、それらしいものは一つも見えていない。

「翼の音?……」

和の呟きを聞き、ゼロも周囲の様子を確認する。
これと言って、音を立てるようなものがあるようには見えないが――

130名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 23:36:36 ID:eMHibEhY0
>>128
「狼も犬も似たようなもんだろ、少なくとも俺にとってはな。……まさか、ぜんぜん違ったりすんのか?」

キョトン、とした表情で呟くガイ。
どうにも本当にそう思っているらしい。外見は人間だが、やはりその辺りは疎いらしい。

「……はっ……あ、あぁ、流石にそこまでは……多分」

――明らかに動揺している。
下手したら本気で全て食べかねないだろう。
なんとも食欲旺盛な――ウルトラマンだろう。

「――來咲」

一方の絵楠は、その名を聞いた途端に耳をピクリと動かす。
忘れる筈もない。というより忘れられないし――色々と迷惑をかけたことも、覚えている。

131名無しのカウンセリングだべ:2017/03/27(月) 23:54:26 ID:JcfO9kfg0
>>129
「……物置……」

近くの家を見ると、わずかばかりドアが開いた物置が目に入った
まるで外の様子を伺うようにわずかに開かれたそれに、手をかける和

「………… ゼロさん、恐らく大丈夫だとは思うけど……」

念のためゼロに距離をおかすと、思い切ってドアを開く
すると物置から灰色の何かが飛び出し、和に飛びかかりーーーー




「よっ、と」
「(' ( >д<)')」

あっさりと和に確保された
物置から飛び出してきたのは、丸っこい子ドラゴン……?
鈴のような鳴き声を上げながら和に向かって短い腕を振り回し、
まるで襲いかかってきた敵を打ち倒そうと戦いを挑んでいた

132名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 00:08:55 ID:7vW5Me1.0
>>128,>>130
「ええ、お久しぶりです。最近、仕事が忙しくて、ずっと室内に籠りっぱなしで。
……その言葉からすると、なにかあったようで」

カウンター近くまで寄り、挨拶を告げる。いつもよりも賑やかな様子やマスターの言葉から、先ほどまでの推察が確信に変わる。

「ところで、今日は道端で拾い物をしまして。
……ああ、いえ、生き物は連れてきてませんのでご安心を」

「この鞄の持ち主に心当たりが、ない、かと……」

持ってきた拾い物の鞄をカウンターに置いたとき、ふと聞こえた言葉に目線をずらす。
そして、その先にいる人物を認識した瞬間、動きが一度止まる。

「…………あなた、まさか、山亘理さん?」

「よく変身していたほうの山亘理さんですか?」

学園時代、同姓同名もドッペルゲンガーも何人かいた山亘理絵楠。
認識方法はあれかもしれないが、こうというしかなかったのもまた、事実である。
エクスもまた、分かるだろう。
化粧の有無や服装など差異はあれど、その赤い髪や顔は変わりないのだから。

133名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 00:21:32 ID:eMHibEhY0
>>131
「……なんだこりゃ」

子ドラゴンを眺め、もの珍しそうに見るゼロ。
これが普通のドラゴンだったらさしものゼロもウルトラマンゼロに戻って戦うだろうが――
何だろう、この光景だとどうも戦う気力が湧かない。

「とりあえず……保護、するか?」

>>132
「……あぁ。そっちの山亘理…… 絵楠、だよ」
「はは、なんていうか……昔のこと思い出すと、凄く……申し訳ないな」
「……ふぅ。久しぶり、瑠奈」

絵楠側から見ても、相手が誰なのかはすぐに理解出来た。
そして、本質は変わらずとも――自分が昔に比べれば落ち着いたと思うからこそ、昔の出来事を思い出すと色んな意味で罪悪感が湧く。
それよりも、彼女が元気にやっている方が嬉しいのだが。

134名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 06:39:00 ID:orVaRHow0
>>133
「えぇ、そのために来たんだもの…… 持ってて」
「( ;д;)」

ウルトラマンゼロにもはや抵抗もできなくなった子ドラゴン? を手渡すと、ブレザーを脱いで物置の中へ入る和
注意深く辺りを見回し、隠れているそれを見つけた

「やっ……! こ、来ないで……!」
「そいつを…… 離、して……!!」

物陰で木の棒を構え、近づいてくる和に向け精一杯威嚇する、小学一年生ぐらいの子供……
ただし、普通の人間とは違い犬科の耳と尻尾が生えていた

135名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 07:08:23 ID:orVaRHow0
>>130 >>132
「ぜんっぜん違うッス!筋肉のつき方とか…… 筋肉のつき方とか…… あ、後……筋肉のつき方とか?」

それ以外に思いつかないらしい
人と暮らしやすいように狼が変化したものが犬であるため、生物的な違いはやはりそこなんだろう


「……そうだね、いつもよりも…… だいぶ規模が大きい事件が起きている」
「どの程度かはわからない、この町近隣だけかもしれないしもっと広い範囲かもしれないが 異世界とこの世界が、融合しているらしい」

神守町も過去の事件が事件だけに、異世界絡みの事件が何度か起きていた
隣の夕闇町も…… まあ名前の時点でお察しだが、こっちは心霊や妖怪絡みの事件が多いらしい
しかしそれらを鑑みても、異常事態と言える規模の大きさらしい

「あぁ、君が拾ってくれたのか 前から話してる異世界人保護プログラムの子の鞄だね、ちゃんと拾われてあの子も喜ぶよ……」
「…………三味線……? …………また一つ聞かなければならないことができたな……」

持ち主確認のため、開いた携帯を見ると自分の名前が猫を材料にした楽器であることに気づいてしまった



「ん、 ……こちらの赤髪の女性としりあいなんッスか?」

なにやら入店して来た女性と面識があるらしいエクスに尋ねた
青色の狼獣人、年はじぶんたちよりも10歳ほど離れている、そんの少年
学園ではそんな人物心当たりがない、はず

136名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 07:44:30 ID:eMHibEhY0
>>134
「子供……?どうやら普通の人間じゃなさそうだが」

子ドラゴンを抱えながら様子を確認する。
どうやらこの子が子ドラゴンの知り合いみたいだが。

「さーて、どうすんだ和?俺はこういうケース、あんまり経験してないから自信ないぜ?」

敵を倒す事が多いゼロにとって、こういうのはあまり経験には無いらしい。
ただの人間に拒絶されることはあったが。

>>135
「ふーん……まぁいいや。頼りにさせてもらうぜ、ワサビ。お前さんの力、お借りします!ってな」

相変わらずメニュー表とにらめっこしながら呟くガイ。
いつまで悩んでいるのか。

「うん、知り合いだよ。……俺にとって、大切な仲間だ。……あ、そうだ」
「マスター、尾内千尋ってやつはここに来たりはしてないですか?その、今の瑠奈みたいに」

微笑みながら問いに答える絵楠。
同時に、もう一人の大切な仲間――掃除屋の方が呼びやすい感じはするが、彼女が今どうしているのかも気になった。

137名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 11:19:40 ID:.RhFVOOE0
>>133
「ええ、本当に、懐かしい。
私は基本的に遠くで見ているだけでしたが」

昔、特に学園では瑠奈、というより來咲姉弟は皆が言葉の通りの大暴れする際には傍観が多かった、気がする。
もちろん、首を突っ込むところは突っ込んでいたが。


>>135-136
「また昔のように穴が開いた感じなのでしょうか。
それは少し、いえ、かなり厄介なことになりそうですね」

二十年前、異世界に関わったことがきっかけで、あの人も父も悲惨な目に遭った。
それを思い出し、軽く目を伏せる。
これまでは少数であったり、軽度の事件はあったが、騒ぐほどのものではなかった。
しかし、今回はどうやら勝手が違うらしい。

「それにしても、ここに来たのは正解でしたね。
保護プログラムとなると……烏屋さん、でしたっけ。なるほど、彼女の。
それなら、あの生徒手帳にも説明がつきますね」

(三味線ってそんなに悪いイメージがあったっけ
……あ、三味線の皮……)

ここに持ち主がそのうち来ることに安心したが、
マスターと持ち主、どちらにも申し訳ないことをしたようだ。
そっと今はどこかにいる持ち主に心のなかで謝った。



ちらとエクスとともにいる人物たちに目を向ける。
ガイとも、ワサビとも面識はない、はずだ。
それでも、ワサビの姿が、記憶にあるかつて共にいた青い狼と重なる。

「……山亘理さんのご友人ですか?
初めまして、來咲と申します」

そして軽く会釈した。

138名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 22:45:05 ID:Qx2Qf25.0
>>136
ブレザーもゼロに押しつけると、目線を合わせるように地べたに座りこみ、真っ直ぐ子供の目を見る和
少年の体は、震えていた。寒さのせいかもしれないし、恐怖のせいかもしれない
棒が震え、再び口を開け叫ぼうとしたーーーー

トンッ

「落ち着いて」
「私も、彼も あなたをいじめたりしない」
「…………大丈夫だから」

首を撫でるように、落ち着かせるように
冷静な声が、どこか優しげに、穏やかに聞こえた

少年は棒を取り落とし ……ゆっくりと和に向かって倒れ
今の今まで気が張っていたのか、しがみつき泣き出したーーーー


「( °д°)……」
「…………ま、まぁ ざっとこんなものよ」

背中をなだめるように叩きながら、横目で照れたようにゼロに告げた

139名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 22:48:03 ID:Qx2Qf25.0
>>136-137
「ーーーーだったら、よかったんだけどね」

「穴を塞ぐならまだその周辺をどうにかすればいい、

140あまりにもはやいミス、俺出なきゃ見過ごしちゃうね:2017/03/28(火) 22:54:09 ID:Qx2Qf25.0
>>136-137
「ーーーーだったら、よかったんだけどね」

「穴が空いたならならまだ塞ぎようがあったんだ、ただ一体化となると…… 恐らく難しい」

色水を絵の具と水に戻すように、混ざった塩と砂糖から塩のみを取り出すように
今まで不自然な点を感じさせずここまで密着した世界を引き剥がすのは、恐らく楽ではないだろう



「くるオイラは

141なんでやねーん:2017/03/28(火) 23:02:17 ID:Qx2Qf25.0
>>136-137
「來咲ちゃんっスね、オイラはワサビッス!」
「エクスとは昔一緒に旅した仲でその縁で協力させてもらってるッス!」

……しかし口を開けばあの青狼の様子を感じさせず、どちらかと言えば学園にいたペンギンどもを思い出させる
狼というか表情とかが犬っぽい、ああ見えて氷牙も狼だと認識……

できていたはず、うん

「そうそう、そのチヒロ……掃除屋とも一緒に旅してたッス! ここには来たりしてないんスか?」
「……あぁ、あの元気な女の子、だね? 彼女は学園世界で見たっきり僕にもわからないな」

どうやら、ここには訪れていないらしい
確か本人の話では現実世界住民は住民でも、神守町とは飛行機で行かないと来れない場所に住んでいるらしい
そのせいかもしれない……

「風の噂では学園世界と繋がった異世界で結婚したとか聞いたね」

142名無しのカウンセリングだべ:2017/03/28(火) 23:54:08 ID:eMHibEhY0
>>137-141
「おおう……やるな、和」

自分には出来ない事をやってのけた和を見て賞賛する。
怪獣を宥めることは慣れっこだが――こういうのは、どうにも慣れない。
さて、ここからどうするか。
――そう、ゼロが考えていた時。

「おい。……話がある」

後方から聞き覚えのある声がした。
ほんの少ししか聞いていなかったが、確実に聞き取れたその声の主は――花家大我。

「テメェらの知ってる事を全部話せ。……その為に、一旦俺の所に来い」


「おう。俺はクレナイ・ガイだ。よろしくな」

瑠奈に向かい、軽く挨拶をする。
そんな事を言いつつもラムネを飲み続けているが。

「……は?結婚、した?……そうだったんですか……挨拶くらいしに行きたいところだなぁ……」

まさか、結婚していたとは。
十年も経てば意外な事でもないが――ちょっとだけ、驚いている。

143名無しのカウンセリングだべ:2017/03/29(水) 00:00:52 ID:3zVK3xRE0
>>140
「……一部だけではなく、世界全体が混ざり合うかもしれない、ということですか?
それは、かなりどころじゃありませんね」

「前はきっかけとなるものがありました。隕石であったり、スマクエの存在であったり。
ですが、今回、少なくとも一般人に公表されている範囲でそういうきっかけとなりそうなものは……あったかな……
そうと認識していないだけで見逃しているだけか……?
そういえばさっき揺れたりもしたが、あれが……」

あのニュースはそういう意味だったのかなどと思いながら思考の波に沈みそうになる。
しかし、情報が少ない今、こんなことをしている場合ではないと、ふと顔を上げた。

「……まあ、こちらでもいろいろ調べてみます。一応これでも日本警察にはツテがありますので」

こちらの世界の情報しか手に入らない今、どこまで現状の真相に近づけるかは、分からないが


>>141-142
「……ちゃん……あの、私これでも二十代後半なのですが……」

すでに25を超えている身からすると、
今ではもうちゃん付けは同世代の友人同士でしか行われない。
そもそも來咲自身はその性格故、あまりちゃん付けされない人物でもある。

「……まあ、ええと、ワサビさんとクレナイさん、ですね。よろしくお願いします」

「山亘理さんも千尋さんも顔が広いのですねえ」

144名無しのカウンセリングだべ:2017/03/29(水) 20:11:13 ID:snl6iVV.0
>>142
「…………着いてきていたの?」

先程の病院から…… かなりうろちょろしていたはず
永夢の怪我を治療してくれているからには敵ではないとは思っているが、
まさかあのまま追跡されていたとは

「…………」
「( `゚д゚)」

ここで、胸の中で泣いている少年と、ゼロが抱いている子ドラゴン―― なぜか花家にシャドウボクシングを繰り出している――に目をやる
このまま着いていくと、ゼロは下手したら三人守りながら戦う事になるかもしれない

そもそも、自分たちが知っている事がどの程度あるのか?

「ごめんなさい、まず他のところ寄ってもいいかしら? この子達は少なくとも一緒に行けない」
「逃げ出したりするつもりはないから一緒に来ても構わない、少なくとも貴方とは敵対するつもりはないから」


>>143
「……きっかけはわからない、動機もわからないが……彼らがその首謀者らしき人物を目撃している。」

ワサビ、エクス達を指差す
夕闇町の廃工場での出来事、神守町の廃工場での出来事
それらは恐らく自分たちで説明するはずだ

「どうも半年前から周到の用意していたらしい、稼働している工場を無理やり買い取ったりとか、そんなことをね」
「……現実世界の情報を元に探るなら、そっち方面だろう」

拠点となる場所を確保するために、稼働していたある程度の場所を確保していた
不自然な廃業、無理やりすぎる売却
そう言った事件から、そして地理から彼らの狙いを探ることが出来るだろう

>>142-143
「オイラにとっちゃぁ女はゆりかごから墓場に入るまでみんな女の子ッス!」

だから好きなようにちゃん付けする、と
和のときは色々あって余裕が無かったが、本来は女好きなやつなのだ、こういうやつなのだ

「なんっていうか巻き込まれ臭がするッスからね、生まれつきトラブル体質っつーか、平穏な時がなさそうっていうか」
「しかし掃除屋が結婚ッスかぁ…… 動物好きの向こう側行ってたから結婚できないんじゃないかと内心思ってたッス」

145名無しのカウンセリングだべ:2017/03/29(水) 22:22:14 ID:eMHibEhY0
>>143-144
「……構わねぇ。無関係なそいつらがいたって邪魔なだけだしな」

言い方こそ口が悪いが、どちらかというと素直でない様にしか思えない。
早く安全な場所に連れて行ってやれ、という意味合いだろう。

「全部とは言ったが、聞きたいのは二つだけだ。エグゼイドとテメェらが戦った相手が何だったのかと……バグスターウイルスが関わっているか、そんだけだ」
「……テメェらの用が済んだら、ちゃんと教えろよ」

――バグスターウイルス。
和はその単語に聞き覚えがあるだろう。確か、廃工場の様子を確認していた時に敵がそれについて話していた筈。
どういった性質なのかまでは、わかってはいないが。

「……」
「永夢とかいうヤツの治療もしてたし、少なくとも信用は出来るな」

ゼロも大我の事はそれなりに信用している様子。
とにかく――子ドラゴン達の方を済ませねば。


「顔が広い……はは、それは否定出来ないかな」

童守学園の面子の中でも、自身がかなりの数の異世界を巡った事に関しては認めている。
顔が広くとも無理はない、だろう。

「ガイで構わねぇぜ。クレナイさんって呼び方、どうにもむず痒い」

頭を掻きながら照れ臭そうに笑うガイ。
クレナイさん、という呼び方には慣れていないらしい。
どちらで呼ぶかは本人の自由、だが。

「きっかけは……俺にも分かりません。どうしてアイツが、俺……いや、エイラと同じ顔で、同じ名前なのかも」
「ただ、これだけはハッキリしてる。くだらないゲームに俺達を巻き込んで、それに乗らなければエイラの命を何らかの方法で奪う策も持ち合わせている」
「俺はアイツを……エイラ=アレイスターを、許す事は出来ない」

何故、わざわざ現実世界を巻き込んで、ゲームを仕掛けてきたのか。
何故、廃工場を幾つも拠点としてこの世界に長い間居座っているのか。
ハッキリしているのは、奴らを倒さねば安息が訪れないこと――ただそれだけである。

「……工場を乗っ取ったのは、何も単純な拠点にするだけってわけでもなさそうだがな」
「ガイさん」
「この街とその周り、他の街に比べて異世界との繋がりとやらが濃いんだろ?迷い込む奴までいるってんなら、それを何らかの形で利用しようとしてんじゃねぇか」

現実世界でありながら、僅かに異世界との繋がりがあるためにこちらに迷い込むパターンも多いのなら――
それを利用して、ただのゲームとも違う――何か、大きな陰謀が隠されているのではないか。

146名無しのカウンセリングだべ:2017/03/30(木) 18:26:46 ID:snl6iVV.0
>>145
「……戦っている相手に関しては、私もよくわからない。」
「けれどもそのウイルスに関しては、 どうも関わっているようね」

少年と手を繋ぎ、バーに向かう道すがら花家の方を水に答える
あの見つかる少し前、自分を実験体にするという話の時 そのウイルスの名前は出ていた

「……首謀者が兵器の一つとして怪人達に提供したようね」
「残念なことに提供されたらしいウイルスは発見できなかった ……まだ彼らの手元に残っている」

廃工場から出る前、何か残ってないか探索したのを思い出す
あまり長時間調べることはできなかったが、ウィルスを貯蔵しているらしい設備は確認できなかった

……まさか空気中にばらまいた?

「……着いた」

147名無しのカウンセリングだべ:2017/03/30(木) 18:56:45 ID:snl6iVV.0
>>143-146
「あえて工場を狙っている理由があるということかい? ……確かに拠点として使うには、不便な場所ではあるね」

彼らが主に狙っているのは、住宅地にあるような町工場や整備施設ではなく、ある程度大きな、工業地帯にあるような工場だった
住宅地から離れ、人の出入りが少ないという点では確かに利点ではあるのだが、あくまで工場は工場である。
決して集団で誰かが生活するような場所ではない

「――今見つけた拠点は二つ、その二つがたまたま工場だっただけの事かもしれない」
「ゲームとしての活動以外の狙いがあるのだとしても、今は場所に関して判断は……」

マスターが言い終える前、ベルを鳴らし、男女複数名…… 内、酒場に出入りするには若すぎる人物二人とドラゴン一匹が入ってきた
チグハグな組み合わせ、しかし見覚えがあるだろう

「! 和!」
「さっきぶり、あれから何事もなさそうでよかった」
「……ふー、 話には聞いていたけれども無事で良かったよ、和ちゃん 無傷とはいい難いけれどね」
「心配かけてごめんなさい ……迷い込んだ子を発見したから、とりあえず連れてきたわ」
「子? 後ろの二人は違うのかい?」
「その説明は後で。 体が冷えているみたいだから温かい飲み物をお願い」
「わかった、 ……ホットミルク3個だね?」
「………… なんで私の分まで淹れようとしてるの?」

変わらぬペース、表情で、少年と男二人を伴ってカウンターの方へ移動する和だった

>>145
落ち着かなさげに周りを見回す少年、その横に張り付き守るようにふわふわと浮く子ドラゴン ……と、エクスの方に気づいた

「( ゚д゚)………」
「( *゚д゚)!」
「ど、どうしたの……? え、えぇ!?」

椅子から少年を下ろすと、背中を押し無理やりエクスの近くに移動させる
近寄ると、エクスにはおそらく見覚えがあるだろう。 リザードンを小さく丸っこくしたような、その生物

スマクエの世界で、"アネバ"と掃除屋が呼んでいた子、一緒に共闘していた子だった

「( *゚д゚)')」

無理やりエクスの手を上げるようにハイタッチを繰り出し、少年に向かってまるで安心できる人を紹介するように、
エクスの背中をポンポンと叩いた

>>143
「ヾ(*゚д゚*)ノ゛」

そしてそのまま、瑠奈の近くに飛んで行くと再会を喜ぶように両手を上げる
直接面識が合ったかは記憶の定かだが、頭に輪っかを作るように手を回し、アピールしたげに背を向け翼を見せる
スマクエの世界でかつてあった、黒ピットだと認識したらしい

148名無しのカウンセリングだべ:2017/03/30(木) 20:43:12 ID:3zVK3xRE0
>>144-145
「……まあ、要調査、という感じですね。
工場の一つや二つを買っていたとなると資金の動きなどもあるでしょう。
その辺からも調べてみます。
……少なくとも半年前から計画を立てていたであろう慎重さなら、有用な情報はなさそうですが」

いくつかの媒介を挟んでいる可能性もある。本来の買い手を突き止めるのは困難かもしれない。
何れにせよ、この世界の事情について熟知しているものが首謀者、もしくはその協力者にいるだろう。
それが、元の彼らの世界とこの世界が酷似している故か、以前からこの世界に迷い込み学ぶ時間があったのか、
はたまた、この世界の住人の協力があったのかは定かではないが。

「他にも不動産関係で不自然な動きがないかをチェックしてみます。
工場だけでなく、倉庫やビルなどの広めの土地や建物あたりも、一応。
専門外なので、どの程度分かるかは、保証できませんけどね」

これ以上、相手の思惑通りに融合が進んでしまったら、かつてのような事件が頻発するかもしれない。
それだけは、止めたかった。
たとえ戦う力がないとしても。


>>147
ベルの音で入口の方を見る。
ただのお客ではないのは確かだ。主に後ろにいる少年やドラゴンの様子により。
そしてマスターとの会話から、瑠奈は少女が烏屋であることを確信する。


と、ドラゴンがこちらに寄ってきた。
エクスのほうへ、そして、瑠奈のほうへ。
ジェスチャーを見て、ああ、とつぶやいた。

「アネバ、さん、でしたね。千尋さん、あなたからすると、掃除屋さんと一緒にいた子でしょう。
弟からも、ちゃんと、聞いていますよ。
……そうか、キミは、――のことを、覚えていてくれたのだね」

小声の言葉。ただし、一番近くにいたアネバになら聞こえたことだろう。
ボク、と、かつての口調で、話しかけられたことを。

瑠奈に黒ピットの記憶が戻っていることを告げた相手は少ない。
勘付いていた者はいたが、同一人物であると告げたこともない。
直に説明をしたのは、せいぜい弟と【彼ら】ぐらいだろう。
それでも、こうして他の者の記憶に"彼"が残っており、自分と結び付けられるのは、
彼女にとっては感慨深いものであった。

149名無しのカウンセリングだべ:2017/03/30(木) 22:34:42 ID:eMHibEhY0
>>146-148
「……バグスターウイルスはただのウイルスとは訳が違う。仮にばら蒔かれたら今頃エグゼイドも俺も忙しなくなるとこだ」

考えを読んだかのように大我は語るが、恐らくは勘が鋭いだけだろう。
少なくとも大我が焦る様子も無くここにいる限りは、バグスターウイルスが散布された訳では無いと仮定してよさそうだ。


「そこまでは俺にも分からねぇし、今のはただの憶測だ。あんまり気にしすぎないでくれ――」
「よぉ、オーブ!いや、ガイか?」

自分から予想を呟くものの、ただの憶測にしか過ぎないそれを過信するわけにもいかない。
すぐに続けて発言した時、ガイの目に移ったのは彼の知るゼロの姿ではないが――同じウルトラマン同士、感覚で分かるのだろう。

「……ゼロさん!?お疲れさんです、どうしてここに?」
「おっす!いや、この事件はお前に任せるつもりだったが……許せねぇ相手が出てきたからな。俺も協力することにしたぜ」

今までのガイとは違う、先輩を敬う後輩の様な――少し違和感のある光景。
これがガイなのだろう。と、納得せざるを得ないか。

「お前……アネバじゃないか!久しぶりだな~、元気にしてたみたいで嬉しいよ!」

一方の絵楠は、子供のようにアネバとの再開を喜んでいた。
ハイタッチにも快く応え、目の前の少年にも優しげに微笑む。

「君は……アネバの友達、かな?俺は山亘理絵楠。エクス、って気軽に呼んでくれて構わないよ」


「……何だ、ここ」

――大我だけは、どうにもこの状況にはまだ慣れていないらしい。
無理もないだろう。いくら仮面ライダーの世界の住人であるとはいえ、あまりに今のここは賑やかすぎるし多種多様な種族が揃い過ぎである。

150名無しのカウンセリングだべ:2017/03/31(金) 01:37:05 ID:snl6iVV.0
>>149

「え、えと……おれ………」

状況がいまいち飲み込めていないのか、人見知りの気があるのか、助けを求めるようにアネパを見る
瑠奈の方に行ってるせいでこっちに気づいていない
チラチラと和に視線を送ると、大我の方に歩いていくのが目に入った

「放っておいてごめんなさい、戦っている相手についての話ね」
「山亘理さん、 知っているかもしれないけどこちら永夢さんの同僚の花家大我さん。 ……今の敵について知りたいそうよ」

そう伝えると、再び少年に目線を合わせ、「ここについて説明する」と誘い出す
カウンターの方に行くとホットミルクを出し、マスターの方から説明を受け始めた

まぁ、当然のごとく、和にもホットミルクが出されたが

>>148
「( *゚д゚)b」

グッ、と親指を立て、嬉しそうに鈴が転がるような声を出す
掃除屋のことも、そしてもちろん 黒ピットの事も

恐らくこういう動物たちにとって、匂いとか直感とかで何となくわかるのかもしれない
かつて『ともだち』と呼んでいた彼らがわかっていた事と同じように

再会を喜ぶように瑠奈の頬を翼で撫でると、この世界で友達になったらしい少年のすぐ近くに飛び、一緒にマスターの話を聞き始めた――



「……來咲瑠奈さん、ですね?」

アネパがカウンターに行き、少年にぬいぐるみのように抱きつかれると、
それとは入れ替わりに和の方から瑠奈に近寄ってくる

異世界の生物保護のため、学園世界に一度戻すためにもマスターと顔を見合わせる機会は多いだろう
その際自分と同じように、異世界人保護のために動いているらしい和の話は聞いているかもしれない

ちょっと感情が表情に出ないところがあるが、一生懸命取り組んでくれるため悪い子ではない、というのがマスターの評価
後表情に出ないことは出ないが何となく雰囲気で考えていることがわかる、というのもマスターの弁

話通り、顔は無表情そのものなのだが 雰囲気的に、緊張している?

「話は度々、マスターの方から聞いています。 異世界人保護プログラムの烏屋和です。」
「鞄を届けてくださりありがとうございます、 ……アレを見られる事になるのは予想外だったけれど」

アレ、恐らくマスターを『しゃみせん』で登録していることに対してだろう

151名無しのカウンセリングだべ:2017/03/31(金) 02:13:49 ID:eMHibEhY0
>>150
「分かった、ありがとうな。……それじゃあまず、大我さん個人に説明しますね。後で、改めて皆にも説明はするけれど」
「構わねぇ。さっさと説明してくれ」

椅子に座り、絵楠に説明を促す大我。
一呼吸置いてから、絵楠は今回の敵について話し始める。
――エイラ=アレイスターという男が、この街やその周りの街に拠点を幾つも置いていること
――その拠点をこちらが潰していく、アレイスター側は侵略行為を行う『ゲーム』であること
――しかも、こちら側の味方であるエイラ・アーウェンの命を奪う策があるため無理にでもゲームに乗らなければならないこと
――最終的な結論で言えば、今の敵はアレイスターという男の率いる怪人の軍勢であること。

「……なる程な。挙句、奴等はバグスターウイルスも手に入れてやがる……」
「――人の命を弄びやがって」

誰が見ても分かるほどの怒りを込めた声で静かに呟く大我。
ぶっきらぼうに振舞おうとも、根底にある彼の優しさとドクターとしての誇りが垣間見える。
彼もまた――根っからの善人なのだろう。

「……バグスターウイルスが絡んでるなら、俺も関わらなきゃならねぇ……全てのバグスターウイルスは、俺がぶっ潰す」
「……俺も、テメェらに協力してやる」

そして――自ら、協力する事を決めた。
彼にはそれだけ、バグスターウイルスに対しての強い恨みと――根絶という使命感があるのだろう。


『……お話の途中すみません』
『悪いね皆ー、ちょーっと話したいことがあるってエイラちゃんが』

再びバーの中に投影されるレジスタンススペースの映像。
エイラから、また話があるようだ。今度は――何だろうか?

152名無しのカウンセリングだべ:2017/03/31(金) 11:42:18 ID:3zVK3xRE0
>>150
頬を撫でられた跡をくすぐったそうに触る。
その後すぐに、近づいてきた和に目を向けた。


「はじめまして、烏屋さん。
改めまして、異世界の動物の保護の手伝いをさせていただいてます、來咲です。
私も、マスターからときどき貴女のお話を聞いてましたよ」

「そんなに固くならなくても大丈夫……なんて、
こんな口調で言っても説得力ないですよね」

そう言って少し困ったように、だが柔らかい笑みを見せる。

「……たとえ持ち主を特定するためとはいえ、
不躾に鞄の中を見てしまって、申し訳ないことをしました」

「今度から、落とさないように気を付けてくださいね」


>>151
突如映し出された映像に一瞬驚いたものの、見知った顔を確認して納得する。
盗み聞く気はなかったとはいえ、絵楠が大我に行った説明によりある程度現状を掴むこともできた。

153名無しのカウンセリングだべ:2017/03/31(金) 16:47:56 ID:snl6iVV.0
>>152

「…… 少し気を張りすぎたわね、意識しすぎていた……」

柔らかく笑みを浮かべ、緊張しないよう勧める瑠奈を見て
息を吐くと肩の力を抜いた

「……あのメッセージに関しては気にしないでください」
「こうして届けて頂いたおかげで、無くさないで済んだもの ……感謝している」

「そもそも中身が見たマスターが悪いんですもの」
「そもそも僕をあの名前で登録した君が悪いんだからね?」
「……… マスターなんて名前で登録できないからしょうがないじゃない」
「それでもしゃみせんはないと思うよ僕は」

新しく入ってきたゼロと大我に飲み物を、
そして瑠奈に拾ってくれた御礼とばかりに軽食を持ってきたマスターと火花を散らす
大変仲がよろしいことで

>>151
横耳を立てたおかげで、大まかな状況は理解した
自分が見つけたあの廃工場は、夕闇町の拠点だった
となると残りの拠点は3つ 一体どこに置いてあるのやら

「(……神守町を中心に置かれているならば…… 夜桜町……桜ニュータウンにも?)」

元々神守町は、ビジネス街夜桜町のベッドタウンの位置付けだった
今でこそビルやちょっと大きめのデパートが出来ているが、10年前は住宅地中心の町だったらしい

夜桜町、今は桜ニュータウンという名前で呼ばれている町に仕事に出かけ、夜になると神守町に戻ってくる
そんな生活を中心に送っていた

「(……拠点となるような場所、あったかしら……?)」

戻ってきたばかりの携帯で検索しようとすると、急に見慣れない場所、見慣れた人の顔が表示された

「……エイラ先生?」

154名無しのカウンセリングだべ:2017/03/31(金) 17:28:48 ID:eMHibEhY0
>>152-153
和の推測の通り、大凡の目星で測れる残りの拠点の数は3つが妥当だろう。
しかし、敵が敵である。廃工場を拠点にするパターンが多いとはいえ、間違いなく拠点が3つだけで収まっているとは思えない。
少なくともその2倍――6つはあると考える方が、良いかもしれない。
廃工場に限らず、何処かの地下に隠し持っているケースも考えられる。
瑠奈が調べようとしている範囲の中というパターンも恐らく一つはあるだろう。
――アレイスターへの道程は、長い。

『あぁ、和さんですか。それと……お久しぶりです、來咲さん』

それぞれに柔らかい笑顔を向けるエイラ。
しかし、様子は少々忙しない。

『話、というほど長いものでもないなのですが……こちらから一方的に通信ばかり繋げていましたからね』
『一度、皆さんをこちらに案内しておこうかと思うんです』

絵楠に渡した通信機からのみでは不便と思ったのだろう。
一度、バーに集まっているメンバー全員をスペースに呼びたいのだそうだ。

「けど、場所は何処にあんだよ?」
『場所は……絵楠さんなら、分かるはずですよ』
「分かるも何も、うちの会社の地下から行けるんだろ?」

レジスタンススペースのある場所は絵楠の勤め先――
『如月ジャーナル』の地下らしい。幸いなことに神守町の中にある会社の為、左程移動に時間はかからないだろう。

155名無しのカウンセリングだべ:2017/04/01(土) 00:04:30 ID:3zVK3xRE0
>>153
「あらあら」

微笑ましそうにマスターと和のじゃれあい―本人らはそうとは思っていないだろうが―を見る。
事実、こういうのはある程度心を許してないとできないだろうなあ、と思いつつ。
その後運ばれてきた軽食に、ああ、と目を瞬かせた。

「ありがとうございます。今日はちゃんとご飯を食べられなかったので、嬉しいです。
ご厚意に甘えさせていただきますね」

この作家、立て込んでいた連載やらコラムの翻訳やらの仕事をつい昨日終わらせ、本日の昼まで死んだように寝ていた。
そのあと、食事を取るついでに気分転換にでもと外に出たところ、
異世界での騒動に気付いていろいろ歩き回り、ここにたどり着いたため、
きちんとした食べ物を食べるのは今日どころか実に数日振りであった。
何はともあれ、家を出た当初の目的は達成できたようだ。
この料理はいくらだったかな、と記憶をたどりながら、席に着いた。


>>153-154
じっとエイラの姿を見て、
物珍しそうに通信機やそこから見える場所―レジスタンススペースの様子を見る。

「ええ、お久しぶりです、エイラさん。
なんだか今日は、懐かしい方々と会う日ですねえ」

その後の会話は、もくもくと運ばれた食事を食べている。われ関せずである。
來咲の姉のほうは特にマイペースであり、【おともだち】を連れていたとはいえあっちをフラフラこっちをフラフラとしていた性分。
人見知りであるところは大分改善されたようだが、根っこはそうでもないらしい。

また、まだそのエイラそっくりさんに対面しておらず、ある程度自由に動ける可能性を持っていることも、ある。
バーまでつけられていたり、十年前の出来事からエクスやエイラとの交流があったことを特定されていたら元も子もないが。

156名無しのカウンセリングだべ:2017/04/01(土) 01:03:29 ID:.dY4PLHc0
>>154
「おー! 前話してたレジスタンス基地ッスね! バーも居心地いいッスけど巻き込むわけにはいかねーッスからね」
「一応、敵意がある相手は入れないようになっているから僕は構わないけれどもね」
「……少しホッとしたのも事実でしょ?」
「…… まぁ、正直に言うと」

溜まり場としては安心できる場を提供できるのは嬉しい限りなのだが、
レジスタンスのための集まり場になることはやはり心配だったらしい
迷子の預かり場でもあるのだし

「もちろん行くッス秘密基地! 案内頼むッスよエクス!」
「マスターは店のことがあるから行けないッスけど和はどうするッスか?」

「………………」

「………私はそこがどこにあるか、知っている。 だからいい」

ワサビに話題を振られると、断りを入れた
視線はワサビを外れ、絵楠達とも合わせようとしない

「でもエイラなんか話があるんじゃないッスか? それなら行った方がいいッスよ?」

「…………………………」
「…………助けに来てくれたことは、感謝している。 けれども………… 」

「………………ごめんなさい」

「……和?」

詫びを、入れた
そのまま背を向けると、異世界人向けの宿があるらしい扉を開け、店の奥へと消える

拠点を発見した時は、あくまで怪人が集まっている怪しい場所を見つけた。 その結果が絵楠達の情報として渡った。
拠点に乗り込む時は、自分一人だけ戻ることなどできなかった。 すぐになくなったが戦える力もあった。

今までアレイスターと関わったのは、事件の原因を探ろうとしたためだった。
こうして、全貌を知り 積極的に敵対することはしていなかった。

扉を開く時、彼女の手は 明らかに震えていた


「………… エクス。 改めて秘密基地への道案内、頼むッス」

和が閉じたドアをじっと見つめ、改めてエクスに頼むワサビ
表情はどこか、複雑そうだった

157名無しのカウンセリングだべ:2017/04/01(土) 01:39:53 ID:eMHibEhY0
>>155-156
「…… あぁ、分かってる」

和の手が震えていたのは、絵楠からも見えていた。
――無理もない。むしろ、その反応が普通の筈だ。
確かに、あの瞬間だけは和も戦う術を持っていただろう。けれど今は持っていない、あの時彼女はそう言っていた。
何より彼女は一度、敵に襲われている――
恐怖を感じない方が、あり得ない話だろう。

「……いいのか?」
「この件に関わるか決めるのはアイツ自身です。俺が、とやかく言えることじゃない」

ゼロからの疑問にも、絵楠は噛み締めるように返す。
自分に、和の行動を決める権利などない。決めるのは、本人なのだから。

「……ふん、変に関わって怪我されちゃ困る。俺にはこっちの方が都合はいい」
「アンタ……不器用なヤツだなぁ」
「……」

大我は鼻で笑いながらも心底ホッとした様子なのをガイに見透かされ、居心地が悪そうにしている。
和が関わらないと決めたなら、というのが彼等の総意だろう。
ガイに関しては、関わろうとしたら止めるだろうが。

『……それじゃあ絵楠さん』
『あっちで待ってるよ』
「社長、エイラ…… ……了解」

通信機を切る。同時に映像も途切れ、絵楠は静かにその場を立ち上がった。
向かう先は、如月ジャーナル。

「さて、と。皆、もう今から行くか?」

158名無しのカウンセリングだべ:2017/04/01(土) 13:50:04 ID:3zVK3xRE0
>>157
「私も今回は遠慮しておきますね」

瑠奈はいってらっしゃい、という意味を込めて手をひらひらとさせる。

「今日はこの後、人と会う約束をしていまして。一度、帰らなくてはいけないのです。
ああ、さきほど言っていた情報は、きちんと調べておきます」

そしてにっこりと笑うが、その笑顔にはこれ以上の説得は通じないという雰囲気を醸し出している。

159名無しのカウンセリングだべ:2017/04/01(土) 15:53:21 ID:V4oZv0w20
>>157-158
「瑠奈も不参加ッスね、まぁ何か重要そうな話があったらエクスが覚えてるから大丈夫ッス!」
「ちゃんと伝えるから安心するッス ……って和に伝えといてほしいッス」

「……わかった、伝えておくよ」

レジスタンスの基地に行くこと、実質、レジスタンスとの関わりを明確に持つことは拒絶された
だが、それでもきっと何かしら関わってくるだろう。
そう思ってか伝言を残し、エクス達と共にバーを出るワサビ

「( °д°)ノシ」
「………… 危険な目にあって欲しくないから、近くにいるのは喜ばしい事…… のはず、何だけどね」

見送った後に、和が入った扉を
安心したような、少し寂しそうな そんな複雑な感情が混ざった顔で見る

160名無しのカウンセリングだべ:2017/04/02(日) 02:00:40 ID:eMHibEhY0
>>158
「分かった。またな、瑠奈」

去って行く瑠奈を見送る。
情報収集の面では、瑠奈にももしかしたら長くお世話になるかもしれない。
絵楠の脳内には、今はあの本棚に行く術を見出す力はなく――どうやら、便利機能だった"地球の本棚"は使えなくなったようだ。

>>159
「そうだな。……よし、行こう。皆」
「おう、早く行こうぜ」

大我ま待つのに飽き飽きしていた様子。
一人だけあの雰囲気に慣れていなかったし――無理もないか。

「あ、マスター。ご馳走様でした」
「また来るぜ、マスター」

ガイは律儀に挨拶も交えてお金を置いていった。
そこそこの額が置いてある限り、結構食べたのではないだろうか。
ゼロも軽めにだが挨拶を済ませ、バーから出ていった。

161名無しのカウンセリングだべ:2017/04/02(日) 18:12:33 ID:snl6iVV.0
>>160
「あぁ、またおいで 君達の席ならいつでも用意してるよ」

ひらひらと手を振り、マスターが見送ってくれた
山積みになった食器を厨房へと運び入れ、腕を捲り気合を入れた


道中、このメンツならば怪人を相手にするのも容易いことだろう
向こうの方も遭遇するのを避けてくれたのか、安全にたどり着くことが出来た

「……ここッスか? レ……来てほしいって言われたのは」

レジスタンス基地、なんて言葉安易に使うとだれに嗅ぎつけられるかわかったもんじゃない
単純に関係者がいて、その人と会うためにこの場所を選んだ。 ただその体を繕う

162名無しのカウンセリングだべ:2017/04/02(日) 23:25:47 ID:snl6iVV.0


「…………」

「…………」

エクス達が出て、少し経った
互い違いの背を向け、一緒の部屋にいるもそこには会話がなく、
ただただ作業が響くだけ、沈黙が耳に痛かった。

「…………何も、言わないの?」

沈黙に耐えきれず、思わず口を開いた。
あんな情けない姿を晒したのだ、軽蔑されてもしょうがないと思っている。
……失望したため口も効いてくれないなんて、考えない

「無茶をしないほしい、怪我なんてせず安全でいてほしい。 僕の考えは変わらないよ」
「君が実はヘタレなのも、この一年の付き合いで知っているつもりだしね。」

「…………ヘタレじゃなくて」

ただ慎重なだけ ……そう言葉を紡ごうとした。
だが脳裏によぎるのは、自分が口にした言葉と震える手でなんとか押し開けたドア、
そして後ろに感じた ……皆の視線、だった

「……だからこそ、君が思っている事が何となくわかるんだ」
「『僕』みたいにまだ、一緒に戦う事を諦めていない、怖いけど、諦めきれていない ……そうだろう?」

「…………」

そっと、振り返る
そこにはついさっき、絵楠がこの事件に関わると決めた理由を聞いた時のあの視線
諦めが混ざった、尊敬と羨望の視線
諦めたからこそできる ……おだやかな目

「…………ヤクザ相手に、一般人が立ち向かったところで敵うはずがない」
「そうだね」
「悪の組織相手に、レンジャーやライダーでもない普通の人間が勝てるはずない」
「……うん、そうだね」

「……けれどもそれは、彼らを見過ごす理由にも、何もしないでいる理由にもならない」
「…………そう考えているつもり、だったのだけれど……」

首に手を当てる。 あの時の狂気を感じさせる目は、今でも記憶にしっかりと残っていた。
実験用のマウスに薬を入れるみたいに、一人の男を改造した。 ……そして自分が、それを殺した。

あの時力を手放さなかったら、彼らと迷わず戦えていたかもしれない
けれど、どこかに連れ去られ、自分が何をされるのか想像してしまうと

そしてこのまま絵楠達についていって、本格的にレジスタンスとして動くことを想像して
…………また同じ目に合い、今度は抵抗できず連れ去られる時の事を考えると

怖くて、動けなくなるのだ

「……今すぐ動いて、彼らと共に戦えとも、安全な場所にずっといろとも僕は言わないよ。」
「ただ、君が何を選択するにしても ……僕は君を支えるから」
「まぁ、本音を言えば手が届くところにいてほしいけれどね」

「……マスター」



「気持ちはありがたいのだけれど…… なんで私、あんなことあった後で皿洗いやらされてるのかしら」
「あの部屋から皿洗いの手伝いに連れ出た時の來咲さんの視線が忘れられないのだけれど」
「どうせ引き篭もって何もしないんなら手伝いなさい、 バイト料も出すから」

163名無しのカウンセリングだべ:2017/04/02(日) 23:50:37 ID:eMHibEhY0
>>161
「あぁ。とりあえず、中に入るぞ」

皆を連れてビルの中に進み、受付の更に奥に見える自動ドアの前へと立つ。
絵楠が機械に、IDカードを翳すと、自動ドアが開き中へ続く道が見えた。
セキュリティに関してはそれなりにしっかりしているようだ。

「……ここか?」

道なりに進むと、絵楠もあまり見慣れていない様子で地下への階段を見つける。
その更に先に、ドアが一つ見えーー

『認識装置 作動』
「ん?」
『ーー山亘理 絵楠サマヲ 認識シマシタ ヨウコソ レジスタンススペースヘ』

機械的なアナウンスが聞こえたと思うと、ドアが独りでに開き始めた。
その眼前に映っていたのはーー

「ようこそ、絵楠さん。改めて、初めまして。ワサビさん」
「ここがウチらの基地ーーレジスタンススペースだよ!」

絵楠達が来るのを歓迎するかのように、エイラ達が待っていた。
さながらSF映画に登場するこの様な近未来の施設の様に、大量のコンピュータが忙しなく動き、光を放つ。
恐らく異世界人や如月ジャーナルの社員達であろうメンバーも、皆コンピュータでの作業や次なるガシャットの開発に勤しんでいた。

「ほー……すっげぇな!」
「半年で、こんなに作れるもんなのかよ……」
「……あのガシャット……」

ゼロとガイは素直に驚き、大我は新開発中のガシャットに視線を向けていた。
本来のガシャットは、適合手術という特別な処置を使わないと扱えないものーー
それがこうして、絵楠専用とはいえ開発されていることにやはり違和感を覚えているのだろう。

164名無しのカウンセリングだべ:2017/04/03(月) 12:35:23 ID:Coczvcww0
>>163
「半年前から準備してたのは聞いてたッスけど」
「元々平和な世界なのによくここまで集められたッスね〜…」

簡単と、何が起こっているかわからない空間を見回すワサビ
なんか四角いものに向かって作業をし、新たな武器を開発している
すごい光景だ

「新しい違うものも開発してるんッスか?」

165名無しのカウンセリングだべ:2017/04/03(月) 13:06:10 ID:eMHibEhY0
>>164
「それにはちょっとした秘密がありまして」

得意げに笑うエイラがキーボードを操作すると、スクリーンに大きくスペースのマップが映し出された。
勘のいいゼロや大我はこれで分かるだろうとがいはガイは少し悩んでいるが。

「ワサビさんにも分かりやすく説明しますね」
「このレジスタンススペースは現実世界から地続きになっているように見えて、実は異世界にあるんです」

エイラが言うには、こういう理屈だ。
あのドアが所謂ワープゲートの役割を担っていて、それを通る事で如月ジャーナルからレジスタンススペースに移動できると。

166名無しのカウンセリングだべ:2017/04/03(月) 19:44:43 ID:sgjVclJ20
>>162

167名無しのカウンセリングだべ:2017/04/03(月) 19:45:13 ID:sgjVclJ20
>>162
(この人もこの人で結構強かなところあるよなあ……)
(まあ、一人でどつぼに嵌まらせるようなことになるよりはいいんだろうけど)

一人で考え続けても、抜け出せないケースもある。
先ほどの「助けに来てくれた」という言葉と態度から、なにか彼女に危険が迫っていたことは分かっていた。
簡単に、手を貸してほしいも、手を引いておけも、瑠奈には言えなかった。
関わったことで、失った命を知っているから。
それでも、使命感故か、好奇心故か、関わり続けた自分がいたから。

「……ごちそうさま。
今日はありがとうございました。
またその内、寄らせていただきますね」

お代をカウンターの上に置いてから
マスターと、和にむけて手を振った。



神守町。自分の家に着くところで、家の目の前に停まっている車に瑠奈は近づいていった。
助手席側の窓を何回かノックすると、そのパワーウィンドウが開いた。

「早いお着きね」

「……どこ行ってたんですか」

「散歩だよ、散歩。
……で、乗っていいかな?」

「車で迎えに来いと言った張本人が何を言っているんだか」

「いやあ、人の運転する車は楽でいい」

「…………」

助手席に座り、足を組む瑠奈。
その様子を見ていた運転手はやれやれとため息をついて車を発進させた。

168名無しのカウンセリングだべ:2017/04/03(月) 22:16:04 ID:snl6iVV.0
>>165
「なるほどーッス! これなら外の建物がふっ飛ばされても大丈夫そうッスね」

手をたたき、納得顔これには合点が言った。
この規模の空間が半年で作れるわけがない、他の元あった空間を持ってきたのだ
防御面から見ても安心安全…… 編集長に取っては聞き捨てならない状況だろうが

「この部屋以外には何かあるんッスか? レジスタンスベースっていうのは聞いたッスけど」

この部屋だけじゃ足りないよな? と、ガジェットを見ながら
アレはおそらく今使ってるのよりも高性能なのだろうか、別の部屋には別の人の武器が作成されているのか?

>>167
「あぁ、いつでもおいで。 君もいつでも大歓迎だよ」
「……ええ、また会いましょう、來咲さん」

二人に見送られ、頭を下げる和と軽く手を振るマスター
そしてカウンターに座るアネパも見送ってくれた

「(*゚д゚)ノシ」




「それで、これからどうするんだい?」
「……調査は続ける。 戦わなくても出来ることがあるのならそれをするのみよ」
「何か発見があったらマスター経由で知らせればいい」
「ん、連絡先教えてもらったからそこに直接」
「…………… あんなこと言った手前すぐに手伝えるわけないじゃない」
「…………… 君本当に、いやなんでもないよ」

169名無しのカウンセリングだべ:2017/04/03(月) 23:34:29 ID:3zVK3xRE0
神守町のある県から二つほど跨いだ道路。
車の中は、スピード感のあるBGMとは裏腹に会話のない時間が流れていた。
ふと、運転をしていた男が口を開いた。

「……ところで」

「なに?」

「なにやらこの町周辺が騒がしいようだけど」

「そう? いつも通りじゃない?」

「ニュース見ました?
一部ではコスプレ集団の悪ふざけではないか、秘密裏に開発されていた生物兵器とか言われているけど、あれは絶対に」

「あなたは」

続く言葉を遮るように、鋭い声が走る。
運転のため前を見続けるその顔を、瑠奈はじっと見ながら続けた。

「……あなたは自分のことだけ考えてなさい」

「…………」

「お願い、翔」

「……姉さんは、どうなんですか」

「バックアップはするけど、そこまでね。
現状、戦う気はないし……私は、一人じゃ戦えないしね」

「……もう、あんな目に遭うのはごめんだから」

「分かってる。
もう、ああはならないようにするから」

話は終わりとでも言いたげに、瑠奈は目を瞑る。
彼女の弟、翔はなんとも言えない顔をして、車を走らせ続けた。

170名無しのカウンセリングだべ:2017/04/04(火) 00:45:43 ID:eMHibEhY0
>>168
「えぇ、もちろん他にも設備はありますよ。トレーニングルームを初めとして、休息用のポッドルームもありますし……」
「他にも、個人用の部屋も結構作ってあるヨ!」

待ってました、と言わんばかりにエイラがマップを更に詳しく表示する。
更に、由紀がそれに説明を付け加えた。
ここでも、ある程度は異世界人の保護が出来そうだ。

「あとは……そうですね……」
「ちょっとエイラちゃん、悩む必要ないじゃない!一応これも仕事ってことなんだから、売店もあるとかさ!」
「うーん……それを言って良いものか……」

ーーどうやら、案外普通の会社みたいに成り立っている感じらしい。
由紀に協力を頼んだが故、か。

「って、……あぁ、そうでした。皆さんにちょっと聞いてほしいことがあって……」

そう呟くとエイラは神守町の付近にある街よりも少し遠くに位置する空野町ーー今では『空野シティ』と呼ばれる街の地図を表示させる。
その中で一際目立つ、大きな建物。
『空野宇宙センター』ーー確か二年程前、ロケットが宇宙に飛び立ったというニュースが流れただろう。
最もそれを昔から知っているのは、このレジスタンススペースで働く現実世界の人々・由紀・絵楠・そしてーー今ここにはいない和や瑠奈達に限られるか。

「この宇宙センターに関わる訳じゃないんですが……絵楠さん」
「あぁ。兄貴……俺の兄さんが、乗組員として乗ってる」
「ビンゴ。あと一週間で帰ってくる、ですよね?」

ーーまさか。
絵楠の脳裏に最悪の考えが過ぎる。
廃工場を拠点としたゲーム。これはアレイスターに宣言された、確実なもの。
それを隠れ蓑にした大きな野望。推測でしか無いが、この線も無い訳では無い。
けれどーー

「なぁ、ワサビ」
「アレイスターの奴ーーまだ、俺とお前とエイラの三人にしか、面と向かってゲームの事を言ってないよな」

そう呟く絵楠の頬を傳うーー一雫の汗。
一週間後、何かが起こることを感じているようなその様子ーー
ワサビにも、詳細はともかく伝わるだろう。

171名無しのカウンセリングだべ:2017/04/04(火) 12:28:03 ID:QduksON20
>>170
「あんにゃろーの事だし他にいうのがめんどくさかったとか…… 絵楠?」

確か、また現れた時ゲームについては触れていない
あれは状況が色々と変わってるせいで触れる暇がなかったものとばかり思っている
しかし絵楠の様子を見て、裏の意図を自分なりに探ってみる
ゲーム、遊び。 単純に拠点を見つけて破壊する作業

「……か、考えすぎッスよ、まさかヒロキが帰って来るときに何かでかいことをしでかすとか」
「そのためだけに向こうも半年前から準備する理由が、ないッス!」

172名無しのカウンセリングだべ:2017/04/04(火) 12:48:34 ID:QduksON20
神守町、廃工場

「(とりあえずアレと初めて遭遇したらしい場所に来て見たけれど……)」
「(……何もなさそう)」

エイラ、絵楠、後あの犬の人が初めてアレイスターと遭遇したらしい廃工場に足を踏み入れる
拠点が二つ破壊されたお陰か、怪人達の姿が明らかに見なくなった
ここまでほぼほぼ遠回りせずに安全に来ることができたのだ

「(……破壊した、ね)」

視界の端に、何か透明な壁のようなものが入る
おそらく絵楠が破壊したという、存在を隠すための防壁の破片だろう

話を思い返すと、ここではあくまで遭遇しただけ、自分達のように戦闘があったり強い幹部がいたりしたわけではないらしい
いたのはアレイスター、ただ一人

「(誘い出すための囮で、ここ自体には意味がない。 それにしては…… わざわざ用意するのに手間がかかりすぎている)」
「(……他に何か理由が…………)」

「っ」

うなじが不意に、痛みを放つ
今日何度も傷んでいる気がする、どこかにぶつけたか?

「(病院で見てもらった方が、良かったか…………)」
「…………!」

不意に、工場の外で倒れている人が視界に入った
一体いつから、何があった?
近くと、ふと記憶に大蛇を思い出した

「……昼間蛇を認識してた……?」

周りがまだ、怪人を認識していない頃
自分がカバンをぶん投げ、その隙に逃げた同じ歳くらいの男子
首元を手で抑え、胸を上下していた
手の隙間から、その傷跡が目に入る

人の口で、噛まれたような
出血しているのに、一部傷跡と化していく傷

うなじが熱く、鈍く痛む

173名無しのカウンセリングだべ:2017/04/04(火) 23:16:43 ID:eMHibEhY0
>>171
「……だと、いいんだが」
「ーーそうとも、言い難そうです」
「え」

一言ーー静かに呟いたと思うと、エイラは宇宙の映像を映し出す。
どうやって映像を撮ったのかはあまり触れない方がいいだろう。
そこに映るのは、ほんの僅かではあったがーー

「どうにもここ最近、宇宙にも怪人達が蔓延っているみたいです」
「だと言うのに目立った動きもしていない。恐らくーー」

ロケットの破壊ーー
これは間違いなくアレイスターーー奴の狙いの一つだろう。

「……待てよ、なら俺達が気づかない筈が……」
「いや。俺達は時空を超えてここに来た……この世界の宇宙を通ってなくても仕方ねぇ」

ここでガイが一つの疑問を投げかけようとするが、ゼロによって結論は簡単に出た。
そもそもガイもゼロも、時空を超えて既にこの地球の中に移動しているーー
宇宙を通っていないのも、当然の話だ。

「奴等、この地球を覆って既に防壁みたいなモンを張ってるみてぇだな。これじゃ防壁をぶっ壊さねぇと宇宙に行くことすらできねぇぞ」
「……えぇ。向こうも、準備は怠っていなかったみたいです」

そして、もう一点ーー
大きなスクリーンに映し出されていた映像を見て呟く大我に、エイラが申し訳なさそうに続けた。
エイラと由紀が半年間掛けてこのレジスタンススペースを造り上げている間に、アレイスター達も準備をしていたのだ。
この地球側から、宇宙ーー広樹が乗っているロケットに、干渉できないようにするためのモノを。

174名無しのカウンセリングだべ:2017/04/04(火) 23:21:29 ID:eMHibEhY0
「……兄貴を助けることは、こっちからじゃ現状無理ってことか……」
「やれるだけの事はやります。ゼロさんやガイさんがいてくれるお陰で、多少なら策も練ることが出来そうです」

エイラの発言に、ほんの少しだけ安堵を覚える。
あの頃から、何度も兄にも迷惑をかけたのだ。それに、まだーー
まだ、絵楠自身の手で広樹を助けたことは殆ど無い。いつも助けられてばかりだった。
今度は、自分の手で助けたいーーそれが、出来るのなら。

「大丈夫です、絵楠さん」
「エイラ」
「信じましょう。あの人は、この世界のーーウィザードなんですから」
「……あぁ」

175名無しのカウンセリングだべ:2017/04/05(水) 12:21:53 ID:.d3PqMhY0
>>173-174
「それにあんにゃろーはこれはゲームだって言ってたッス!」
「あの性根腐った性格から考えるにクリア条件を用意しているのに失敗してる姿を見たいと思ってるはず!」

「なんにせよあんやろーぶっ飛ばせばもろもろの問題は解決するッス!」

これがゲームであるならば、そして同時期に行われていることならば
自然とこのバリアもアレイスターが何かクリア条件を設けているはずなのだ
無力に何すすべなく絶望する姿を見たいのではない、
きっと失敗する姿が見たいのだと直感が告げていた

176名無しのカウンセリングだべ:2017/04/05(水) 23:18:29 ID:eMHibEhY0
>>175
「だな。アイツの事だ……打開策を見つけようと踠き苦しんでいる俺達の姿を嘲笑いたいって事だろう」

ワサビの意見はご最もだ。
アレイスターが仕掛けたゲームだ。ただ単に、こちら側が為す術もない様な彼もゲームなど続けないだろう。
あくまでこちら側を苦しめ抜き、哀れな姿を楽しむーー
それがアレイスターの目的の一つであることには違いない。悪趣味な男である。

「……コホン」
「御二方ともお熱くなっているところ悪いんですが、今日はこの辺でお開きでもいいですかね?」

咳払いと共にエイラが切り出す。
ふと絵楠が時間を確認してみると、時刻は既に夜分。
無理もないだろう。ここまでの時点でかなり動き回ったが、実際の所ーーアレイスターにゲームを仕掛けられてから、ひいては絵楠がバーの存在を知ってからまだ一日も経っていない。
むしろまだ一日目にも関わらず拠点を一つ落とせたのは、かなり幸運だったのだろう。

177名無しのカウンセリングだべ:2017/04/05(水) 23:30:44 ID:snl6iVV.0
>>176
「ん、あ、そうッスね〜」
「流石にこれ以上動き回るのは厳しいッス 休んで明日に備えるッス!」

エイラが切り出すと、途端にトーンダウンした
熱しやすく冷めやすい、魔法瓶のような単純さだ

考えてみれば戦闘戦闘に次ぐ戦闘、おまけに環境の急激な変化で何となく疲れた気がするのだ
早くバーに戻って明日に備え……

「……ここって個人の部屋もあるんッスよね?」

そう言えばこの話に移る前に、個人の部屋もたくさん用意しているとか聞いた
ここからバーまで少し歩く必要がある、それに何となく、和の事があって戻りづらかった

178名無しのカウンセリングだべ:2017/04/05(水) 23:55:51 ID:eMHibEhY0
>>177
「ええ、ありますよ。部屋の空きも充分ありますし、自由に使ってください」
「お、そんなら俺も世話になるか!ラムネ売ってるか?」
「あぁ、確か売店にあったかと…… ……もう行っちゃった……」

にこやかにエイラが喋り出すと、ガイもワサビ同様にレジスタンススペースの部屋を借りる事を決める。
更にはラムネが売っている場所を聞きつけ、即座に買い足しに行く始末。
非常にーー自由な男だ。

「俺もここにいるとするか。大……花家はどうすんだよ?」
「……俺には俺で場所があんだ、気にすんな」

そう告げると、じゃあなと一言付け足してスペースから出ていく大我。
次来た時に入れるのかどうか分からないがーーエイラ辺りが顔認識にデータを登録している事だろう。

「それじゃあ俺もそろそろ帰るよ。じゃあな、ワサビ。……これからもよろしく」

ワサビに向けて右手を突き出す絵楠。
改めての挨拶を含んだ、握手だろう。

179名無しのカウンセリングだべ:2017/04/06(木) 00:02:47 ID:snl6iVV.0
>>172
「(噛み傷……? まさか……)」

脳裏に浮かぶのは、病原菌により化物と化して蘇る死体
食欲のままに動き、同じ人間を襲い ますます数を増やすあの―――

「(………… ないわね)」

「……ねぇ、貴方……大丈夫?」

妄想を打ち切り、恐る恐る声をかける
「傷は見る間に塞がっていき、もはや古き傷のよう、
動く力すらなく、野垂れ死にを覚悟していると、ふと同じ年ぐらいの
幸薄そうな少女が歩み寄るではないか――
どのように声をかけるべきか、彼女は敵か味方か?近づく顔は無表情であるが不機嫌な

「頭を打ったようね、ひどく」

「一目で我が体調を見破った。 そういえば頭がズキズキと痛む―― 倒れたときに打ったのであろう。
血が出ている感触はないが無言の私に近づいただけで見抜いたのを見るにひょっとして医学生ではないかと

「……立てるかしら、ほら、肩を貸すからゆっくりと立ち上がって」

「……す、すまない」

「……ちゃんと話せるのね貴方」

なんだかやけに、周りの事を話している…… というか、自分の思ったことをそのまま口に出している?
変わった奴であると思いながら、肩を貸す
決して。だらけようとしているわけではない、体の動きから力を入れようとしているのはわかる
しかし、明らかに―― 自分を自分で支えきれていない?

「非力な少女に支えられるも、自分自身力が全く入らず情けない思いに溢れてくる――
どう言い訳したものか、このままでは危ない薬をやっている人物認定されるだろう。
こうして黙っているのも怪訝に見られるかもしれない。 しかし本当のことを話すのも憚られる……」

「……貴方自分では黙っているつもりなのね」

「――どうやら口に出していたらしい、忌まわしい癖だ……
このままだと体の中に怪物が入り、我が力を奪って飛び立っていったなどと正気を疑うようなことを」

「………えっ?」



「そしてその怪物が、すぐ近くに潜んでいるなど―― 断じて、言えるはず」

ドンッ



最後まで言い終える前に、男子高生を突き飛ばす
今の今まで、感知できなかった気配、音―― 炎の爆ぜる匂い、爆ぜる音

明らかにこの世界の物ではない 体が炎でできた―― 肉食鳥ほどの大きさの鳥が、こちらに向け火を放っていた
やられたと思っていた、実際にやられただろう。 体が一瞬にして炎に包まれた
吸った空気で喉が焼けるようなひどい熱だが、何故か体に当たると鈍い痛みを与え、散り散りと霧散する炎

転がるように中から飛び出すも、服と皮膚が軽く焼けるくらいで大きな怪我は無かった

「(……み、見掛け倒し……? でも、熱は……)」

体から汗が吹き出るような熱さ、こんな軽症で済むはずがない
理由は自分にも、恐らく目の前の怪鳥にもわからないが
それが怪鳥の逆鱗に触れたらしい

敵意を剥き出しにした視線をこちらに向け、雄叫びを上げるとこちらに突っ込んできた―――

180名無しのカウンセリングだべ:2017/04/06(木) 00:21:09 ID:eMHibEhY0
『で、いつ帰ってくんの?』
「……今帰りだって言ったろうが」
『はぁ~!!?オンナノコ一人廃病院に何時間も放ったらかしとかホンット信じらんないんだけど!』
「うるせぇな!声がでけぇんだよ!!」

レジスタンススペースからの帰り、自分が経営ーーいや、利用しているだけの廃病院に帰る途中。
大我の耳に鳴り響く劈く様な声。今どきのゲーマー女子であり、今や大我のパートナーにまでなっている『西馬ニコ』の声が、大我の携帯から漏れるかのように響いていた。

『そもそも何で急に出かけたワケ?』
「……エグゼイドがボロボロになってCRに運ばれてきたのは知ってんだろ」
『まぁ、うん』
「アレについて色々と調べてただけだ。気にすんな」

またはぐらかすの!?と携帯から絶え間なく鳴り響く声にうんざりしながらも。
ーー何かの気配を大我は感じ取る。
バグスターでは無いが、誰かが危機に陥っている可能性が高いのは確かだ。

「……悪ぃがまだ帰れねぇ」
『は?ちょ、大ーー』


そしてその予感を感じたのは、大我だけではない。

「……何だ?」

永夢からの話を聞き、自身も今回の件の調査に向かっていた飛彩も言いようのない危機感を覚える。
ちょうど今、自分のいるところから近くだろうかーー?

181名無しのカウンセリングだべ:2017/04/06(木) 08:42:41 ID:wykbYVa20
>>178
「むむむ、今回は前みたいに観光を楽しむ余裕なんてないのが残念ッスけど」

「今回も、あの時と同じように頼むッス!」

しっかり握り返す手は、あの時よりも小さく感じた
一緒にRPGの世界を旅し、戦って来たあの日
しかしそこには変わらない友情と、変わらない意志の強さがあった



「んじゃ俺は寝ることにするッスー! 異世界初のベット楽しみにしてるッス!」

三度の飯より寝るのが好き、そんな彼だったが
握手を終えると個人の用意された部屋へと向かった
質のいいベッドが用意されているといいが

182名無しのカウンセリングだべ:2017/04/06(木) 08:58:20 ID:wykbYVa20
>>179

身を屈めると、頭があった場所の壁に大きく壁が空いた
向こう側が見え、茂みが燃えるのが見える
ここまでされるような事、果たして自分はしたのだろうか

「(……よくわからないけど、これは物理的な力には効果がない)」
「(直感が、そう告げている……!)」

あの炎は見掛け倒しじゃない
おそらく自分には効いていないだけ、いや自分が“打ち消した”のだろう
あの時、確かに能力を否定した。
しかしまだ、断片が残っていた……?

「(エイラ・アレイスターに知られたら厄介なことに…… いえ、あの時とは別物だから興味に惹かれないかもしれない)」
「(何にせよ好都合、今回は 逃げる事なんて全く考えていない)」

「(少なくとも私一人では、ね)」

近くに動けない人がいる
それだけで、逃げる訳には行かなかった
わかっている、自分は恐らくヘタレているのだろう
今だって気を許せばすぐに体が震えてしまいそうだ
しかしここで逃げ出すような救いようのない屑になるつもりは毛頭もない

『……今回はやる気のようじゃな、一歩前進じゃ』
『大丈夫じゃ、こやつはお主でも乗り越えられる…… 我輩がついておる』

「…………!」

またあの声だ、さっきの銃の力を得た時の、この声
うなじが熱を帯び、周りに該当する人物がいないこの声

たった今気づいた、これは自分の中から聞こえる

「……やっぱり幻聴の類だったわね、これが終わったら病院で見てもらわないと」

183名無しのカウンセリングだべ:2017/04/06(木) 09:36:39 ID:Xju8i58s0
>>181
「全部終わって時間があったら、気が向くまで観光すりゃいいさ!何なら、俺が色々案内するよ」
「っと、おやすみ!明日からまた頑張ろうな!」

握った掌から感じた意思の強さを噛み締め、ワサビを見送る絵楠。
最後にそう言うと、自身も帰路に付くためレジスタンススペースを出ていった。

部屋に入ったワサビの目に真っ先に映ったのは、ふかふかのベッドだった。
近くにも一人で使うのには丁度いいサイズの机、他にも何やら色々とある。ワサビからするとベッドと机以外のものは相当オーバーテクノロジーな物に見えるかもしれない、が。

>>182
「……!あのガキ……!」

気配を感じた方角へと走っていた所で、大我は一人で何かと対峙する和の姿をその目に留めた。
ーー無茶すんなって言ったろうが
口から飛び出そうになった言葉を飲み込み、ゲーマドライバーを腰へ巻き付け大我は走り出す。

「無免許医…… !そういうことか……!」

その姿を目撃した飛彩もまた間接的に現状を察し、同じようにドライバーを装着。
和の救出を試みる。

184名無しのカウンセリングだべ:2017/04/06(木) 12:16:32 ID:bywp5M/c0
「おはよう」
「ん゛ー……夜だけど…………おはよう……」

 とあるマンション。拓人の部屋にて。寝起きが悪い拓人はめんどくさそうに言った。

 経緯説明。
 寝そうだった拓人は、外で寝たら風邪引くんじゃない? と咲野に言われ、家に帰ろうとしたところ「私も行こう。また怪物とか出てきたら大変だし」という事で一緒に拓人の家へ行ったのだった。

「なに勝手にゲームしてんだ……。まあ、いいけど……」
「気になったことがあるんだけど」
「ん?」
「《怪異》を見たのにどうして狭間じゃなかったの?」
「あ……そうだな……狭間に行くための黄金瞳がなかったから? いや、アレはあのサラマンドラだったな……。サラマンドラが存在している世界からこの世界に迷い込んだなら狭間に行くはず? ……空にあの怪物がいたんだ。いろんな世界と繋がっててもおかしくはないのに、どうして変わらなかった?」

 《怪異》を目視したら現実ならざる空間に迷い込んでしまう。そして、《怪異》は黄金瞳と自分と同じ悲鳴を求める。
 けれど空間に変化はなく、ずっと現実のままだった。

「わからん! 寝起きでそんなこと考えられるわけねぇだろ! 寝る! オヤスミー」
「えっ、また寝るの?」
「もう寝たから寝られないけどちょっと休ませろ」

185名無しのカウンセリングだべ:2017/04/06(木) 12:46:53 ID:Adzr4xfY0
>>183
「アギャァ!?」
「………!」

何か棒のような物を携え、体が炎でできたような鳥と対峙していた
紙一重の動作で鳥の動きを避け、棒と接触させダメージを与えている

……違う、ただしくは当たっている
横を過ぎる度に、服が焦げ、肌を焼いている
それでも顔を上げ、睨みを効かせる姿は
震える手でドアを開けた人間とは別人のようだった


『こやつは無差別に襲っているように見えて、後ろの少年には攻撃を当てていない』

頭の中で、声が聞こえる

『こいつは恐らく、人間を拠り所としないと存在できないのじゃろう。 人間の魔力をもらう事でようやく存在できる』
『あの少年が動けないのもそのせい、魔力を根こそぎ持っていきよったな』

『自分自身一人では体を形成できず、魔力を供給しなければならないのに否応無しに燃える体』
『何をすべきかはわかるな?』

警棒型のスタンガンを振るい、炎を無駄に使わせる事で魔力を削る
あえて体をぶつける事で火を打ち消し、力を消耗させる

やがて激怒した強い勢いの炎は衰えていき、弱々しくなっていった

『後はその少年の体に押し込むだけじゃ 今なら体を抜け出す力もあるまい』
「ーーーー」

こちらに突っ込んできたところで、身を屈めると体を掴む
手が熱と痛みに悲鳴をあげるが、一瞬だけだった

倒れている男子高生の体に押しつけると、すんなりと中に入っていった
もがく様子を見せるも、体の中に沈んでいき
すっぽりと消える

「……熱を感じたかと思えば体に熱を感じる
まるで空腹時に食事を済ませたかのように体がみたさ…… っ……!」

首元の、人間の歯型の傷跡に手をやる
口の中に囚われるように、炎で鳥の絵が描かれ
後は焼け焦げた跡だけが残った



「…………楽勝だったわ」

駆けてきた大我と飛彩に、得意げに親指を立てる
あっちこっち火傷してるし、服は二度と着れないレベルに焦げ目ついてる
何より立てた親指がふるふると震えていた

186名無しのカウンセリングだべ:2017/04/07(金) 00:17:41 ID:eMHibEhY0
>>185
「……何が楽勝だテメェ……無茶すんなって言ったろうが!」

和の姿を見るや否や、抑えていた言葉が自然と漏れ出す大我。
悪ぶっていようとも優しく、ドクターとしての誇りを心の中に持つ彼からすれば和の無茶な行動を咎めたくもなるだろう。
自身が忠告したにも関わらずだから、尚更だ。

「……俺も同意見だ。何故、無茶な事をした」

怒ってはいないものの、飛彩も和の行動には難色を示そうとしていた。
倒れている男子高校生の様子を見ながら、だが。

「ハッ、お坊ちゃんが人の事言える立場かよ」
「……黙れ、無免許医」

187名無しのカウンセリングだべ:2017/04/07(金) 12:04:37 ID:LPhqZ3lE0
>>186
「必要だったからよ ……そうでなかったら無茶なんてしない」

見るだけで、怒っているとわかる大我の目を見返し、
静かでもはっきりとした声で言い返す
ノミのような小さな心臓が、怒鳴られただけで強く胸打ち始めたのだが
この音が周りに聞こえないように祈る

「倒れて身動き取れない人を放って置くわけにはいかない、私の力では同じ歳くらいの男の子なんて運べない」
「それに近くに他に戦えそうな人がいるかわからなかった」

「だから戦うことを選んだ ……勝算だってあったのだしね」

あれは時間を稼げばなんとか追っ払える相手だった
自分の力でも対処できた

「……心配してくれたのは申し訳ないけれど、私は私のできることをしたまでよ。 それは無茶とは言わない」
「どう足掻いてもどうしようないなら逃げていた。 ……出歩く事自体が無茶だと言うなら、ぐうの音も出ないけれど」

考えなしに動いたのでは無く、考えがあってこその行動だと主張した
後付けなのだが、口のまわるクソガキである

「……突っ込んでくる火の玉に避けないでいることは無茶だと思 むぐっ!??!?」

「それ、で! こちらの彼の容態はどうかしら、体に異常はないかしら?」

何か言いかけた男子高校生の口を塞ぎ、
黙らせるように話題を変えた

医者の見立てでは、軽い打撲や擦り傷……おそらく怪人から逃げようとしてついたものだ
疲れているが、体に異常はなさそう

ただ一点、目を引くのは明らかに人間のものと思わしき噛まれた傷跡
そして、それに囲まれるように鎮座する鳥型の痣


「…………別れた方がいいと思うわよ、噛みつきグセのある彼女はエスカレートして」
「違う」

188名無しのカウンセリングだべ:2017/04/08(土) 02:19:04 ID:eMHibEhY0
>>187
「……強がりやがって 傷の手当すっぞ」

何処か納得のいかない様子で傷の手当を行う大我。
本当は大我自身も相当無茶なことをしてばかりいるのだが。
ーー他人は無事でいてほしい、のだろうか?

「この類のものは……外見的には治療することは可能だ。だが、この模様は一体……」

いくら天才外科医で世界一のドクターを志す飛彩とはいえ、この傷は予想を超えているらしい。
主に、その模様が。

189名無しのカウンセリングだべ:2017/04/08(土) 02:34:59 ID:snl6iVV.0
>>188
「……ええ、 お願いするわ。 少しヒリヒリするぐらいだけど……」

全体的に軽い…… のだが、いかんせん量が多い
消毒液に時折顔をしかめながら、傷を触れさせないため包帯とバンドエイドを付けられる
こう処理を行ったほうが重症に見えるのはどういう事だろう

「痣の方は体の中にあの鳥を押し込んだときに出来たもの、だから関係するのは間違いなさそう」
「………噛み傷の方は…… 何か心当たりはないの?」

「――――そう、あれは化物に追われ体力の限界に……」

「手短にお願い。」

「…… 首に痛みが走ったと思ったらどっと疲れが出て動けなくなった……
いや、あれは空腹感や喉の渇きと似たような感覚だった。 まるで必要としている何かがすっぽりと無くなり……」

「……体の中からあの鳥が出てきた、と」
「(…………頭の中の声と、部分的に一致して無くはないけど……)」

学園の友人に、魔力切れの症状を聞いたことがある
なんでも空腹感に似たもので、明らかに力が入らなさそうにしていた

彼らはある種、魔法を扱う才能があった…… のだと思う。
無意識に常日頃必要としている魔力に手を付けず、ギリギリまで消費していたのだろう

「(際限なく貪り取っていたとしたらああなるのね。 …………魔力なんて口に出すのも馬鹿らしいけど)」

「…………… 原因究明は、とりあえず明日にでも持ち越しましょう」
「戦いの音で他の異世界の生物が寄ってきているかもしれない、怪人が来るかもしれない ……それに夜も遅い」

190名無しのカウンセリングだべ:2017/04/08(土) 21:23:32 ID:eMHibEhY0
>>189
「……チッ、この気配……どうやらその考えは当たっちまったみてぇだな」

舌打ちの後に、恨めしそうに呟く大我。
鳥、犬、蟷螂ーーもはやどの生物を元にしていないのかを探す方が楽になるほど、多くの怪人達がうようよと集まってきた。
大体の目安で、二十か三十と言ったところか。

「……ブレイブ、その餓鬼共CRに連れてけ」
「何だと?」
「テメェの手なんざ借りるまでもねぇって言ってんだよ」
『バンバァンシューティング!』

永夢や絵楠の物と同じゲーマドライバーを装着。
紺色のガシャットを、怪人達に向かって突き出しながら大我はそのスイッチを押す。
飛彩達に、逃げるように促しながら。

191名無しのカウンセリングだべ:2017/04/09(日) 00:57:46 ID:snl6iVV.0
>>190
「人に無茶をするなと言っておきながら貴方は……!」

止める暇もない、既に全身にライダー特有の装甲を身を包み、怪人達へと突っ込んでいった
怪人一人ひとりを見据え、自分の力量を、そしてどれほど役に立てそうか考える

「状況が全くわからない、一体我が身に何が起こっているのか、街自体に何が起こっているのか
しかし敵意を向ける集団がこちらを殺さんとギラギラとした視線を浴びせているのを理解する。
女性の股関節だけでも十分負ける私にはどうすればよいか考

「… … … … … … 逃げましょう」

「……呆然とす…… お、おい冷酷すぎじゃ」

「……悔しいけれどあの集団相手に為す術なんて私にはない、恐らく貴方にも。」
「ならばここから離れるのが先決、私達がいる限り彼もここから離れられない ……そうでしょ?」

唇を噛み、グッと気持ちを抑える
少し前の自分ならともかく、今は無理
さらにスタミナ切れの…… 名前不明の男子高生が一緒ならなおさらだ

「…………鏡先生、お願いします」

192名無しのカウンセリングだべ:2017/04/09(日) 01:20:57 ID:eMHibEhY0
>>191
「……、……だが」
「ハッ、テメェに心配されるなんざ気持ち悪ィ、反吐が出るからやめろ」

黄色のマントを身につけ、銃型の専用ツール『ガシャコンマグナム』を片手に怪人達相手に立ち回りながら大我ーー『仮面ライダースナイプ シューティングゲーマーレベル2』は飛彩に減らず口を叩く。
本質的にシステムに違いがある絵楠を除けば、和達が知る三人のドクターの中で、大我が一番ライダーとして戦った期間が長い。
何十といる怪人を相手に臆せず冷静に戦えるだけの技量と精神力は、その賜物だ。

「……俺は」

ーー鏡飛彩には、大我を許せない理由が一つだけある。
それを知る由も、その事実すらも和達は知り得ない。いや、知らずとも仕方ない。本人が滅多に人に打ち明けないのだから。
それでも、今はーーそんな事を言っている場合ではない。

「……無免許医、あのガシャットを渡せ」
「あァ?今それどころじゃーー」
「あのガシャットを使えば全員この場から抜け出せる。無駄口はいいーーあのガシャットを、俺に渡せ」

同じ様にドライバーを腰に巻き、和達を庇うように前に立つ。
一寸動きを止めたスナイプも、仕方ないと言った様子で一際大きなガシャットを飛彩へと投げ渡した。

『Tadole Fantasy』
「術式レベル50」

飛彩がガシャットを起動すると同時に、紫色の飛行物体がガシャットから飛び出す。
"ゲーマ"ーーガシャットから呼び出され、アーマーの役割を果たすモンスターは、そう名付けられている。

『Let's going King of Fantasy!』
「ーー変身」
『デュアルアップ!』
『タドル メグル RPG!ーータドルファンタジー!』

一瞬、王道の騎士の風格を漂わせる『仮面ライダーブレイブ クエストゲーマーレベル2』へと変身する飛彩。
しかし、次の瞬間和達の目の前に現れたブレイブの姿はーー
先程空中を飛び回っていた紫色のゲーマを身につけ、マントに身を包む、さながら『魔王』。
ーー『仮面ライダーブレイブ ファンタジーゲーマーレベル50』。

「ーーはァッ!」

ブレイブが手を翳したかと思えば、何十、いや何百とも言える数の怪人達が一斉に現れ、スナイプに加勢していく。
ファンタジーゲーマーの特殊能力ーー
本来なら怪人として実体化したバグスターが手下として呼び出す、バグスターウィルスの怪人体を使役する能力。
所謂雑魚怪人ではあるが、ブレイブ本人が相当高いレベルに到達しているためウィルス怪人体達もそれ相応に強化されているようだ。

193名無しのカウンセリングだべ:2017/04/09(日) 10:21:32 ID:orVaRHow0
>>192
「……逃げるまでもなかったわね」

「人でなし」

「うるさいわよ」

まるで悩んでいた自分が馬鹿みたいじゃないかと思えてくるほどの猛攻、
それでも流れ弾がこちらに飛んでくる事を恐れ、
そっと男子高生の前にポジションを取る

194名無しのカウンセリングだべ:2017/04/09(日) 10:40:04 ID:c5qNk3ws0
>>193
「一気に終わらせるぞ」
『ガッチャーン……キメワザ!』
『タドル!クリティカルーーフィニッシュ!』
「はァァァッ!!」

レバーを一度戻し、再び開くことでブレイブは必殺技を発動。
右腕に溜め込んだエネルギーを、バグスターウィルス諸共怪人達に向け解き放つ。
余りの威力に怪人達はあえなく爆散。ーースナイプも、若干かすり気味だった。

「ブレイブテメェ……撃つなら撃つで前もって言いやがれ!」
「知らんな」
『『ガッシューン……』』
「……ぐっ!」

苛立つスナイプを軽く受け流し、ブレイブは変身を解除する。
スナイプも同時に解除するが、突然胸を抑え苦しみ、倒れこもうとした飛彩を自然に支えていた。
そのまま、飛彩は気絶ーー

「……俺もコイツも、人の事なんて言えねぇか」
「おい和、その男子支えられるか?悪ぃが俺はこのお坊っちゃん支えなきゃならなくなっちまった」

195名無しのカウンセリングだべ:2017/04/09(日) 12:40:39 ID:snl6iVV.0
>>194
「……おかげでなんとかなったわね、ありがとう」
「肩を貸すぐらいなら造作もないわよ、ゆっくり行けばなんとか」

「気がつけば目の前の怪人達は跡形もなく消え去り、何もかもわけがわからぬままに終わるのだった
あぁ、我が平凡なる日常は終わりを告げ今や漫画のような非日常へと足を踏み入れたのだろう。

だが肩を貸すかと問われたがこれ以上女子にかっこの悪い所を見せるわけにはいかない
先程はもとより現在の自分ならば十分動ける、どのようにして断りを入れるべきだろう、
ここは汗をかいている体を押し付けるわけにはいかないと伝えるのが懸命で」

「……それに本人も元気になったみたいだし、支える必要もなさそうね」

「……声に出ていたか?」

「諸に」

スタミナ切れとは言え少し休めた分、動けるようだった
この後再び烏屋警戒の元、CRへ、そしてバーの方に無事たどり着けたようである。
夜も遅いということで、何が置きているのか説明出来ることもあり二人共今日は酒場に泊まるらしい

かくして、長いようで短かった騒動の初日は、無事終わるのであった

196名無しのカウンセリングだべ:2017/04/09(日) 22:37:52 ID:snl6iVV.0

―――――――――――

――――――

―――

夢を、見ていた
何度目になるか、数える事も億劫となってきた夢


「マイ…… ……リァー!」
「……リーヴェン…… ヴァー…… リァー!」

部屋の中で珍妙な掛け声と共に、棒切れを振り回している ……銀髪の、女の子
ふざけているわけでも、遊んでいるわけでもない事を私は知っている
そう、教えられてきたのだから

「……! アイ!」

物音を立てると、こちらに気づいて笑顔で駆け寄ってきた
ニコニコと笑いながら、奇妙な言葉で話しかけて来るが、何となく何を話しかけているのか理解はしていた
魔法の練習をしていたのか聞くと、笑顔で頷く

童守学園に迷い込む一年前、私は異世界から迷い込んだと自称する少女と会っていた
魔法のある世界から来たと話す彼女は、私に魔法を見せてあげようといつも練習をしていた。

「アイ、 ―――――」

また、魔法を発動させようと棒きれを持つ手を上げる
だから

「―――Mein Leben war leer!」


だから私は、魔法なんて信じられない

197名無しのカウンセリングだべ:2017/04/09(日) 23:59:11 ID:snl6iVV.0

――――――

――――

――

夢を、見ていた
どこかの山の頂上。 近くには、まるで空から降ってきたかのように地面にめり込む、巨大な岩

そして、むせ返るような血の匂い
遠く地面には、倒れた、黒色の――

「――――!」

心臓が、跳ね上がる
違う。 黒い毛の獣人だけど、マスターじゃない 多分、兎の獣人だ

何故か季節外れだと感じる水色のマフラー…… 手ぬぐい?を首に巻いた彼は、
激しい戦闘に巻き込まれたのか、自慢の長い耳はへし折れ
右腕は、肘から先が なかった

これ以上動かないでほしい、戦わないでほしい
何と戦っているかも、相手が誰かかもわからないのに 心が激しく震え
地面で身動きできない我が身を呪う ……なぜ、そんな風に思ってしまうのかわからない

兎が、こちらを向いた
困ったような、心配してるような笑顔を浮かべた

激しい金属音が、辺りに響いた―――

―――――――
―――――
―――


「ッ!」

バーの宿屋の、ほぼ自室として使っている部屋で目が覚めた
服に汗が吸い付く、息が自然と荒くなる

最初の夢は、今まで何度も見てきた
あの事件が終わった後しばらくの間も、童守学園に訪れたときも、今の異世界人保護プログラムに携わるようになった後も

だが、終わりの方に見た夢は 全く記憶にない
ただ目覚めた後もはっきりと、ありありと思い出せるのが 不気味だった

「…………」

ベッドから降り、シャワールームに向かう
夢は所詮夢、どう足掻こうとも自分が干渉できるものではない
早く頭から振り払うためにも、熱いお湯を体にかけた

198名無しのカウンセリングだべ:2017/04/10(月) 01:07:29 ID:eMHibEhY0
「ごめんなさい、大我さん……僕が怪我してるばっかりに、助けに行けなくて」
「人の心配より自分の心配しとけ、テメェは。お坊っちゃんは置いてくぞ」
「はい。あの……ありがとうございました」
「……ふん」

あの後、飛彩を無事CRへと送り届けた大我。
自分の怪我より大我達の心配をしていた永夢に軽めの忠告をした後、大我は自らの廃病院へ向け帰路に付いた。

「……ここは」
「飛彩さん、目が覚めたんですね!いっだぁ!?」
「……落ち着け研修医、お前の方が怪我が重いだろう」

目が覚めた飛彩に永夢は喜ぶが、身体に激痛が走る。
気絶程度で済んだ飛彩とは違い永夢は身体中ボロボロだ。
当分の間は戦線復帰も難しくなるだろうか。

「とにかく傷を早く治せ。いいな」
「……、はい!」


--- アレイスター Side ---

「ふぅ……ゲームの方も順調。それに、あと一人ーーようやく見つけたよ」

暗がりの中にポツポツと輝くモニターを見据え不敵に笑うアレイスター。
右方には特殊なガシャットを生成する装置が忙しなく音を立て作動している。
変身用のものでは無い、何か異質なものを宿らせようとしているガシャットーー

「山亘理絵楠の記憶からもある程度のデータは得ることが出来たけれど」
「もう一人、いいデータを取らせてくれそうな人がいたとはね」

左方のモニターに映る、絵楠とーー瑠奈の姿。
更に、中央のモニターに一際輝きを放ち記された『ボーナスゲーム』の名称は。

「時期は……そうだな、二つ目の拠点を攻略したらにしよう」
「僕とエイラ・アーウェンの秘密、そしてこのボーナスゲームを彼らに与えようじゃないか」

「彼らの一部は最も嫌うだろうけどね、このゲームは」

「ええと、確かーー」

199名無しのカウンセリングだべ:2017/04/10(月) 08:50:35 ID:aQ6guZ4s0
ぐっ、と固く冷たい鉄を頭に押し付けられる。
こちらを見下すその瞳には、愉悦と、憐憫の色が見える。

「……今も昔も同じ。あなたは、どうせ、」

言葉が聞き取れない。
ただ、見えたのはその手が。
――引き金を引いた瞬間のみだった。



目を開き、深くため息をつく。
昨日の今日でこの夢を見るとは、と瑠奈はやれやれと体を起こした。
昨夜は家族で食事をしたあと、再び弟に送ってもらい帰宅となった。
それからすぐに眠りについたのだが、10年来の再会故か、波乱の予感かは分からないが、余計な記憶をも引き出されたらしい。
夢見が悪いと思いながら、パソコンの起動をする。

「……私は、私のできることをするまで」

誰かに応えるように呟き、彼女は昨日自身で言ったことを調べ始めた。

200名無しのカウンセリングだべ:2017/04/10(月) 11:10:44 ID:bywp5M/c0
 目が覚めた。
 また寝ていたのかと思うより先に、右目から、涙が流れていたことに気がつく。
 気づかれないように急いで拭う。

 何かを見ていた気がする。

 ――遙かな果ての輝き。
 ――黄金の■。

 思い出しそうになって頭を振った。
 これは、思い出してはいけないような気がして。

201名無しのカウンセリングだべ:2017/04/10(月) 20:24:20 ID:qzEZqEeE0
シャワーを浴びて、ドライヤーで髪を乾かしながら考える
やっぱり、あの夢が頭から離れない
いつもの夢ならば思い出そうとすればするほどぼやけていくのに、今は細部まで思い出せてしまう

気にするほど頭にこびりつきそうなのに、気になってしまうのだ

「………?」

「?、………… !?」

髪が乾き、いつものように後ろで髪をまとめようと鏡の前に立つ
ぼんやりと鏡を見ていたが、ふと首の後ろに何かがあることに気づいた

夢のことなど頭から吹っ飛んでしまった





「………これで隠れたよ」

「ありがとう、マスター ……薄々変な感じはしていたけれど、私にもついてるなんて」

うなじに湿布を貼ってもらい、ひとまずは噛み傷を隠してため息をつく
人に見られたらと思うと生きた心地がしない。
多分誤解を招く、それも嫌な誤解を

「心当たりはないのかい?」

「……周りに誰もいないはずなのに声が聞た、噛まれた後も何度か聞こえるのだけど……」
「…………いえ、多分疲れからくる幻聴ね」

「…………何にせよ、彼に話を聞いてから考えた方がいいね。 それより彼はまだ起きてないのかい?」

「昨日遅かったし、色々あって疲れてるんじゃないかしら」


ピーピピピピピ!!!!!ピー!!!(チュドーン)
クッ シズマレコノヤキトリメ! オイソノヒハヤメロー!(チョドーン)

「!?」

202名無しのカウンセリングだべ:2017/04/10(月) 23:20:51 ID:snl6iVV.0


「……朝っぱらから何やっているんだろうね」

「…………すまない、我が内なる獣を開放するとあのようになるとは予想だにせず、
静かなる朝を穢してしまった……」

「……もう一度シャワー浴びることになるとは思わなかったわよ」

「(; -д-)」


誰もいないバーで朝からぐったりと倒れ込む一同
どうも、体の中から開放したらどうなるのだろうと興味半分にやったら小鳥が出現し、
あっちこっちに火を撒き散らす大惨事
その騒動に目を覚ましたアネパが叩き起こされ、
マスター、和の両名で騒動の収拾に当たった。

結果新たな火傷と服の焦げ、汗により朝のシャワーが台無しになり、



「さてと…… 昨日は話せなかった色々な話、ようやく伝えられるわね」

「……その前に、まだ名を名乗っていなかったな」


「我が名は梟木康介《フクロギ コウスケ》、 夕闇高等学校二年出席番号15番だ
両親や近所の人々からは裏表がない正直な子だともっぱらの評判

「そう、 私の名前は烏屋和、同じ学校の一年よ。 よろしくね梟木君」

「…………おい、話をさえぎるのはいいとしても年上を君付けとはどういうことだ!?」

「せめてもっと格好いいところ見せてからそういうことは言って頂戴」

203名無しのカウンセリングだべ:2017/04/10(月) 23:30:55 ID:eMHibEhY0
「おはよう、ございま……す」
「おっはよー絵楠、ありゃりゃどしたのさ」
「いや……昨日の騒動ってすっかり原稿作るの忘れて」

あー、徹夜したな?と由紀に苦笑され机に倒れ伏す絵楠。
レジスタンスとしての活動もしなければいけないのは事実だが、少なくとも絵楠は社会人である。
故にただ戦いに没頭する訳にも、探索に向かう訳にも行かない。
ーー仕事優先である。南無。

「おはようございます、絵楠さん」
「おはよう、エイラ……お前、ちゃっかり働いてるのか……」
「絵楠さんの双子の弟って事で通ってますよ」

うちの家庭事情がややこしくなるだろ、とボヤく絵楠だがーー
テレビを見て、ふと動きを止める。

「絵楠さん?」
「……あ、いや。……姉貴のこと。元気にしてるみたいで良かったよ」

絵楠の目線の先にあるテレビに映し出される映像。
何かのドキュメンタリー番組であろうそれに映っていたのは、絵楠の姉ーー

『……はい。昔から、絵を描く事が好きでしたから』

最近、画家として少しずつなが売れてきていた山亘理遊里恵だった。

204名無しのカウンセリングだべ:2017/04/11(火) 23:52:15 ID:snl6iVV.0
>>202


「異世界人保護プログラム………… 異世界と融合…… 謎の怪人集団…………?」

「…………話してて私も頭痛がしてきたわよ。 信じられなくてもしょうがない」

「……もはやできの悪い小説のようだ、突如語られるのは異世界の存在とそれと融合しているという事実、
今まで町には目には見えない生物が普通に闊歩し、それが今や目に見える怪人共に溢れかえっている
しかし昨日の今日、体の中に何かがいることもあの戦闘も事実…… おまけにここにも人ならざるものがいる」

「あぁ、僕もそうだろうしアネパ君も、君達から見れば現実的な存在じゃないだろうさ」

「( ゚д゚)')」

「………… 信じる他、ないだろう」

「…………そう、話が早くて何よりね」

心のなかで、果たして自分が同じ立場だったとして信用するかと思えば
少なくとも、起こっていることを理解しても信じはしないだろう、と思う
そして自分基準に考えれば梟木は何分信じやすいように感じる

だが理解が早いのは助かるのだ、そうした思いを胸に封じてテレビのスイッチを付ける
相変わらず特撮に出てくるようなコスプレ集団が町で暴れていること、
謎の生物が出現していること、そんな中でテレ東だけがアニメを流していることを伝えてくれた

「当たり前だけれど学校は休みのようだね、学生諸君としてはありがたい限りじゃないかな?」

「町にアレがいなければなおいいのだけれど」

「下手に学校に行こう者ならばテロリストに占領されまるまる人質となるだろう。
突如中断される授業、人質となるあの子、そして異能に目覚めテロリストに反撃を」

「似たり寄ったりの立場になっているからいいじゃない ……マスター、今後の行動だけど」

「……やっぱり動くんだね。」

「もちろんよ、 戦闘の音聞きつけたにせよあのボウフラみたいに湧いてくる人たち見るに神守町に拠点が残っている。」
「山亘理さんや…… なんて名前だったかしら、狼の彼が遭遇した場所は間違いなく違う。」

「………… やつらの出入りを制限するために神守町を取り囲むように壁建てよう。
無論壁の建設費用は神守町の負担だ。 あそこは昔から神隠しや化物の噂が絶えない。
おそらく今回の事件も神守町の何かが影響して起こったことであろう」

「僕の商売上がったりだからやめておくれ 和ちゃん、外に出るならおつかい頼んでいいかな?」

「………… おつかい?」

「昨日來咲君と会っただろ? 彼女こういう事が起きると君と同じで飲まず食わずにのめり込むところあるから」

「なるほど、わかったわ。 彼女のところにカロリーブロック持っていってあげればいいのね?」

「……あぁ、朝食を届けてほしいんだ。 それと僕の眼の届く範囲にいる時は食事をそれで済ませようとするの許さないから」

「……女子高生がカロリーブロックだけ食うのどうかと我は思うぞ、たまに菓子パンだけで昼食済ませるのも信じがたい
飯といえばやはり肉だ肉、肉を取れ、未成年は肉だぞ和」

「呼び捨て禁止 ……神守町内なら探索予定だし、それぐらいなら造作もないけれど……」
「………… 場所教えてもらえる?」

「あぁ、 ……頼んだよ、和ちゃん」

205名無しのカウンセリングだべ:2017/04/12(水) 17:22:24 ID:xOc6ggHA0
「しかし絵楠さん、よく出勤できましたね」
「まぁな。テレビを見る限り、割と騒がれてはいるが……俺と同じような人だって何人もいたよ」
「それはつまり?」
「社畜」

まだまだウチはホワイトな方でしょ、と由紀に頭を叩かれる絵楠。
怪獣や怪人の出現に関してのことや、現在進行形で流れてくる怪人達が蔓延るというニュースーー
一部の地域では外出禁止命令も出てはいるだろうが、それにしては静かすぎる。
これも、異世界との融合の影響か。

「当事者の俺達はともかく、ほんの短時間で現実世界の人々の脳内にでも刷り込まれたみたいだ」
「刷り込まれた、と言いますと?」
「この状況の事だよ。もっとパニックが起こる可能性だってあったっていうのに……」

自身が子供を助けた時のことを思い返す。
あの状況では、焦りと恐怖で受け流してしまったという可能性も有り得る。
しかし、それにしてはあまりにも母親側がーー仮面ライダーという存在を、認知しすぎてはいないか?

「……考えても仕方ない、か。社長、エイラ。ちょっとバーの方に行ってみます」
「分かりました。気を付けてくださいね」

206名無しのカウンセリングだべ:2017/04/12(水) 23:35:23 ID:snl6iVV.0
>>205
こうして訪れたバーの前、無論営業時間前のため『準備中』の立て札がぶら下がっていた。
昨日和と訪れた時にも、昼下がりにも関わらずまだオープンしていない
恐らく通常のバーと同じく夕方ぐらいに開くのだろう

「ん…… あぁ君か、いらっしゃい」

試しにノックしてみると、昨日と同じく人間の姿のマスターが出迎えてくれた
外にいてもなんだろうと、中に誘う

「(* ゚д゚)ノ」

「いらっしゃいませー!」

そしてまたもや準備中の店内、掃き掃除用に椅子がテーブルの上にひっくり返されて置かれ、
店の奥ではちびっこ二人が仲良く皿磨きをしていた。
外の様子がウソのように平和な光景

「ハーハッハッハ!! その程度!その程度か焼き鳥! 我を屈服するにはまだ!まだまだまだまだ物足りないぞ!」
「ピ、ピー……!」

の、はずなのに どうも裏庭に続くらしいドアから暑苦しい声が聞こえる
マスターはどこか頭痛を我慢するような顔をしていた

「……アレに関しては気にしないでいいよ。 一応外からは見えないし聞こえない場所だから」

どうやら裏庭は裏庭でも異空間の裏庭のようらしい

207名無しのカウンセリングだべ:2017/04/12(水) 23:53:39 ID:snl6iVV.0
「…………」

「重火器が欲しくなってきたわね。」

神守町、ひとまずマスターに教えてもらった瑠奈の家に向かうと
空にはもはや馴染み深くなった鳥型怪人
見られないように、そっと屋根の下を通っていくせいでえらく時間がかかる

怖い感情はある。 ただあまりにも遭遇回数が多いがため、人間慣れてしまうのだ。
我が物顔で町を闊歩する怪人達に苛立ちを感じる

「…… 着いた」

そうこう時間をかけ、ようやくたどり着いた場所は
……なんだか、奇妙な感覚に囚われた

無性に、懐かしいのだ
周りの住宅地の中の、ただの一軒家
知り合いが住んでいるだけのこの場所が、どこか懐かしい
そして何となく、今にも小さな女の子が出てきそうな
……そんな気がする

「………… 疲れているせいで、感情がめちゃくちゃになってるだけかしら」

>>199
瑠奈が目覚め、少しの間調べ物に没頭していると
インターホンが家の中に響いた
来客の予定も何もなく、宅配便もやっているかは怪しいが

208名無しのカウンセリングだべ:2017/04/13(木) 00:18:45 ID:YDFEPt7k0
カタカタとパソコンのキーボードを押す音だけが響く。
しかし、一旦キーボードから手を離して伸びをする。

「……やっぱそう簡単には尻尾を掴ませてはくれないか」

資金の動きから探すものの、そこは金銭も関わる機密情報故か、当たり障りのないものしか出てこない。
買い取ったところも、それぞれ別の名義によるものだ。
その名義内がどういう繋がりかは分からないが。

「……この辺は後回しにしよう」

惜しくも平日の午前。
そっち方面に強い人脈は、夜にならないと仕事の妨げになるだろう。



では拠点候補探しを、とパソコンに向かおうとしたとき、ふと思い当たる。

あの、廃墟。
神守町の東南部に位置するところ。元はなんらかの倉庫だったらしい。
あれは20年近く前のことだが、今はどうなっているのだろうか。

「……いや、あれは8年前に買い取られたんだった」

時系列も合わんな、と切り捨て、神守町や夕闇町、その近辺の、
広めの土地、もしくは人通りが少ない場所で、
かつ最近売買があったり、廃されたものを探り始めた。

209名無しのカウンセリングだべ:2017/04/13(木) 00:40:34 ID:3zVK3xRE0
(ロードするのめちゃ遅かった民)

>>207
突如鳴った鐘に、顔をあげる。
階段を降り、テレビモニターを見ると、昨日バーで見た少女の姿。
通話ボタンを押し、今開けますね、と告げた後に、瑠奈は玄関を開けた。

「烏屋さん、昨日ぶりですね。
どうしました?
それに家の……場所はマスターから聞いたのですかね」

「お急ぎでないなら家に上がっていきませんか?
立ち話もなんですし……最近、物騒ですし」

モニター越しで確認したこともあり、そこまで驚いていない。
何か用でもあったかな、と不思議そうな様子はあるが。

210名無しのカウンセリングだべ:2017/04/13(木) 02:10:32 ID:eMHibEhY0
>>206
「すいません、開店前なのに来てしまって」

軽めの挨拶をマスターにすると、懐からノートパソコンを取り出す。
画面に映し出されたのは、記事となるデータを編集している最中のアプリケーションだった。
この男――アレイスター達との戦いと仕事を並行するつもりらしい。

「ははは、お前達も元気そうで何よりだよ。で……」
「……正直ちょっと気になっちゃうんで後で話くらい聞こうかな……彼から」

ちびっこ二人の仕事の様子を見て心を和ませつつ、聞こえてくる声に耳を傾ける。
何とも煩いが、昔の自分よりはマシだろうか?

「しかし、違和感を感じることばかりですよ、マスター」
「あんな出来事があった後なのに、神守町の一部も含めて、周辺の地域は未だに人々が行き交う場所もあって」
「まるで本当に、――仮面ライダーの世界と、なりかけているかのような感覚がします」

211名無しのカウンセリングだべ:2017/04/13(木) 10:37:04 ID:bywp5M/c0
 朝。人が活動し始める時間。
 ふたりは未だ家に居る。

「仕事は? 休みなの?」

 学校は休みになっているらしいが、大人は休めないらしい。悲しい哉、たとえ街に怪物が現れようと、いつも通りに働かなければならないのだ。無慈悲である。理不尽である。

「……昨日までは働いてた」
「うん? 働いてた、ということは……?」
「辞めた」
「辞めた!? そんな、どうして?」
「目の前に死にそうになってるやつがいるのに、仕事なんてやれるわけない。どんなことがあろうと俺は咲野の味方で在ろう。だから、暫くは大丈夫だと思う」
「な………私のために、なんて…………、ばかじゃないの? ばかか? ばかだね? ばーか」
「バカで結構。――存在を忘れられて死ぬなんて悲しいと思うから、だから、せめて俺だけでも咲野の存在を忘れずに居たい」

 咲野は口を開きかけるが閉ざした。赫い瞳、その目が眩しい輝きを見るように細くなる。けれど、表情は変わらず。何を思っているのかは窺えない。

「おまえもう黙れ。口を噤め。いいね?」
「アッハイ」

212名無しのカウンセリングだべ:2017/04/13(木) 18:29:19 ID:.dY4PLHc0
>>210

「そうだね、ただそれが好都合…… かもしれない。 少なくとも今の段階は」

「怪人達がこの街にいる、という事実抜きで考えると珍妙な格好をした暴徒が街で暴れまわっている。」
「これが今の状況だ。 ……こんな簡単に出歩けはしないだろう」

鎮圧のため、警察どころか軍まで出動してもおかしくない状況なのだ
個人個人の力ではなく、単純に量が多い
それだけでも十分の脅威となる

「始めのうちは殺傷力の低い手段でなんとかするだろうけど、彼らそんな手段で大人しくなるほど優しくはないだろう?」
「……その先がどうなるか考えれば、馴染みがある今の状態が好ましい」


「それはそうと、あれから何か動きはあったかい?」
「こっちはこっちで色々あったけど、関係性がいまいちわからないんだ」

213名無しのカウンセリングだべ:2017/04/13(木) 20:36:59 ID:V4oZv0w20
>>209
「ええ、おはよう、來咲さん ……連絡無しにきてごめんなさい。」
「大した用事では、ないのだけれど……」


「……ええ、お邪魔します。」

マスターの届け物を渡して、すぐにお暇しようとばかり、考えていた。 一瞬断りを入れようとも
だがやはり…… 初めて見るはずの家なのに、妙な懐かしさと、変わってしまったような寂しさを少し覚えてしまうのだ
外には例の怪人が旋回している、それに聞きたいこともある。
そんな気持ちに背中を押され、瑠奈に連れ添われついお邪魔してしまった

瑠奈に連れられ辿り着くのは仕事部屋か、はたまた居間か
落ち着ける空間にたどり着くと、手に持っていたバスケットを瑠奈に差し出す

「料理を用意する暇がないかもしれないから、届けて欲しいと頼まれたわ」
「……お節介かもしれない、ともね」

普段、瑠奈が異世界生物を届けてくれた時ぐらいしかこんな事しないのだが
仕事と調べ物、両方をこなそうとしてる瑠奈を案じてくれているようだ
バスケットの中にはながら作業にはうってつけなサンドイッチが入っていた

「…………誰に対しても、こうなのね、マスター」

どこか苦笑気味に、口の端だけを上げて笑う和
そういえばバーにいた時も牛乳を飲めだとか栄養を取れだとか言われていたような

214名無しのカウンセリングだべ:2017/04/14(金) 00:11:37 ID:1dDpjabU0
>>213
瑠奈が案内したのはリビングであった。
さっぱりとした部屋。それにしては、調度品が多く、一人暮らしのようには見えない。
まるで五人くらいの人が住んでいるような。
……もし、部屋を見渡すことがあれば、見えるかもしれない。
棚の上に置かれたいくつもの写真立ての中に、
警察官の服を着た男性と赤毛の少女が写った、古い写真が。


リビングに案内した後に瑠奈は和をソファーに促し、バスケットを受け取った。

「これは……なるほど、そういえば、朝食べるの忘れてたな……」

その中をちらと覗き、瑠奈は一人言のように呟いてから、
和のほうへと顔を向けた。

「届けてくださって、ありがとうございます。
あとでマスターにもお礼を言わなきゃいけませんね」

「……ああ、何か飲みますか?
日本茶とか、紅茶とか……」

なかなか気が利かなくて、とこちらも苦笑したように言う。
勿論和のそれとは対象が違うだろうが。

215名無しのカウンセリングだべ:2017/04/14(金) 02:43:53 ID:eMHibEhY0
>>212
「……事態が深刻化する前に、俺達でどうにかしないと」

現状で考えるのならば、怪人達の、そして仮面ライダーの存在が一般的として認識されつつあることはある種幸運ではある。
しかし、マスターの言う通りーー奴等には生半可な手段は通用しない。
それを打開するにはレジスタンスの皆で早急にこのくだらないゲームを終わらせなければ。

「こっちで分かっているのは、今だと……俺達が今いる地球を覆うかのように、異質なバリアが貼られていること」
「それと、宇宙にも怪人達が蔓延っていること……くらいですかね。拠点の情報も、少しずつは集めています」

216名無しのカウンセリングだべ:2017/04/14(金) 12:49:44 ID:pk8J.AvQ0
>>214
写真の男性と、どこか面影を感じる女の子
恐らく瑠奈とお父さん、なのだろう
仲が良さそうな二人を見ていると、父親の方にどこかで見たような既視感を覚えた

これは謎の感覚ではなく、心当たりがあった
異世界人保護のせいで夜遅く出歩いてしまった時のこと、その時に補導されかけたお巡りさんになんとなく似てるのだ

ちなみに隙を見て全力で逃げた

「(一人暮らしにしては多い、家具や食器……)」
「(…………まさかね)」


暗くて見えなかったし、気のせいかもしれない
これ以上考えるのが怖いため、そっと目を離した


「………すみません、日本茶をお願いします」

遠慮しようかと少し思ったが、どうせもう入っているのだ
大人しく好意に甘えた

こうして落ち着いて考えことができる状況に戻り、改めて窓に目を移す
外を歩いていた時は気にならなかったが、ふと思ったことがあった

「……なんだか、妙に平和ですね 昨日は集団避難だとか軍が出動したとか、そんなニュースが流れていたのに」
「今ではそんなに大きく取り上げられていないなんて」

少なくとも、昨日あったはずのミサイル打ち上げの話が影とも霞ともなく消えてしまっていた
アレイスター一人でも手一杯な現状にもかかわらず他の問題が生じないのはありがたいけれども、不自然なほどに平和だった

217名無しのカウンセリングだべ:2017/04/14(金) 12:56:30 ID:pk8J.AvQ0
>>215
「そうだね、このままで済むわけがない 相手がゲームだというなら特にね」

何も起こらない状態というのは、ゲームで一番面白くない状態
あくまでそのスタンスを貫くなら、もっと大きな問題を起こしてくるはずだろう
今のこの平和は一時的なものだ

「……バリア、か。 星外からの乱入者が抑えられるのはいいとして、君の兄さんの身が危ないな」
「近隣の町がこんな状況だけど延期はできないのかい?………通船できるにせよできないにせよ、何かが起こってるのは伝わるよね?」

宇宙ステーションから地球への移動時間がいかほどかは知らない
しかし一週間以上も移動を続ける場所にいるのだろうか
異常事態が起きている事を知らせることができない可能性もあるが、それなら地球に戻るための通信もできるかは怪しい

218名無しのカウンセリングだべ:2017/04/15(土) 00:31:17 ID:WqzqLh6U0
>>216
「そうですね。
てっきり警察官やら自衛官が来るのかと思えば、
放送も避難指示も勧告もないままですし」

お茶を淹れるために部屋を出て、戻ってきた瑠奈が答えた。
急須と二つの湯呑みをテーブルに置き、注いでから、どうぞと和の前に湯呑みを置く。

「起きていないのか、確認されていないだけか、秘匿されているのか……はたまた、異常と思われていないのかは分かりませんが、
化け物に襲われて建物や大勢の人が大惨事に、といった事態も今のところありませんし」

「一応県外の人にも怪物らしきものの件は知られているようですが……」

昨夜の弟や他の家族の様子を思い出しながら呟く。
家族は町の様子からか心配する素振りはあったが、瑠奈が帰ると告げると、それに対して仕様がないと言われども、断固反対とは言われなかった。
始終、母と翔は不安げではあったが。

「……認識の違い、があるのかもしれませんね」

219名無しのカウンセリングだべ:2017/04/15(土) 08:44:26 ID:aH87JfE.0
>>217
「延期できるかどうかは……俺には分かりません。けど、あの状況なら向こうも何か動きが」

絵楠の口が動きを止める。
どうやらスマフォで色々と情報を探っていたようだが、あまりの衝撃に言葉が出ないような、そんな止まり方だ。

「一体、誰がこの動画を流したんだ……?」
「……マスター、とりあえずこれ……見てくれますか?」

スマフォをマスターの方へと向け、動画を再生する。
内容は、宇宙に蔓延る怪人達の様子を記したものーー

その映像の最後で、取り分け目立つ部分が数箇所。
唐突に真っ二つに切り裂かれ、跡形も無く爆発する怪人の姿。
そして、それを行ったであろうーー白銀の"魔法使い"が、一瞬だけ映像に映し出されていた。

「どうしてこの動画が流出しているのかは不明です。多分、衛星が撮った映像だとは思うんですけど」
「で、動画の最後にこの白銀の人……ロケットの方に戻ってるみたいで」

220名無しのカウンセリングだべ:2017/04/15(土) 12:12:57 ID:snl6iVV.0
>>218
「ありがとうございます。 ……単純に異世界の生物が見えるようになっただけとばかり考えていた」
「けれども、実際はもっと違うところでも異変が起こっているようですね。 …………そこまで珍しい出来事でないと、認識を書き換えるほどの事が」

和もマスターや瑠奈と同じように、単純に認識できる幅が広がっただけと考えていたのだ
暴動や他の騒動が起こりづらい状況になったのは幸運だった、だからといってアレイスターにはひとかけらも感謝したくない

20年前の事件と比べると、外野からの援護が起こるかもしれないのも……

……

「…………來咲さん、20年前にも今と同じように異世界とつながる事件が起こった、のですよね?」
「その時にも、異世界の生物が体の中に入ってくる事がありませんでしたか?」

少し、言いづらそうに瑠奈に尋ねてきた
何かあるのか、不安げに首の後ろの湿布に手をやった

>>219
「……………」

目を細め、絵楠が提示した動画を見入るマスター
宇宙にも怪人が出てくるというのは本当らしい、どこにでも湧くマイクラのモブのような連中だ

無抵抗に撃墜されるのだと身構えたが、対抗力がちゃんと存在した
あっさりと怪人達を片付け戻る姿に、頷いた

「……ロケットの方も気づいてくれているみたいだね。」
「問題は……宇宙もこの状況なら、早めに戻ってくる恐れまである。 」

221名無しのカウンセリングだべ:2017/04/15(土) 20:30:07 ID:3zVK3xRE0
>>220
「異世界の生物が、ですか……?」

首を傾げるが、やがてゆっくりと首を振った。

「私は、経験はありませんね。
そういった存在と行動を共にすることはありましたけど……それでも隣についていてくれる程度でした」

勝手についてくることも、幼かった瑠奈が連れ回したこともあったが、それはあくまで同行だった。
基本的に、自身はそういった素質自体ないのだろう。
反対に、ある異世界の人物の姿を依り代としたことはあったが、それはノーカンだ。むしろ自分が入る側だった。

「しかし、当時、事件に深く関わった、ある男の子とある異世界の子は、そういった行動を、取っていた、と思います」

「体の中に入るというか……協力、といった感じ、だったはずですが」

あの少年について、思い出す。彼がいつも共に連れていた、小さな虎。
思考が沈みそうになったところを立ち切り、和と目を合わせた。

「……そのようなことを聞いてくるということは、そちらでなにかあったのですか?」

「烏屋さんも、昨日はなかった傷が、あるようですし」

正面にいるため、首元のものは瑠奈には見えていないが、
昨日の戦いでついた細かい傷の手当てに、気づいたのだろう。
心配げな様子で尋ねてきた。

222名無しのカウンセリングだべ:2017/04/15(土) 21:03:00 ID:hRNQdwTI0
>>221
「前例は、一応あった ……けれどもどうも違うみたいね」

体の中に入るという点では一致してるが、
必要に応じて体の中に入るというニュアンスだ、常に体の中にいるわけではない
……少なくとも体の中に入ることができるということは、覚えておくとして

「……來咲さんが店から出た後、私もその…… 調査に出たんです。」
「………………せめて情報だけでも、掴もうと思って」

気まずそうに、目をそらす
あの前の絵楠達への協力を拒否した事を思い出し、罪悪感と情けなさが胸に棘を指す

頭から振り払った、今はその場合ではない

「その時に異世界の生物…… 体が炎でできた鳥みたいなのに取り憑かれた人と、会ったんです」
「何とかその鳥を弱らせる事には成功したのですが、どうも体の中に居ついてしまって ……今バーの方で飼い慣らせないか試している頃だと思います」

バーを出る間際、どうにか体の中に棲まう化け物を従わせると意気込んでいた彼
今頃成功しているだろうか、それともバーが焼け野原になっているだろうか
大惨事になっていないといいが

「…………それとは関係あるかはわからないけれど、人の口で噛まれたような痕がその人の体にできていて」
「今朝気が付いたら、私の体にもできていたんです ……首の後ろの方に」

顔を横に向き、後ろ髪を肩から前の方に流すと首の後ろの湿布をはがし、噛み跡のような傷跡を見せる
なるべく人には見せたくない傷だが、同性である事
そして昨日の時点でめちゃくちゃ情けない姿を見せる分、心の敷居は低かった

「…………心当たりはありませんか?」

223名無しのカウンセリングだべ:2017/04/15(土) 23:24:35 ID:3zVK3xRE0
>>222
ちょっとごめんね、と断りを入れてから傷跡を見ていたが、
また和に向き合うと申し訳なさそうに言った。

「ごめんなさい。
私にも、見覚えがなくて……お役には立てなさそうです」

「さっき話に出した男の子にも、こういう跡はなかった……と、思います。
20年前だから私自身の背も低くて、見えなかっただけかもしれませんが」

椅子に座り直し、息をつく瑠奈。
せめて、どこぞの地下迷宮図書室にでも行けばヒントは得られるかもしれないが、
この世界には生憎そのようなものは、というより、そもそも異世界の情報が保管されている場所すらない。
あるとしても、フィクション小説か攻略本か設定資料集である。

「……首の傷が痛かったり、体調が悪くなったり等の支障はありませんか?」

224名無しのカウンセリングだべ:2017/04/16(日) 02:36:11 ID:eMHibEhY0
>>220
「……確かに、その可能性は否めない……」

白銀の魔法使いに関しても、ロケットのクルー側が認知したからの行動だろう。
既に彼らは白銀の魔法使いの戦闘能力も知っている。早く帰還しようとすることも出来なくはないのだ。

「こちら側でもロケットの動きは注意してみた方がいいかもしれないですね……」

今の状況である。何が起こるかは本当に分からないものだ。
どちらにしろ、この一週間ーーアレイスターが散りばめた拠点探しと共に、ロケットに関しても注意深く気にしておかなければ。

225名無しのカウンセリングだべ:2017/04/16(日) 12:02:52 ID:Qx2Qf25.0
>>223
「そう…… いえ、中に入る……取り憑くことがあることがわかっただけでも十分。 ありがとうございます」

瑠奈が下がると、再び首の後ろに湿布を貼り、傷を隠した
見えない位置に張ったためか微妙に歪んでいるが、指摘される暇なく後ろ髪で覆い隠してしまった

体に支障がないかと聞かれると、記憶を探るきっかけを見つけようとしてるのか、
無意識に首の後ろを撫で始めた

「…………始めは痒みと痛みがあったけど…… 今はたまに、熱を持つぐらいかしら」
「後はたまに、幻聴が聞こえるようになったくらいで…… 大きな支障はない、けれど……」


「…………幻聴の内容が助言や激励だから…… 悪い子が取り憑いているわけじゃない、かもしれない」

昨日今日の記憶を探っても、変化らしい変化はこれぐらいで、この傷で害を被ったはない、はず
体の中に何か考えるとどうも自分の力になってくれているようにも感じた、のだが

「まぁ、最初に油断させるタイプかもしれないけど」

226名無しのカウンセリングだべ:2017/04/16(日) 12:12:17 ID:Qx2Qf25.0
>>224
「現状できるのは、それぐらいだろうね。 それじゃ、次はこっちから」

「ハハハ…… フーハッハッハッハ! ゲホ!ゲホゴボ!! ……マスター、水を頼む」

「……いや、彼から話した方が良さそうだね」

「……む?」

裏庭から出てきたのは、和と同じくらいか、ちょっと年上くらいの雰囲気を持つ大柄な少年だった
何か火遊びをしていたのか、服のあちこちが焼け焦げ、顔には火傷が見える

今の子の流行りだろうか? 首に人間の咬み傷と、鳥のような痣が付いている

「それで、従わせることはできたのかい?」
「…………とんだじゃじゃ馬な焼き鳥だ、おとなしく屈すればいいもの」

「……先は長そうだ。 絵楠君、こちら梟木康介君だ。 和ちゃんと同じ学校の生徒だ」
「梟木、こちら山亘理絵楠君。 今朝話していた事件の……」

「あぁ、鉄鋼なる鎧を見に纏、機械の馬で駆る仮免ライダーか」

「……あぁ、うん。そうそう」

227名無しのカウンセリングだべ:2017/04/17(月) 00:00:40 ID:QoqKhBp60
>>225
「幻聴、ですか……向こうからのコンタクトって感じですかね。
コミュニケーションがある程度取れるなら、目的等も分かるでしょうけど、
さすがに体内にいるであろう子には、難しいでしょうね……」

一瞬、幼い頃に見た、体内に入る……というよりも取り憑く存在が頭に過ったが、かぶりを振る。
あれは意思疏通も取れぬもの、と聞いていたし、
助言等が貰えるのであるなら、一先ずは安心してもいいだろう。
彼女の心中に不安が残る今、放っておいていいものではないだろうが。

「……他にもなにか、困ったことがあったら、マスターでも、山亘理さんでも、私でも、誰でもいいので、相談してくださいね」

「どうか、一人で抱え込んだり、無理はしないで」

自身が言えた義理ではないかもしれないが、と心の中で付け足す。
炎でできた鳥に憑かれた人。その鳥を弱らせたということは、そのために戦闘をした、ということだ。
怪我の大きさ等パッと見は軽いとはいえ、火傷を負うほどに。
あのとき、震えていた手を、傷だらけにしながら。

228名無しのカウンセリングだべ:2017/04/17(月) 00:42:24 ID:eMHibEhY0
>>226
「失礼な、免許はちゃんと取ってあるって」
「っと。康介君、だな?改めて……俺が絵楠だ。よろしく」

バイクと車(MT)の免許を見せ、ニコリと微笑む。
本当は大型の免許も取っておきたいのだが、実は時間が無いのだ。

「それで……その噛み傷に痣に……あと、焼き鳥?だったか」
「何の話かはさっぱりだけれど、マスターの言う通り先は長そうだなぁ」

昔の自分を思い出すかのように思い馳せ、クスッと笑う絵楠。
馬鹿にしている訳では無いが、どう取られるだろうか?

229名無しのカウンセリングだべ:2017/04/17(月) 18:28:08 ID:tdIaIBQ60
>>227
「…………ええ」
「どうしても無理なことがあったら、頼りにします…… 來咲さん」

心配させてしまったらしい、昨日今日であった、あんな情けない姿を見せた自分が
怪我を増やした状態で現れたらしょうがない

何だかんだで、誰にとっても 自分はまだ子供に見えるのだろう

「…………そろそろ鳥の怪人も、遠くに行ってくれたかしら」

窓の外を見ると、少なくとも見える範囲には姿は見えない
どこか他の地区に行ってくれたか、動くなら今が好都合だろう

「來咲さん、お茶ご馳走さまになりました。 ……無理しない範囲で、動いて見ます」

230名無しのカウンセリングだべ:2017/04/17(月) 19:38:34 ID:tdIaIBQ60
>>228
「免許持ち……? それなら、カリメンライダーとは一体……?」

記憶違いかマスターの冗談か、仮面ライダーを誤った方向に覚えてしまった模様
和といいこいつといい日曜の朝はどうしてるのか、遅くまで寝てるのか
嘆かわしい現代っ子である

「…………突如笑い出した男は恐らく気が触れたのであろう。 目には隈ができまともに眠れぬ故の狂気
現代社会が産んだ闇が目の前に存在しただ恐怖を感じ」

「うるさいよー」

「(´・ω・`)」

馬鹿にされたようには受け取っていないが、絵楠をまるで疲れた大人を見るような目で見ながら長い独り言を始めた
すぐに皿洗いをしているちみっこに抗議され、口に閉ざしたが

「……昨日和ちゃんが連れて来た子なんだ、絵楠君。 どうにも異世界との融合による弊害は怪人達だけてはないらしいね」
「どうも異世界の生物…… 幻獣やら、精霊やらが知覚できる人に取り憑いているらしい、彼はその一人だよ」

231名無しのカウンセリングだべ:2017/04/18(火) 00:27:26 ID:tjbnl.T.0
>>229
「そのようですね。
単に問題なしと見なされたか、時間的なものか、他に目を引くものがあったのか……
何にせよ、気をつけてください」

「なにかあったら、これに連絡して。
力になれることなら、手伝えますから」

小さなメモを和に握らせる。中を覗けば、11桁の数字――電話番号が書かれている。
車ぐらいなら出せるので、と苦笑気味に伝えながら。


「こちらこそ、届け物をありがとうございました、烏屋さん」

瑠奈はそう言って、和を見送ることだろう

232名無しのカウンセリングだべ:2017/04/18(火) 00:52:36 ID:eMHibEhY0
>>230
「……あぁ、うん……もうそれでもいいや」
「しっかし、中々独特な喋り方してるなぁ君。何か意識してたりするのか?」

まじまじと康介の顔を見つめ呟く。
独特というか、なんというか。厨二病ーーなのだろうか。

「異世界の生物が……」

自らの記憶を掘り起こし、何か関係のある出来事がなかったかを思い返す。
思い返されたのは大凡二つ。
紫のメダルのグリード・ギルとの和解。
そして、クロウと呼ばれた精霊と共に戦った日々。
しかし、どちらも取り憑かれたとは言い難い。前者はある意味自分そのものだし、後者は同意の上だ。

「見当がつきそうな事案は思い当たらないな……」
「……マスター。この痣、康介以外で持っている人を知ってたりしますか?」

233名無しのカウンセリングだべ:2017/04/18(火) 20:26:33 ID:snl6iVV.0
>>231
「………?」

「……あっ ありがとう、ございます……」

一瞬、電話番号を見て不思議そうな顔
をしたと思ったら、ちょっと恥ずかしそうな表情を浮かべ、慌てた様子で礼を言った

ここ最近はスマホの方で交換出来る分、見る機会が少ないのかもしれない
あぁ、現代っ子

「えぇ、來咲さんも気をつけて」
「……怪人だけじゃなく、こんな傷が憑いている人にも」

振り返りざまに、ちらりと首元の湿布を見せた
取り憑いた生物に対して言っているのか、あるいは取り憑かれた人自体を指して言っているのか
両方、かもしれない


かくして、出口で頭を下げると、空を確認して身を隠しながら來咲家を後にするのだった

>>232
「……このような状況、まるで小説や漫画のようなシチュエーション…… 非日常」
「考えるだけで血が滾り、気分が高揚する――― 意識せずとも口が回る回る―――」

学生にとっちゃ非日常な分、テンションが上がるらしい
冒険心が煽られるというやつだろう。 単なる馬鹿なだけかもしれないが

「―――和の奴もうなじにこの刻印を刻みこまれていたな。 だがヤツは我が四天王の中でも最弱――」
「今朝気がついたんだけど、昨日から和ちゃんにもついていたみたいなんだ。 ……夕闇町の拠点を落とすちょっと前だったらしい」

「……四天王の顔よ。 己の身に潜む獣を知らないにも関わらず、まともな戦闘力はないにも関わらず 奴は俺を助けてくれた」
「流石に頭おかしいとは思うがそこの所は感謝している」

234名無しのカウンセリングだべ:2017/04/19(水) 23:21:34 ID:snl6iVV.0

「(…………ここに来るのは、一年ぶりになるかしら)」
「(あの時は結局、隕石墜落跡地に行けなかったのだけれども)」

「(こうしてみると…… 近くて遠い、場所に来ていたわね)」


―――― 神守町 裏山 山頂付近

山の眼下に見える、神守学園と呼ばれているらしい学校
かつてそこは、隕石が落ちた場所として騒がれ、そして一種の心霊スポットとして名を轟かせていた
自殺者が出た後で山頂では男子生徒が片腕だけを遺し失踪し、付近を走っていた観光バスはこの辺りで姿を消した。

ただでさえ、妖怪やら行方不明やらが続出していた山であったがため、
バチが当たったのだと隕石で盛り上げていこうとした町の活気が一瞬で消滅してしまった

裏の事情を知っていても、知っているからこそ、警戒しなければならない場所
しかし異世界との繋がりが始まった場所であるため、工場以外の拠点が存在している可能性が高い
と思っていたのに

「…………目に入る範囲には建物なんてないわね、昔は邪教徒の建物があるとか噂で流れてたけど」
「町の中の工場に、限定している……? あるとしたら立ち入り禁止エリアにありそうね」

「………………それにしても」

巨大な岩があった場所、山頂のような光景、崖から落ちていく、――――
……夢に出ていた場所と一致している箇所が、妙に多かった

235名無しのカウンセリングだべ:2017/04/20(木) 00:06:41 ID:eMHibEhY0
>>233
「……、正直関わってほしくないとは思う」
「力に等しいモノを手にしたとしても、何かを成し遂げられるとは限らないんだ」

静かに囁き、何処か悲しげな顔に変わる絵楠の表情。
遠く、遥か遠くーー違う世界線を、眺めるかのように。その瞳は、何かを見据えているようだった。

「(……和があの時まで持っていたあの力に関しては言わないでおくか)」
「っと、和にもこの痣があるのか」

プトティラコンボとの戦いで和が一寸使用していた強大な力を思い出す。
しかし、あれは今や無いも同然のものらしいーーそれに、隠しておいた方が良さそうではある。
しかし、その反面。和にも痣が付いているということは、あの力と何らかの関係があるとも見られるーー
一概に無視はできないだろうか。

「まぁ、今は頭の片隅に入れておくか。マスター、康介のこと少しだけ借りてもいいですか?」

>>234

『ーーち、ーー大地!』
『ーーダメだ、何もーーえない!ーーいち!大地ィィィ!』

拠点探しの最中、何処からともなく響く機械音。
何かの端末から発せられている音だろうが、何処か情けない声色だ。
ーー通信機の類にも思えなくもないが、それにしては緊迫感に包まれすぎである。

236☆ちょっとルート分岐しました:2017/04/20(木) 00:37:19 ID:snl6iVV.0
>>235
「……フン、何があったかは効かんぞ」
「力とは楔であり、錠であり、重圧。 努力なきして手に入れた力など後で重い代償を払わされるのが世の常」

「今は一時的な酔狂よ、もとより我が手芸部の活動に支障を来すほど関わるつもりはない! チャッピーもマイソンもイアーグルもまだ完成していないのだからな」

わかっている……? いやわかってないかも、ただの厨ニ病なだけかもしれない
人名らしきものが出てきたが手芸部と言ってたしぬいぐるみの名前だろうか

「僕は別に構わないけど…… 康介君、君は?」
「な、なんだ喧嘩か、やるのか!? 我は慣れていないが貴様に手深い傷を負わせるぐらい屁でもないぞ!同じ場所に噛み傷をつけてくれる」
「大丈夫みたいだね」
「……一体どこがだマスター!? 貴様、和と我とで扱いに差を感じるぞ!?」

お借りする、という言葉を謎方向に捕らえ、ボクシングポーズを取る
静かなはずの開店前のバーは、たいそう賑やかなのであった



「……くしゅっ ……………… 花粉症かしら」

誰かに噂されたためか、鼻がむずむずとした
拠点探しも無駄足で終わりそうなのだが、夢の痕跡を探しているとどこからか声が聞こえる
機械越しの独特のエコーがかかった其れは、どうやら自分の近くにあるらしい
誰かの落とし物だろうか、声の調子が妙に焦っている

「………声のした方向から考えて、こっち……?」

237名無しのカウンセリングだべ:2017/04/20(木) 01:17:27 ID:eMHibEhY0
>>236
「異世界で払った代償纏めた本とか出したら売れないかなぁ」

無論冗談だけどね、と付け足してボヤく絵楠。
ーージャーナリスト以外にも少しくらいはあるのだろう。やってみたいことが色々と。

「おいおい、そういうつもりじゃないって!」
「裏庭で君がやっていた特訓というか、焼き鳥……かな?そいつのことを見てみたくてね」

まだまともに戦ってもいない青年といきなり戦うなど、明らかに向こうの分が悪すぎる。
絵楠は何度も異世界を渡った身なのだから尚更だ。

「これでも何度か康介と似たような経験はしているつもりだから、相談くらいは乗れるかなと思ってね」



『ーー誰だッ!?いや、この際誰でもいいッ!!』
『は、早く私を裏返してくれェ!前が真っ暗で何も見えないんだ~!!!』

ーー何とも情けない理由だろう。
液晶部分が地面に向いたまま裏向きで落ちていた端末『エクスデバイザー』から発せられた声は、非常に焦った様子で拾ってくれと懇願してきた。


和ちゃんがすごく光の戦士たちに出会いまくりだったことに気づいた()

238名無しのカウンセリングだべ:2017/04/20(木) 12:54:15 ID:28RmuR2g0
>>233

ヒラヒラと手を振って見送る瑠奈。
和の姿が見えなくなってから、自宅へと入る。

「……さて、私もがんばらなくてはね」

ポツリと呟いてから、写真が多々置かれている棚を見る。
その中から、他の写真立てにまぎれて見えなくなっていた写真を取り出す。

――それは、10年ほど前の写真。

そこには自身と弟の姿だけではなく、青い狼や一つ目の生物、ポケモンたち、そして黒い天使が写っている。
その写真を戻し、今度はその近くに置いてある、小さな赤と白の丸いボールを拾いあげる。
そして、バスケットを持ち二階へと上がった。
やるべきことのために。

239名無しのカウンセリングだべ:2017/04/20(木) 21:03:12 ID:snl6iVV.0
>>237
「……おもちゃ……?」
「それにしては、素材がリアルすぎる気もするけど……」

ここから見える裏返しの其れは、通信機にしては装飾が多く、
ただのおもちゃにしては素材が高価そうであった

単純に通信にしては、言っている内容が必死すぎるのも気にかかる
何故かクレガイやゼロが頭を過るのだ

「……………正直関わりたくないけど……」

ここで放っておくのも気が引ける、懐からハンカチを取り出すと
其れ越しに持ち上げ、液晶を上に向けた




「なんだ、そんなことか。 そろそろ再開しようとしていたところだ」

ついてこい、と絵楠に呼びかけ、裏庭に出る
驚くほど晴れ渡った空、刈り取られた草原、季節感から外れた爽やかな風
何となく、はっきりとはわからないが ここは神守町じゃない、そう感じる

「―――いくぞ」

首元の歯型に、爪を立てる
指を食い込ませ、まるで首の肉をえぐり取ろうとしているよう
だが、食い込ませた手から出現したのは赤き炎の塊
其れを宙に投げると、小鳥サイズの炎の鳥が姿を表した

「―――ピ?」

空を飛び、周囲を見渡す鳥
すぐさま康介を、そして絵楠を見ると怒り狂ったようにクルクルと飛び出す

「ピーヨピヨピヨ!!!!!ピ!!!」

「来たか! さぁ、語り合うぞ―― フンッ!」

口から炎を放つ、火の鳥こと焼き鳥
それを素手で受け止めたが不思議と傷は軽い、効果が薄い……?

「――――第二ラウンドといこうか」

240名無しのカウンセリングだべ:2017/04/20(木) 22:11:39 ID:eMHibEhY0
>>239
『た、助かった……感謝するよ、ありがとう』
『自己紹介がまだだったな。私の名前はウルトラマンX(エックス)……とある出来事によって、この次元に飛ばされてしまったんだ……』

忙しなく輝く液晶に映し出される、ウルトラマンの姿を模したデータ。
ゼロやガイとはまた違う、特殊な状態のウルトラマンの様だ。
しかし、飛ばされたという言い分から察するに、自分から時空を超えてきたゼロや敵を追ってきたガイよりも厄介そうである。

『そうだ、君……大空大地という青年を知らないか?』

質問をすると共に、エクスデバイザーから黒髪の青年が映し出される。
ーー同時に、この質問に対する答えも知らないとなるのが普通だろう。
エックスと一心同体になる青年なのだろうが、そもそもこの男性を見たことが和はないのだ。恐らく、ついさっきエックスもここに飛ばされたのだろう。
そして大地との一体化を解除させられ、彼は何処かへと飛ばされたーー
そう考えるのが、無難か。



「(肉体言語……!)」

眺めているつもりでいたのだが、もしやと思わずとも自分も敵と見なされているだろうか。
ーーが、まずは康介のお手並み拝見といこう。
絵楠はドライバーを構えつつも、一歩引いた距離から一人と一匹を眺めていた。

241名無しのカウンセリングだべ:2017/04/20(木) 23:06:29 ID:snl6iVV.0
>>240
「ウルトラマン…… X……」
「(……ウルトラマンゼロさんやクレガイさんの関係者?)」

液晶に映し出されたデータと、何となく通信機自体のデザインからハイテクなのは受け取った
ひょっとしたら、自分とウルトラマン共と同じように違う次元の存在という可能性もなきにしもあらずだが

そしてまじまじと、液晶を見て、記憶を探る
一度聞いたら二度と忘れられそうにない名前、その覚えがないということは知り合いの可能性はない
だがこの二日間に及ぶ探索で見かけたこと、が……

「……ごめんなさい、覚えはないわね。 けれども貴方の同僚さんなら知っているけれど……」
「…… …… …… あそこ行かなきゃダメなのよね……」

行くことを拒否した、レジスタンスの組織
あそこに入ることそれ自体が反対勢力に関わるということだ

1対1ならまだ、戦える。 まだ舞える。
けれども組織に立ち向かうのは その意味合いは、天と地ほど差がある……

「……… 忘れ物届けるくらいなら問題ないか。 それぐらいの関わりがあることぐらい知られているでしょう」



激しく炎を吹き付ける火の鳥、その度に高笑いを上げる康介と、散り散りとなる火炎
けたたましく鳴く鳥は恐らく言葉の限り罵倒しているのだろう、怒りをぶつけているのだろう
だがいくら攻撃を喰らおうとも、身を炎が撫でようとも、高らかに笑い声を上げ続ける康介

「その程度! その程度か焼き鳥め! 全てを出し切ってみせろ!!」
「我はその全てを受けきってみせる!貴様が服従するその時までな!!!」

これはもしかすると、 相手が根負けするまで、相手が諦めるまで
自分に服従するまで、戦意を喪失するまで 続ける気なのだろうか、この我慢比べを

242名無しのカウンセリングだべ:2017/04/22(土) 00:07:40 ID:H679hrsc0
>>241
『同僚?あぁ、同じウルトラマンの仲間ということか?それは有難い!是非とも案内してほしい!』

電子音でも伝わるほど喜びに満ちた声を上げる。
大地という人物とはぐれたことだけではなく、単純に寂しかったのではないか?この宇宙人。

『私は忘れ物じゃないッ!?』

ーーどこかズレているが。


「!……馬鹿野郎、何考えてるんだ!」
『ジャングルオーズ!』「変身!」
『タカトラァ!タカトラァ!バッタァ!ジャングル!ジャングル!ーーオォォーズッ!』

察しのついた絵楠はオーズゲーマーに変身すると、仲裁するかのように二人の間に割って入る。
炎にはメダジャリバーを向けて直撃を防ぎ、康介を護るようにその前へと降り立った。

「お前、我慢比べで無理矢理納得させるつもりか!?そんなのじゃ、命が幾つあったって足りないぞ!」

243名無しのカウンセリングだべ:2017/04/22(土) 00:54:00 ID:QduksON20
>>215
「ごめんなさい、そうだったわね落し物くん」

ポケットにしまい、そのまま歩き去ろう……としたが前が見えないと騒がれる
胸ポケットに入れるのもお断りしたい関係で、仕方なしに手で持ったまま裏山を降りていく

「……………」

その後ろ姿を何者かが見張り、いなくなったのを確認すると姿を消したことも知らずに



やはり、鳥の怪人はどこか遠く…… 他で騒ぎでも起こっているのか、姿が見えない
理由は気になるところだが、如月ジャーナルの中に入ると受付の人に会社の人の落し物を届けにきた旨を伝えた
……こんな惨事にもかかわらず、ご苦労なことである





「ピ!ピィィイー!!」
「フン、邪魔立てするな、山亘理 ……言っただろう?『努力なき力など後で重い代償を払わされると』」

無理やり絵楠を押しのけ、自ら拳を振るい、炎をかき消す
今まで長時間、当たり続けていたのだろう
指の表面は焦げて硬くなり、水膨れが起きては破裂し、
皮膚はげは赤々としていた

厨二病煩いのこいつは、鋭い眼光を火の鳥に向ける


「こいつは俺を食い物としてしか見ていない獣だ、俺を魔力の電池ぐらいにしか考えていない獰猛な鳥よ」
「言葉による和解など無理だろう、ライオンがシマウマに自から頭を垂れるか?虎がウサギに屈するか?……命がいくつあっても足りないのは何もしなくても同じだ」

詳しい話は聞いていない、しかしただ取り憑かれ、この酒場に連れてこられたわけじゃないのは本人たちの反応からも知っているだらう
魔力切れで力つきる一歩手前まで貪り食う火の鳥、ほんの少し好きを見せればたちどころに奪い去り、そのままじわじわと衰弱死させるだろう


「そんな奴に必要なのは『喰い殺せない事実をたたき込む』こと」
「征服することよりもされることを選ばせることだ ……俺は従わせる覚悟はできている」

「『最初から持っていた奴』は引っ込んでいるんだな」

244名無しのカウンセリングだべ:2017/04/22(土) 01:17:56 ID:H679hrsc0
>>243
『落し物でもないッ!!?』

いや、落とし物なのだが。
どうにも自己主張の激しいタイプのウルトラマン。ーー早く預けた方が良さそうだ。

「ん?和さんでしたか、落し物とやらを届けに来たのは」

既に社員として違和感なく混ざっているエイラが現れる。
絵楠と同じ顔ーーやはり、ややこしい。


「ーー最初から持っていた訳、ないだろ」
「本当はこんな力なんて、無い方がいいんだ」

長々と述べられた事柄に関しては指摘する点もない。
間違ったことは言っていないし、康介の事情を知ることも出来た。
その中で一つだけあったのがーー"最初から"と言われたこと、その一つのみだった。

「……お前の事情と覚悟は分かった」
「……けど、だからと言ってお前一人でやらせようとは思わない」

ゆっくりと立ち上がり、ウィザードのガシャットをベルトへと差し込む。
後でじっくりと自分の過去の話でもしてやろうか、そんなことを考えるだけの余裕はまだある。
本人の覚悟は分かっても、絵楠はやはり割り切れる男ではなかった。

「だから、支援くらいはさせてもらう」

245名無しのカウンセリングだべ:2017/04/22(土) 09:40:18 ID:snl6iVV.0
>>244
「…………エイラ先生」

それよりも、雰囲気的に言えばアレイスターの方を感じ取ってしまうのだ
恐らく先生の方であるのだが、無意識に距離を置く

「………………クレガイさんやゼロさんの知り合いを拾ったから届けに来ました」
「ウルトラマンエックスなる端末らしいです、裏山の方に落ちていたので」

そう言って画面をエイラに見せ、自身の挨拶を促す
瑠奈と対峙した時とはまた違う緊張感、ピリピリとした感じが伝わってくる

「二人共まだここにいる?」




「……勘違いに関しては謝ろう。 手出しについても何言うまい」
「そろそろ終わりそうだしな」

そうして話している間に、火の鳥の体を纏う炎が大きく、苛烈となっていた
少ない火力では押しきれないと判断したのか、一気に片を付けるようだ

康介が不敵な笑みを浮かべた

「―――ファイナルラウンド、行くぞ!」

二人共同時に動き出す
鳥は康介へ、康介は鳥へ
絵楠が介入する暇もなく、拳と嘴がぶつかり、轟音が響き、辺りが煙に包まれた―――


「……………」
「……………」

煙が貼れると、そこにはトーストのようにこんがりとしやがった右腕の康介
そして体の炎が弱々しくなった鳥

「………まだ、やるか?」
「……………ピー」

相手にするのも、疲れた――
言葉が通じない相手であるが雰囲気だけでそれが察せてしまうほど、疲れた様子を見せる鳥
体を紅い光へと変えると、自ら意思で康介の体の中に入っていった


「………これで第1段階は終わりのようだな、っと……」

鳥が中に入ると、体の中に出来た傷がじわじわと消えていった
水ぶくれも、固くなった皮膚も、トーストになった右腕も
元通りになっていく

246名無しのカウンセリングだべ:2017/04/22(土) 22:33:31 ID:H679hrsc0
>>245
「あ、……すみません。あまり僕の顔は見ない方が、いいですか」
「二人ですね。呼んできますから、ここで待っててください」

ーーやってしまった。
馬鹿か、僕は。と心の中で自分に悪態をつき、エイラは足速に二人を呼びに戻る。
絵楠はともかくとして、自身とアレイスターは瓜二つ。
そのうえ、和はアレイスターに実害を負わされていたことも人伝で知っていたというのに。

「どうにも不器用なところあるみたいだね~、エイラちゃんは」
「っと、コンニチハ和ちゃん!そっちの調子はどうだい?」

入れ替わって現れたのは、由紀だった。
去っていくエイラに向けて苦笑いをしたと思うと、和の方を見てにこやかに喋り始める。



「……ははっ。どうやら、お前の事をちょっと見くびってたみたいだ」

まさか、自分が介入するまでもなく事を済ませてしまうとは。
内心厨二が入ったただの青年と思っていたがーー覚悟というだけあったな。
変身を解除しながら、絵楠は認識を改めた。

「やるな、康介。頼りになりそうだ」

247名無しのカウンセリングだべ:2017/04/23(日) 20:02:23 ID:snl6iVV.0
>>246
「…………」

自己嫌悪を表に出すエイラに対し、少しバツの悪い顔を浮かべた気がした
しかし謝罪を声に出すことが出来ず、視線が気まずそうに逸れる

単純に、エイラ=アレイスターに危害を咥えられ、そのせいで似たエイラの近くでも緊張しているのかもしれない

アレイスターに対してだけではなく、『エイラ・アーウェン』自体を警戒している
そんな雰囲気を感じ取ったのは 気のせいだろうか

「……貴女は…… …………如月由紀編集長?」

自分を知る見知らぬ女性に、少し怪訝な表情を浮かべる
記憶を掘り起こしてみると昔雑誌で見た記憶があった




「フン、言ってくれるもんだな」
「貴様がどう思おうが関係ない、俺は俺のしたいようにやるだけだ」

己の能力を確認するように、掌に炎を浮かび上がらせては握りしめ、考えるように顎に手を当てる
炎を操る能力なのだろうか? シンプルでかつスタンダードな能力である

「もうここには用はないだろう?戻るぞ」




「……おかえり、どうやら上手くいったようだね」
「俺の手にかかればこの程度造作も無いことよ、女を口説き落とすことと同じぐらい容易い」
「………何も言わないからね?」

二人が戻ってくると、康介の顔を見るなり新聞を閉じ、起ち上がるマスター
少年とアネパは既に片付け終えたのか、酒場内に見当たらず恐らく宿に戻ったのだろう
たたんだ新聞を差し出す

「確認してみても、やはり大きな騒ぎにはなっていないようだね。 今のところ死人も出ていない」
「ただ立ち入り禁止の地区が設定されているようだけど、これについては何かしらないかい?」

248名無しのカウンセリングだべ:2017/04/24(月) 00:14:34 ID:H679hrsc0
>>247
「ん?あー、ゴメンゴメン!ウチと和ちゃんがこうやって顔合わせるのは初めてだもんね」
「そそ、ウチが如月由紀。宜しくね」

わはは、と声を上げながら手を差し伸べる由紀。
握手を求めているのだろうか。一応、この会社の編集長という人物なのだが。
かなりおおらかな人物らしい。


「自信満々だなぁホント。見習いたいよ、全く」

自分も昔はさして変わらなかったのに、絵楠はやけに自分のことを棚に上げている。
まぁ、大人になったーーのだろうか?

「立ち入り禁止のエリア?」

新聞に記された記事をまじまじと見つめる。
立ち入り禁止とされていたのは街の一角にある廃墟だったが、記憶が確かなら昔からここは立ち入り禁止に指定されていた筈。
なんでも、祟りが起きるとか何とか噂があるようだが。

「……ふむ」
「ここ最近、不審な影を見たって情報がツイートされてますね。アレイスターとの関わりがあるかは分かりませんけど、調べる価値はありそうです」

249名無しのカウンセリングだべ:2017/04/24(月) 12:38:04 ID:hRNQdwTI0
>>248
「………烏屋和です、よろしくお願いします」

差し出された手を握り返す。 お互い顔も名前も知っているのに奇妙な感じだ。
実際会うのは初めてのはずだが、誰かの面影を如月の顔に見る
学園にいた頃の友達と、なんとなく性格が似ているような



「そこは………… 余りいい話聞かないが、随分前から呪われた場所であったぞ?
今更新聞に載るような場所か?」
「改めて、禁止エリアとして設定されたようだね。 そんな噂が絶えない場所なら怪人達が身を隠すにももってこいの場所かもしれない」

「……もしここが拠点ならば、工場以外の共通点が見つかるかもしれないね」

250名無しのカウンセリングだべ:2017/04/24(月) 23:48:20 ID:H679hrsc0
>>250
「ん?どしたの?」

キョトン、とした顔をしながら和を見つめる由紀。
現実世界の、それもただ異世界のものが見えるだけの人物とは思えないような雰囲気が由紀からは溢れ出ている。
何かしら、異世界に関わっていそうなーー?


「ふむ……現地に赴かないと分からないですけど、拠点に関わる情報は掴めそうですね」
「それじゃ、早速行ってみます。康介、一緒に来てくれるよな?」

康介の手にヘルメットを持たせ、自分もグローブとヘルメットを被り外へと出ていく絵楠。
ワサビの時は驚いていたが、今回はどんな反応を見せるのだろうか?
そんなことを考えつつ、ライドベンダーをバイクモードへ変形させ座席へと座り込む。

251名無しのカウンセリングだべ:2017/04/25(火) 21:15:24 ID:snl6iVV.0
>>250
「……いえ、少し友人と似ていたもので」

「(……場馴れしている……ような感じではない、けれど……)」

学園の友人と由紀を重ね、少し思い出に浸かりすぎてしまったようだ
不思議そうに見つける由紀から手を離し、懐かしさとともに妙な気配を感じた

喉元まで出かかった不審な気配、それが異世界のものとは知らず、上手いこと形容することも出来ず
そっと、エイラが去った方を見る

「………結構時間かかっているようだけど、二人共出かけているのかしら」




「くくく…… 我が炎が今宵の生贄を欲している……」
「…………すぐに実戦というのは気が引けるが、無論だ。 敵を見極めるにしても貴様といたほうが好都合だろう」

ヘルメットをかぶると、表情は隠れたが突如現れた様子のバイクに驚いたような様子を見せた
だが、すぐに立ち直るとエクスの後ろに乗る

「それじゃあ頼むぞ、仮免ライダー!安全運転で頼む!」

252名無しのカウンセリングだべ:2017/04/27(木) 01:31:01 ID:H679hrsc0
>>251
「んにゃ、そろそろ来るんじゃない?」

「ーーゼロさん、絶対奢りですからねッ!!」
「わーったわーった!!俺が悪かった!!奢るからそろそろ許してくれよガイィ!!」

由紀の言葉に続くように、奥から現れるガイとゼロ。
ガイは非常に不服そうにゼロに詰め寄っているが、どうやら飯の恨みか?

『ゼロ!それにガイ君も!』
「お?エックスじゃねぇか。それに和も一緒か!よう!」
「大地は一緒じゃないのか?」

しかし、エクスデバイザーを見るや否や喧嘩を取りやめる。
やはりウルトラ戦士が集まる方が優先なのだろう。


「……ま、いいや。しっかり掴まってろよ!」

ライドベンダーを飛ばし、颯爽と駆け抜ける絵楠。
流石ライダー世界のバイクか、あっという間に目的地の廃墟へと到達した。

「……ここが目的地だよな…… ?先客か」

バイクを近くに止め、廃墟の中へ注意深く入っていく。
ある程度開けたところへと付いたと思うと絵楠は身を隠し、一人の宇宙人と青年が対峙しているのを発見。

「ゼットン星人ボルテス!わざわざ違う次元まで現れて、何を企んでいる!?」
「ハッハッハ!アレイスターとかいう男との取引でなァ、この廃墟で私に与えられた指名を果たせば更に良いものと場所を提供してくれるのさァ!確かーー拠点とか言ったかァ!」
「拠点……?俺とエックスを切り離してここに連れてきたことと何か関係があるのか!?」

青年は勇ましくボルテスに言い放ち、銃を構えることを辞めない。
介入するか、否かーー?

253名無しのカウンセリングだべ:2017/04/28(金) 18:28:59 ID:tdIaIBQ60
>>252
「……ええ、おはよう二人とも」

昨日の一件から、やはり少し居心地が悪い
明るく声をかけられたが自分は逃げ出した身なのだ
出会った時の無表情を貫く

「裏山の方を調べた時にたまたま見つけて、知り合いだと思ったから連れて来た」
「…………近くにそれらしい人はいなかった」

エックスを投げ渡すと、これで用は済んだ
昨日からさほど時間は経ってないし、
進展は ……聞いたところでどうなるというか、 多分これ以上いる理由はない

「届けに来た、だけだから ……私はこれで」




「……どっちを吹っ飛ばせばいい? いや、両方吹っ飛ばした後で味方の方に詫びを入れれば十分だろう」

到着してすぐさまここで間違いないと示してくれるのはありがたい
物事はもっとシンプルならなおありがたい、二人とも倒せばそれでいいというのならなおさら

しかしそうとはいかぬのがこの世の定め、声を潜める

「奴を倒すよりか情報を聞き出す方が妙手だろう。 貴様の異能は知らんが我の異能は見た目に華がある」
「囮になるから裏から回って奴を拘束しろ、いいな」



「ハーッハッハッハッハ!!!! 異次元からわざわざ敗北を味いに来たとは苦労なことだな!」

そういうが早いか、絵楠返事など聞く間も無く扉を蹴破ると、自身の体から紅色の焔を舞いあがらせ雄叫びをあげる
自分に注目を集めるための行動だろうが、
巨体に悪い笑み、目には殺気らんらん、どちらが悪役だろう

254名無しのカウンセリングだべ:2017/04/29(土) 01:36:26 ID:H679hrsc0
>>253
「!?君達は」
「チィ、仲間がいたのかァ!仕方ないーー来い、闇の魔王獣!!」
「何ッ……!?」
『"マガタノゾーア"!』

康介の登場にたじろぐ青年の隙をつき、オーブリングと同一の姿で真っ黒な『ダークリング』にカードをリードさせるボルテス。
次の瞬間、辺りを一際大きな地震が襲いーー

「お前達はマガタノゾーアに恐れ戦くがいいわ!」
「な、待てッ……クソッ!」

その隙に青年達の合間を掻い潜り逃走するボルテス。
当然全員で追いかけようと外を見渡したがーー

『ーー!!』
「……あれが、マガタノゾーア……!」

マガゼットンを優に超すかのような巨体。
オウムナイトのようで、しかし顔は真逆にーーより人を見下せるように配置され、巨大な紅いクリスタルを付けたその姿。
『闇の魔王獣 マガタノゾーア』の出現に、嫌でも目を奪われてしまう。

「ッ、仕方ない……康介!あの宇宙人の事は後でこの人に聞く!俺達は避難誘導と……時間稼ぎだ!」
『ジャングルオーズ!』「変身!」
『ーージャングル!オォーズッ!!』

オーズゲーマーへと変身し、焦りと恐怖で逃げ出す人々を誘導していくイクス。
まだ若干タイムラグがあるが、恐らく彼等が気づくはずーー

『ーー職員の皆様にお知らせします』
『ーー神守町の廃墟にて 怪獣の出現が確認されました』

「チィ、こんな時に……!和、オメェはさっさと帰っとけ。この件に関わる理由はもうねぇ筈だ」
『ゼロ、ガイ君行っちゃったぞ』
「は!?……相変わらず行動がはえーなぁ……つーかワサビ起きてんのか」


「マガタノゾーアまで出てきやがったのか……仕方ねぇ!」
「ティガさん!」
<ウルトラマンティガ!スカイタイプ!>「ーーチャッ!!」
<ウルトラマンマックス!>「ーーシュワッ!!」
「疾風の力、お借りします!」
<フュージョンアップ!>
<ウルトラマンオーブ! "スカイダッシュマックス"!>
「ーーシェヤァッ!!」

すぐさまビルから飛び出したガイは走りながらオーブリングを起動。
二枚のカードをリードし、大きなマフラーをなびかせた『ウルトラマンオーブ スカイダッシュマックス』となって現場へと急行する。

255名無しのカウンセリングだべ:2017/04/29(土) 21:47:38 ID:snl6iVV.0
>>254

「――――ッ!」

チッ

逃げるボルテスに手をのばすも、辛うじて指先がボルテスを掠り、
服を引っ掛けることもできず逃げられてしまう

後ろに周り込もうとした絵楠にも捉えることが出来ず、人混みに紛れどこかへと消えた

「……簡単に逃げ出さないと踏んでいたが、予想以上に臆病だったなアイツ」
「焔の支配者たる俺でも流石にアレは手に余る ……止む負えない」

あのサイズには自分が操れる最大限を与えたとしても、倒せるか怪しい
素直に絵楠とともに避難誘導に乗り出した




「………理由も何も少なくとも昨日のサイズの子とはもう金輪際関わらないわよ」
「ただ、まぁ ……気をつけて」

昨日の能力がまだあるのならいい的だが、そうでないなら体格差の時点で関わる選択肢が消える
ウルトラ戦隊だって持ち前の戦闘機やらで対処してるのだ、能力持ちだとしても対処できる相手じゃなかった
ゼロもこう言っている事だし大人しく帰宅することにした



「Zzzzzz.....Zzzzzz....」

その頃ワサビは、けたたましくサイレンが鳴り響く中
叩き起こされるまで死んだように眠り続けるのだった

256名無しのカウンセリングだべ:2017/04/29(土) 23:54:33 ID:3zVK3xRE0
篠目町。
夕闇町と隣接している町。神守町や夕闇町よりも自然が多く、田んぼや畑がところどころ見られる。
都会では勿論、地方都市でもないが、完全なる田舎とも言いきれない微妙な立ち位置に立たされている……というのはさておき。
その町の高台に位置する林の中の道に、一台の車が止まっている。
その窓からふわり、と一つの機械が浮かび上がり、飛んでいった。
はた目から、車内には人の姿は見えない。
そう、はた目からは。

後部座席、の床。
窓の外をちらりと見ながら、カタカタとパソコンを動かす女性。

(この町は人目が少なく、広大な土地が多い……
最近人の入りが多くなったという噂があるが、町の資料では人口に大きな推移はない……
この町に拠点がある可能性は高い)

(その可能性を確定させるには実際に調査するのが手っ取り早い。
しかし、戦うかもしれないリスクもある)

(そこでドローンの登場。最新技術の賜物を見よ。小型かつ軽量。航空法にも引っ掛からない! それでいてリアルタイムカメラ付き)

(これで現代慣れしていなかったら確実に打ち落とされて終わるが、向こうも現代に適応している今。無闇に打ち落とす訳にはいかない。
何の関係のない一般人が趣味で飛ばしていた場合、破損などさせたら警察に来られる可能性もある)

(つまり私は基地を偵察していると悟られず、この町の周囲を撮ってる風に装う。
万が一基地上空などで打ち落とされてもGPS機能で場所も把握できる)

頭のなかで構想を連ねながら送られてくるデータを見ながら、基地の場所の解析を始める。

……來咲瑠奈。和が去った後、場所特定のために情報集めをしていたが、なぜか神守町を飛び出していた。
元より情報のためなら飛び回っていた前科がある。家で籠って不確定なものを集め続けるのは性ではなかったのだろう。
車の後部座席の窓は基本的に中が見えにくい構造になっているから余程中を覗き込まなければ瑠奈には気づかないが、
発見したら、とても、すごく、怪しい人である。
一応鳥図鑑や町で見られる野鳥一覧等といったものが助手席に置かれているが、どこまで言い訳できるものか。
そもそも神守町から敵方に付けられていたら計画は端からおじゃんでもある。

そして神守町の悲劇はまだ知らない。
父の守っていた町を大切にしている彼女がこのことを知っていたらそれはそれで面倒なことになるだろう。
しかし怪物のこともまだ知らない。幸せである、今は。


車の近くにある木が、ゆらりと揺れた。

257名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 00:46:44 ID:H679hrsc0
>>255
「"マクバルトフィールド"!」

圧倒的な速さで駆けつけたオーブの声とともに、ビルや地面に付着するかのように張られていく微量のシールド!
マガタノゾーアの攻撃でビルや地面が壊されるのを防ぐためのもののようだ。

「皆さん逃げて!こっちです!……来てくれたか、ガイさん!」

オーブを見上げ、歓喜の声を上げるイクス。
巨大な敵には巨大なヒーローだ。

「くっ……デバイザーがない今はこれしかない!」
『ウルトラマンの力をチャージします』

青年は先程まで持っていた銃にアタッチメントを装着。
すると、銃に高出力のエネルギーが溜め込まれていくーー

「おいワサビ!とっとと起きろ!!」
『わ、ワサビ?……彼の体内の物質にはそのようなものは含まれていないぞ』

ちげぇよ!とエクスデバイザーを裏返すゼロ。
喚くエックスを余所に、荒々しくゼロはワサビを目覚めさせようと頭を叩いた。

258名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 13:34:00 ID:bywp5M/c0
「――さて、行こうか!」
「どこに?」
「正義の味方活動だよ。困っている人を助けて悪をボコボコにするの!」

 まだ見ぬ敵にシャドーボクシングをする。それはまるで困っている人にも同じことをしそうな勢いであった。

「ああ、そう。じゃあ、行くか」
「ちょっと待って? その格好で行くの?」
「動きやすいだろ」

 今着ている服はジャージである。というか、部屋着がジャージなのだ。

「正直ないわー。動きやすさはどうでもいいの! 見た目が大事なんだから!」
「じゃあ、何着ろと」
「スーツとか?」
「スーツ!? ボロボロになったらどうすんだよ。高いんだぞあれ」
「黙れニート。スーツは私が買ってあげるからそれ着なさい」



「完璧だね。うん。完璧だ」

 黒いスーツに黒いコート、手には白い手袋。

「……………………」
「これがたっくんの正義の味方活動の制服だ」
「……変じゃない?」
「変じゃないよ。ジャージよりは良いよ」
「…………………………」

 ものすごく恥ずかしかった。
 面接に行くわけでもないのにスーツを着て。何の意味があるのかわからない白い手袋つけて。

「ただのコスプレじゃないか?」
「コスプレだとしてもこの町は変だから、それくらい普通だよ」

 コスプレといえば、怪物がコスプレ集団とか言われているんだっけ? どう見たって怪物なのに。
 それなら、それと比べると普通……なのか?

「まぁ、いいよ。この格好で」
「どう言おうがそれで決まりだけどね?」

 拒否権なんてなかった。

259名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 13:36:34 ID:bywp5M/c0
「行かなくていいのか?」
「どこに?」
「さっき言ってた……正義の味方……活動?」

 ただ、ゆっくりと、歩いているだけ。
 これはもはや散歩の域。

「ちゃんと活動中だよ。それに、ヒーローは遅れてやってくるものだよ。だからわざとゆっくりしているのさ」

 ――違和感。
 それは確信に近い直感だった。昨日と、何かが違う。けれど、何が違うのかはわからなかった。

 現状。マガタノゾーアの姿が目視できる範囲。
 ゆっくりしている場合か……?

260名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 21:42:33 ID:snl6iVV.0
>>257
「ふぎゃっ!? ちょ、ゼロ起こす時はもうちょっと穏やかに……!」

「ってなんなんッスかこの上へ下への大騒ぎ!? 一体今何、あぁ朝飯すっかり食べ損なったッス!」

辺りに響く鈍い音、昼前だと言うのに目の前にお星様が煌めく衝撃で目を覚ますと
耳が館内に鳴り響く警報を察知し、飛び起きて半ばパニックを起こしながら服と鎧を身にまとう寝る時パンイチ派
首にマフラーを巻くと外に飛び出し、外にいる化物にあんぐりと口を開ける

「……あ、あれ相手に戦えと!? 転ばしたり進行方向遮ったりは行けるッスけどちと無理がある」
「いや体に引っ付けられればまだ急所狙えるッス! それ狙い?それ狙いッスよね!?」

261名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 22:20:18 ID:H679hrsc0
>>260
「いーや、悪ぃ。今回はそれだけじゃねぇんだ、頼みてぇことは」
『何?ゼロは向かわないのか?』
「あぁ、ちょっとばかし遠出しなきゃいけない用が出来たんでね……エックス、あの光を見りゃ誰がいるか分かるよな」

む?と声を上げるエックスに分かるように、エクスデバイザーをマガタノゾーアのいる方角へと向ける。
かなり細めながら、ウルトラマンの光線と同様の光がマガタノゾーアに向けて放射されているのが目に見えて分かるだろう。

『あれは……!そうか、彼処に大地がいる!』
「そういうこった。つーわけでワサビ、ついでにコイツをその大地ってやつに届けてくんねぇか? 顔なら、コイツが投影してくれるはずだぜ」
『私からも頼む、ワサビ君。私と大地を会わせてくれ!』


「"マクバルトアタック"!!」
『ーー!!』
「チィッ、あまり効いてないか……!」

一方のオーブ。バリアーを張った為か心置き無く戦えるので、出し惜しみ無しに強烈な光弾をマガタノゾーアへと放ち続ける。
しかし、どれも決定的なダメージには至っていないーー

「クッ、ウルトライザーも効かないなんて……!」

青年は何度も銃から光線を放つが、それもあまり効いていない。
更に、マガタノゾーアから放出された闇が人の形となってイクス達に向かい襲いかかってきた。

「クソッ、避難は終わったとはいえ……!」

メダジャリバーを振るい、闇を切り裂く。
オーブのフィールドもどれだけ保つか分からない状況。
いっそ、自分と康介の二人でこの闇を高火力で吹き飛ばし、ダメ元でマガタノゾーアへと攻撃するのもアリかーー

262名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 22:42:58 ID:snl6iVV.0
>>261
「んあ? ……よーするにあの光がいる方にいる奴にそいつを持ってけばいいんッスか?」
「状況イマイチ読み込めねーッスけどそれぐらいお安い御用ッス! ほら行くッスよ”すまほ”君!」

ゼロの手から半ば奪い取るように、エクスデバイザーを取ると、光がする方へ駆ける
手をブンブンと振り、エクスデバイザーをこれでもかというほど振り回し、上から飛び散る瓦礫を避け走るワサビ
人よりも運動能力が高い獣人だけあり、その姿はあっという間に遠くなった――



「……チッ、出し惜しみなどしたら切り抜けられんか」
「我が奥の手、油断した怨敵の喉元へ突きつけるのが最善だったが ……元々俺のミス故仕方なし」

火の玉を闇のヒトガタにぶつけるも、効いていないように見える様子だった
片方には打ち上げ花火をマガタノゾーアに向けている青年、片方には切り裂くオーズ
限界は目に見えていた

また一つ、マガタノゾーアから闇のヒトガタが落ちてきた
上から下へ、降ってくる其れに指を向け焔を灯す
熱さから程遠い、悪寒を感じる蒼き焔

「光栄に思うが良い、我が奥の手を喰らって逝けるのだからな エターナルフォースブリザード……」

「――――熱を、『奪う』!」

落ちてきたヒトガタが、一瞬のうちに氷の塊と化した
今度はオーブが応戦しているヒトガタへ、手を向ける

「貴様のお仲間からのいただきものだ、いらんから返すぞ」
「――――熱を『与える』!」

手から発せられるは、真っ赤に輝く業火
よく見ると中心部には、何かを軸に焔が舞い上がり、業火を形成していた





「――――お―――――」

「――――――い――――だい―――」


「おーい大地っつー奴ー!!! 手挙げろッスー!!! そうでもしないとこの”すまほ”くん焼いて食ってやるッスよー!!!」


闇のヒトガタに対処していると、遠くから声がした
手からこれまたエクスデバイザーを必要以上に振り、こちらに向けて走ってくるワサビの姿が見えた

263名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 22:57:53 ID:H679hrsc0
>>262
「(俺のアイデンティティが危うい……!?)」

紫のメダル一枚分の効果でしか氷を操れなくなったイクスは、内心ちょっとだけ焦っていた。
最も、熱を奪うのと外側から凍らせるのでは若干違うだろう。
むしろ、それを考える余裕はあるといった感じか。

『アガッチャ!』『ーーマジック・ザ・ウィザードォ~♪』
「ーーせいッ!!」

その一方で自身のやるべき事はしっかりとやっており、ウィザードオーズゲーマーに変身した後ウィザーソードガンを抜刀。
火炎と吹雪を纏わせた剣を振るい、瞬く間に闇を切り伏せていく。

「!?スマホ……エクスデバイザー!」
『大地!無事だったか!』
「エックスこそ、元気そうで何よりだよ」

ワサビの声に気づいた青年ーー『大空大地』は、即座にワサビの元へと駆け寄った。
エクスデバイザーを見つめ、心底安心した表情でエックスと会話をする。
しかし、そんな状況ではないのは二人共分かっていた。

「君、これを届けてくれてありがとう。……さ、行くぞエックス!」
『勿論だ、大地!』
「『ーーユナイトだ!』」

ワサビから受け取ったエクスデバイザーを左手で持ち、前へと突き出す。
右手でデバイザーの上部のスイッチを押すと、エクスデバイザーの縁の装飾が"X"の字を描くように開きーー
辺りを光が包み込む。

[ウルトラマンXとユナイトします]
「ーーエックスーーーーッ!!!」
『イィィィーッ、サァァァーッ!!』
["X"ーーユナイテッド!]
「ーーXクロスキックッ!!」

マガタノゾーアに向け放たれる強烈なキック。
流石のマガタノゾーアも不意を突かれた形のため、その巨体を大きく後退させた。
赤・銀のカラーは忘れず、所々に盛り込まれたサイバネティックな装飾、そして目を引く"X"の字のカラータイマー。

「エックスさん!」
「遅れてすまなかったな、ガイ君。さぁ、反撃開始だ!」

この世界に現れた三人目のウルトラマン。
その名は、ウルトラマンX(エックス)ーー未知の巨人。

264名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 23:09:12 ID:snl6iVV.0
>>263
「……よーっし任務完了ッス! 撤退、撤退ー!」
「潰されないうちに移動するとしよう」

すぐ近くに現れた、ウルトラマンエックス、ウルトラマンイクス
そんな三人との戦闘中に足元にいるなど自殺行為、潰されておせんべいみたいになるのが落ちだろう
絵楠の手を引き抜け出す三人

265名無しのカウンセリングだべ:2017/04/30(日) 23:23:18 ID:H679hrsc0
あぁんややこしくしてすまぬ!!
でかいのはマガタノゾーア/ウルトラマンオーブ/ウルトラマンエックス です……:(´◦ω◦`):

>>264
「……だな。ここはガイさんとエックス達に任せよう」

避難誘導は完全に済んだうえ、闇も全て片付けた。
自分たちの仕事はキッチリ終わらせたのだ。
ここで自分達が近くにいれば、返って邪魔になるだけだろう。

「イーッ、サーッ!」
「デリャァッ!」
『ーー!』

そして始まる、二人のウルトラマンと魔王獣の激闘。
オーブとエックスのパンチ・キックを喰らっても、先程のように不意打ちではないためかマガタノゾーアは怯みもしない。
更には、本体から伸びてきた触手がウルトラマン達に襲いかかる。

「"Xクロスチョップ"!」
「"ティガマクシウムソード"!」

伸びてきた触手に対し、光を纏ったチョップと実体化した刃で応戦する。
次々と迫る触手を切り捨てては前に近づき、確実にマガタノゾーアとの距離を詰める。

『ーー!』
「グァッ!?」
「ガッ……!?」

しかし、マガタノゾーアは自身の持つ紅き宝石『マガクリスタル』を怪しげに光らせると、一気に闇の光線を放出。
オーブとエックスを大きく吹き飛ばし、バリアーにもヒビが入ってしまう。

「グオッ……」
「ガイくん!」
『ーー!!』
「ッ!"Xバリアウォール"……!!」

即座に現場に急行するための高速移動・バリアーの維持・エックスが駆けつけるまでの戦闘。
余りにも体に無理強いをし過ぎたオーブは、ついにカラータイマーが鳴り響いてしまう。
その瞬間を狙いマガタノゾーアは今度は口から光線を放つが、エックスがオーブを守るように障壁を展開。
しかし、それもいつまで保つかは分からない。

「クソッ、何か手は…… ……あれは」

歯がゆい状況に苛立つイクスの目線が、何かを捉えた。
ーーマガクリスタルに見える、大きなヒビ
ーーあれを壊せば、あるいはーー

266名無しのカウンセリングだべ:2017/05/01(月) 12:44:10 ID:CTBFSDR60
>>265
「……苦戦してるッスね?」
「……片方倒れてももう片方が戦い続ければいい、なんて行かんからな。」

少し離れたビルの屋上に移動し、二人の戦いを眺める一同
はじめこそは2対1の有利な状況だったが、1人が倒れると脆い状況だ、
動けない奴を集中狙いされるとまともに動けなくなりジリ貧となるのだ

「最初の狙い通り、体にしがみついて急所狙うしかなさそうッス!」
「えっーとこっちの…… いや絵楠、空中でどれくらい動けるッスか?」

ブースターとか、攻撃魔法での方向転換とか
そんなことを指折り数えていると傍に青い障壁を出す

「昨日見せた通りこいつ勢いよく発生させたら発射台に出来るッス! 脚力あわせりゃ向こうまで余裕で届くくらい!」
「まー吹っ飛ばすわけッスからほとんど行動できないッスけど」

267名無しのカウンセリングだべ:2017/05/02(火) 12:24:50 ID:H679hrsc0
>>267
「発射台……成程。迷っている暇はないな」
「ワサビ、俺が跳んだ瞬間に足元を狙って障壁の展開を頼む!」
『ガッシューン……ガシャット!キメワザ!』

キメワザスロットホルダーにオーズガシャットを装填し、その場で身構えるイクス。
ワサビに一声掛けると、その場から跳び立つ。

「ムゥゥゥッッ……!!」
『ーー!!』
<エックス、このまま押し切られたらマズイぞ!>
「分かっている!しかし、ここで私達が押し負ける訳には行かない……ッ!」

一方、Xはマガタノゾーアから未だ放たれる光線を防ぎ続けている。
しかし、Xの方もカラータイマーが点滅を開始。
このままではジリ貧だ。

「ヌゥ……エックスさん!まだ、耐えられますか……!」
「ガイくん……あぁ、まだ、いける!」
「分かりました……お願いします!」

何とか立ち上がったオーブは、ふらつきながらもその身を光で満たしていく。
状況の打開に繋がるかは分からないが、少なくともダメージを与える手段はあるはずーー

「ゾフィーさん!」
<ゾフィー!>『ーーへァッ!』
「ベリアルさん!」
<ウルトラマンベリアル!>『ーーデァァ!』
「光と闇の力ーーお借りします!!」
<フュージョンアップ!>
<ウルトラマンオーブ! "サンダーブレスター"!>

「闇を抱いて、光となる!ーーゼットシウムゥゥ、光線ンンンンッ!!!」
『ーー!!!』

正統派ウルトラマンのカラーリングをしながら、明らかに今までのオーブよりも増した筋肉質の体型。
禍々しい形となった瞳。まさに闇と光が一体となったような姿ーー
『ウルトラマンオーブ サンダーブレスター』に変身すると、超強力な光線技『ゼットシウム光線』をマガタノゾーアの顔へと放つ。
その一撃により、Xに向けて放っていた光線が持続できなくなり解除。マガタノゾーアの身体も大きく後退する。
ーー今なら、気兼ねなくクリスタルを攻撃できる!

268名無しのカウンセリングだべ:2017/05/03(水) 12:04:33 ID:snl6iVV.0
>>267
「行くッスよー! 発射!」

絵楠が跳ぶと同時に、足元から勢い良く出現し
パチンコの発射台のように打ち出す青き障壁
絵楠自体の身体能力、そして障壁の援護より高く早く飛びたった

単純に体にしがみつき、急所を狙う
そればかりが狙いだったが見るとマガタノゾーアの体が大きくのけぞり、
直に狙えるようになる
このまま、攻撃を加えれば倒せる……?


「念には念を、もう一発ダメ押しさせてもらおう」

「―――――空気の熱を”操り” 気流を産み出す」

追い風
発射台に飛ばされた体が、さらに加速し
クリスタルを破壊するエネルギーを産み出した

269名無しのカウンセリングだべ:2017/05/03(水) 14:39:32 ID:H679hrsc0
>>268
「!追い風が……感謝する、康介!」
『ジャングル!クリティカルストライクッ!!』
「ーーセイヤァァァッ!!」

ワサビの障壁による上昇、更に康介による追い風。
想定以上のスピードが出たことにより、火力が更に増すのが分かる。
赤・黄・緑のリングをくぐり抜けたイクスのキックは的確にクリスタルのヒビを突き、命中。

『ーー!!!?』
「マガタノゾーアのクリスタルが……!」
「彼等のおかげか!」

動揺するマガタノゾーアの素振りに合わせ、クリスタルは粉々に砕け散り消滅。
マガタノゾーアから感じられたエネルギーも、明らかに減少していく。

「エックスさん!今がチャンスです!」
「あぁ!行くぞ、ガイくん!大地!」
<任せろ!>

勝利を確信した二人のウルトラマンは、その身を光で包み込む。

<覚醒せよ、オーブの力!>
「オーブカリバー!」

<ウルトラマンエックス・パワーアップ!>
<「行くぞ!エクシードッ、エーックス!!」>

オーブは本来の姿であるオーブオリジンに変身、オーブカリバーをその手に構える。
エックスは銀・青で構成されたカラーリングに、虹色の光剣『エクスラッガー』を携えた『ウルトラマンエクシードX』へと多段変身を遂げた。

<解き放て!オーブオリジン!>
「ーーオーブスプリームカリバァァァーッ!!」
<エクスラッガーショットォ!!>
「ーーディィイヤァァァァ!!」
『ーー!!!!!!?』

オーブはオーブカリバーから虹色の光線を。
エクシードXは頭部に構えたエクスラッガーから虹色の光線を放ち。
二つの光線を食らったマガタノゾーアは、その場で光となって消滅ーー
怪獣を倒した際に起こる大爆発は、防がれた。

270名無しのカウンセリングだべ:2017/05/03(水) 16:00:19 ID:snl6iVV.0
>>269
「思った以上に苦戦したッス いやー怪獣相手に出撃させられたときには肝が冷えたッスー」
「……もう出てこないでほしいものだな」

単純に腕を振るっただけで下手な攻撃を凌駕し、
ビルを破壊するだけで瓦礫が致命傷になりうるのが普通なのだ
できれば対峙したくない、劇中でもほとんどがウルトラマンが撃退していたのだ

どうせこっちに戻ってくるだろう、とビルの階段を降り、一同と合流しようとする康介&ワサビコンビ
だが、撃破できたのはいいのだが 完全に無駄足であった

271名無しのカウンセリングだべ:2017/05/03(水) 18:00:58 ID:snl6iVV.0

「んー…… こんな道地図に乗ってないな? 道を間違えたか?」
「んーや、ここまで一本道だ、間違えるはずないよなー……」

篠原町のとある林道に、奇妙な生物が頭を悩ませていた
人間の大人ほどの背丈、雪のように白い肌と餅のような柔らかい体
頭は饅頭のような形状をしており、髪や耳、鼻などが見当たらず
ただ黒い眼と凶暴そうに見える大きな口が顔に取り付けられていた。

子供に微笑みかけたらすぐさま泣きながら逃げ出されそうな男、入速出キル夫は
現状使い物とならなくなった地図をしまうと、空を見上げため息をつく

「日が暮れるまでには次の町に着きたいけどなー 野宿もいいけど風呂に入りたい」
「……あいつらと旅してた頃が懐かしいなー」

本来なら一直線のはずの道が何故かふた手に分かれ、
地図上最短距離でも夕暮れ時到着予定の町、それなのに見当ハズレの方向に歩いているという事実
現実逃避っぽい事をつぶやきつつ、昼時のお日様を見ているとどこからかいい匂いがした

「………民家でもあるのか? ん、こっちか」

誰か住んでいるようだったら、町の場所とか聞くことができればいいなぁ、と
匂いを頼りに道を進んでいく。
そうして進むと、開けた場所に出る。 これで村があるようだったらそこに泊まるのもいいかもと林から抜け出した

「…………は?」
「………え、は、はぁ? ……こ、ここ」 

「日本……!? い、いつの間にか帰ってこれた!?」

立ち並ぶ木製の電柱、田んぼとまばらに立つコンクリートの建物、バス停に自販機
自分の知る、あの日本の田舎町と紛うことなき一緒の町が目の前に現れ、あんぐりと口を開ける

「…………そ、そうだ! ここがどこか調べて、か、帰んねーと! 持ってる金銀売れば交通費くらい……!」



「ようやく見つけたぞ新人君!!今までどこにいたのかね!?」

「………えっ」

自分の世界に帰れたという安心感、幸福感
しかし目の前に立つのは少なくとも自分が住んでた世界には存在しなかった、獣の異形
すぐさま希望が打ち砕かれた、ここ、ここは

「……俺の住んでた世界じゃ……ない……?」
「何を寝ぼけたことを言っているのかね新人君! 当たり前ではないか!」
「我々怪人はアレイスターとかいう奴に協力して昨日からこの世界で侵略活動をしているではないか!」
「……侵略? アレイスター? はぁ……?」
「質問は今は受け付けんぞ! そろそろ『拠点』の見張り時間だ!全速前進!」
「……しかし君は何の怪人なのかね? 見たところマシュマロを改造して作られた怪人のようだが」
「…………」

もはや、口答えも質問もする気になれない
状況の変動っぷりに、頭がついていけてないのだ

自分を怪人だと勘違いしているらしい獣の異形に腕を引っ張られ、『拠点』という場所に連れられながら改めて入速出キル夫は考える
ここはやはり、自分の世界ではない

空にあんな機械が浮いていることなど、見たことはなかった

272名無しのカウンセリングだべ:2017/05/03(水) 23:08:03 ID:3zVK3xRE0
>>271

「……みつけた」

異形たちを映像内で確認し、ドローンの位置を記録する。
場所はここからそこまで遠くはない。といっても、その場が直接見られるわけでも、こちらが見つかるほど近くもないのだが。
エクスに連絡を、と携帯を取り出すが、そういえば連絡先知らないな、と思い直す。
ついでにいうと、和のも分からない。一方的に電話番号を渡したが。

「あとはマスター……しかし電話のみ……うーん……」

はっきり言って、住所を口頭で言ってもピンとくる場所ではない。
ならば一度戻るしかない、のだが。

「……いや、自動運転にしておいて、一度バーに戻ろう。
ルートを指定して……」

かつてなら更に探りを入れるようなことをしていただろうが、武器も何もない今、そんなことはできない。
拠点がルートに入るよう、ドローンの飛行情報を操作してから、車を走らせる。
時々パソコンの画面を心配そうに見るが、走行中であるため確認まではできない。
不自然に思われなければいい、そう思いながら。

神守町の浮き立ち具合と荒れ具合を不信に思いながらも、彼女はバーに現れるだろう。
今朝のサンドイッチのお礼と、拠点らしき場の発見を伝えに。
……まあ、人がいればの話ではあるが。

273名無しのカウンセリングだべ:2017/05/04(木) 13:52:12 ID:YII6yuX.0
>>272



「篠目町…… 神守町から少し離れた場所にも作っているんだね」
「早目に見つけられてよかった、今は隣町、神守町の探索を優先させていたからね ……後回しになっていたかもしれない」

【準備中】の立て札がかかっていたが、扉を開けると休憩中だったらしいマスターが出迎えてくれた
挨拶をそこそこにドローンの話と篠目町について語ると、携帯を取り出しどこかへと連絡するマスター
パソコンには白饅頭のような見た目の怪人?が時折視線を向けているが、他は気づく様子はなさそうである


遅めに見つかれば見つかるほど、守りが強固になり攻略も難しいものになっていたかもしれない
さらにこちらの動きからまだ攻められてこないと油断しているようならば不意打ちも狙えるだろう

「とりあえず、絵楠君に連絡しておいたよ ……怪獣との戦ったばかりだから、すぐには無理だろうけど」

274名無しのカウンセリングだべ:2017/05/04(木) 18:38:53 ID:H679hrsc0
>>270
『すまない、君達にも苦労を掛けたようだ』
「本当にすみません!皆さんのおかげで助かりました。後は、ボルテスを何とかしないと……」
「ゼットン星人ボルテス……大地の世界にも来てたのか」

ウルトラマンの状態から人の姿へと戻り、ワサビと康介の元へと駆け寄る大地・ガイ。
エックスの謝罪と共に大地が続けるが、ボルテスを逃がしたことだけが心残りか。
しかもガイの話を信じるとすれば、ボルテスはガイの世界でも暗躍していた様子ーー

「……まずは、レレジスタンスの所に戻るとするか。アンタの事も知りたいしな」
「俺も、貴方達と情報を共有しておきたいです」

康介の肩をポン、と叩き告げるガイ。
大地の方でも情報の共有をしたいらしく、まずはスペースに戻るべきだろう。
幸いなことに、マクバルトフィールドのおかげで神守町そのものへの被害は抑えられたのだ。今すぐ帰っても問題は無い。

>>273
「……なるほど」

一方の絵楠は早速バイクに跨っている。
方角はバーとは違う方向。
ーーまさか、このまま別の場所へ向かうつもりだろうか?

275名無しのカウンセリングだべ:2017/05/04(木) 22:15:41 ID:snl6iVV.0
>>274
「逃げ出したやつならば、まだそう遠くへは行っていない ――距離も方向も、わかる」

レジスタンス拠点に向かう一同を遮り、康介は告げる。
怪人戦での疲れは残っているかもしれない、だがそれでも、追えるチャンスは逃したくない

「奴が逃げる前に『触る』事ができた。 ……我が異能の”制約”を語る事になるが故詳しいことは言えん」
「だが、大雑把な範囲でなら特定も可能だ。 今なら再度召喚される前に動きを封じる事も容易い」

「―――この話、乗るか?」



一方、絵楠側
マスターからのメールには、『篠目町に辿り着いたらこちらにテレビ電話をしてほしい』との言葉で締められていた。
一応住所は乗っていることは載っているが、周りが田んぼや家がまばらにある程度に田舎のため詳しい位置がわからない
おまけにGo○gle Mapも対応していないような林の奥にあるようで使い物にならなさそうである


>>272
「篠目町に辿り着いたら彼に連絡するように言ったけど…… ……来たようだね」

少し経ち、二人で話を進めていると
ブルブルと震えだすマスターのスマホ、画面を確認すると二人の顔が見えるよう立てかけた

「どうやら着いたようだね、絵楠君 ……來咲君、ドローンの映像頼んでいいかい?」

276名無しのカウンセリングだべ:2017/05/04(木) 22:23:52 ID:H679hrsc0
>>275
「!……アンタ、やるじゃないか」
『大地、ここは……』
「そうだな、エックス。……その話、是非とも乗らせてもらうよ」

大地とエックスーーガイやゼロと違い、彼は本来ならすぐにでも元の世界に戻らねばならない。
しかし、その前にボルテスを見つけ出して倒さねばならないのも事実だ。
この話、乗らないわけが無いだろう。

『キミの探知を元に、私がマップを表示する。頼りにさせてもらうぞ!』

大地の手の中でデバイザーを輝かせるエックス。
既にマップを表示させている。準備は万端のようだ。


「ええ。お待たせしました、マスター」

バイクには跨ったまま、ヘルメットを外しテレビ電話を繋ぐ絵楠。
幸いなことに体力はまだ万全の状態。
ここから何か行動することになっても構わない、むしろ大歓迎だ。

277名無しのカウンセリングだべ:2017/05/05(金) 00:12:22 ID:3zVK3xRE0
>>273-276
「……怪物のことは今は聞かないほうがよさそうですね」

「そして相変わらずのバイタリティ……ええと、少し待ってくださいね」

しばらくキーボードを打っていたが、やがてパソコンの画面をテレビ電話をしているほうに向ける。
そこには、ドローンのリアルタイムの映像と、ドローンの位置を指し示した地図。
しばらく林の中を通っているような映像であったが、やがて開けた場所、そして建物らしきものを映し出す。

「ここが、異世界の人とおぼしき方々が見えたところです。
拠点とまでは断言できませんが、まあ、人目のつかないところで集まって何やらしてるのは確かですね」

「一応大回りで旋回していましたし、しばらくしたらドローンも離しますが……気をつけてください。
ドローンのことに気づいている方がいて、迎え撃つ準備をしているかもしれません。
特に、白っぽい様相の方が、時たまこちらを見ていましたし」

278名無しのカウンセリングだべ:2017/05/05(金) 10:29:09 ID:H679hrsc0
>>277
「了解。戦闘はなるべく避けるよう、努力しておくよ」

バイクを完全に止め、ライドベンダーを変形させておく。
少々派手ではあるが、自販機が新たに立てられたことを装うのにはちょうど良いだろう。
後は、瑠奈のドローンが映像として残しているようなルートで進むのが比較的安全だろうか。

「林の中から、向こうに勘づかれないよう近づけないか試してみる」

万が一の場合はーー
ポケットの中にガシャットを潜ませ、絵楠は行動を開始する。

279名無しのカウンセリングだべ:2017/05/05(金) 19:52:49 ID:ADhjVgNk0
>>276
「フン…… 四大元素の火を操る異能を持つ我にかかればこれぐらい朝飯前の事よ……
触れた物のみを操作でき、ある程度近寄らなければ発動できないのが癪だが
裏を返せば位置を特定するのにも使え

「全部口から出てるッスよ」

「…………」

「まぁ誰にも聞かれてないだろう」


人差し指を立て、辺りを軽く振るう
おそらく距離的に近くなると、能力が発動できるか否かの感覚が変わるのだろう
指だけを動かすだけで、その感覚の変化で方向を割り出しているのかもしれない

「…… こっちだ、距離は50mぐらいだな」

>>277-278

ドローンを頼りに白饅頭、獣の怪人が入っていった場所に戻ると
そこはどうも古い材木加工場のようだ
本棟の傍らには丸太が積み重なっており、傍らには事務所と休憩スペースがあるらしい建物が見える。

古いと言えども最近まで稼働していた形跡が見られ、何台か自動車が取り残されている
しかし工場の周りには何かの動物をかけ合わせて作られたらしい怪人達が近づく人影がいないか見張っていた

まだドローンについて知らされていないのか、警備体制はそれほど緊迫した様子はない
時折関係ない事を喋っているような怪人が見られ、不意をつけそうである

280名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 00:25:30 ID:ADhjVgNk0



「……何度考えても、どう見たってアレ、カメラ付きのラジコンだよナァ〜」
「ちょっと変わった鳥って、そんなわけねーわ」

そんな事務所棟、作業員のロッカールーム兼休憩室
見張りの時間を終え、パイプ椅子に腰掛け天井を見上げながら一人呟いていた

別段言うつもりはなかったのだが、たまたま獣の怪人(名無しらしい)が視界に入っただろうタイミングで無反応であったため
問い詰めてみると上記の発言が返ってきた
ここの怪人を纏める中間管理職のようだが、機械類に疎いらしい

「しかしやっぱりわけわかんねえな、見れば見るほどオレの世界で……」
「……怪人のあるなし抜きで考えても、微妙に違うからオレの世界じゃない」

残された新聞や雑誌を見ても自分の知った有名人は愚か、政治家の顔ぶれすら全くわからなかった
自分が異世界に迷い込んで、数年。 その間に変化があったとしてもいくらなんでも急すぎる。
この微妙な違い、微妙な違和感が頭を悩ませていた

「……考えても仕方ないな、結局元の世界に帰れるまで歩き続ける、ただそれだけ」
「にしても…… おーい、大丈夫カァ?」knock knock

「うおおおおおお!!!だ、誰かね!? 君の番は来ないものと思え!!!!」

「あー、こりゃ無理そうだわ にしても怪人が腹下すような缶詰って何だよこれ……」

281名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 00:38:18 ID:H679hrsc0
>>279
「あまり遠くには行ってねぇみたいだな」
『これらチャンスだ、行くぞ大地!』
「あぁ!」

デバイザーを腰のホルダーへとセットし、足早に駆け出す大地。
ガイもそれに続き、ボルテスの捜索が始まった。

「ーーそこだッ!」
「ヌアァッ!?」

そしてーー大地の持つ銃・ジオブラスターから発射された光弾は見つけ出したボルテスの足を命中。
蹌踉めくボルテスに、無事に追いつくことが出来た。

「諦めな、もう逃げ場は無いぜ」
「く、クソッ……まだだァ!せめて、この一枚だけでもォ……!!」

ガイに言われようとも、諦めの悪いボルテスは再びダークリングを取り出す。
一枚だと口では言っていたが、明らかにカードから放たれている邪気は一体の怪獣を封じ込めたものとは思えない。


「……何とか侵入はできそうだな。さて……」

手緩い警備となっている今が、潜入の好機だろう。
手間を省くため、ゲーマドライバーを装着した瞬間ーー絵楠の脳裏を過ぎる考え。
何かの探知機能に、変身時にドライバーから放たれるエネルギーを感知される可能性。
単純に、ドライバーから鳴り響く音声で勘づかれる可能性。

「(ウィザードゲーマーの魔法陣で潜入するのもありかと思ったが)」
「……専門分野じゃないが、このまま潜入するのが無難か」

出来る限り、不意を突く形と行きたいがーー
やれるだけやるか、と呟き。絵楠は、警備の眼をかい潜ろうと今のままでの潜入を試みる。

282名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 01:09:23 ID:sI4PuamY0
>>281
「同じ轍は踏まん、貴様がどうやったかは見た」
「怨を抱いて溺死しろ ─────凍れ」

ボルテスの手元で、ガラスにヒビが入るような音が響いた
カードの表面が氷に覆われ、ダークリング自体も氷柱が垂れ────
物理的にカードを通すことが不可能となった

この氷自体は異能でもなんでもない自然のもの、すぐに破壊できる
しかしその通せなかった一瞬が、この場では命取りだった

「チェストォォォオオオオオオ!!!!!!!!」

全力で突っ込んで来たワサビ
カードを通せなかったその一瞬、一瞬で距離を詰めた
手からダークリングを吹っ飛ばし、カードを持つ手を抑え
ボルテスの足が動かぬよう自分の足を絡める

「容疑者確保!確保ーッス!!!!!!」




本棟の守りは硬く、視認しただけでも6、7人の怪人が固まっており生身ではまともに相手ができなさそうということが判明した
恐らく絵楠が狙うのは気づかれない位置での変身、そして不意打ちによる殲滅
となると事務所棟からの侵入も考えた方がいいかもしれない

そうして裏手から事務所棟の窓を見ると、ドローンの映像で見た白饅頭が部屋にいるのが目に入った
トイレを前にして、踵を返すと 絵楠と目があった

それは、周りの怪人に声をかけることをせず怪訝な顔をした
それには、どこかであったことがあるような気がした
ワサビや掃除屋と一緒に旅した、あの

「────!? エ、エクスか!?」
「うわ、でかくなったなぁ〜! 一瞬誰かわかんなかったわ!」

かつての怖い顔の仲間は、窓を開けて声をかけてくれた

283名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 01:22:51 ID:sI4PuamY0
>>277
絵楠が侵入し、自分たちの声が邪魔するかもしれないとそっとマイクの音量を落とすマスター
ドローンからは遠い、指示といっても近づく怪人がいないか見張るくらいだ
少し余裕ができただろう

「來咲くん、怪物に関しては大丈夫だよ。 ……彼らがすぐに駆けつけてくれたおかげで被害も軽微だった」

ほら、とテレビをつけると怪獣の事後の報告と、ウルトラマンたちと避難指示を出してくれた誰かのおかげで軽い建物の損傷で終わったこと、
軽いけが人が数名出たぐらいで死人はいないということを、ニュースキャスターが伝えてくれた

と、速報が出て画面が切り替わる
今度は夕闇町から篠目町へと向かう山道にてバス事故が起きたと流れた
バスはガードレールに衝突。
少ない乗客は怪我で済んだが、数名投げ出され崖の下に落下した ……らしい

「……事件が絶えないな、本当に ………と、すまないね」

と、マスターの携帯に着信が入った
絵楠の電話を一時保留し、話し出すマスター

「あぁ、和ちゃんかい? 君から電話してくるなんて珍しい…………」
「…………バス事故? うん、今テレビでやってる、まさか近くに…………」


「…………え、投げ出された? …………今どこにいるんだい?」

284名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 02:37:38 ID:H679hrsc0
>>282
「ギッ……!?」
「おっと、逃げ出そうとしても無駄だぜ」

ワサビの手伝いをするかのように、ボルテスの動きをさらに止めるガイ。
肝心のリングもカードも吹き飛ばされ、もはや為す術もない。
ジオブラスターの構えを解除し、大地も駆け寄っていた。

「お前の悪事もここまでだ、ゼットン星人ボルテス」
『容疑者を確保した!』

ボルテス本人も若干の諦めムードを漂わせている。
後は、一旦レジスタンススペースに戻るべきか。


「え?あ……ええと……」

記憶の中を掘り進む。
しかし、濃い記憶ばかりが蘇るためかどうしても目の前の饅頭のことを思い出せない。

「……どちら様、です……か……?」

285名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 10:34:08 ID:ADhjVgNk0
>>284
「手づかみだと不安ッスけど何か縛るものあるッスか?」
「ガムテープならあるぞ」
「んじゃあグルグル巻きにするッス!」

こうして、逃亡していたボルテスを確保し、
ガムテープ一個をまるまる消費して束縛することに成功した一同
ワサビとガイの案内のもと、レジスタンススペースへとドナドナしていった


「」ペチンッ!

「……オレ人に忘れられるような見た目してないんだけどなナァ〜……」

恐る恐ると言った感じに名前を尋ねてきた絵楠に、見るからにがっくりと来た顔を見せる
頭が垂れ、窓の縁に頭をぶつけるくらいには

「…………ほら、前一緒に旅してただろ?ワサビとか掃除屋とか、アスカと一緒に」

※ここだけRPGスレ参照

286名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 11:52:32 ID:H679hrsc0
>>285
「皆さん、お疲れ様でした」
「お前はアレイスターッ!?」

レジスタンススペースに戻ると同時に、エイラが一向をお出迎えする。
ボルテスは当然エイラと彼を見間違える。ーー一瞬だけエイラが無表情になったが、すぐに落ち着きを取り戻した。

「さて、洗いざらい吐いてもらいましょうか」
「吐くも何も、貴様との取引のためだと言っただろうッ!?怪獣達を呼び出し騒ぎを起こし、ヤツらを倒せば資金援助も施設の手配もしてくれるとッ!!」

焦った様子で吐露するボルテス。
同時に、アレイスターがこの男をどう扱っていたかも明白となった。

「……捨て石、かつ……ゲームの演出、ですか」
「どういう、ことですか?」

エイラの呟きを聞いた大地が、即座に反応する。
大地・エックス、それと康介の三人はまだ知らないだろうと思い、エイラは改めて説明する。

「ワサビさんなら知っているでしょうが……アレイスターは、今回の一連の騒動を"ゲーム"と称して仕掛けています」
「恐らく、この男はそれに利用された…… 僕らに対して勝負を挑む、中ボスの様な扱いだったのでしょう」

資金援助も施設の手配も嘘。
ボルテスの動きは全て、アレイスターがこちら側に仕掛けたゲームの為の駒としての役割でしか無かったのだ。

「そういうことか…… 元の世界の事も気になるけど」
『大地。ボルテスを捕まえることは出来たんだ、一度私達の世界に戻らないか?』
「……それもそうだね。すみません、ボルテスは元々俺達の方で追っていた星人なんです。彼を連れて、元の世界に戻ってもいいですか?」
「ふむ……僕は構いませんが……」


「痛っ…… あ、思い出した!キル夫か!」

頭を叩かれた衝撃からか、ようやく思い出す絵楠。
ワサビといいキル夫といいーーあの世界の知り合いが集ってきているのか?

「それはともかく、どうしてここにいるんだ?捕まったりでもしたのか?」

287名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 12:02:08 ID:S.kRTqtQ0
(ドローンの回収もしてこないとな……)

エクスが敷地内に潜入したところを見届けてから、完全にドローンを拠点から離す。
航空法にひっかからない軽量のものとはいえ、市を跨いでいる上に住宅地が密集している神守町まで飛ばすのは不安がある。
実は室外飛行はほぼ初であるのも理由ではあったが。


>>283
「……怪獣……なんだか、もう、大変ですね」

ウルトラマンが許容されているニュースを見ながら呟く。
続いて出た速報も、さっき通ったところの近くかな、どの辺りだろうか、と思う程度であった。
マスターの電話へと投げ掛けられた言葉を聞くまでは。
マスターと和との会話の細々から聞こえる単語、そして事故の情報をニュースやSNSからピックアップしていく。

(今は誰でもレポーター紛いのことができる時代。
……今回は、それが救いとなったか)

助かった乗客による画像、それを見た暇人による場所分析、
元よりこの辺りに地の利があったことも幸いしたか。
事故の場所はある程度の範囲が特定できた。

288名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 16:14:13 ID:ADhjVgNk0
>>286
「本当にそうなんッスかぁ〜? あることないこと全部ぶち撒けた方がいいッスよ?こちとら聞き出すための準備は完了してるッス!」
「練り山葵がいいか、からしがいいか、マスタードがいいか? 鼻と口が色彩豊かになる前に答えてもらおうか」

疑惑の目を向ける二人、この焦りからは真実味を感じることは感じるが、
このままだと、完全に無駄足なのだ

あの怪獣と戦ったのも、廃墟に向かったのも。 全て、全てが無駄……?



「…… 色々つっこんでみたはいいが主張を変えん辺り本当らしいな」
「あるいは味覚が死んでるかッス はぁ〜徒労だった」

念のためボルテスの口を緑や黄色や赤く染めても、出てきた情報は全く変わらない
悲しきかな、手を引くしかなさそうだ

「こいつがいたらいたで別の災害が発生するッス、引き取ってくれッス!」




「<●>    <●>」

「……そりゃあよう、絡み自体少なかったけどよぉ……」

ヒロキの方が長かったかなぁ…… とぼやきながら、窓の縁に頬杖をつく
見た目のインパクトが文主体である以上威力なし、性格も地味なのだから忘れられていたのだろう
閑話休題。

「いや、俺は……」

「うぉぉぉおおおおおお!!!出る!!で、出るうううう!!!!!」

「…………今の雄叫び挙げてる奴に怪人と間違われて連れて来られた。 マシュマロ改造人間だってさ」

見た目が特撮モノにしてはいかんせん装飾が少ないが、異形と言えば異形であろう
怪人と考えそうな見た目で否定するタイミング無くここまでたどり着いたらしい。

「お前こそなんでここにいるんだ? こんな…… 物騒じゃないか?」

289名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 16:36:06 ID:H679hrsc0
>>288
「ありがとう。それじゃ、俺達は一旦帰ります」
『向こうで事が済み次第、またこちらを訪ねることにする。場合によっては、私達も君達に協力するかもしれない……その時は、よろしくな』

エックスが最後にそう告げ、大地は再びデバイザーの上部を押す。
その場で等身大のウルトラマンXへと変身した後、Xの体にゼロが装着した白銀のアーマーと同一の物が装着された。

「では、また会おう!」

一度レジスタンススペースから出た後、空中に開いたワームホールへと飛び込むX。
やがてワームホールは独りでに閉じ、ウルトラマンXと大空大地は元の世界へと帰っていった。


「怪人に間違われたのか。……まぁ、無理もないよな」

キル夫の話を聞き、仕方ないなと納得してしまう絵楠。
見た目のインパクト的には、怪人と言って差し支えないだろう。
まだ、口が動いてさえいなければただの着ぐるみで通っただろうに。

「けど、キル夫と出会えたのは幸運かもしれないな。この拠点の管理人を倒せば、あるいは……」
「……ん?あぁ、俺がここに来た理由か?一応はこの拠点の調査みたいなものだな」



「……チッ、コイツは予想以上に厄介なバリアだな」

一方、遠出しなければならないと単独行動をしていたゼロは、地球全体を覆っている障壁の確認をしていた。
障壁自体には触れることは出来、痛みも無いがーー

「ワイドゼロショットも試したが、まるで効き目がねぇ……いや、仮に壊せたとしてもシャトルを救出する前に宇宙のヤツらに入り込まれちまうか……」

290名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 16:54:29 ID:ADhjVgNk0
>>287
『……何で生きているのか自分でもわからないけど…… 大きな怪我はない、大丈夫』
「そうか…… 運がよかった、っていうのも変な話だけど無事そうで何よりだよ ……元の場所に帰れるかい?」
『いくらなんでも登るのは難しそうね 今いる林抜けて篠目町か夕闇町に戻るしかなさそう』

瑠奈が聞いていたためか、スピーカーモードに変更し、周囲に聞こえるようにした
場所を探ると、昔から事故が起きるのじゃないかと恐れられていた急カーブがある場所だった
テレビの事故現場、写真を見るに篠目側に落ちたらしい ……結構な高さだが本当に良く生きていられた物だ

291名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 17:24:09 ID:ADhjVgNk0
>>289
「う、うるせーなー こう見えて結構気にしてんだよッ!」

町を歩けば怖い物を見る目で見られ、迷子の子供に話しかければ全力で泣かれ
見た目通りの性格ではないナイーブな心にズキズキと突き刺さる

「……オレのいた世界そっくりなのに随分と物騒な事になってそうだなぁ」
「まぁ怪人連中がカタギに見えんし、昔のよしみで協力するけどよ それはそうと昔みたいに変身したりしないのか?」

292名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 21:21:46 ID:woeoUrbg0
>>290
「……だいたいの場所は特定できました。
今から烏屋さんを迎えにいきましょう。
ニュースだと放り出されたのは数名……まだ助けを求めているかたもいるかもしれませんし」

ちょうど車も近くに止めてありますから、とマスターに告げる。
幸い救急セットはいつでも積んである。
何らかの策略の可能性もあるが、このまま和一人で対処するよりも良い、と考えた。

「烏屋さんに、なるべく早く車道に出られるルートを見つけてほしいと告げてください。
あの辺り、深くはないとはいえ、女子高生一人では危ないですから」

念のため拠点から離したドローンを事故現場へと方向転換させる。
報道ヘリとかち合わぬよう、低空飛行させながら。
下手したら木に引っ掛かるかもしれないが、そのときはそのときだ。

エクスに関しては……一人でも大丈夫だと思い放棄した。
これまでの信用故だ。信用。

293名無しのカウンセリングだべ:2017/05/06(土) 22:42:13 ID:H679hrsc0
>>291
「悪い悪い。協力してくれるのは有難いな」
「あぁ、変身なら出来るが……今の状況だと、あまりしない方がいいかと思ってな」

大した規模の拠点ではないと思っているが、それでも自分一人とここの怪人全員では多勢に無勢すぎる。
幹部と思わしき奴だけを倒すべきかもしれないが、そう上手くいくかは分からない。

「今すぐに変身すべきじゃない、ってことだ。簡単に言うなら」

294名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 00:31:44 ID:ADhjVgNk0
>>293
「…………」

「喧嘩っ早い方だったのに成長したナァ……」

保護者目線。
あの旅のメンバーの中では割と年長組だったし、そういう印象だったのだろう
振れられたくない部分かも知れないが

「……おい絵楠、何か通信手段はもってないか?」
「調査なら人間のお前よりも怪人っぽいオレの方が適任だろ? 内部に入り込めるし」

>>292
「……迷惑かけるね、申し訳ないけれど……頼んだよ」

学園世界は基本的に狭い というより、徒歩で行けない範囲へ移動する際は
船や飛行船を経由する事となるため、車の出番がないに等しい。
そのために自動車に関する技術が未発達となることが多いが、マスターもその一人だった

心苦しいながらも瑠奈に頼るしかない、詫びを入れ頭を下げる

「和ちゃん、來咲君が迎えに行ってくれるからとりあえず自動車道に向かってくれ。 ……ところで近くに誰もいないのかい?」
「………………話は最後まで聞くもんじゃないかな」

どうも、話の途中で切られた模様
電話をかけ直すのも手間であるためメッセージで送信を行った

295名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 00:49:53 ID:H679hrsc0
>>294
「まだまだ全然子供さ。確かに成人はしたけど……」
「視野の狭さは中々改善できないしね。で、通信手段だったか?……スマホならあるが……」

一応通信機がない訳ではないが、あれはどうやらレジスタンススペース直通のみの仕様らしい。
まだしっかり完成していないということだろうか。

「……任せても、いいのか?」

いくら旧知の中とはいえ、今のキル夫に何か戦う術があるのかは絵楠は知る由もない。
万が一自分との協力体制が発覚したら、何をされるかーー


「……戻ったぜ。大地達は一旦帰ったか」
「ゼロさん!一体どこに?」

ちょいと地球の裏側まで、と動作を付けつつ。
バリアを自らの目で確認してきたことをゼロは伝えた。
現状、あのバリアをどうにかする手段がないこともーー同時に。

296名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 01:08:05 ID:3zVK3xRE0
>>294
「いつもマスターにはお世話になっていますし、そのお礼の一つとでも思ってください。
それに、知り合いの子が困っているというのに、手を貸さないのは矜持に反しますから」

後半は自身へと向けるかのように呟いた。
そして、パソコンを専用の鞄へと片し、バーの扉へと向かう。

「山亘理さんに連絡がついたら席を外すことになって申し訳ないと一言伝えていただければ幸いです。
バタバタしてすみませんが、行ってきますね。
烏屋さんを見つけ次第、連絡しますので。
では、また後で」

そして忙しなさそうにバーから飛び出した。


(途中で通話が切れたのが、烏屋さんの完全なる意思の上でなら、いいのだけど)

念には念をと、少しバーから離れた駐車場へと移動しながら、考える。
どんな力が働いたのか、あの高低差にも関わらず和は命拾いしたが、
大きな怪我はないということは、全くの無傷ではないということだろう。
また、他に投げ出された人も、和と同じ状況なのかは分からない。
交通ルールぎりぎりセーフで走るか、頑張れよーうちのSUVちゃん、と車を走らせ始めた。

297名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 18:01:00 ID:4B4lXlLI0
>>295
「そら何ヶ月も潜入し続けるって話になったらボロが出るかもしれない、けれどこの規模ならそんなにかからんだろ?」
「お前は覚えてないけどオレはガチ戦闘よりもこういう潜入のほうが得意だったし」

もはや忘却の彼方だろうが、あの世界では青魔法と呼ばれる魔物の使う技、
そしてダーマの神殿より授かったアサシンのジョブから来る絡め手を主に使っていた
正面から強力な魔法を打ち合うよりも、影でこっそり近づき喉元を掻っ切る
そんなタイプだ

新入りと弱そうな見た目からまだマークされてない。絶好の機会だ。 まだ

「おおおおお…… こ、これは最高記録ではないか……? 流せるのか……??」
「……そろそろトイレに篭りっぱなしの奴が出てきそうだな 調査がある程度済んだら連絡する、ただそっちからの連絡は受け取れないからな?」

298名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 18:12:16 ID:4B4lXlLI0
>>296
「念のため、彼女の電話番号教えておくよ、 和ちゃんの方にも電話番号を……」

あれ、もう教えてる? と、和の電話番号をマスターから教わった
多分普段から機械を使っての通信先の交換が多いため、自分も知らせてると勘違いしてるのだろう


車を乗りながら、おそらく落下した付近の車道を向かう一方で、パソコンでドローンの映像をキャッチしているだろう。
加工場から林を抜けて、今度は山を削ってできた車道付近へと向かう映像が流れていた
変わり映えしない林の動画に、放置されていると思わしき民家が映り込む
窓は割られ、屋根は雨で侵食され、今にも倒壊しそうな古民家
そんな古民家の陰に隠れるように、錆びたスコップを構えた和の姿が写り込んだ気がした

299名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 18:18:37 ID:4B4lXlLI0
>>295
「なんとかこっちは魔王獣撃退できたッスよ! ついでに元凶もボコしてやったッス!」

ワサビが戻ってきたゼロに尻尾を振りながら出迎える、投げたボールを持ってくる飼い犬のようであった
とりあえずこっちはこっちで被害軽微であったこと、新たに一人戦えそうな人員が増えたことを伝えた
……レジスタンスに協力することはするみたいだが、別にやることがあるようでバーの方に帰っていったが

「……破壊するのも無理で破壊したら怪人が流れ込んでくる、むずい状況ッスねぇ……」
「これに関してはアレイスターがどうにか動いて来そうッスけどアイツはアイツで動きね〜ッス」

300名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 21:54:17 ID:3zVK3xRE0
>>298
落下箇所と該当する近くに停車した後に、瑠奈はその映像を見ることになるだろう。
連絡を、と携帯電話を取り出すが、和の状況が分からない以上、向こうの居場所が分かってしまうかもしれない行動はご法度だ。
ダッシュボードを開けるが、コロリと懐中電灯が転がるだけの状態。

「……怪獣がうろうろする今の世の中ならスタンガンや特殊警棒の携帯も許されたか」

暫し考え、ドアポケットに手を伸ばす。

「……エマージェンシーハンマー。ないよりはマシかもね」

元々は水没という非常時用のもの。
棍棒代わりにはなる……かもしれない。リーチは短いが。
一応それと懐中電灯を鞄に滑らせてから、車外に出る。

(あとは魔法……なんだけど。
使えるかな……何年ぶりだ……この世界でできるのか……
そもそも私、媒体がなかったら発動の確率も危うかった気が)

そこで、すっと思考を止める。
とにかく、行くしかない。
画像をパソコンからスマホへと移してから、マスターに一報入れてから、林の中へと進んだ。
この熱い携帯も武器になるかしら、と思いつつ。

301名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 23:36:56 ID:.dY4PLHc0
>>300
壁を背に、荒い息遣いで胸を上下させ顔には冷や汗が浮かぶ、和の姿
頰をどこかにぶつけたのか、青くなっており
服も木の枝などで削ったのか、じんわりと血で滲んでいた

何かに怯えているように見えたのは
恐らく………気のせいではない、はず



林の中を、進んでいく
上の方では警察や救急車のサイレンが遠く鳴り響いているが、林の中は不気味なほど静かだった
枝を踏み、葉が擦れる音が辺りに響く───

「……………」

茂みをかき分けると、作業服を身に纏った男が急に立っていた
同じバスの乗客だろうか、服のあちらこちらが切られ、血で滲んでいる
たぶん、巻き込まれた乗客……?

「…………………」

……よくできたマネキンだろうか?瑠奈が目の前に現れても身動き一つ取らない

302名無しのカウンセリングだべ:2017/05/07(日) 23:53:32 ID:H679hrsc0
>>297
「……分かった。頼むよ、キル夫」

片道連絡しか出来ないのに関して構わない。
情報が手に入るのであればそれで充分だからだ。
そこまで考えてーー久々の、好奇心だろうか。偶には昔のようにもなりたくなるのだろうか。

「……場合によっては、派手に暴れ回って 戦闘関連の情報も取ってもらうかもしれないから、宜しくな」

にこやかに笑う絵楠。
大人になっても、本質は昔のままなのかもしれない。

>>299
「そうだったか……ワリィな、駆けつけられなくて」
「で、向こうからの動きはないか……」

恐らく、アレイスターの事だ。
今から見積もっても六日後ーー丁度ロケットが戻ってくる頃に、障壁の解除を行う。
そしてレジスタンス側にロケットを助けさせるような真似をさせたうえで、ロケットを破壊するつもりだろう。

303名無しのカウンセリングだべ:2017/05/08(月) 00:17:35 ID:3zVK3xRE0
>>301
(やっぱり、事故以外にもなにかあったようね。急いで見つけないと)

画面をちらと見ながら進む瑠奈。
林の中とはいえ、ドローンの動きである程度はどの位置に和がいるかは把握している。
ある程度、なのが問題ではあるが。
ともかく、廃屋、もしくは飛ばしているドローンを目印に探さなくてはならない。
ある意味、不自然なほどのこの静けさは、ドローンの羽の音を探すのに好都合ではあった、が……



棒立ちの人間に一度ビクッと立ち止まるが、パッと見は普通の人であることを視認し、少し安堵する。

「大丈夫ですか?
もしかして、事故に遭った方でしょうか?
歩けるようでしたら、あちらの方向に進むと車道に出ますので、
そちらまで移動していただければ……
……えっと、聞こえて、ますか?」

姿を見せても、声をかけても反応を見せない人を怪訝に思いながらも、一歩ずつ近づく瑠奈。
もしかしたら耳が聞こえないのかな、と、「手伝うことはあるか」という手話も行う。

「……反応をいただければ、嬉しいのですが。
あの大丈夫ですかー?」

あわよくば和の情報でもと思ったが、なんだか不自然である。
その人物と、2メートルほどの距離を空けて、少し大きめな声で問いかけ続けた。

304名無しのカウンセリングだべ:2017/05/08(月) 23:08:34 ID:4B4lXlLI0
>>302
「……うげぇー…… おとなになったけど根っこは変わんねーな?」

派手に暴れまわる依頼、もしくは派手に暴れまわる宣言
どっちかはわからないがその場合が来ないことを祈るしかない、というか前者だったら絶対やんねぇ

しかし根っこが変わらないのはそれが人間としての成長なのだろう



「……そういえば絵楠が終わってからどこかへと行ったッスね」
「ここに帰ってきたかと思ったら影も形もねぇ、ひょっとして何か見つけたんじゃないッスか?」

動きがない以上動こうにも動けない、動きが軽いのは正式なレジスタンスのメンバーじゃないほうだろう
先程の怪獣騒ぎから考えるとウルトラ警備隊的な立ち位置だ、多分

拠点とのパイプが出来た以上、絵楠もそろそろ撤退するか他の場所へ向かうはず
ひょっとしたら戻ってくるかもしれない

305名無しのカウンセリングだべ:2017/05/08(月) 23:36:06 ID:4B4lXlLI0
>>303
「………………」

何もせず、黙って瑠奈を見つめている男性、本当にマネキン……?
しかし、よく見ると視線が瑠奈を舐めるように動いていることに気がつく
手首から足、首元 肌を露出している部分全てを

体につく『何か』を探すように、観察していた

「…・…あぁ…… 悪魔に取り憑かれた人ではないのですね、んん素晴らしい……」
「救ってあげなきゃなぁ…… 悪魔に憑かれた彼を、彼女を……解放してあげないとなぁ……」

口の端に笑みを浮かべ、踵を返し歩き出す男性
どこか折れているのだろうか、痛みを堪えるように足を、引きずっていた

そして、振り返り間際に見せた右手
指に装着した、相手を殴るための武器

その装着したメリケンサックには、血が付着しており
今しがた誰かを殴ったばかりに、湿っていた

306名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 00:25:29 ID:H679hrsc0
>>304
「人間、そう簡単に変わらないものさ」

それじゃ、任せたと告げながら去っていく絵楠。
十年経っても昔らしさを失っていないのも、いい所なのだろう。恐らく、は。

「さて、そろそろ戻るとするかね」

無事にライドベンダーまで辿りつく絵楠。
今は他にやることもない。ライドベンダーを即座に走らせ、絵楠はレジスタンススペースへと戻っていった。

307名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 00:32:18 ID:3zVK3xRE0
>>305
初めは、あ、関わっちゃいけない人だ、と思いつつも、
救急か警察のどちらに電話すべきか、和を見つけるまで放っておいてもいいか、とは思った。
しかし、その血のついた武器をみた瞬間、行動は早かった。

スタスタと相手に近づき、肩を強く掴む。

「刑法204条、もしくは刑法208条……傷害罪か暴行罪、いったいどちらをしたのですか?
まあ、ともかく刑事訴訟法212条2項、準現行犯で……取り押さえさせていただきます!」

どこか朦朧とした様子、鍛えられた護身術、そして後ろからの攻撃には、いくら性差があるとはいえ、受け流すことなどできなかっただろう。
そのまま腕を掴んで捻り、男性を地面に転がせる。
そして体をのせて拘束を続けながらスマホから電話をかける。

「もしもし、和同さん!
仕事中申し訳ないし、管轄外なのは分かってるけど、夕闇町と篠目町の間の……
いや、その事故近辺の崖下に、血がついた武器を持った男性がいたから取り押さえました!
とりあえず拘束した後に、怪我人がいないか確かめてきますので、人をこっちにも回してください!」

場所の詳細を声を張り上げながら、かつての父親の同僚でもあり、今でも良き相談者である警察官に告げる。
あれから20年経った今、互いに忙しく頻繁に会える暇などはないが。
そういえば、彼も出世したとのこと。部下が、たくさんできるほどに。

(しかし、どうするか……気絶させておくか。
連絡したし、たぶん、捕まらないだろう……この人怪我人っぽいけど)

(それよりも、烏屋さんを早く見つけなくては。
……この血の持ち主が、烏屋さんでなければ、いいのだけど)

しかし、先ほどの怯えた様子の和。
そして、男性の言葉。
そんな可能性を、頭の中の誰かが否定した。
それよりも、無効化しないとな、と男を見下した。

308名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 00:53:43 ID:4B4lXlLI0
>>307
ダンッ

「グッ…… ア、アァ……!!」

腕を捻って、地面に転がせる
ただそれだけにしては、今にも死にそうな声を上げる男性
やはりこいつも、体のどこかを折ったのだろう

「ハ、ァ、ハァ、ハァ……ハ……」

手からメリケンサックが、ゴロリと転がり落ち音を立ててどこかへ消えていく
怪我をした男性を押さえつけた相手に、武器をなくしたこの男にもはや逆転の手はないだろう

「ハハ、ハ…… ハハハハ ハハハ、ハハハハ……!」

普通の手段、では
右肩に付けられた、『人が噛み付いたような傷跡』が みるみる黒ずんでいった

309名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 00:55:22 ID:4B4lXlLI0
>>306
「――――って噂をすれば影ッス!」

ちょうど今しがた、絵楠がどこに行ったのか話題に上がった所に当人の登場である
一体どこに行っていたのか待ちきれず、絵楠に駆け寄るワサビ
康介の姿は…… ない、帰ったか

「おかえりーッス! 何かいい情報見つけたッスか?」

310名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 02:11:55 ID:H679hrsc0
>>309
「ただいま。まぁ、ぼちぼちって感じかな」
「拠点の一つに、知り合いが潜入してくれるみたいだ。向こうからの一方的な通信しか無理だが、情報源は増えたと見ていい」

かつて、自身が身につけた能力『地球の本棚』。
現在は扱うことが出来ない、いやーー持っていなかったことになったが正しいか。
あの能力が無い分、自身の目や耳で情報を集める必要がある今の絵楠。
その点では、キル夫の存在は非常に有難い。

「しかし、アレイスターの野郎の動きはねぇ」
「今のままだと、何も変わらない……ですか」

一方で、ガイの言う通りアレイスターの動きはまるで情報が無い。
このまま拠点を突き止められたなかった場合、明日以降が非常に大変になるだろう。
ーーその矢先。

「皆さん、ある程度ですがボルテスの動向を何とか探ることが出来そうですよ」

エイラの口から飛び出る、非常に希望となる言葉。
もしかしたら、拠点の場所がわかるかもしれない。

311名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 20:53:31 ID:4B4lXlLI0
>>310
「拠点発見? なら昨日みたいにとっとと潰しには行って適当な怪人ふんじばって情報カツアゲるッス!」

その横で、情報源として拠点があるのなら
ととっとと潰しに行ったほうがいいと発言する過激派
頭が犬なのだ、しょうがない

「……! あんにゃろーアレイスターと接触したってこたぁそういえばどこかで会う必要があるッス!あのなりで町中でばったりはまず有りないならどこか意味がある場所のはずッス!」

312名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 21:56:07 ID:3zVK3xRE0
>>308
傷跡を発見し、和と交わした今朝の会話を思い出す。
……あのまま何もなく取り押さえられたら錯乱か変人かで済ませていたけれども、そうとは言ってられなくなった。

「……ああ、こうなると、やっぱり随分と不利になりますね」

気絶させておくべきか迷ったが、それにより取り憑いたモノが完全にこの男の身体を乗っ取っても困る。
男から一旦離れて距離をとった。

今まで、互いに協力していた人たちや、人間を操り利用したモノ、反対に、異世界の住人を押さえつけ使役した者と、様々なケースにあった。
今回は、彼が起こしたであろう暴行行動は取り憑いた影響なのか、元より男の意志でもあったかどうかはともかく、
あの言動を見るに、良いモノが取り憑いている可能性は低いだろう。

「なにかに憑かれているのは、まさしく……といった感じか」



(……この状況での合流は危険か。
この人が烏屋さんを探していないのであるならば、まだなんとかなるが……
もし、探しているのなら……そのときは)

313名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 22:37:34 ID:4B4lXlLI0
>>312
「ゴ、ゴフ……ヒヒヒ…… ハーハハハ!ヒーヒハハッハ!怖がってはいけない!怖がってはいけないんです!ヒヒヒ!ゴ、ゴフ、ヒヒ、笑わなくては!」
「悪魔は我々よりも強いと考えるから調子に乗るんです!ハハハーハハハハ!笑ってこちらのほうが強いと教えなくては!ハハハハ!屈しないと示さなければ!ハハハハハ!!」

瑠奈が離れるのと紙一重、男の背中からトラバサミのような物が現れ、瑠奈の体があったところの空を掴んだ
男は笑いながら、血を吐きながら起ち上がると ヨロヨロとメリケンサックを拾い上げ指にはめた

「あぁ貴女も悪魔に取り憑かれているようだ!治療!ゴボ!治療しなくては!」
「逃げなくてもいいんです、体の悪魔を追い出しますから!ハハハハ!追い出すから逃げないで!ハーハハハハ!」

血泡を吹き、息を吐き出すたびに口から新たに血を吐き
今にも倒れそうなはずなのに目をギラギラとさせながら瑠奈にメリケンサックを向ける

おそらく和も、標的の『一人』だったのだろう
どういうわけか悪魔憑きと呼ばれ、この男が言う『治療』を施されたのかもしれない
他のバスから落ちた乗客が『治療』を施されるのを見たのかもしれない
どちらにせよ、何にせよ

瑠奈を『治療』させなければならない一人と認識してることは、間違いない

314名無しのカウンセリングだべ:2017/05/09(火) 23:44:36 ID:3zVK3xRE0
>>313
「…………」

「……悪魔払い、ね。ご立派なことです。
いったい今まで何人の患者を見てきたのでしょう」

丁寧な口調ではあるが、命惜しさというよりも、情報を引き出そうという魂胆。半ば返事など返ってこないとも思ってはいるが。
それに、宿主を酷使……というかこのままだと命が危ぶまれるぐらいだが、取り憑いたものはなにを目的としているのか、それも気になった。

(ま、エクソシストだろうが狂った結果の妄執だろうがヤブには違いない。
診察結果がさっきとは真逆であるし。
悪魔云々調べるなら目視のみの診察はダメだろう……いや今は関係ないな)

(気を付けるべきは男の動きよりも、取り憑いたモノの動き。
あれがどのくらいのリーチかは分からないが……そもそも攻撃方法も一種類しか見ていない。
取り憑いた側へ話は……できるか……これ……)

男と一定の距離を取りながら考える。
一瞬の隙がつけるよう、かつての感覚を思い出すよう、集中、しながら。

315名無しのカウンセリングだべ:2017/05/10(水) 00:16:52 ID:4B4lXlLI0
>>314
「ヒハハヒヒ!!さぁ……怖がらずに、治療を」

「治療を……」

背中から虫の足のようなものが生えるのが見えた
其れが地面に突き刺さり、弓なりにしなるのがわかる

先程トラバサミに見えたもの、アレは虫の口、虫のハサミだったようだ
取り付いた生物のせいか、体から虫の体の一部が出てくるように、なったのかもしれない

「……受けましょぉおおおおおおお!!!!」

しなった足に溜まった力が一気に開放され、バネのように働いた
置いたはずの距離が一気に積められ、拳を振りかぶるのが目に入る
勢いづいたそれはメリケンサックがつけられ、当たったらただでは済まないことを感じさせる

316名無しのカウンセリングだべ:2017/05/10(水) 02:15:55 ID:H679hrsc0
>>311
「まぁ待てワサビ。まだ活発な動きのない拠点だったし、奴らの本拠や他の拠点の情報も見つかるかもしれない」

昔の自分なら、キル夫に提案した時の自分なら突入していただろう。
しかし、これでもある程度は冷静に判断できるようにはなった。そのうえで、今は情報収集が優先。
キル夫の動きは気になるが、待つしかないのが少しネックか。

「少し待っていてくださいね……」

より正確にボルテスの動向を調べ上げる。
そして、辿り着いた一つの答えーー拠点の一つ。

神守町から少々距離があり、かつ海を挟んだ離島に位置する島『火野島』に、ボルテスが居たとの情報が表示された。
恐らくここが、ボルテスが取引で貰うと騙された拠点か。
規模的には一度目よりも少しばかり大きい。また、離島にあるのだから気兼ねなく怪獣も呼び出されるであろう。
二個目に攻略するにしては、幾分ハードか。

317名無しのカウンセリングだべ:2017/05/10(水) 18:21:45 ID:.RhFVOOE0
>>315
「……!」

(詠唱が間に合わない……!)

詠唱を中断して、せめて頭部や心臓部への直接攻撃を阻むよう、咄嗟に少し屈みながら腕で防御をする。
と、そのとき。

どこからか強風が吹いた――というよりも、風の塊が男を取り巻くようにまとわりついてきた。
軌道が変えられたことで男の拳は瑠奈の元には届かなかったどころか、
体制を整えながらの着地自体、その暴風のような風により困難なものとなっているだろう。
そうして空いた男と瑠奈の間に、大きな影が割り込んだ。

たなびく赤と黄色の、鬣のような羽毛。
人ほどはある大きな体躯。
その鋭い眼光は、男を冷たく睨み付けていた。

瑠奈も、ぽかんとした表情で目の前で起きたことを見ていた。
ようやく、言えたのは、彼の名前。

「…………ジェット……?」

『……久しぶり、だね。
感動の再会の余韻は、お預けみたいだけど』

前を見据えたままであったが、その鳥の声は、確かに意味のあるものに聞こえたのだった。

318名無しのカウンセリングだべ:2017/05/10(水) 22:57:35 ID:4B4lXlLI0
>>316
「ぐぐぐ…… 目に見えているところがあるのに手が出せないなんてもどかしいッス……」

他の拠点、本拠とアレイスターに近づける手がかり欲しさに引き下がる
自分たちが行った時はいつも、もぬけの殻なのだ。
今回何か撤退される前に有益な情報が得られるといいが

「……こうして拠点の一つが見つかったッスけど…… これまた手出しにくいッス!」
「船で行ったら水棲怪物に襲われる事確定じゃないッスか!」

そしてもたらされたもう一つの情報、火野島。
海岸線の防衛力の高さは知っての通り、おまけに海上戦を行うと船を沈められたら一発アウトである
そもそも船をチャーターできる余裕がなかった

319名無しのカウンセリングだべ:2017/05/10(水) 23:16:58 ID:4B4lXlLI0
>>317
「ヒヒヒヒ!ヒハ…………!」

風に巻き上げられ、メリケンサックがはめられた拳があらぬ方向に飛んだ
飽くまで男の跳躍はただの物理的なもの、別方向からの暴風に対応する力は無かった
哀れ巻き上げられ地面に叩きつけられると思いきや、もう一本足を生やし地面に突き刺し対応してくる

「ほら…… 悪魔が……新たな仲間を連れてくる……」
「だから『治療』が必要なのです…… さ、さぁ……ヒヒ、ヒヒヒヒ……」

それでも怪我をした体にかかる負荷は、無視できるものではなかった
ただでさえ体を引きずるように移動していたのだ、瑠奈一人ならともかくこれ以上戦える余裕はあるだろうか

320名無しのカウンセリングだべ:2017/05/11(木) 00:02:44 ID:3zVK3xRE0
>>319
『……大丈夫なの、この人』

「身体的にはもう限界過ぎているでしょうね。
何者かが取り憑いているから、精神だけは元気だけど。
少なくとも、瀕死に近いにも関わらずこっちに向かってくる点は、そのモノの意志かと」

『となると、狙いは体から生えている、あの虫っぽいやつかな。
なんとかひっぺがさないと』

「……隙は確実につける方法はあります。
短期決戦といきましょう。
こちらの事情としても、相手の体力的にも、ね」

『それじゃあ、それでいこうか』

ジェットは身構え、そして瑠奈はその隣に立ち、鞄から一本の棒を掴む。
そして、ジェットが再び風を起こす。
人が立っているのには厳しいが、先ほどよりも弱く感じる。
男から出ている、異形の足さえあれば、十分なほどだ。

と、瑠奈が何かを投げた。
それはとても男性に当たる、というものではない。暴投といっても差し支えはない。多大な影響もないもだろう。
――それが、光を放つ懐中電灯でなければ。
走光性があるかは定かではないが、それは一瞬でも、気が取られれば、彼らにはよかったのだ。

321名無しのカウンセリングだべ:2017/05/11(木) 01:38:14 ID:H679hrsc0
>>318
「そこなんですよね…… 僕らの方でも、まだ移動に扱える装置等は開発出来ていなくて」
「八方塞がり、か……」

折角島を発見したのはいいが、今の状態から想像は付きやすい。
仮に船を用意したとしても、あっさり轟沈させられて終わりだろう。
どうにかして、島へ移動する手立てを考えねば。

「少し強引ですけど、俺かゼロさんが運ぶのはどうでしょう?」
「出来なくはないだろうが、奴等に何をされるかも分からないしな……」

オーブであるガイ・ゼロに変身してもらい運んでもらうという手も無い訳では無いがーー
それにしても、リスクは高い。現状が変わったとは言い難いだろう。

「……いや 可能かもしれません。向こうに渡ることが」
「……一日、待ってくれますか」

そんな折、突然そう呟くエイラ。
なにか手立てを思いついたのだろうか。

322名無しのカウンセリングだべ:2017/05/11(木) 20:28:33 ID:4B4lXlLI0
>>320
「ヒハ!ヒヒ、ハハ…… ヒ……?」

暴風が吹き荒れ、男の体からさらにもう一本足が出て両足で支える
目に入る砂埃を抑えるためか、両腕を目の前に交差させ、口元に形だけの笑顔が張り付いていた

こうしてみると、どうやら蜘蛛の足のようだった
昆虫の異能だったのか、はたまた取り付いているのがそうだったのか?

そんなことは、もはやどうでもいいだろう

「治療…… を…… ………???」

暴風の中に紛れ、林の中で何かが光るのを見た
こちらに時折向けられる光に、男の気がそれた

>>321
「空中戦もどっちかが倒れるまで攻撃されるのがオチッスねぇ、 向こうは上陸する前に全力出しても問題ないッス」
「……まさか今の装置を一日で!? さすがレジスタンス技術部ッス!」

テレポートッス!ワープッス! と移動の解決手段を提示されはしゃぐワサビ
多分そんな短期間には完成しない、はず……?

「んーとなると今日は情報待ちッスか?」

323名無しのカウンセリングだべ:2017/05/11(木) 23:37:38 ID:ZAdAsLIo0
>>322
男が光に目が向いた瞬間、ジェットが飛び出し、男の、虫の足を掴む。
そしてそのまま、男の中から引き剥がすように引っ張った。
元より、ピジョットは強靭な足を持つ。ギシリと虫の足が音を立てた。

「……あなたには選択肢がありますよ。
一つは、その人の体から離れて、大人しく元の、あなたが住みやすい世界に帰ること。
もう一つは、宿主ごと、そのまま、死ぬことです」

その言葉は、男性というより、その中のモノに語りかけるものである。
瑠奈は、後者を選択させるつもりなど、端からない。しかし、それをおくびにも出さなかった。
その様子を見せれば、そこまでの知能があるかはともかく、男の命を盾にする可能性があるからだ。
それに、尚、男に取り憑き続けるのならば、そういう状況になりかねない。

『まだ、一つ、ありますよ。
男の体から離れても大人しくせず、みっともなく抵抗し、そのまま消えていく、とかね』

その言葉に信憑性を持たせるが如く、ぎりぎりと力を込めるジェット。
こちらは、完全に容赦がなかった。

324名無しのカウンセリングだべ:2017/05/12(金) 02:11:17 ID:H679hrsc0
>>322
「あ、あはは…流石に装置はまだ時間がかかります。少々時代錯誤ですが、いい方法がありましてね」

まぁ明日のお楽しみです、と続けるエイラ。
どんな手段を取るのかは説明してくれなかった。

「そうなるな…… 何も起きなければいいんだが」

情報が入るのを待つしか今やることがないのは事実だ。
第二の拠点への突入も明日に回されているため、尚更やる事がない。
仮に、何が起きたらそうとも言えないだろうが。


『バンバァン!クリティカルフィニッシュ!!』
「ミッションコンプリート」

一方その頃、大我の扮するスナイプは少しばかり騒ぎとなっていた怪人を撃破していた。
永夢の復帰は当面の間難しく、飛彩は救急通報のない限り外科医としての仕事で忙しい。
となると、一番動きやすいのはーー大我くらいなのだ。

325瑠奈側と絵楠側で微妙に時間がずれます、注意:2017/05/12(金) 21:58:00 ID:4tNfED8A0
>>324
「……でっかい投石機ッスかね?」

ワープもテレポートもない、頭の中でその答えが消極法で残った
かの異常なオブジェクトを収容する財団も困った時は巨大な投石機に頼っていたという。
投石機は万事の解決策になるという一例だろう

かくしてしばしの間平穏な時が続いた
かと言って動こうにも動けない、不穏な時なのだが
そんな時はふと、誰かがつけたテレビにて火災が発生したニュースが流れたことで打ち切られることとなった
篠目町の、とある廃木材加工場が、絵楠にとって見覚えのある
あの、拠点だった

326瑠奈側と絵楠側で微妙に時間がずれます(時差数時間ほど):2017/05/12(金) 22:05:53 ID:qbxenfv.0
>>323
「あ、く、が、あぁぁあ ぁ……!」

虫の足を捕らえられ、男が呻き声をあげた
男の体の一部として生えてる分、痛覚が共通している……
事を除いたとしても、振動だけでも男の体にダメージを与えるのには十分だろう
このまま男が回復不可能のダメージを負うのが先か、観念して中の幻獣が出てくるのが先か

『…………………』

と、男の噛み傷が淡い光を放ち始めた
その先端から黒い足が出てくると同時に、ジェットが掴む虫の足が薄れていく
傷口から幻獣が姿が表すほどその存在は霞んでいき、全貌を表す頃には傷跡も、足も消え去っていた


男の体から出てきたのは、黒い丸に簡略に棒線で書いたような、蜘蛛の足
小学生でも数秒でかけそうな、バレーボール大のその生物は
男から離れたところで瑠奈たちに視線を向けるわけでもなく、じっと男を見ていた

327名無しのカウンセリングだべ:2017/05/12(金) 22:58:42 ID:3zVK3xRE0
>>326
(あ、あれ引き剥がせないんだ……!
混沌の遣いとかとは違う類いなのか……失念してた……)

男の様子を見に駆け寄る瑠奈。
和のためにと、持ってきていた救急セットが役に立った。
早く本来の目的にも使いたいところではあるけれども、結構強引な手を使ったという罪悪感故に治療を始める。
とはいえ、簡単な応急処置ぐらいしかできないため、この後病院送りなのは間違いない。
このまま、無事に事が収束すればの話だが。
蜘蛛を警戒してか、ジェットは瑠奈に寄り添いながらも、蜘蛛を、そして時折男を睨んでいる。

「……これから、あなたはどうしますか。
帰りたいのなら、力を貸します」

『……ルナ』

「選択肢があると、言ったばかりでしょう。
一応、ツテはあるし。
今度、人に害をなすことをしたら、もう容赦しませんが」

328名無しのカウンセリングだべ:2017/05/12(金) 23:53:40 ID:H679hrsc0
>>325
「い、いや流石にそこまでは遡りませんよ……」

珍しくエイラが焦っている。予想外というよりも、何というか、ホッとしてるからと言うか。
しばしの平穏故の、事だろう。

「……おい、ちょっと待て」
「どうした、絵楠?……火災現場に心当たりでもあるのか」
「あぁ、ある。……だから、ちょっと行ってくる」

声色こそ落ち着いているように思えるが、明らかに動揺している様子の絵楠。
こんな短時間で一体何が起きたというのか。キル夫の身が心配だ。
気づいた時には、絵楠の足はもう動いていた。

329名無しのカウンセリングだべ:2017/05/12(金) 23:57:41 ID:4B4lXlLI0
>>327
「カ…… う、あぁ……」

笑顔が顔に張り付いているが、今にも死にそうな息を、
それこそ酸欠間近な金魚の如く口を開閉させる

人の魔力を感じ取れるのなら、一気に魔力が減ったことを感じるかもしれない
体の中から幻獣が奪い取った、というよりも幻獣の魔力で保っていたようなものなのだろう
その肝心の蜘蛛はというと

『…………』

相変わらず、じっと男の方を見ていた
先程まで殺さんばかりの殺気と狂気を男から感じていたが、
外に出ると予想外に大人しい
足に力が入っていない所を見ると、
隙を狙っているわけでもないようである。

じっと無言の間が空いた
時間的にもそろそろ、警察が到着しそうだが

330名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 00:01:06 ID:4B4lXlLI0
>>328
「ど、どうしたんッスか!? オイラも行くッス!」

絵楠の様子がおかしいと、ワサビも後になってついていく
自動販売機改造型バイクを走らせると、途中でバス事故があったらしい場所を抜け(警察は撤収済み)、
遠くに見える煙が立ち上る場所へと向かう

そこにあったのは、事務棟も、本棟も、丸太でさえも
黒焦げた廃墟  そして

拠点を警備していたらしい、怪人達の死体が転がっていた

331名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 00:14:19 ID:H679hrsc0
>>330
「!おい、二人共……」
「あっちの事はあっちに任せておこうぜ、ガイ。……どうやらエイラのやつ、準備に取り掛かったみたいだしな」

出ていく二人を追いかけようとするガイを止めるゼロ。
気づけばエイラは違う部屋へと篭っており、黙々と準備に取り掛かっているようだった。
ーー相当集中しているのだろう。

「……嫌な予感がします。二人に、何か起きなければいいんですが」
「信じて待つしかねぇな」


「……どういう、事だ?」
「あの短時間の間に、ここで何があった」

キル夫は、何処に行ったんだ?
混乱する頭を必死に整理し、まずは状況の確認をすることにした。
もう丸焦げが相場だろうが、何か証拠になるものでもあればーー。

332名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 00:30:07 ID:3zVK3xRE0
>>329
(うーん、警察を呼んだのは短慮すぎたか……とはいえ、メリケンサックを持っていたしな。
この蜘蛛が取り憑いたあとに買ったのか、取り憑く前に買ったかは分からないけど。
……彼の力が借りられれば、別にメリケンサックはいらないのでは……?)

思考を巡らせていたが、ちらりとジェットを見てから、彼に言った。

「本来、私は烏屋さんを探しにきたけど、この人と、その子を無闇に放っておくこともできない……
警察がどういうルートで来るか分からないけど、到着まで平均7分程度……いや、こっちは田舎のほうだしもう少しかかるかな」

「ということで、烏屋さん探してきます。
ジェットはここで、よろしく。
警察が来たら、蜘蛛くん確保して身を隠してくれると嬉しいです」

『えっ』

「えっ。
ああ、いや、この世界、なんか異世界のモノに対する認知範囲が広くなってるから、ジェットも見つかるかも」

『そっちじゃなくて……ボクもついていく。
また巻き込まれたら大変だし』

「……蜘蛛くんの行動が分からないし、男の人の行動も分からないから、見張っていてほしいんだけど」

『…………』

「……あの、なんかあったら、呼ぶから」

『……約束だよ』

「蜘蛛くん食べちゃダメだからね」

『食べませんよ』

大型の鳥は、呆れ顔で言い放った。
その返事に笑いながらも、パタパタと早足で林の中へと進む。
男が向かおうとしていた方角へと。

333名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 00:38:10 ID:sI4PuamY0
>>331
「は、はにゃがへしまがりゅにおいっしゅ……!!」

辺りに漂う死臭、ついてきたことに半ば後悔しながら絵楠の後を追うワサビ
そこまで大きい拠点ではないとは言え、結構の数の怪人がいたのだ
それでもなお壊滅され、拠点は破壊されただ事ではない

本棟に入ると、やはり撤去されている機械類……
そして一際目を引く、天井から吊るされた怪人の死体
壁には何か、文字が書かれている

『悪は滅び、正義のみがこうして残る』
『人に巣食う悪魔に死を、我らが聖女に救いあれ!』

「……なんて書いてるかわかんねーッスけど……これ、火がつけられたの後じゃなくて前」
「下手したら最中に書かれたもんッスよ?」

壁の近くには、怪人の異形とは異なる人間の焼死体
火に巻かれていたというのに暴れ回れた形跡はなく、
両手を前に組んでいる

「エ、エクス……知り合いって、誰なんスか?」
「まだ生きてるッスか……?」

ワサビが恐る恐る、と言ったように聞いた
ここまでの怪人たちはどれもゴテゴテとしたデザイン、
キル夫は少なくともいないはず
本棟にいなかったということは事務棟だろうか……?

334名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 00:50:50 ID:sI4PuamY0
>>332
辿り着いたのは、ドローンから見えた古ぼけた、廃民家
こうして間近で見ると、林のせいで昼間だというのに葉で日光が遮られ、
暗く不気味な雰囲気が漂う場所だった

影に隠れていた烏屋の姿は、もちろんない
ただ新たに、廃民家の方へと続く引き摺られたような跡、その近くには血痕が残されていた

古民家に近づき、玄関から入ろうとすると扉が開かない
鍵がかかっている、訳ではない
中から誰かが扉を抑えているような気配、そして

「っ………ハァ………ハァ………」

懸命に抑えようとしているが、自らの意思とは関係なく出てしまっているだろう
……女の子の、荒い息遣い

335名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 00:57:17 ID:H679hrsc0
>>333
「『悪は滅び、正義のみがこうして残る』
『人に巣食う悪魔に死を、我らが聖女に救いあれ!……そう書いてある」

惨い死に方の怪人の死体に、憐れみの目を向けた後、壁に記されていた文字を読む。
怪人共の内乱などでは無いことは確かだがーー

「(焼死体……聖女……救い……)」
「(……聖女ジャンヌ・ダルク?……いや、考え過ぎか)」

どうにも頭に引っかかる、聖女という記述。
後で何か関わる文献がないかを調べるとしても、とにかく気になる単語だ。

「生きていてほしいな、アイツには」
「(キル夫……無事でいてくれよ……!)」

まだ向かっていない、事務棟へと足早に向かう。
運良く生き残っていてほしいものだがーー

336名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 01:17:57 ID:3zVK3xRE0
>>334
とりあえずと、バッテリーが僅かなドローンを回収して鞄に入れ――これが小型計量の良さである。鞄を振り回す自体になったら終わりだが――民家の前に立つ。
血の痕に一瞬動きが止まったが、深呼吸をして、前を見据えた。
そして屋内へと、はっきり聞こえるように少し大きめの、だが静かな声で語りかけた。

「すみません、どなたか、いらっしゃいませんか」

「マスターからのお願いで、お迎えにあがりました、來咲です」

「……もし、この名前に心当たりがあったら、出てきていただけると、ありがたいのですが」

337名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 09:08:19 ID:4B4lXlLI0
>>335
事務棟も、残された備品が焼け焦げ、同じような惨状だった
死体が転がっていないだけマシかもしれないが、ここにもキル夫の姿は見えない

まだ生死確認できていないが、逃げたのか? それにしても一体どこに

「謎の地下への入り口発見ッス! ……単なる収納スペースだったッス」

休憩室の一角、床に取り付けられた蓋を開けるとそこには缶詰やら菓子の袋やらが詰まった収納スペース
キル夫が入る余裕は…… まぁ、ないだろう

「まだその知り合いが見つかってないなら可能性はあるッス! どこかに逃げ…… ?」
「ゲコ! ゲコ、ゲコ!!」

収納スペースのすでに開けられた缶詰、その一つから白色の蛙が飛び出し、ワサビの手に乗る
ワサビと絵楠の方を見て、何かを訴えかけるように鳴き出す蛙、こんなところに一体なぜ

338名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 09:48:52 ID:4B4lXlLI0
>>336
「……………!」

瑠奈が声をかけると、ゆっくりと玄関が開く
ドローンで見た時携えていた、錆ついたシャベル
落下したときに…… もしくは、あの男に付けられたかもしれない顔の痣
そして、映像で見たときには確認できなかった 服に付着した、血のような黒いシミ

「……來咲、さん? 何故……」

バス事故に巻き込まれ、妙な男に追い回され
ようやく、合流することが出来た和
瑠奈が現れた事に、戸惑った表情を見せるも 表情を引き締める

「來咲さん、怪我人がいるの」
「一応止血はしたけれど、それでも安心できない」

339名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 12:11:37 ID:0tnJMlrU0
>>337
「酷い有様だな……一体誰がここまでやったんだ……?」

あの時に見た文体からカルト教団か何かの犯行だとは容易に想像できる。
しかし、それにしてはあまりにも惨すぎる。
異世界との融合による影響は、ここまで拡がっているのか?

「白い、カエル?……まさかな」
「とりあえず連れて帰ろう。ここには、他には何も無さそうだ」

340名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 16:59:43 ID:28RmuR2g0
>>338
「分かりました。
一応応急処置はできる道具は持ってきましたし、
車もあるので、容態次第ではここから運び出しましょう。
先ほど、ちょっと色々ありまして……その件で知り合いの警察官に連絡したので、
二人でも無理そうならそちらの力も借りましょう」

怪我人がいるかもしれないとは言ったが、断言はしていないので救急車が来る可能性はほとんどない。
とはいえ、怪我人がいたらそれなりの手続きはしてくれるはずだ。
それと引き換えに、事情聴取はされることにはなるだろう。少なくとも、通報人である私は。

「実は、烏屋さんがマスターに事故に遭ったと電話したとき、私も傍にいて話を聞いていたのです。
マスターが、私が行くから車道まで行くようにと伝えようとしていたのですが……その前に、なにかに巻き込まれたようですね」

和の様子を確かめるように言った。
電話の通り、事故での怪我は軽いようだ。服に付いている血は、話に出た怪我をした人のものだろうか。
だが、なによりもその顔についたものが、痛ましく感じた。

「……命に、別状がないようで、よかったです。
顔には、痣が、残ってしまっているようですが」

その人を見たら、烏屋さんの手当てもしましょう、と言った。

341名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 18:20:39 ID:4B4lXlLI0
>>339
「………何かこの蛙どっかで見たことがあるッス! どこかは思い出せねーッスっけどすごく懐かしいような」
「…………ゲコッ」

眉間にしわを寄せ、記憶を掘り出すも微妙に思い出せない
おそらく気が付かれているであろう、蛙=キル夫は手から跳ぶと、収納スペースの一角に向かって跳ぶ
そこには封筒が挟み込まれていた

「うーん? ……どっかの地図、ッスか?」

封筒の中から出てきたのは、夕闇町と篠目町が描かれた地図
おそらくこの木材加工場だろう、林の中に○が記されていた

そしてもう一つ、夕闇町の奥
今は放置されているらしい、遊園地にも同じ印が付けられていた

342名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 18:34:28 ID:4B4lXlLI0
>>340
「………私がマスターに……電話……?」

「……………いえ、その話は…… 後で、マスターから聞いたほうがいい、かしら…………」

自分が電話をした話を出されると、なんとも奇妙な 狼狽えたような
まるで心当たりがないような そんな反応が返ってきた

しかし今はけが人が先とばかりに話を切ると、背を向けて怪我人の元へ案内しようとする
動きがどこか、右腕を庇っているように見えた

「……この程度で済んで、運が良かった。 痕に残るのか心配さえできなくなるかもしれなかったのだもの」

あんな崖から投げ出され、先程の男のように動くだけでも辛そうなほど大怪我を負っているわけではない
運が、よかったのだ。 それでも、お願いしますと小声で頼む

案内された先には、ボロボロの畳の上に寝かされた、Yシャツ姿の男性の姿
傍らには切り裂かれた女性物の上着が存在し、それと同じ材質のもので傷口が抑えられていた
顔から腹部にかけて見える殴られた痕、そして足に見えるは何かが おそらく先程の男のハサミか足が突き刺さった痕が見える
そばに行くと、ハンカチで男性の額に浮かんだ脂汗を拭う和

「…………來咲さん、その『電話』では ……バス事故の状況の話、していたかしら?」

343名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 23:00:53 ID:TowIMJCI0
>>342
男性の様子から、外傷である足のほうから治療をしていく。
……止血が施されている今、本当は、こちらより腹部のほうが重症だろう。
だが、内部のことはどうしようもない。せいぜい楽な横向きの寝方に変えさせてやることと、患部を冷やすぐらいだ。
ワセリン等の薬剤を取り出しながら、和の質問に答えていった。

「……最初は受け答えしたマスターの言葉から、バスの事故に巻き込まれて放り出されたことを、
途中からはスピーカー機能で、大きな怪我はないこと、帰るには林を抜けるのみ、ということを、聞きました。
その後に電話は切れたようでした」

「……しかし、あの電話は烏屋さんでは……
……いえ、これは烏屋さんの言うとおり、マスターを交えたほうがいいでしょう。
電話を実際に受け取ったのはマスターですし、長くなりそうですしね」

冷湿布を取り出して、患部に貼った後、小さなペットボトルの水でタオルを濡らして、顔に当てる。

「……嘔吐の様子はありませんね。
今できるのは、ここまででしょうか」

「さあ、次は烏屋さんです。顔と……あと、腕ですか?
他にも、痛むところがあったらおっしゃってください」

男性の膝を立たせて横に寝かせた後に、包帯と薬を持って和へと言った。
言外には、隠すなよという意味が詰まっている。主に目に。

344名無しのカウンセリングだべ:2017/05/13(土) 23:34:35 ID:H679hrsc0
>>341
「(確実にキル夫だな、この蛙)」
「遊園地か……ワサビ、度々悪いな。次の目的地ができた。この蛙はお前に預けとく」

ワサビの手に蛙を渡し、絵楠は早速ライドベンダーへと跨る。
先程の印から察するに、遊園地でも同じようなことが起きている可能性もある。
或いは遊園地が拠点の一つか。どちらにしろ現地に向かわなければ分からない。

「明日に支障が出ない程度で済ませたいが……」
「いや、悩んでも仕方ないか。俺は出来ることをやるだけだ」

345名無しのカウンセリングだべ:2017/05/14(日) 13:09:15 ID:4B4lXlLI0
>>343
男は気を失っているのか、傷に触れられてもうめき声を上げるだけで
瑠奈のなされるがままになっていた
手当の後、少し楽になったような表情で音を立てて息をしている

「……バス事故の直後、落としてしまったから 連絡しようにもできなかった」

それだけは前もって伝えておきます、と言いながら袖をまくる
腕が青黒く腫れ、奇妙な凹凸が出来ていた。
顔の痣はどうかわからないが、こちらは恐らく あの男のメリケンサックを受け止めた後だろう

「怪我らしい怪我は、ここと顔ぐらい…… ……それ以外は隠していない」

瑠奈の目を見て慌てて付け足し、本当ですよ?と目で告げる
正直に言えば落ちたときとか逃げるときとか、茂みに突っ込んだりしたため擦り傷ができてそうなものだが
……細かい傷過ぎて伝えるのも憚られるのだ

>>344
「その言い方だとオイラ置いて行かれるみたいじゃねーッスか! オイラもついていくッスよ!」
「……こっから帰り道そもそもわかんねーッス!」

受け取った蛙を手に取って抱きかかえようとするも、ぴょんと飛び肩にしがみつかれるキル夫
どこか抗議しているかのような視線を感じる

どっちにしろ一度夕闇町を経由する必要があるため、バイクに一緒に乗るワサビ&絵楠コンビ
途中で降ろされるか、そのまま行くかはわからない

346名無しのカウンセリングだべ:2017/05/14(日) 17:59:51 ID:3zVK3xRE0
>>345
「そう、ですか。
落ち着いたら、利用中断の手続きをしたほうがいでしょうね。
……大分、後手に回ってしまいましたが」

少なくとも、あの連絡のおかげで和の危機を知ることができた。
しかし、和の声で、和に装った意図が分からない今、油断は禁物だろう。
ハンカチを水に浸して顔に当てるようにいいながら、冷湿布を取り出す。
それを腕の患部に貼り、包帯で多少圧迫するように巻いた。

……本当は、治癒魔法でも使った方がいいのだろうが、
媒介がない今、不安定な力に頼るのは止したほうがいいだろう。
一先ず、一通りの手当てが終わった後、寝ている男性を横目に見た。

「胸部や腹部を打撲しているとなると、担架や毛布がほしいところですが……
ああ、烏屋さんは安静に、ですよ」

「救急車を……というか、そろそろ警察ついてますよね。
あ、ようやく…………うん?」

ちょうど通知がきたと携帯の画面を見た瞬間、瑠奈の表情が一瞬無くなる。
だが、すぐにそれを耳に当てた。

「……もしもし。
……いや、それはこっちのセリフなんですが……
……ああ、うん、何か、来ちゃったみたいで……
……そう、彼が例の……失礼な、私はそこまでやっていない。
まあ、いいです。そこから奥に進んでください。
……そう、廃屋があるところ。よく知っていますね。
そこに、怪我人がいます。手を貸して。
話はそれから。じゃあ」

ピッと電話を切り、和のほうを見た。

「人を呼びました。とりあえず、なんとかなりますね」



「……人使いが荒い」

横から視線を感じながらも、切れた電話に対して愚痴混じりに呟いてから、ため息をついた。

「……その人も気絶していますし、話は聞けそうにはないですね。
まずは姉さんと合流します。
……ここは、お願いしても大丈夫ですか?」

元よりそのつもりだ、とコクリと頷いた大きな鳥を見て、再び歩き出した。
他の仲間が来ると、面倒になりそうだ、と早足になりながら。

347名無しのカウンセリングだべ:2017/05/14(日) 18:54:27 ID:4B4lXlLI0
>>346
「……えぇ、何に使われるかわかったもんじゃないもの」
「(二日間で、二台…………!)」ギリィ

予備が破壊され、本体は行方不明
連絡手段がなくなった事と、何より携帯代が痛い
思わず奥歯を噛みしめるも、痛みを堪えているようにしか見えないかもしれない

「(………警察の人からじゃない?)」

見間違えじゃなければ、一瞬表情が死んだような
瞬きした瞬間だったためよく見えなかったが

「……えぇ 警察の方が着いたみたいですね」

誰かの電話がなのか、聞くに聞けず
さりげなく警察の関係者なのか否かを探ることぐらいしかできない和だった


不穏な状況であったが、例の男とジェット以外人影もなく廃屋にたどり着いた翔
そこはホラーで出てくるような、暗い廃屋だった
鍵もかける事もできず蹴破ろうと思えば容易く蹴破れそうな玄関を叩くと中から返事が返ってきたため、
ゆっくりと扉を開けるだろう

土足のままでなければ入れないような汚れた家の中を進むと、
ボロボロの和室の中に姉と、怪我を負わされ気絶している男性の姿が見えた
そして

「……………」

何とも気まずそうな表情を浮かべ、目線を逸らす女子高生くらいの少女の姿があった
ひょっとしたら覚えているかもしれない、覚えてないかもしれないが
もし記憶を掘り起こすことができたのならば、
この騒動が始まる少し前、深夜徘徊で補導しようとし、 隙を見せた瞬間逃げ出した女子高生だと思い出せるかもしれない

(勝手な接点)

348名無しのカウンセリングだべ:2017/05/14(日) 23:34:57 ID:H679hrsc0
>>345
「え?あ、いや……言葉足らずだった。ワサビもちゃんと連れてくよ」
「さ、行こうか」

改めてライドベンダーを走らせ、目的地に直行する絵楠。
今は時間が惜しい、早めに遊園地へと辿り着かねばーー
胸の中にザワつく寒気を沈め、一層速めにバイクのスロットルを握った。

「(聖女……)」

しかし、どうしても引っかかるあの単語。
遊園地に着けば、その答えも見つかるのだろうか?

349名無しのカウンセリングだべ:2017/05/15(月) 00:00:37 ID:aCa2cSao0
>>347
「ええ……まあ……」

曖昧な笑みで和を見る。
関わるなと言ったのに、昨日の今日でこれだ。一体誰に似たのやら。
その心中を見ることができ、かつ瑠奈の行動をよく知る者がいたら、お前だお前と指摘されかねないことではあったが、
そんな者はここにはおらず、ただ時間が過ぎるのみであった。

やがて、制服――ではなく、私服の青年が顔を覗かせた。
和を見て少し驚いた様子を見せたが、直後にかけられた瑠奈の言葉ですぐに消えた。

「私服で交番に勤めているのですか……」

「違います。今日は非番だったんです。
たまたま用事があってこっちに来ていたところに通報が来たんですよ」

たまたま用事がの部分で、本当かよコイツ、というじとっとした目で見ていたが、
気を取り直すつもりか、咳払いをしてから瑠奈は和へと顔を向けた。

「すみません、烏屋さん、こちらは私の弟の翔です。
これでも一応警察官です。」

「一応って……
あの……えー、よろしくお願いします」

何か言葉を紡ごうとしたが、あえて止めて挨拶をする。
和のことには気づいたが、今追求すべきことではないと判断したのだ。
挨拶もそこそこに、瑠奈が翔を怪我人の元に呼び寄せた。

「顔から腹部にかけて打撲があります。足にも刺傷が。
応急処置は済ませましたので、腹部を圧迫させないように運びますよ。
翔は足を持ってください」

「分かりました。で、救急車は呼びました?」

「そういえばまだ呼んでなかった……ですね。
……気を利かせて呼んでいたりは?」

「一台しか呼んでませんよ。
あの、姉さんの友だちの傍で倒れてる人の分」

「他に警官は?」

「三人来ています。
夕闇町の警官が二人、それと和同警部です」

「和同さん、こっちに来ていたのか……県警にいるのかとばかり」

「連日の怪物騒動の関係だそうですよ」

軽口を叩き合いながらも、瑠奈が脇から手を入れて、翔は足を持つことでを運ぶ体勢を取った。
そして、瑠奈が和へと問いかけた。

「それでは、林を移動しましょう。
烏屋さんのほうも移動しても大丈夫ですか?」

350名無しのカウンセリングだべ:2017/05/15(月) 00:39:11 ID:4B4lXlLI0
>>348
不気味なほど紅い夕日が篠目町と夕闇町の町境を照らし、
バス事故の現場を赤く染めていた

絵楠の後ろに座るワサビ、そして肩にしがみつく白い蛙も眩しさに目を細める

そうしてたどり着いたのは、まさに寂れた、廃墟と化した遊園地
観覧車はサビつき今にも乗り場が落ちそうで、ジェットコースターは動き出したら即座に死人が出る
遊園地のセットだろうか、妙に新しいハリボテの城が夕日に照らされ、辺りは奇妙な雰囲気が漂っていた

現場にたどり着くなり、鼻をひくつかせるワサビ

「……んー 奇妙な臭いするっちゃするッスね」
「んだけど今までの拠点と比べちゃ極少数ッス、 ……ここ本当にあいつらいるんッスかね?」

『………ゲコ』

肩に見下ろす白蛙を、疑いの眼差しで見るも蛙は目を逸らすのだった
キル夫は単純にあの拠点で情報となりそうな地図を見つけただけだろう、裏取りはこれからする予定、だったのはず、多分

>>349  ・ ・ ・ ・ ・ ・
「………はじめまして、夕闇高校二年の、烏屋和、です」

互いに相手がファーストコンタクトではない事は、無論わかっているはずだろう
死んだ表情、生気の篭もらない声で抜けしゃあしゃあと初対面の体で挨拶する和、気まずい間が空いた

しかしやることがあり、幸いな事にもすぐに瑠奈が現状説明してくれたおかげで、しばし落ち着かせる余裕ができたのだった
移動しても大丈夫かと聞かれ、立ち上がりつつ怪我の具合を確かめる
右腕はあいかわらず痛い、顔の痣もハンカチの下がどうなっているかわからないがうずくように痛む
要するに問題はないということだ

「えぇ、歩く分には問題ないわ。 ……行きましょう」


足と手を持った二人を先頭に、気絶した男の、ジェットのいる場所へと戻る一行
瑠奈がここから離れた時から、そして翔が瑠奈と和のいる場所に向かった時から状況に変わりはないようだ
気絶した男、その近くに立つジェット、そして一向に動かず男の方をじっと見つめている蜘蛛

「………………」

気絶しているとは言え、蜘蛛に操られていたかもしれないとは言え
近寄りたくないとばかりに、林の中で気絶していた男から距離を置く和
痛むのを構わず握りこぶしを作り、視線を逸らすと男を見つめっぱなしの蜘蛛が視界に入った
こうなった元凶、凶行に走らせた原因、そんな事が頭に思い浮かぶ
体から出てきた今も執着するように男を見るさまがとても、なんだか、とても……

「…………犬?」
「………………違う、そうじゃ、なくて……」

何かを、連想してしまったらしい

351名無しのカウンセリングだべ:2017/05/15(月) 21:30:53 ID:3zVK3xRE0
>>350
「……蜘蛛くん微動だにせず?」

『微動だにせず』

「これは、困りましたね」

意図は分からないままか、と呟いた瑠奈の傍に、ジェットが蜘蛛を警戒しながらも近寄った。
その後、二人が抱えている男性や和のことをじっと見ていたが、視線を逸らして蜘蛛の監視に勤める。
……どうやら、二人は敵ではない判定がされたらしい。

もしかしたら和は、迷い混んだ初期の内に、学園で見かけたことがあるかもしれないし、ないかもしれない。
ジェット、という名を聞けば、いつからか学園に居着いている音符のような頭をした鳥の話に出てきた名であると気付けるだろう。
……うるさい上に、その要領の得ない話を聞き続けられることができていたら、の場合でもあるが。

「……で、この人、が、準現行犯ですか?」

翔が足を抱え直しながら、地面に臥している人物を見た。

「メリケンサックどっかにすっ飛ばしちゃったけど、そうです。
その辺捜索すれば落ちているでしょう」

「……ここまでボコボコにしなくても」

「気絶させたのは確かに私だけど、転がしただけですからね。
せいぜい腕を捻り上げて押さえつけただけで……
あー、あそこで一発殴られて正当防衛主張すればよかった」

「やめてください、血のついたメリケンサックがあれば十分です。
……で、その蜘蛛は」

「蜘蛛くん」

「……いや、そうではなくて」

「せめて車道までこの人を運んでからにしませんか?
人一人持ちながらはちょっと……とはいえ、ここで長話も、ねえ」

元より異世界の事件には巻き込みたくはなかった瑠奈。
だが、ここまできたからにはもう遅いのも重々承知。
ちょっとした足掻きである。
朝からドローンの映像をチェックし続け、和を迎えにいこうと思えば狂人と遭遇した上、
成人男性を運ぶことになり疲れ始めているのも本音ではあるが。

352名無しのカウンセリングだべ:2017/05/15(月) 23:29:32 ID:H679hrsc0
>>350
「(想像以上に廃れてるな……)」

廃墟と化した遊園地という噂から察してはいたが、実物を見るとやはり驚くものだ。
一体何時頃から放置されたままなのだろうか。ある意味、拠点としては打って付けの可能性もあるがーー
その中で一際目に付く、ハリボテの城。
ーーこの場で引き返すのもありだが、それでは時間が無駄になる。

「ワサビ、この遊園地を調査してみよう」

万が一に備え予めドライバーを装着し、遊園地の中を歩き始める。
異様な雰囲気が漂う中で、やけにギラつく夕日が不気味で仕方が無かった。

「……そういえばワサビ、お前状態異常を治せる魔法とかは覚えてるか?」

その中で、ふと思案した事。
キル夫と思わしき蛙は、何かしらの魔法でも受けたのだろうか、と。

353名無しのカウンセリングだべ:2017/05/16(火) 00:39:40 ID:D00H4UII0
>>351
「(…………ジェットという名前の、巨大な鳥…………)」
「…………………………… あぁ、学園の例のオウムが話していた」

入学当初、まだ学園世界が壮大なドッキリだと思い込み
カメラやマイクが隠されているに違いないと躍起になって探していた時のことである

やけによく喋るオウムがいるもんだと、何か口を滑らせるんじゃないかと耳を傾け
結果壊れたロボットがしゃべってるだけだと決め打って退散する間際にそんな話していた気がする
ちなみに学園世界が本物の異世界であると悟った今では壊れたオウムがしゃべり続けている印象である


「車道まで行かなくても大丈夫そう、けれども貴方達は隠れた方がいいんじゃないかしら」
「…………異世界の生物に神経質になっているかもしれない」

和が向ける視線の先、そこにはここに向かった警官のうち一人と
救急隊員らしき人物の姿が見える
懸念すべきはジェットや蜘蛛を見た時どんな反応をされるかわからないこと、そっとジェットに近づけるとそう告げた

354名無しのカウンセリングだべ:2017/05/16(火) 00:43:03 ID:D00H4UII0
>>352
「……んー……魔法は使えないッスけど、俺の知ってる状態異常なら治しか知ってるッス……」

薄々、これがカエルの姿になった何者かだという事には気付いているワサビ
ひょっとしたら、誰かまで気がついているかもしれない

「けれども、カエルになったやつの戻し方といったら、そりゃ………ねえ?」

そして戻し方を知ってると自称するにしては反応が微妙である
カエルの戻し方の一例 カエルの王子様

355名無しのカウンセリングだべ:2017/05/16(火) 23:01:19 ID:3zVK3xRE0
>>353
「……来ましたね。ジェット」

和と瑠奈を見て、一度頷くとばさりと翼を広げて飛び立つ。
蜘蛛のもとまで行くと、その頭と片側の足をがっしりと掴み、木の上へと上昇していった。
もしかしたら、抵抗したかもしれないが、そこは体格差で押さえ込んだのかもしれない。
季節が冬ではなくて幸いだったのだろう。
その姿がいくら目立つとはいえ、葉が生い茂る木に紛れてしまえば、そう目を凝らさないと見つからないだろう。

救急隊員、更に警察官により、和たちは車道へと促されることだろう。
來咲姉弟が抱えていた怪我人は救急車で、そして例の男は夕闇町の警官たちが病院へと連れていくことで決着は着いた。
年がそこそこいっている、スーツを来た中年が、いやー、と呟いた。

「あとはそこのお嬢ちゃんかな、被害に遭ったのは」

「……林中を見て回ったわけではないので、なんとも言えませんけれども」

「まあまあ、さっき若いの追加で呼んだから、これ以上はこっちで調べるよ。
ここはバス事故の崖下ってことで、元々調べるつもりだったからね」

「この近辺で騒動が多発しているから、人手が足りない、といったところでしょうか。
それが遅れていたのは」

「耳が痛いなあ。
そのとおり、さっきも篠目町で問題が起こって、そっちにも人行っちゃってさ」

ガリガリと困ったように頭をかく、先ほど姉弟の話題に出ていた、和同警部。
近年、そこまで大きな事件がなかったこの辺りで、昨日今日と大騒動が起きているせいか、警察も対応に追われているらしい。
そんな彼が、和へと顔を向けた。その傷痕を見て、眉を下がらせる。

「痛かったろう、べっぴんさんの顔に、こんな痣ができちまって。
今から病院まで送ってやるからな。その後、事情を聞くことにもなるかもしれないが、もうちょっとの辛抱だからな」

送る、といっても、まだ指示が残っているから來咲巡査に頼むことになるがな、とも付け加える。

「瑠奈ちゃんはどうする? 残るかい? それとも警察署に先に行くかい?」

「……いえ、私は彼女の保護者に頼まれてここに来たので、彼女に付き添います。
事情聴取は、彼女と一緒でも、後で署に行くでも、どちらでも。
私も車があるので、私が病院へ送ってもいいですが」

「……まあ、今パトカー一台しか残ってないから、申し訳ないけどそうしてくれると助かるかな。
おっさん帰れなくなっちゃう」

「後から増援来るでしょうに……」

356名無しのカウンセリングだべ:2017/05/17(水) 00:09:14 ID:4B4lXlLI0
>>355
ジェットに掴まれる瞬間、体が強張る蜘蛛
生物というか、ゴム質の何かを掴む感触ごしに体がブルブルと小刻みに震えている事に気づくかもしれない
……掴まれていたから、だろうか それとも体から出てきた時から?


「……私の知る限り、バスから投げ出されたのは私達三人だけ」
「他にも被害者がいるとしたら、林の中で会った人って言うことになるけれど……」

時間的に自分たちと瑠奈以外、襲う時間は…… 恐らくない
単純に移動できる早さが負傷しているせいで遅くなっていたのだ、
瑠奈の会った時に近くにいないなら、そういうことだろう

話題に出され、無意識のうちに頬に手が行き、痛さに顔を顰めた

「大丈夫、怪我には慣れているから……」

いざとなったら…… そう言いかけ、口を閉じる
治癒魔法も回復薬も、そんなものこの世界にはない、今までも、そしてこれからも
……事故からのあの男の遭遇で、やはり精神的に参っているようだ
よりにもよって、あんなありえない物が頭をよぎるとは

噛み傷の痕が、チリチリと痛んだ

「ほ、保護……? い、いえ、それよりも來咲さん……」

これ以上貴女に迷惑をかける訳にはいかない、そう告げようとした
だが、パトカーの数が足りないという現実的な問題に直面したがため、口を挟む余地なしであり、
瑠奈に迷惑をかけるほか無いようである

「…………ごめんなさい、よろしくお願いします……」

357名無しのカウンセリングだべ:2017/05/17(水) 01:43:15 ID:H679hrsc0
>>354
「……あぁ あれか」
「(……流石に気が引けるな)」

キル夫を助けたい気持ちは偽りではない。
しかし、幾ら何でもその為にーー恐らくだが接吻を行うのは、気持ちの整理が難しい。
仕方ない、今出来ぬのならーー

「またスペースに戻った時にでも誰かに頼むか。さて、ここからどうするか」

358名無しのカウンセリングだべ:2017/05/17(水) 08:50:46 ID:Coczvcww0
>>357
「ゼロあたりにちょっと目瞑っててもらうよう頼むしかないッスかねぇ……」
『!?』

性格の悪い事に無理やり押し付ける気満々であった
目が閉じている間に事が済むならともかくうっかり目が開いたら大惨事だろう、
そしてキル夫もゼロも心に傷を負うかもしれない

そんなバカ話を放っといて、探索を開始する
現存する建物がお化け屋敷とお土産売り場、後飲食店ぐらいか
そこまで規模的に大きくないため、お土産売り場と飲食店の探索がすぐに済んだ


探索していてわかったことは、
怪人達に関係があるかはともかく、見た目が妙に建物の外観とあってないのだ
妙に真新しい城のハリボテが落ちているし、内部はどこか外国のお城の一室のようなセットに作り変えられていた
そういうテーマの遊園地だったにしては、建物と内部の劣化のちぐはぐっぷりが違和感を煽る

「最後に残ったのはこれッスね、なんか出て来そうな雰囲気ががが」
「臭いから言ってここに怪人どもがいるのも間違いなさそうッス!」

異世界人ゆえに、そういう建物だと思って違和感のいの字も感じてないワサビがお化け屋敷の前に立つ
劣化してなお、リアルとなったボロボロさが恐怖を煽る
この迫力が営業当時もあったならともかく閉園してるということはお察しだろう

359名無しのカウンセリングだべ:2017/05/17(水) 19:17:51 ID:oSJUDPQc0
>>356
『…………』

林の中を移動しつつも足の下にいる蜘蛛を時折見るが、何も言葉をかけずに視線を逸らす。
あの男の凶行がこの蜘蛛のみの影響だけだとは思っていない。
瑠奈からも言われたが、暴れていないのなら害を与えるつもりもない。
……大人しくしているのに爪が食い込みそうなほど握るのは、意趣返しかもしれないが。


「……前も言いましたけど、力になれることなら、お手伝いしますから。
そもそも帰る方向も同じなんですから」

和の様子にそこまで恐縮しなくとも、と思いながらも微笑む。
その後、お大事に、と和同警部に見送られ、三人は瑠奈の車に乗り込んだ。

「夕闇町の病院だと、総合病院になりますかね。
夕闇町の警官連れてきていたから、署も夕闇町の?」

「夕闇町の警察署です。
病院の場所分かりますか、ナビで指定します?」

「いや……そうですね、一応、お願いします」

程なくして、夕闇町の総合病院へと向けて車を走らせる。
車の後方の遥か上をよく見れば、もしかしたら、後を追ってくる影が見えたかもしれない。
先ほどの状況から考えて、それが例の鳥(と蜘蛛)であることも容易に推察できるだろう。

(マスターに連絡するのは……病院に着いてからにしよう。
随分と遅くなったから、心配してるでしょうね……)

360名無しのカウンセリングだべ:2017/05/17(水) 21:52:29 ID:.d3PqMhY0
>>359
「…………」

しんと静まりかえり、タイヤが動く音とエンジンの音のみが響く
バス事故からの狂人との遭遇、瑠奈にとっては男一人を運ぶ作業
車内には疲労ムードが漂い、人様の車の中でなければ寝落ちしてしまっていたかもしれない

脇をパトカーと救急車が通り過ぎるのを眺め、
あの中にあの男がいることを思い出すとジワリと恐怖を感じた

「…………怪我しているとはいえ、大丈夫……なのかしら、警察の人に預けて」
「武器は、取り上げられているけれど……」

そこまで言って、助席に座る翔に視線を送り口わ閉ざした
異能のことを伝えたいが、普通はありえない話だと一蹴されることである
弟である翔はどちら側か?判断がつかない

361名無しのカウンセリングだべ:2017/05/17(水) 23:32:36 ID:3zVK3xRE0
>>360
「大丈夫、だとは思いますよ。
……と、断言しきれないのが怖いですね。
あれほどの傷を負って、よく人を襲えるものです。
……まるで、人間業ではないような、そんな感じがします」

実際、翔は瑠奈が武器を所持した人物を確保したという情報のみでこちらに来ている。
何かおかしなことがこの近辺で起きていることは分かるが、その詳細は一切掴めていない。
和の視線に気づいたのか気づいていないのか、翔は運転をしている瑠奈を見た。
こちらは気づいているのだろう。しかし、瑠奈は無視している。

「……姉さん。それで、今度はどんなことに首を突っ込んでいるんですか」

「私は知り合いを迎えに行く最中に、
血がついた武器をもつ人物がいたから善良な一般市民として通報したまでです」

「あの鳥がいた時点でそんな言い訳は通用しませんよ」

「彼に関しては私も知りたい。
迷い込んできたのでしょうか」

「…………」

本当かよ、という目で翔は隣の姉を見た。その目は数分前の瑠奈とそっくりで、姉弟の血が感じられる。
だが、瑠奈の言っていることは紛れもない事実でもある。一応は。

ちなみに、翔のほうは薄々和が異世界にもある程度認知できる立場にあると思っている。
ピジョットを見ることができ、更に大きな戸惑いがなかったことがその証拠であると。
……彼は、まだこの世界と異世界が融合しており、一般の人が異世界のものを当たり前と認知し始めている、という事態を把握していないのだ。

362名無しのカウンセリングだべ:2017/05/18(木) 00:13:13 ID:4B4lXlLI0
>>361
「…………」

少なくとも、この件に関しては瑠奈の言っていることは正しい…… の、だと思う
自分の電話で助けに来てくれたらしい事は、嘘をつく意味も薄いため信じているが
その電話というのが心当たりがない、のだ

バスから落ち、連絡する暇もなくどこかへと落としてしまった携帯
誰が、どんな目的で連絡してくれたのだろうか


既に片付けが終わったバス事故現場を抜け、夕闇総合病院に辿り着いた一行
専用の駐車場に止まり、瑠奈の車から降りると奥の方にパトカーが停まっているのが見えた
……警察病院なんて大層なものはもちろんない、おまけに最寄りに近くにあんな大怪我治療してくれる病院もないなら、
必然的にこうなってしまうか

「……あの怪我ならば、まず待合室でばったり出くわすこともないでしょうね ……えぇ」

自分自身に言い聞かせるように、財布を用意すると病院に向かう
あの男がいるせいなのか、考えすぎなのか 戦地に赴くように妙に体が重かった



『……!……………』

一方、上空から瑠奈達を追い、病院まで辿り着いたジェットと蜘蛛
ここまでは縮こまったまま震えていた蜘蛛であるが、病院が見えた瞬間痙攣でも起こしたかのように体が跳ねた
爪が食い込むほど強く握りしめているならばまず落とすことはないだろうが

363名無しのカウンセリングだべ:2017/05/18(木) 02:02:12 ID:H679hrsc0
>>358
「そうだな……ゼロなら何とかしてくれるだろう」

半分押し付けてるけど、その時は頼むぞ。
今この場にはいないゼロに向かって呟くと、絵楠は早速怪しさ満点の遊園地内の捜索を決行。
その中で若干気になったがハリボテの城は大したものでも無かった。
しかし、一番目立つものは残っていた。

「ここか、ラストは」

遊園地の鉄板ネタ・お化け屋敷。
ベタ中のベタだが、身を隠すのには確かにちょうど良さそうだ。
故に奴らの拠点でもあるだろう、確実に。

「(……しかし、あの拠点での事故と本当に無関係なのか?)」

一概に焦りかけたが、今急いでも意味は無い。
とにかくゆっくりと探索をしよう。

364名無しのカウンセリングだべ:2017/05/18(木) 19:34:00 ID:jz6eJhNs0
>>362

『うわっ、と……』

落とさなかったとはいえ、突然動き出した蜘蛛に戸惑うジェット。
ここで暴れられたら蜘蛛のみならず自身もバランスを崩しかねない、と近くの建物の上に止まる。
ギリギリ病院の駐車場が見渡せる場所だ。勿論、病院も見えるが。

『……あそこになにかあるんですか。
それとも、さっきの男のところに行きたいんですか』

そう口に出したジェットの目は、駐車場にある瑠奈の車と、さきほどの救急車やパトカーを捉えていた。



「私は連絡するところがあるので、翔、よろしく」

「元より、そのつもりですよ」

そう言って、和に付いていく翔。
和があのパトカーに気づいたのもあるが、事情と聞いておこうとも思ったのだ。
それは警察官故に、というのもあるが、姉がひた隠しにしていることも分かるかもしれないからだ。


一方、瑠奈は二人が病院に入っていくのを確認した後、マスターに電話をかけた。
和の具合や、現在病院にいること、異世界の生き物に憑かれた人物のこと、
そして、和が事故直後には、携帯電話を紛失していたことを、伝えるために。

365名無しのカウンセリングだべ:2017/05/18(木) 21:45:21 ID:4B4lXlLI0
>>363
お化け屋敷の中を、ライトを頼りに進んでいく
そこはかつてとあるピザ屋で起こった事件をモチーフにしたお化け屋敷…… だったらしい
今や老朽化が進んでいるのだろう、お化け用の機械が飛び出たまま放置し、朽ち果て、
製作者が狙ったものとはまた違った恐怖を感じる

ワサビが心なしか距離をピッタリ詰めて一緒に歩き、周りをキョロキョロと見ていた

入り口にいたときには、臭いを感じると言っていたが何も遭遇せず、出口まで辿り着いてしまった
古い機械の臭いと勘違いしたのだろうかと、出口から出ようとするとワサビが肩を掴む

「……なんか聞こえるッス」

指差した方を見ると、そこにはダクトの出入り口が見えた
どこか違う部屋から会話しているらしい、その声がぼんやりと聞こえてくる

『………おい、ほんとこんな汚くてくせー場所に隠れなきゃいけねーのかよ? お前の実家みたいだぁ……』
『ごちゃごちゃ…… 言うな……! こんなとこすぐおさらばだ、こんなこともあろうかと隠していたアレを見つけたらとっととな』
『ならとっとと見つけてくれよ…… あの人形共、こっち睨んでる気がしてこええよ』
『ふん 俺に言わせりゃさっきの拠点の奴らのほうが100倍は怖いね…… なんだあいつら、なんであんな、笑顔浮かべたままこっち襲ってきやがった 本当に人間か……?』
『あの白い新人もかわいそうになぁ、 マシュマロだから戦闘力も皆無だろう……』

………怪人達の残党、のようだ
ダクト越しに聞こえてくるが、お化け屋敷の中にいることは間違いない
問題はその部屋が、今までの直線の道には確認できなかった

366名無しのカウンセリングだべ:2017/05/18(木) 22:19:36 ID:4B4lXlLI0
>>364
『……!……!』

モゾ、モゾ足の中でもがき、ジェットの拘束から逃れようとする蜘蛛
少しでも、少しでも…… 『病院』から逃げようと、細い足を動かすもたたでさえ相性の悪い虫と鳥、おまけに体格差もあった
全く歯が立たない


総合病院の、受け付け
今までの林や、事故現場がウソのようにのんびりとした雰囲気が漂っていた
船をこぎ、うっつらうっつらする待合室にいる人、あくびをふんわりとする看護師
先に入った和も、そんな光景に看過されてか足の歩みが緩くなっていた

「…………」

気にしていない、といいながらも、やはり気になるのかキョロキョロと目線を走らせる和
横に並び一緒に外科に向かう翔にも視線を送る

受け付けのカードを取ると椅子に腰掛け、ようやく話ができる状況となっていた

「……びっくりするほど平和、というか………… 妙に、気が抜けているわね」

眼の前にいる老人も、いびきをかき気持ちよさそうに眠りこけている
逃げた負い目もあって話しかけ辛いものの、なんとか話しかけようと出した話題だった



「…………… 気にならないことがないわけではないけど…… ひとまず、君も和も無事でよかったよ」
「少なくとも暫くの間は酒場にいてもらわないとね」

電話の向こうから、安心したような声が聞こえてくる
瑠奈が出てからしばらく経ち、連絡もなくやきもきとしていたのだろう

367名無しのカウンセリングだべ:2017/05/18(木) 23:07:55 ID:7vW5Me1.0
>>366
(あの建物、なにかある……?)

今まで沈黙を貫いてきた蜘蛛の突然の行動。
瑠奈は、病院の外に見えるが……嫌な胸騒ぎがする。



「まるで、日常風景ですね。
朝の怪物のことがあったから、てっきりパニックにでもなっているかと思いきや、誰も、気にしてないような。
平和、なのは、いいことなんでしょうけど……」

事故現場からも、ここへ担ぎ込まれた者もいるだろう。実際に、自分達もそうやってきたのだから。
しかし、空気は至って穏やかだ。実に、なにも、なかったかのように。

「……それにしても、災難でしたね。
バスから、放り出されるなんて」

にしては、落下時の怪我は目立って見当たらないが、という言葉は飲み込む。
思えば、自身が運んだ男性も、殴られた後はあれど、落ちた形跡は目視では確認できなかった。
加害者だと言われた人物は、納得できるほどには満身創痍ではあったが。



「連絡が遅くなってしまって、すみません。
……無傷でお帰しすることも、できなくて」

「これから治療後に少し事情聴取もされるとは思いますが、
それが終わり次第、そちらにお送りいたします」

時間も時間だ、詳細は後日に回されるかもしれない。
マスター――保護者のことも匂わせたから、和同警部がある程度取り計らってくれることだろう。

368名無しのカウンセリングだべ:2017/05/18(木) 23:29:11 ID:4B4lXlLI0
>>367
和の肩越しに、すやすやと眠りにつく乳母車の中の赤ん坊が目に入る
つい、つられてしまったのだろうお母さんの方も眠たげに目をこすっていた

「…………えぇ、何で生きていられるのか不思議なくらい」

だが、飲み込んだ言葉は自分自身も感じていた。 バスから投げ出され、崖から落ちたにしては
体の痛みが少ないのだ。
木に落ちた記憶はある、葉や枝が体に当たりながら落ちていく記憶もある
だが、それにしては擦り傷打ち身程度で済んで ……単に、幸運だったのだろうか

「………」
「バス事故が起きる前から、彼は、今回の加害者は…… もう一人の男性に暴行をしていた」
「その時には武器も何も付けていなかったけど、殺しかねない勢いで殴っていたのを覚えてる」

「止めようとして、立ち上がったけれども…… 喧嘩に運転手が気を取られたのか、ガードレールにあたってしまって」
「立っていた私達三人はガラスから外に放り出されて、この様」

事情聴取で、改めて聞かれることになるでしょうけれど、 と話終え、どこかを見る和
一足先に、今日伝えられるか、誰かに伝えられるかわからないため前もって話したのだろう
助けてくれた瑠奈の弟であり、警察の一人である翔に

視線の先には、廊下の真ん中で眠りこく老人の姿が見えた
とても平和で、幸福で、暖かな空気で――――― なんだかとても『眠い』




「……怪我をしたのは君のせいじゃない、今回ばかりは和のせいでもない」
「むしろ君がいなかったらもっとひどいことさえ、起きていたかもしれない ……ありがとう」

「送ってくれるのはありがたいけれど、 ……君の方は大丈夫かい?」

仕事的にも、体力的にも
仕事に関しては、溜まった仕事が終わった後で自由に動けるのかもしれない、と自分で思っていた
だが体力に関しては、無理して動いていないか心配のようである
実際少しばかり、眠気を感じるだろう

369名無しのカウンセリングだべ:2017/05/19(金) 12:20:28 ID:6RcTHHMI0
>>365
「(残党、か。ここが奴らの隠れ家なのは確かみたいだが)」

臭いはある程度耐えられた為、特に顔を顰めてもいない絵楠。
問題は、怪人達が潜んでいる部屋だ。確かに今までの道の中に、部屋に直通する道は確認出来なかった。
内装も確認は出来ないが、ダクトから繋がっていることは確かーー
ここを通るしかないとは思うが、リスクも相応に高そうだ。

「……奴らを誘き出す事が出来ればいいんだが……それこそ派手な音で逆に気づかせるか……」
「しかし、仮に他にも抜け道があるとしたらみすみす逃がすことにもなる……」

他に何か道はないか、と辺りを見回す絵楠。
この場でイクスに変身、派手な騒音で誘き出すのも手ではある。
しかし、仮に逃がした場合ここに来た意味がなくなってしまう。何とかして、あの部屋に行かなければ。

「とりあえず、ダクトを通るしかなさそうか……?」

370名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 00:12:55 ID:4B4lXlLI0
>>369
『ゲコッ』

ワサビの肩から跳び、ダクトに入る蛙(キル夫)
後ろ足で起ち上がると、前足で奥の方をちょいちょいと指差す

「……ひょっとしてどこに隠し部屋があるか探ってくれるッスか?」
『ゲコッ』

そう言うと、ダクトの奥の方へ入っていく蛙(キル夫)
老朽化が進んでいるせいか、天井の隙間からちょくちょくとキル夫の姿が確認できる
二人はそれを頼りに後を追う


しばらくして

『!? ゲ、ゲコ〜〜〜!!?!?』
「うわああああ!!天井が落ちて来やがった!!!!!」
「ここまで老朽化進んでんのかよ! ……おまけに蛙まで入り込んでやがる!!」

「お、ここみたいッスね」

何かが崩れ落ちる音、蛙の悲鳴と怪人達の悲鳴から隠し部屋の位置が特定できた
一見すると壁だが叩いてみると中に空洞があるように思える、声も中から聞こえてきた

「うわー でっけぇ蛙だな懐かしいわ 田舎を思い出す」
「そうだなぁ、蛙のケツにストロー突っ込んで膨らましてたわ 確かこんなんだったか」
『ゲッ!? ゲ、ゲコー!!ゲ、ゲコッコ……!!!』

中から聞こえる声がなにやらやばい

371名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 01:12:19 ID:H679hrsc0
>>370
突然の崩落音に一瞬声を上げそうになる絵楠。
しかしここで叫べば台無しだと何とか声を抑え、その場を切り抜ける。
ーー幸い、まだ気づかれていないようだ。

「どうやらこの場所が隠し部屋みたいだな」

壁を叩いた感触と声の近さからどうやらビンゴのようだ。
その上、何やら蛙、もといキル夫の状態がある主危険な領域へと近づいているのが分かる。
ここまで来たのだ。いっその事ーー派手に暴れて、奴らを拘束してしまうか。

「……ワサビ、この壁 ぶち抜くか?」

右手に、まだ使ったことのなかった『ミラーラビリンス龍騎』のガシャットを構える絵楠。
何処かかつての闘争心丸出しの一面を覗かせながらも、冷静な様子でワサビへと提案する。
早めに決めないと、キル夫が大変なことになりそうだが。

372名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 01:30:03 ID:4xyw0C420
>>371
「今なら不意打ちぐらいなんのその、オイラが壁ぶち抜くからその隙に準備があるなら済ませるッス!」

「んー、ケツから膨らませるの汚ねえな、口からにすっか」
「今更かよ、そのままケツから行っちまえよ」
「でもこれで糞が口の中に入ったらしたら最悪じゃん?」
『ゲ……コ……』

「……んじゃあ行くっす!」
「うおおおぉおお!!」



「んじゃあプクーっと…… あ、おれなんだこの光…… !?」



「うおおおおらぁぁぁぁああああああ!!!!!」ゴスッ
「!?!?!??」
「!?」

壁の向こうから激しい衝突音が聞こえると、壁をぶち破って吹っ飛んでくる怪人
とっさに避けることもできず、空中で怪人をぶん殴ったワサビ


「て、てめーら…… 人が弱ってるからっつって、プヒュー 散々弄びやがって……!!」
「同じ目、プヒューに合わせてやろうか……!?」

部屋の奥には、怒り心頭といった様子の目に怒りの炎をたぎらせたキル夫がいた
空気を入れられたせいか、前にあった時よか丸みを帯びてる?

373名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 01:42:50 ID:H679hrsc0
>>372
「キル夫、どうやら元の姿に戻れたみたいだな」

スペースに戻ってから例の方法を試そうとしていたが、未遂で終わりそうだ。
同時に、どうやってキル夫が元に戻ったかを知りたいところだ。

374名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 01:46:30 ID:H679hrsc0
>>373
途中送信しちゃったゾ

しかし、今はそれは後回しとしよう。
ーー早いところ、この場を収めなければ。

「変身」
『ガシャット!レベルアーップ!』
『ドラゴンナイト~!ミラーラビリンス!龍騎ィ~!』

今までと同一のプロセスで変身モーションを行い、イクスへと変身する。
そこに灰色の虚像が重なり、龍騎ゲーマーレベル2へと変身を完了させた。
右手には龍騎の持つ専用武器・ドラグセイバーを構えた戦士ーーイクス・龍騎ゲーマー。

「さてと……お前達はどうするつもりだ?」

余裕綽々な雰囲気で怪人達を問い詰めるイクス。
ここで諦めるならまぁ捕まえる程度で済ませるが、そうでないのなら倒すしかない。

375名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 13:40:33 ID:4B4lXlLI0
スマホから
―――― ←こんな感じの繋がった線打つ場合『けいせん』で変換して出て来る方使うといいらしいっすよ?

>>373-374


「何が空気入れるだ!オエッ! よりによってケツからやった後口にやるか!?あぁ!?」
「し、新人落ち着け!悪かった!何で蛙になってたかはわからないがともかく悪かった!……」

「敵襲ーーーーーーーー!!!!野郎ども!敵襲だーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

隠し部屋の、奥――― 何処かにつながる、通路が見える
そこへ大声で呼びかけ、奥から大量の足音が聞こえてくる
別の場所に繋がっている出入り口が、ここに隠されていたようだ

「ほら、新入り向こうを向け! 敵だ敵ヘブッ?!」

すぐ近くにいた怪人を殴り飛ばし、バックステップで絵楠達の元へと向かうキル夫
その勢いのままワサビの元に行き、ゲンコツを落とす

「おー!やっぱりキル夫だったッスかひさしぶr(ゴツン)いたぁい!?」
「色々聞いてたんだからな!? あぁひさしぶりだナァコンチクショウ!」

「んでどうする絵楠、向こうにたくさんいるっぽいぞ!」

376名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 14:11:10 ID:28RmuR2g0
>>368
「なるほど。それを持ったのは落ちてから、ということですか。
まあ、バスの中からなら、もっと大騒ぎになっていますものね」

「……男が持っていたもの、というと……」

疑問に思っていたことを口に出そうとしたが、段々と萎んでいった。
和の目線の先にいる老人に気づいたのだ。
穏やかな情景とはいえ、廊下の真ん中に、となると下手すれば怪我や諍いの原因にもなりかねない。
少し失礼します、と和に声をかけてから、その老人に近寄った。

「すみません、ここで立ったままは危ないですよ。
ソファまで案内しますので、そちらへ移動しませんか?」

(それにしても、この空気に引き摺られてか、僕も眠くなってきたな……
あの女の子が診察室に入ったら洗面所で顔でも洗ってくるかな)



「……いえ、私は……」

一瞬だけ、言葉が詰まる。
が、続いて出た言葉は、他愛のないこと。

「……こういうのはあれかもしれませんが、久しぶりに外にたくさん出られてよかったです。
内に籠っていても、良いアイディアは生まれませんし」

あの蜘蛛男は絶対にネタにします、と明るい調子では言うが、疲れは隠しきれない。
瑠奈は元々スタミナがないほうだ。多少は改善されたが、かつては少し動きすぎたぐらいで体調を崩したものだった。

「……では、そちらに向かう際にも、一報入れさせていただきますので、
また、後ほど」

377名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 16:04:12 ID:H679hrsc0
>>375
(^ω^)おっ マジか!​───────ほんまや!


「ふむ……情報を吐かせるべきだとは思うが、まずは倒さないことには始まらないだろう」
「だからさっさと、こいつらをお寝んねさせるぞ」
『マジック・ザ・ウィザ……アガッチャ!』
『ド!ド!ドラゴラ!ラ!ラ!ライズ!フレイム!ウォーター!ハリケーン!ランドォ~!オールドラゴンッ!!!』

キル夫にそう返すと、イクスは一度ドライバーのレバーを戻す。
その後即座にウィザードガシャットを龍騎ガシャットの隣へセットし、レベルアップ。
オーズゲーマーの時とは違い、今回のウィザードガシャットは小型の爪と尻尾を装着、更に胸元に龍の意匠を刻み背中に翼を出現させていた。
龍と、ドラゴン。相性というやつだろうか。

「はぁっ!」

胸元の意匠、改め『ドラゴスカル』から火炎放射を放つイクス。
規模や火力は充分といったところか。まともに受ければ一溜りもないだろう。

「とにかくコイツらの戦意を削ぐ!それさえ出来れば問題無い!」
「(……しかし、こんなにアッサリと隠し部屋が見つかってもいいのか?)」

火炎放射を放ちながらも、胸のザワつきは中々収まらずにいた。
未だに引っかかっているのだ。​───聖女という単語、そのものが。

378名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 19:20:21 ID:4B4lXlLI0
>>376
「……………そういえば…………」
「バスの中が、やけに…… 静かだった、人が殴られているのに誰も気がついていないような――」

とても、平和な場所だ 堪らえようがなく眠い、眠りたい

「二人に駆け寄って、間に割り行ったのに誰も動いて……」

―――『眠い』

「――――――――!!」

後ろの方で、和が動くのを感じた
こんな平和な場所だと言うのに、血相を変えどこかへと向かう
まぶたが徐々に重くなり、立つのすら難しい

和が何かを持ち、戻ってくるのをぼやけた視線が捕らえ
目をまだ閉じ終えていないのに、辺りが暗くなった




「……君も体を大事にね、 和といい君といい、頑張りすぎるきらいがあるから」

それじゃあ、また後で…… そう告げ、マスターが電源を切ろうとした刹那
背後で何か重いものが、重くて大きい物が落ちる…… 閉まる、音が聞こえた

「…………來咲くん? 今シャッターが閉まったような、大きい音が聞こえたけれど」

振り返ると、鉄格子状のシャッターが閉まっており、出入り口を封鎖していた
シャッターの間から見える病院内は暗く、異常事態だというのにほとんどの人が眠りこけている
――おまけに瑠奈自身、眠い

379名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 19:23:47 ID:4B4lXlLI0
>>377
「おおおおおぅぅぅ!?!?!?!?」

怪人達が壁際に下がり、炎を避けるも咄嗟に動けなかった怪人は喰らってしまった
倒れた怪人達のせいでまともに動けない奴数名、初撃としては大成功だ

「絵楠!もういっちょ頼むっす!」
「今度は避ける場所塞いでやるッス!」

ワサビが何か準備を完了したらしい、考え事をする絵楠に声をかける
『聖女』、新聞社に務める絵楠には、何故か聞き覚えがあるような、特別な意味合いがあるような気がした
どこで聞いたのだろう、一体何で見たのか?

380名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 19:49:23 ID:H679hrsc0
>>379
「(拠点後となったあの場所はあそこで見る以前に、俺は確かにあの単語を​───『聖女』を見た)」
「(何処で?どのタイミングで?思い出せない……何か引っかかるはずなのに)」
「……! 分かった、もう一発行くぞ!」

頭に焼きついて離れない、たった一つの単語。
カルト教団に関するスクープを掴んだ時だったか、それともまた別の機会だったか。
とにかく何かの際に目にしたことは確かなのに、どうしても思い出すことができない。
しかし、今はこの場を収めることが先だ。

「はぁぁぁッ!!」

再びドラゴスカルから火炎放射を放ち、怪人達を狙う。
ワサビの準備も気になるが、イクス自身も単純に炎の出力を上げていく。

381名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 20:35:12 ID:3zVK3xRE0
>>378
「……か、烏屋、さん……!」

彼女を追おうにしても、異常なまでの眠気がそれを阻む。

(おかしい……なにか、作用しているのか……
……それに、停電……)

手首を強く握り、痛みにより眠さを追い出そうとする。
焼け石に水かもしれないが。



「…………え」

後ろを向いて、異様な光景を目撃した。
封じられた出入口、その、中には。

「っ……!
す、すみません、では、また連絡します!」

心のなかでもう一度謝りながら電話を切り、病院の出入口へと向かう。
シャッターを手動で動かそうとする。

(なに……電気系統がやられたの……!?)

(それに、この状況、人為的なものか……!
病院だからと、油断した……)

382名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 21:16:23 ID:4B4lXlLI0
>>380

「逃げ場をずらすッス!」

通路の壁から出現したのは、ワサビがよく使う青色の障壁
それが横から怪人達を殴りつけ、炎の通り道へと押し出した

「ぐ、うおおおおお!?!?!?」

こんがりと、火炎放射にてダメージを負っていく
拠点襲撃時、少なからずダメージを受けていたらしい彼らは
絵楠の猛攻に倒れるしか無かった

383名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 21:23:07 ID:4B4lXlLI0
>>381
鼻と口に何かが当てられ、何か気体が当たる感覚がする
無意識のうちに吸って吐くを繰り返すと、出てきた眠気がウソのように消えていき
どこか、平和な光景だと考えていた周りの状況が異常の物と認識できるようになってきた

まばたきをすると、視界がはっきりとしてくる
無表情気味だが、どこか切羽詰まった雰囲気の和がマスク付きの酸素スプレーを当てている
眠気が引いたらしいことを認識すると、自分で吹きかけるように促した

「………バスの時には気が付かなかったけれど…… 暴行が起きた時、誰も気がついていないようだった」
「はじめは知らぬふりしていたのかと思っていたけれど、どうも…… 今この状況と同じことが起きていたみたい」

「あの時も、そして今も 空気が妙に、甘かった」

マスクをわずかに開け、スプレー外の空気を吸うと
再び眠気と周りの状況が平和なものだと認識してしまう、そんな感じがした
そしてわずかに甘みを感じる外の空気 ……和はなぜかノーガードだが

384名無しのカウンセリングだべ:2017/05/20(土) 23:28:55 ID:.RhFVOOE0
>>383
「ありがとうございます。
……ガスなのか何かは分かりませんが、そういう作用があるのですかね」

マスクを受け取り、感謝を伝える。
思考回路が落ち着かせようと、頭を軽く振ってから立ち上がった。

「……烏屋さんは平気そう、ですね。
いえ、いいこと、なんでしょうけれども」

耐性でもあるのかな、と和のほうを見ていたが、目線を外へと向けた。
今はそれよりもこの現状をなんとかするのが先だ。

「……バスのときと同じ、ということは、
先ほどの男か、男の仲間によるもの、と見てもいいかもしれませんね」

腰にある警棒に手が行く。
非番ではあったものの、通報により同じ場にいた警察官とかけつけた翔。
容疑者が武器を所持している可能性が高いということで、和同警部から持たされたものだ。
拳銃でないのが心細くもあるが、現代日本にては仕方ないことでもある。



「鍵がついていないはずだし開く……開くはず……
いや、むしろもう窓を壊した、ほうが……」

『どうしたんですか』

「…………あ、ジェット」

いつの間に傍に来ていたのやら、ジェットはじっと瑠奈と建物を見比べる。
そして、突然瑠奈の服の袖を掴むとぐいぐいと引っ張り出した。
なに、なに、と霞みがかった頭で駐車場の車近くへと連れて行かれた。

「……いや、あの、翔と烏屋さんが……」

『あの場所、空気が悪いです』

「……え?」

『昔から毒とか瘴気とか、苦手だったでしょう』

「……そういうこと。
い、いや、それなら尚更、二人を……?
…………あの、蜘蛛くん、大丈夫?」

『さっきからずっと暴れています。
逃げようと、しているみたいに』

385名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 00:21:03 ID:Qx2Qf25.0
>>384
「……ええ、不運な事にも」

バスの時も、一緒に眠りこけていれば、巻き込まれずに済んだのだ
そして病院に来る、必要性すらなかったかもしれない
二人に現在進行形で迷惑をかけることもなかった
───

「(……いいえ、悔やむことじゃない)」
「(知ることができた、止めることができた── まだ後ろを見る時間じゃない)」

受付のカウンターに行き、入って来た客の名簿を非常灯を頼りに確認した

「…………近くに病院がないということは、被害者の男性もこの病院に来ている……可能性が、高いはず」
「同一犯、仲間の仕業だとすれば……狙いにするなら……」



病院から少し距離を置くと、頭を支配していた眠気がいくらかクリアになった気がした
靄の向こうを見ているような感覚、そして頭のどこかに芽生えかけて病院の中の光景が平常で平和で幸せな状態だという認識も、打開する


『──!!!』

病院に近づくと、抵抗激しく身をよじる蜘蛛
外にいる二人には、この催眠は病院だけの出来事だと思うかもしれない
だがその実、バスの中で行われていたわけで、あの男性の体の中にいたのなら能力を行使しているのも見ているだろう

そしてその対象が怖いなら、逃げ出したくなるはず

386名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 00:52:37 ID:H679hrsc0
>>382
「……無事に終わったかな。キメワザを使わずに済んでよかった」

怪人達の撃退が済んだのを確認し、変身を解除する。
しかし、ワサビの障壁には毎度のことながら驚かされるし助けられてばかりだ。
いいコンビになれるかもしれない、自分とワサビなら。

「さて、ここからどうするか……コイツらから何か聞き出せるならそういきたいが」
「実際のところ、どのくらい効いたんだろうな」

387名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 01:23:58 ID:.RhFVOOE0
>>385
「救急の搬送でしたし、あの怪我なら、救急処置室に運ばれているでしょう。
処置があらかた終わっていたら、救急病棟に運ばれているかと。
……どちらも」

多少時間差はあったとはいえ、数十分も経ってはいない。
記録はすぐに見つかるだろう。

……暗くて視界が良好ではないこと、この場の空気を吸わないために片手が塞がれているのは、良い状況とはいえない。
が、このままじっとしているわけにもいかないのだ。



「……なにか、怖いものがいるんですね、この中に」

『でしょうね。この建物に近づく度に反応が大きくなってきましたから』

「……蜘蛛くん」

瑠奈は屈み、目線を低くして、ジェットの足下にいる蜘蛛の体に触れた。

「私は……あのときの男の凶行が、蜘蛛くんのせいだと思っていない。
だって、蜘蛛はとても、賢い生き物だから」

あの男の言動、武器の所持、蜘蛛の性質、そしてこの蜘蛛の男と分離してからの行動。
それをずっと考えていた。引っ掛かっていた。
でも、この蜘蛛が利用されていただけなら。

瑠奈は立ち上がり病院を見上げると、ジェットに告げた。

「……ジェット、私を、運んで」

「どこか窓が空いているところがあるかもしれない。
そこから侵入します」

「そして、あなたは、避難して。
その子を守って」

『瑠奈』

咎めるような声に、瑠奈は苦笑いをした。
鞄の中からハンカチを取りだし、ヒラヒラと見せた。

「経皮性か吸引性かは分かりませんが……離れてすぐに回復したのでら恐らく吸引性、でしょう。
ハンカチで多少は防げる、はず。
それに、私は烏屋さんと、翔を、迎えに行かなくちゃ」

『なにか策があるんですか。
異能を出し抜くことができる』

「……今はないよ。でも、私は、自分が安全なところにいて……
あの子を、放っておくことは、できない。
警察とか業務とか、そういうのとは関係ないことなら、尚更ね」

388名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 10:47:56 ID:4B4lXlLI0
>>386
「流石にこの状況だったら大人しく話してくれるッス!」
「オラ、あることないこと全部話すッス!」

「だ、誰がお前らなんかに話すか……! こんな目に合わせやがって、ただじゃおかねえからな!?」

「そんな事言っても無駄ッス!こっちは育ち盛りの高校生の胃袋並に情報に飢えてるんッスよ! さぁ吐け!吐けッス!」

「話さないと言ったら話さねー! 帰ってママのおっぱいでも吸ってな!ペッ!」

「ご、強情な奴ッス……!」

自分たちのすぐ近く、キル夫がふっ飛ばした怪人から事情を聞き出そうとするが頑として口を割らない
地団駄を踏むワサビの横を通り過ぎ、もうひとりの怪人に近づくキル夫

「おい新入り、ひでーじゃねえか! こいつらの仲間だったなんて、俺達とは遊びだったのか」

「――――ゲーコゲコゲコ、ゲコゲコゲコゲコ」

怪人の肩を置き、喉を鳴らすようにして蛙の鳴き声を出す
ここからは表情が見えないが、何かしらしているらしい、怪人が黙りこくってしまった

「……ゲ、ゲコ…… ゲコ!?」

ボフン、と音を立て、怪人が蛙と化す
キル夫がその蛙を持ち戻ってきた

「さぁ、どうするか? このまま口を割らないんだったら口をきける必要性ないよナァ……」
「今のオレは優しくねぇ、同じ目に合わせてもいいんだぞ?」

「………………………」

「よーし!あることないこと全てしゃべる!聞かれたことなんでも話してやろう!」

無事、協力的になってくれたらしい
さて、何から聞こうか

389名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 11:18:07 ID:4CsP2KH.0
>>388
キル夫が怪人を蛙に変身させてしまう様をバッチリと目に焼き付け、絵楠は内心驚愕する。
成程、あの時キル夫が自身を蛙に変えていたのは他者にかけられた呪いの類ではなく自発的なものだったのか。
思い返せば、RPG世界でも彼はその手の戦法が最も得意とする分類だったような気もしてくる。
若干、うろ覚えだが。

「キル夫、ちょっと蛙借りるぞ」

キル夫が手に持っていた蛙を拝借し、自分の掌に乗せる。
​───次の瞬間、蛙の脚が全て凍り付いていた。

「ないことは話すな。少しでも嘘を付けばキル夫と協力してお前達を全員こうする」

至って冷静な表情と声色でそう告げる絵楠。
少しずつ凍り付く範囲が広がっている。どうやら本気らしい。
流石に完全に凍てつかせはしないと思うが、時間の問題だろう。やっていることは至ってえげつない。

「……その上で聞く。『聖女』、とは何だ?」

390名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 11:26:25 ID:4B4lXlLI0
>>387
「救急処理室…………」

たいていの病院なら、1階に備え付けられている…… はずである

そっとカウンターから離れると、病院の外観から救急患者が向かう場所に目星をつける
暗い通路に目を凝らすと、警官らしき男二人が倒れていた

近寄ってホルスターに触れる

「………… 取られてる」

警官の近くに、救急患者の名簿が落ちていた
一番新しいページに、数十分前の記録が載っている
【安藤智久 緊急病棟へ移動】



『……………』

ゴムのような質感、わずかに感じる生物としてのぬくもり、そして体の震え
初めて和が見た時、蜘蛛を見てまるで犬のようだと言っていた
何となく、その理由がわかるかもしれない 暴力により虐げられ、無理やりおとなしくさせられた犬

上を見ると、どこかの患者が窓を開けっ放しにしてたのか
カーテンが外に出ているのが見える
ジェットの力を借りるなら、入ることは容易いだろう

391名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 11:32:25 ID:4B4lXlLI0
>>389
「… … … … … …」
「はぁ、『聖女』?なんのこったよ」

「かーえーるーのーうーたーがー」

「や、やめろ!! 知らねえんだよまじで!! てっきりアレイスターの事かと思ったらまるであいつらみたいなこと聞きやがって!」

「……絵楠、ひょっとしてオレがいた拠点の話か?」

質問の内容を聞き、ワサビが脅すように歌い出しキル夫が反応する
そういえば当事者の、一人だったか

「アレについては、 多分まじで心当たりねえだろうな」
「襲撃してきた奴らが、そんなこと口走っていたけど ……どっちかっていうとその聖女の名の下での行動っぽかった」

392名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 13:47:54 ID:sgjVclJ20
>>390
「……不味いですね」

眉をひそめる。
拳銃を所持されたのは、とてつもない脅威である。
扱いに慣れていないなら、当たる可能性も低いが、
彼がどのような人物か全く分からない今、最悪のケースを考えたほうがいいだろう。

「……烏屋さん」

「本来なら、民間人であるあなたを巻き込むのはもっての他なこと、なんですが……」

「ここで、安全な場所に、といっても、あなたも男に顔を知られている以上、一人にはできません」

「なので、僕の後ろにいてください。
いざとなったら、逃げる時間は稼ぎますので」



ジェットは諦めたかのようにため息をつき、瑠奈を見上げた。

『相変わらず、ですね。
あれから10年、少しは落ち着いたかと思ったのに』

「まあ、10年で人が変わるなら私は10年前にはおしとやかになってますよ」

ジェットが伏せるように体を低くする。
それを見てからジェットの背に乗ると、開けっぱなしになっている病室まで飛ぶ。
窓に手をかけてから、頭に浮かんだことを呟く。

「……建造物侵入……そういえばさっきも廃屋勝手に入っちゃったな……軽犯罪……」

『危なくなったら呼んでくださいよ』

「あ、はーい」

するっと病室に入り込んだ。
ジェットはそれを確認したのちに、駐車場の植え込みにある木に止まり、
蜘蛛を握りながらもじっと、病院を睨み付けた。

393名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 16:42:24 ID:Pqg.YyFc0
>>391
「……俺達以外に、アレイスターの件に関わっている奴等が存在する……?」
「(あの拠点の有様からして、自爆特攻をしたようなものだ。……惨い話だな、全く)」

当然と言えば当然か、怪人達は『聖女』については知らないことを聞き、改めて考える。
利害の一致とも思えなくはないが​────アレイスター共を始末し終えた後、こちらが狙われる可能性も無くはない。
むしろ、大規模な火災を起こしてまで事を成し遂げようとしている分質が悪い。

「……二つ目だ。お前達が任された拠点は、燃やされたものとここだけか?」

自分達の見つけた、離島に位置する拠点。
移動手段はエイラが確保してくれているが、他にも拠点の情報は必要ではある。
一つ程度でもいい。必ず、知らねばならない。

394名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 21:47:46 ID:4B4lXlLI0
>>392
「……こうなってくると視界が暗いのが幸いしたわね、明かりをつけたら狙われる事までわかったけれど……」

素人、なおかつこの停電ならば、遠くから狙撃される可能性も少ない
ぼんやりと互いが見える位置まで近づき、声を潜め会話をする
ともかく相手に悟られない事、生き残るにはそれしか

「………………」

翔の申し出に、何か言いたそうに迷う素振りを見せる
しかし言わないほうがいいと判断したのか、渋々頷いた

「(いざとなったら引っ張ってでも逃げましょう、あまり動けないはずだから撒ける……はず)」
「(……あまり動けない?)」

ふと、頭をよぎった事があった
周りが眠りだしたタイミング、それから間を置かずにして発生した停電
案内板がないか、辺りを見回す

「……來咲巡査、 このタイミングで停電が起きたということは ……人為的なものよね?」
「彼、あの怪我だから ……まだ電気管理室かどこかの方に、もしかしたら」



病室に飛び込むと、そこは外と同じように停電し、窓から差し込む夕日が辺りを照らしていた
患者たちはベッドに横たわり、すやすやと寝息をたてている。 どうやら集団の病室に入ったらしい
平和な光景だ  ……窓辺に立っているおかげで、さらにハンカチで防御しているおかげで効果は薄くなっている
その『平和な光景』という認識が、異常の物と理解できる

395名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 21:54:52 ID:4B4lXlLI0
>>393
「話聞く限りそうらしいッスけど手放しで喜べないッス……」
「徹底的に破壊してたからナァ…… こっちにも牙向けそうだ」

「……あ、あぁそうだ…… いやちげーか? ここは破棄されてたんだわ」
「アレイスターの野郎人様がせっかく苦労して見つけたここを『なんか違う』だとかなんとか言いやがってばっさり切り捨てやがって……!」

「ん? この地下室と隠し部屋、お前らが作ったんじゃねーのか?」

「元からあったんだよ! そもそもアレイスターの野郎がこっちで弄ること許さねえし!はームカつく!」
「……なんでそんな奴に従ってるんッスか?」
「金だよ金!この件終わったらたっぷり金が貰えるからな!」
「oh...」

396名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 23:37:29 ID:H679hrsc0
>>395
「…… お、あったあった」

怪人達の欲と恨みに塗れた嘆きを聞いた後、鞄を漁る絵楠。
出てきたのは​───ヘアピン?

「……随分と好き勝手に言ってるようだねぇ、君達?」
「僕が君達みたいな奴らに本気で金を渡すと思ったかい?使えない駒は邪魔だよ、とっとと消え失せてくれないかなぁ」

ヘアピンを付け始めたと思ったら、何たることか。
突然アレイスターの真似事を始め、明らかに怪人達を煽る始末。
少し疲れたのだろう。恐らく気の迷いだ、さほど気にするものでもない。
当然のことながら、顔は瓜二つで声も若干低めではあるがほぼ同じなのでクオリティは高い。

「さて、それはさておき、だ。ここには元からこの隠し部屋があったのか」
「誰が何の目的で作ったんだ……?」

397名無しのカウンセリングだべ:2017/05/21(日) 23:51:40 ID:V4oZv0w20
>>396
「ん?」
「あ」
「!?」

各々、色々な反応を見せる一同
キル夫は頭を傾げ、ワサビは呆れた顔をし、怪人は泡食って立ち上がった

「あ、アレイスター!?!?てめ、嘘ってなんだよ!骨折り損のタダ働き、ちくしょー!!!!!」

大声で叫び、倒れた仲間やカエルを放って逃げ出した
ワサビとキル夫が顔を見合わせる

「…………なんだ、あれ」
「敵の黒幕の真似事── はっ!ひょっとしたらどこかで入れ替わってたかもしれないッス!」
「えぇ、いやまさか」
「試しに一発ぶん殴ってみるッス!黒幕ならそのままマウントとってフルボッコ!絵楠ならとりあえず気絶させて事実判明したあと謝罪すれば無問題」
「やめろ」

遊園地に地下通路、といえば業務用の通路を思い起こす
かの有名な世界的テーマパークにもクルー用の地下通路があるのだ

だが、それにしては異様なのだ
上の城のハリボテや、妙に異世界風の内装と同じように遊園地に対して劣化が少ないのだ
閉園後に作られた、のか……?

「……死屍累々すぎて鼻がきかねぇッス、先に進むっすか?」

398名無しのカウンセリングだべ:2017/05/22(月) 00:02:14 ID:3zVK3xRE0
>>394
「……そう、ですね。
先ほどのシャッターにこの停電が彼の仕業なら、そこか、
電気管理室から緊急病棟への道筋のどこか、といったところでしょうか」

未だに暗い病院内。
そのことに、翔は顔を曇らせた。

「……停電時、病院には、自家発電へと移行する機能がついているはずです。
総合病院なら尚更。
導入している機能によっては数分かかることもあるそうですが、
しかし、ここまで時間がかかっていると、そっちにも細工をしたか……
無理に壊した可能性もあります。
しばらく持つとは思いますが……」

人工ポンプや人工呼吸器等といった医療機器は近年、バッテリー内蔵型が主流である。
そこまで古くも、小さくもない病院だ。数時間、ものによっては日にち単位で動作はするだろう。
手術中であったならば、悲惨どころの話ではないが。

「……慎重にいきましょう。
形振り構わない相手ほど、厄介なものはありませんから」



「申し訳ないでーす……お邪魔しまーす……」

その必要は恐らくないだろうとは思いつつも、そろそろと忍び足と小声でその場を通る瑠奈。
廊下へと出て、とりあえずは息をつく。

(……これでどこまで持つか分からない。
早く二人を探さなくては。
ガスマスクでもあれば手が空くんだけど……無い物ねだりか)

(どうするか……二人はまだロビーに? それとも診察室か……
先に電気系統を回復させるのもあり、か。
……どうするにせよ、一階に降りないと)

懐中電灯を、と取り出そうとするが、あいにく林で投げ飛ばして、そのままなことを思い出した。
完全に採光が遮られてはいないといえ、視界が良好ではないこと、
事情聴取で聞かれることが増えるかもされない事実に内心舌打ちをしながら壁に書かれた「三階」の文字を横目に階段を降りていった。

399名無しのカウンセリングだべ:2017/05/22(月) 00:33:59 ID:H679hrsc0
>>397
「落ち着け、只の遊びだ」

やはりワサビの前ではマズかったか。
内心そう思いながらも結局実行してしまった時点で、対して反省の意味もないか。
ヘアピンを外し、鞄へと投げ入れ絵楠は改めて周りを見渡す。

「……これ以上は目ぼしい情報も無いな」
「先に進むとしよう、さっさと探索を終わらせて帰らないとな」


「……一週間」
「(今は俺一人で抑えることが出来ているが、この先もそう出来るとは言い難い)」
「(けど、クルーをこれ以上巻き込むわけにも行かない)」

絵楠達が、瑠奈達がそれぞれの行動を続ける中。
宇宙から少しずつ近づいているロケットの中でも、一人この先の行動を見据えている男がいた。
一週間という時間の中で、如何にして敵を​──アレイスター達を退けロケットを辿り着かせるか。

「(あの男は、俺にだけ接触してきた。これはゲームだ、と)」
「(つまり、未だに地球の人々やクルーは俺達がゲームに巻き込まれていることは知らない)」

「……何かできることはある筈だ。奴に、一泡吹かせないとな」

400名無しのカウンセリングだべ:2017/05/22(月) 23:15:32 ID:4B4lXlLI0
>>399
「ワサビ見てると実家の犬思い出すナァー……」
「む、犬とはなんッスか! まぁ昔を思い出すんならそれはそれで」
「帰る度に飼い主忘れてるんだよナァ……」
「……間接的にオイラのことをアホ犬扱いすんなッス!!!」

ひょっとしたら、嗅覚が死んでるのかもしれない、この部屋がくさすぎるあまり機能していないのかもしれない

―――――――


通路を抜けると、やっぱり従業員専用の地下通路……?だったのか、
無造作にダンボールに突っ込まれた衣装や古びたカップラーメンのカップが転がっている部屋に出た
従業員と言えば従業員のものなのだが、それにしてはなんだか妙だった

「…… ここもなんか、上に比べると妙に新しいッス!」
「カレンダーも…… 確か二年前か? 『成人の儀』やら『魔術の発表会』やら……」

単純に新しい、だけではない
魔術書を模した本や、『勇者』のキャラを作る計画書がちらばっていた
……もしも絵楠が、外国語に学があるなら魔術書に書かれた呪文らしき単語が、単なるドイツ語やフランス語だとわかるかもしれない
それも『炎を放つ魔法』と銘打たれた呪文が、『私の人生は無意味だった』『存在そのものが虚構』『私は愚か者』など、口にした本人が侮蔑したものだと理解できるかもしれない

401名無しのカウンセリングだべ:2017/05/22(月) 23:39:02 ID:4B4lXlLI0
>>398
そうした設備は、地下にあるのが通例。 この病院もまた、例外ではなかった
翔を先頭に、和が背中を警戒しながら階段から下へ降り、関係者以外立ち入り禁止の部屋へと入っていく
遠目に見て、微妙に開けられた部屋に電気関係の設備と思える機械が見えた

「……彼が潜んでいるとしたら、この辺り」
「なるべく物陰に隠れながら移動しましょう ……出会い頭に撃たれたらたまったもんじゃないわ」

耳元で辛うじて聞こえるほど、声の音量を下げ、歩いて行く二人
奥の電気管理室へ、いるいないにも関わらず電気系統を回復させるためにも前に進む――

ふと、傍らにある部屋の扉が半開きになっている事に気づいた

「……………」

翔の服を引っ張り、無言で指をさす
ドアノブに手をかけ、静かに回し――――

ドアを開けても、中には誰もいなかった

「……………」ハァ



ドンッ

「!?」

中を見て、少し肩すかしを喰らい二人が歩きだそうとすると
何者かに背中を押され、部屋の中へと押しやられた二人
相手の顔を確認する暇もなく扉が閉まり、走り去る音が聞こえた
ドアノブに手をかけるも、何かが扉の前に置かれ邪魔しているのか開かない……!




「―――――」
「―――――――――――」

「あぁ―――― 感じ、ます…… 救いを求める、存在―――― 悪魔に苦しむ、哀れな羊よ……」

【二階】と書かれた文字が、すぐに見えた
踊り場に、誰かがいた

「フフフ…… やはり…… ハハッ…… 【治療】をお望み…… 戻ってくると、ヒ、ヒヒヒ……信じてました……」
「私は………… ―――【我々】は貴女の中の悪魔を……ヒ、ヒヒッ…… 祓ってみせます」


「――――【聖女】に救いあれ、我々に加護あらん事を」

怪我の処置は、不幸なことにされている
万全ではない、だが幾分かマシになってしまっていた

運び込まれた男は意識を取り戻し、妙に甘い香りを辺りに撒き散らしながら
銃口を上へ、瑠奈へと向けていた

402名無しのカウンセリングだべ:2017/05/23(火) 01:38:01 ID:H679hrsc0
>>400
​──仲良しだなぁ、あいつら。
二人で忙しなく喋り続けるワサビとキル夫を見つめ、何処と無く穏やかな顔で微笑む絵楠。
昔は、むしろ二人に見守られる側だっただろうか。自分が特にやんちゃ坊主だったのは自覚もあるので、そうだったとしても否定はしない。
懐かしい頃の思い出として閉まっておくだろう。

「で、……成程な」

その一方で、見つけ出した本の内容はバッチリと読み解いていた。
異世界へと迷い込む以前のまま大人になっていたとしたら、こんな事出来ず終いだっただろう。
しかし、今の彼にはかつての経験が強力な武器として備わっている。その武器は時に、敵を倒すためだけではなく道を解き明かすためにも扱われる。
​──『地球の本棚』で培われた知識は、伊達ではなかったのだ。

「……魔術や異世界への憧れから、拗れたか?」

自らが模倣した魔術書を、わざわざ侮蔑する程の感情の波だったのだろう。
成人の儀、等の単語も気になりはするが、一体どのようなものなのだろうか?
​──他にも何か、手掛かりはないか。
手当り次第に、絵楠は周りのものを更に隈無く漁り始めた。

403名無しのカウンセリングだべ:2017/05/23(火) 19:45:14 ID:4B4lXlLI0
>>402
「これは…… 魔術書ッスか? め、めい……」
「Mein Leben war leer、だな」
「おー! まいんりーべーばーりー! ここの世界の呪文はおしゃれッス!まいんりーべーばりー!」
「いい言葉じゃないから連呼するもんじゃないんだよナァー」

意味を知らなければ、ただの呪文としてしか認識できないような発音と内容
言葉を知っている人間からしてみれば滑稽で、悪質なイタズラに使われてたかもしれない

辺りをくまなく探すと、床の隙間から古びた写真が見つかった
外のハリボテの城が立てかけられ、まるで本物の城のように見える光景
中央にはどこか高貴さを感じさせる銀髪の少女、そして周りには執事や召使と思わしき人間が並んでいる

……銀髪の少女は、笑顔を浮かべていた
それなのに、周りの執事達がやけに わざとらしい張り付いたニヤケ顔なのは、何故だろう

写真を裏返すと、何かの手紙が張り付いていた
字がかすれて読めないが、辛うじて 『悪魔憑きの少女を確かに受けった』との文面が読み取れる
……この他は何も見つからない

404名無しのカウンセリングだべ:2017/05/23(火) 23:13:28 ID:sgjVclJ20
>>401
「っ、やられた……!」

何度かドアを押すが、びくともしない。
今までの話からして、そこまで余裕があるとは思っていなかった。

病院内はすでにほとんどの人が寝ている。
……そんな中、誰かが来ると、予想していたのか?
それとも、例外がいると確信していたのか。

「……撃たれなかったことは幸いですが、まさか閉じ込められるとは。
走る足音も聞こえましたが……驚異的な回復力があった、のでしょうか……それとも別の……
いえ、まずは出ることが先決ですね」

と、部屋の中を見渡す。
出口となりうる場所や使えそうな道具はあるだろうか。
そもそも、ここはどんな部屋だろうか。



瑠奈は持っている銃に気づいて少し動きを止めたが、すぐになんでもないかのように男を見下ろした。
その目は、冷たく、男の持つ拳銃、否、男の手を見ていた。

(……銃を持っていたか。
いや、作り出す能力があるならまだしも、手当ての時点では持っていなかった……
となるとあれは、いればの話だが、協力者が用意したものか……
警察官の、もの)

容疑者を病院へと連れていった、二人の夕闇町の警察官。
翔は非番であることもあり、持っていなかったから、あり得るならあの二人から奪ったことになるだろう。

(警察の拳銃ならば、SAKURA M360J。最大装填数は5発。
二丁くすねていると考えても、10発)

(……銃の素人なら、治療されたとはいえあの怪我、この距離、かつ見上げた状態で動く的に対してなんて、まず当たらない)

(素人でなかったなら……まあ、また泣かれてしまうかもね)

近づくことも遠ざかることもせずに、男の動向を、引き金にかかっている指を見る。

(――大丈夫。
タイミングが分かれば、音は、怖くない。
片手は使えないが、
最悪直撃を避けて、懐に、行けさえすれば)

(……待つよりも、だね)

「……男性を意識不明になるまで殴り、少女の顔に傷を残し。
蜘蛛くんを利用した上に、警察官から銃を奪って。
自分にとって不都合なことは、すべて悪魔の仕業。
そして、お次は聖女サマですか。
実に面白い」

「その突拍子のない、理不尽で、誰をも害する狂った正義感。
まるで、あなたのほうが、悪魔憑きね」

405名無しのカウンセリングだべ:2017/05/24(水) 00:18:17 ID:H679hrsc0
>>403
「うーむ。随分と前にオカルト系の記事を書いた時に取り上げたことがあった気がするな、この手の本」
「まぁ、少なくともこいつは只の悪戯に過ぎない可能性の方が高いけど」

あくまで記憶の中での話に過ぎないため、本が違う可能性はあるが​───
少なくとも、この手の本を記事に取り上げたことが絵楠にはあるようだ。
その弊害が起きていたりしなければいいのだが、一概には言えないか。

「……随分と古ぼけた写真だが、外のハリボテと城の特徴が一致しているな」
「(だが、何だ……この違和感は?それにこのメッセージ)」

写真に添付されていた手紙の内容と照らし合わせる。
中央に映っている、銀髪の少女。彼女に悪魔が取り憑いている、とでも言っているのだろうか?
それに、何故この城のハリボテがこんな辺鄙な廃園に作られているのだろうか?
作り話を元にしたアトラクションのつもりだったが、あるいは​────

「これ以上は何も見つからない、か」
「ワサビ、キル夫。調査はここまでだ、そろそろ戻ろう」

406名無しのカウンセリングだべ:2017/05/24(水) 07:33:45 ID:wykbYVa20
>>405
「結局アレイスターに関する情報はなかったッスねー……」
「怪人達は…… 放っとくか、拠点が破壊された時の難民キャンプみたいだしナァー」

今回のことでわかったが、この遊園地はどうも守る側がとても弱い
通路に密集したら一網打尽にされるし、上は老朽化で乗った日には粉々とチリとかしていきそうだ

「……こっちの方から風感じるッス!もう一つ出口あるみたいッスね」



ワサビの言う通りに進むと、遊園地の外の茂みに隠された隠し通路に出た
聖女に関する情報は、なかったかもしれないが
気になる箇所はいくつもあった、問題はこれがどれだけ関わってくるのかと言うところだが


「とりあえずレジスタンスベースに戻るッスか?」

407名無しのカウンセリングだべ:2017/05/24(水) 08:05:41 ID:LPhqZ3lE0
>>404
「……私はあくまで【治療】を施したまでです……私だって誰かを殴ることは辛いのですよ!」
「しかしこれは必要なことなのです……誰かがやらなければならないのです!」

「私は間違ったことなどしていないのです…… 貴女も見たはずです」
「私の体の中にいる悪魔は私の方が強いと悟り私に従った!
体の中にいたあの悪魔は私が重傷を負ったがために体から出て言った! 我々の【治療】は間違っていない!」

この男の体の中にいた蜘蛛は、 ……触ってみると殴られた痕があった
この男の体から蜘蛛が出て言ったのは、この男を痛めつけたからだった

体の中にいる幻獣を悪魔と呼び、それらを追い出し従わせるのを治療と呼ぶ
いつしか幻獣に取り憑かれた人間とそうでない人間の区別がつかなくなり、全てに治療を施すようになった

「我らの【聖女】も【治療】を受け、体の悪いものを全て出したからこそ【聖女】と成し得たのです!
我々の決断は間違っていなかった!」



「……っ……あの怪我であんなに動けるなんて、思いたくない…………」

押され倒れた時、怪我をした手を打ったのか
息が荒く油汗を額に浮かばせながら立ち上がる和
見たところ、資料室 というか物置というか、ロッカールームというか
あんまり有効活用されていない気がする

「ドアをぶち破るのに使えそうな道具、ないもんかしら……」ガチャッドサッ



「……………」

何気なく、ロッカーを開けると中から出てきたのは身ぐるみを剥がされ下着姿となったまま眠りこける男性
盛大に倒れても目を覚まさないあたりよほど催眠ガスの効果が強いと見える

……なんとなく、見覚えある、ような
被害者の男性を任された、警察の一人……?

「……來咲巡査」

逮捕しないのと、言いたげな表情で翔を見る和
ロッカールームに潜んでいた変質者が騒動に巻き込まれたと、そのように見えるのか

408名無しのカウンセリングだべ:2017/05/24(水) 09:37:44 ID:rSL.2IBY0
>>406
「あいつの事だ、次の拠点を攻略し終えた辺りでまた何か仕掛けてくるだろう」
「その時は、絶対に一泡吹かせてやる」

今の所、アレイスターに同様や衝撃を与えられたのは和一人。
しかし、あれも状況が状況だからこそ出来たものであり、何度も同じことは出来ない。
そうなった場合、彼に一泡吹かせるには​───綿密に策を練り、彼の予想を遥かに上回る行動を起こさねば。

「念のためこの本と写真は俺達が回収しておくか。聖女、とやらも気になるしな」
「……そうだな。そろそろ、戻ろう」

409名無しのカウンセリングだべ:2017/05/24(水) 21:55:33 ID:h05OFT8.0
>>407
他のロッカーを探っていた翔は大きな音と和の言葉によってそちらを向いた。
始めはうわあ、というような表情で下着姿の男を見下ろしたが、その人の顔を見て目を見開いた。

「……烏屋さん。この人は、あの場にいた、夕闇町の警察官ですよ」

しかし、和と翔は先ほど、警官を、
否、警官の格好をして倒れていた二人の人物を見ている。

「……たまたまあの病院に、別の警察官がいた、なんて
希望的観測はよしたほうがよさそうですね」

顔まで確認しなかったことが、否、先入観に捕らわれてしまったことが仇となったのか。


そして哀れな警察官は床に転がしたままにすることにした。
この部屋に布があればかけただろう。




(後半は全スルーか……)

銃の持ち出しや持ち出しや持ち出しを突っ込みたかったが仕方ない。
しかし、今までより話が通じやすい。
……となると、予想していたとはいえ、今までのは彼の意志での行動だと、少なくとも蜘蛛は全くの被害者だと発覚したわけだが。
呆れたように、大きくため息をついた。

「そんなことは、そんな理由で暴力が許される異界でやることですね」

「ここは現代日本。
あなたがどれだけ言葉を連ねようが、
あなたは、犯罪者です」

傷害、暴行、場合によっては殺人未遂、
更には窃盗に銃刀法違反。公務執行妨害もあるかもしれない。
異世界関係のことを法律に当てはめるのはおかしいと思われるだろうし、
自分でもそう思うが性分なのだ、ずっと変われなかった。

「……もしかして、治療と称して人を痛め付けることに快感でも覚えましたか。
それなら、悪さをしていない生き物にも、そもそも何も憑いていない人間にも危害を加えようとするのも分かります。
悪魔が憑いているって自分で盲目的に信じ込んで正当化すれば、あなたの中では、良いことをした、ということになりますからね」

「自分より弱い存在をいたぶるのは楽しかったですか?
……今度はあなたが悪魔払いされる番ですよ。
いや、今度も、かな」

410名無しのカウンセリングだべ:2017/05/24(水) 23:26:01 ID:4B4lXlLI0
>>408
「今回の拠点で何か動いてくれないッスかねー 違う奴参戦してるのにノーリアクション辺りオイラ達以外眼中にないんッスかね」

後ろに頭を回し、絵楠についでバイクのところに戻る一行
キル夫は黒幕と面識がなく、これから向かう先もわからないためか不安そうな顔をしていた
……いや別件だろう、バイクのところに戻るとため息をついた

「どうしたッスか? 不安なのわかるッスけどそんなに気を落とすほどじゃないッス!」
「…… 帰り道どうすんだヨ」
「え?そりゃ…… ……あ」

来る時はどうしてたか? 一匹蛙になっていた
バイクのデカさ関係なく、基本二人乗りが限界だろう
何とも言えぬ表情を浮かべる二人

と、キル夫がワサビの肩に手を置いた

「…………ワサビ」
「や、やっぱりそうなるんッスか!? いやなんで!?」
「オレは蛙化の技使えるし戻す技使える、蛙になったら使えない」
「えぇぇぇえええええ!? ……うわ消去法でオイラしかいねーッス!!それでも嫌」




「グワッグワッ ゲーロゲロッ」

411名無しのカウンセリングだべ:2017/05/24(水) 23:55:20 ID:4B4lXlLI0
>>409
「あぁ…… 我々のやる行為はいつだって理解されない物です、そんなに…… フフフ……面白そうに、見えるなんて」

悲しげな口調で、笑みをこぼして
瑠奈の言うことに一切反論もしないで―― あくまで、被害者であるままだった

この男の中では、善意の行動なのかもしれない。 それを理解されない悲劇の登場人物の一人なのかもしれない
己の善意を暴力で満たしながら、周りに傷ついた人の山を作りながらこうしてきたのだろう
こうしていくのだろう

「………話込むつもりはなかったのについ話がつづいてしまいました」
「急な停電に、閉じ込められた我々―― 貴女は私を拒絶するでしょう、それでも私は貴女を救いたいのです、【治療】したいのです」
「しかし、ここでは【治療】も満足にできない……… なら」

「我々の【家】に――行かなければ―――」

男の引き金にかかる、指が動く
辺りに銃声が響いた






「………… 入れ替わり……? 違う警官との、合流……?」

とっさに見苦しい物を隠そうと、ブレザーをかぶせると頭に疑問が浮かび上がる
あの二人は、少なくともホルダーに銃はなかった、寝ていたフリをしているのだとしても隠す場所などなかったはず
さらにここまでは一本道で、先回りできる余裕など無かったはず

「………… 今回の加害者、悪魔祓いという名目で動いていた」
「悪魔がついているわけではないけれど……」

心当たりがないわけではない
「なら、あの被害者の人も……」

その思考を、一つの銃声が遮った



「フフ……ハハハハ…… ハハハハハハ……!!」
「ハーハハハハ、ハハ、ハ………」

「な、ぜ……?」

銃を取り落とし、腕を抑える男
下の階から足音が響き、片方の手とハンカチで顔を抑えた 警官姿の男が、今しがた弾丸を放った銃を片手に登ってきて男を取り押さえた

「異常事態で遅れました、警察です ……お怪我はありませんか?」

412名無しのカウンセリングだべ:2017/05/25(木) 01:53:00 ID:H679hrsc0
>>410
「アレイスターの事だ、『聖女』の存在をゲーム内のイベントとして利用してくるはず」
「現状のままでいけば三つ巴の戦いになるんだ。奴の思考をそれとなく想像すれば、むしろ奴にとっては美味しい状況になる」

世界征服などという理由ではなく、純粋にゲームをエイラと絵楠達に向け仕掛けてきたアレイスター。
あまり勝手なことをするのならば『聖女』側を排除しにかかるとは思われる。
しかし、現状でいえば『聖女』側はむしろアレイスター側を倒そうとしている。彼の想定内にはいない存在だが、ゲームを盛り上げる要素として利用はしてくるだろう。
小さなものとはいえ拠点を一つ叩かれたことからも、攻撃の理由としては説明が付く。
絵楠の言う通り​────三つ巴の戦いが展開されるか?

「ワサビ……」
「まぁ仕方ない、な。さぁ、スペースへ帰ろうか」

今度こそ探索を終えた筈。
気になる要素も増えたが、証拠となる物をある程度は確保出来た。
明日の拠点攻略への差し支えにはならない、成果としては上々だろう。

「(あの時、アレイスターは紫のメダルを俺達にぶつけてきた)」
「……明日の拠点攻略」

バイクを走らせる最中、一つ考え事に耽る。
一番最初の拠点攻略の時、アレイスターが呼び出した強敵​────プトティラコンボ。
結局あの後紫のメダルは再び回収され、他のメダルも戻らす終い。
そこから連想される内容は遥かに分かりやすい。

「俺としては、新たな一歩になる」
「オーズとして、もう一度戦うために」

一人、そう呟き。
絵楠はライドベンダーの速度を上げた。

413名無しのカウンセリングだべ:2017/05/25(木) 19:07:07 ID:7vW5Me1.0
>>411
「っ……」

「その被害者か容疑者本人か、または別の第三者かは分かりませんが、
少なくとも、この状況下で、
烏屋さんのような体質か催眠ガスのようなものを発生させた張本人、
もしくはそれを知っており、対処できる人物がいたのは確かです。
……急いでここから出る手段を見つけなくては」

誰に向けられた銃声なのか、自分たちを閉じ込めた人物や、二人いた警官の内の一人が容疑者から離れてこのような地下にいる理由など――これは警察官の服を奪うために誘い出されたかなにかだろうが――疑問点もたくさんある。
だからといって立ち止まっても疑問は解決しないし、事態は好転しない。

「隙間がある程度開くなら、棒かなにかで外の物を動かすこともできるのですが。
あの短時間でドアを押さえられる物なら、少なくとも大きな家具とかではないでしょうし。
……変な能力を使われていない限り」

これで扉が凍っていたり、岩が置かれていたりしたら堪ったものではない。
とはいえ、パッと見そんな雰囲気はないため大丈夫だろう。多分。

「工具でもあればドアを取り外したり、
蝶番を……壊すのは、外開きなら難しいでしょうか」

「……後は、蹴破るしか」



「…………」

「……………………はっ。
だ、大丈夫です」

思っていたタイミングと違うところから鳴らされた銃声に硬直していたが、
声をかけられてようやく我に返る瑠奈。
恐る恐る、階段を降りていき降りていく。
踊り場まできた辺りで、ふと思い立ち、男が落とした銃を軽く蹴る。
銃は踊り場の端へと滑っていった。これで万が一拘束を振り切っても、その直後では銃での攻撃ができないだろう。

(てっきりシャッターや停電は、彼が被害者を狙ったり、逃げるための時間稼ぎと思ったが……
ならば、誰が、何の目的で……)

(……いや、内側なら窓も開くだろうし、逃げるためなら上の階層に来ていること自体、不自然……か。
……今は、それよりも)

ハンカチで口元を押さえている警察官を見る。
下の階から来たのなら、元々この病院内にいた警察官であろう。
暗くて顔がはっきり見えないため、あのときに居合わせた者かは判断つかないが。
しかし、この人は、ある程度男の能力を知っていたのだろうか。

「……なにか、お手伝いいたしましょうか。
他のかたは、まだ見えないようですし」

他の警察官のことを交えながらも、そう問いかけた。

414名無しのカウンセリングだべ:2017/05/25(木) 19:26:28 ID:4B4lXlLI0
>>412
「共倒れが一番美味い展開だけどナァー…… 最悪こっち狙ってきたら2対1……」

互い違いに殴り合うのがベストだが、
アレイスター側が煽ってこっちに刺客を差し向ける可能性だってひょっとしてあるかもしれない
単純に絵楠達を主人公としてではなく、コマの一つとしてしか見てないのならなおさらだ

「……そうならないことを祈るしかないな、ワサビ」
「……………ゲコ」

キル夫の方には、毛並みと同じく青色でどこか本人の尻尾と似た青色の尻尾を持つ蛙がのっていた
見るからに不機嫌そうで、もとに戻るなり噛み付くかもしれない それは本人のしるところじゃないだろう

町並みがあっという間に通り過ぎていく、ワサビが飛んでいかぬよう押さえつけつつ、
辺りを新鮮なものを見るように、懐かしいものを見るように見回すキル夫だった

415名無しのカウンセリングだべ:2017/05/25(木) 20:35:04 ID:4B4lXlLI0
>>413
そう言われるが否や

ガンッ! ドンッ!

扉に向け、体をぶつけ、破壊しようと目論む和

銃声を聞き、明らかに焦っていた
これが今回の加害者の男に向けて撃たれたのなら万々歳だった、
だが、もしも他の人にならば
邪魔をした瑠奈に向けられたのなら

気が気でなかった

「(……悪魔でも、幻聴でも…… この際どうだっていい……!)」

「――――――!!!」

ド ン ッ

ひときわ大きな音が響くと、開け放たれる扉
そばにはこれで抑えていたのだろう、真っ二つに割れた箒が転がっている

危うくバランスを崩しそうになるが、翔に支えられ、すぐに体勢を立て直す和
礼を言う暇もなく、走り出そうとする

「翔さん、上の階……! い、急がないと……!!」



「や、やめろ 離せ!!」
「私は、治療を―――」

プシュッ


何か発射音のようなものが聞こえると、騒いでいた男の声の音量が下がっていき、
気がつけばおとなしくなっていた

怪人が現れるようになり、警官の装備のグレードも上がったのか?
麻酔銃を、携帯しているようだ

「――――問題ありません、貴女は大人しくここで待っていてください。 出歩くのは危険だ」
「私はこの男を閉じ込めに行きます。 外にいたら何をするかわからない」

意図的か、あるいは照明のせいか
帽子に隠され、ハンカチで顔を覆っているがため顔が見えない
その警官は、まるで屁でもないかのように―― 今しがたまで騒いでいた男を、片腕で持ち上げると
大きめの荷物を運んでいるのかのように肩に乗せた

「もうすぐ他の警察官が応援に駆けつけます、それまでじっとするように ――――」

誰かが走ってくる音が聞こえ、言葉を切る警官
今の話にでた警察官が、来たわけではなさそうだ ――ハンカチを口で噛み、右手に麻酔銃を持った

「ハァ、ァ、ハァ、ハァ…………!」
「…………來、咲さん………?」

息を荒くし、現れたのは今までどこにいたのか、和と翔
今降りようとしていた警官、登ろうとする和と翔

ただの警察官のはずなのに、危険などないだろうに―― 妙な緊張感が走った

416名無しのカウンセリングだべ:2017/05/26(金) 00:02:50 ID:Azms7eDo0
>>415
和とともに階段を駆け上がると――情けないことにドア突破に全然役立たずだったことはこの際置いておくとして――
そこには、例の男を背負った警察官の男性と、姉である瑠奈。
息を整えながらも、姉の容態を確認する。
……無傷のようだ。
瑠奈も、和と翔の姿を見て、今まで少し強張っていた表情が一気に和らいだ。

「よかった……お二人とも、無事のようで」

仕切りによかったよかったと呟くように言う。
瑠奈には拳銃に対してトラウマを抱いている。特に、音とその瞬間に舞う血飛沫に。
それが自分へと向かうものではなかったが、発砲が起きた事実に対して無意識に臆していたのかもしれない。

そんな瑠奈に反して、全然安心できないのが、和と翔なのではあるが。

本物かは区別が付かない。名前及び所属や階級――これは制服を見ることが出来ればわかるが――を尋ねればいいのだろうが、
男性は銃、警察支給の銃ではない、を片手に持っている。
しかも、すぐ傍には瑠奈がいる。
人数的にも、挟み撃ちのようになっている現状としても、有利には見えるが、
男がどんな能力を持っているか分からない今、下手に刺激させることは避けたかった。

三人に漂う空気に気づいたのだろう。
瑠奈は和と翔、そして警察官を見ていたが、少し申し訳なさそうに言った。

「……恩を仇で返すようで悪いのですが」

「あなた、警察官ではないか、警察官としてはアウトよりの方ですよね」

「……対人の麻酔銃は化学兵器扱いですし、麻酔を使うことから医療行為でもあるとされているため、
現状、警察官が持つことなんて、有り得ないんですよ。
例え、怪人やら怪獣が攻めてきても。
そもそも、先進国では作ることができないので」

「実は本職は獣医さんで動物用のを改良しただとか、
中国にはあるという噂なのでそっちから輸入とかなら……
あとは、もう、ゲーム、のようなお話になりますね」

……全くその通りではあるのだが、今指摘する場面ではない。
彼が持っているものが麻酔銃と分かったのはいいのだけれども。

417名無しのカウンセリングだべ:2017/05/26(金) 00:35:43 ID:hRNQdwTI0
>>416
「………………」
「………………」

階段中腹で立ち止まる男を、下から睨む和
警察官──── 否、警察の制服に身を包んだ男は床を見たまま沈黙していた

下から上から降り注ぐ、疑惑の目
男が、ため息をついた

「随分と平和で窮屈な世界ですね、この『世界』は ───羨ましいほどに」

「…………!」



「この男は警察の手には負えない、來咲瑠奈」
「────元々我々の世界のものです、これは」

プシュッ

「────え」
「────そんな物騒なものを何故貴女が持ち歩いているかは存じません、烏屋カズ」
「お返しさせていただきます ───弾も一緒に」

麻酔銃から放たれた針が、和の首に刺さり
ガスとは打って変わり一撃で意識を掠め取られる和
体から力が抜け、後ろに倒れかかるが、男の手に支えられ
翔の方に押し付けられた

銃口を向けられるのを、ただ黙って見ていたわけではない
男一人を背負っていたにもかかわらず、階段という不利な状況だったにもかかわらず
気がつけば手がすぐに届く場所に、男は降りていた

418名無しのカウンセリングだべ:2017/05/26(金) 01:46:49 ID:H679hrsc0
>>414
「共倒れを一番狙いそうなのは個人的に『聖女』側だと思うがな……」
「仮にアレイスターを潰せば、次は俺達が狙われかねん」

今でも十分狙われそうだがな、と続けながら絵楠は呟いた。
正直、聖女側と協力し合うつもりもなければ、詳細を調べてもすぐさま撃退するつもりもない。
仕掛けられればこちらも相応の対応はするが、今は動く必要も無いだろう。
エイラに頼み、数人ほど聖女の調査に人員を回してもらうつもりではあるが。

「……今度、和や瑠奈に何か知っていることがないか聞いてみるか」

しかし、それにしても今は聖女のデータが少なすぎる。
二人が何か知っていればいいのだが、と、思いつつも、自分でも調査をすることはやめないでおこう。
と、そんな考え事をしているうちに無事に到着したようだった。

「懐かしいか、キル夫」

419名無しのカウンセリングだべ:2017/05/26(金) 21:50:06 ID:YII6yuX.0
>>418
「ん? あぁ懐かしいといえば懐かしいナァー けどやっぱ違う気がすんだ」

ゲーロゲロ、とワサビを元に戻しながら、絵楠の問いに答える
表面上は不機嫌そうな顔をしているが、なんとなく見た目ほどは怒っていない気がするワサビ

実はRPG世界に行ってから、自分の世界に戻れていないのだ
よく似た現実世界に行っても、今みたいに自分のような存在がいない異世界
それは、まるっきり文化や見た目が違う世界よりも 遠く、寂しく感じた

「……ここに来たときは帰って来れたんだーって思ったんだけどナァ、実際はまた違う世界だって」
「妙な事に巻き込まれてるし、まだまだ遠いナァー……」

「…………悪い、変な空気になったな ここが絵楠達の……… 溜まり場か?」

420名無しのカウンセリングだべ:2017/05/27(土) 10:30:45 ID:H679hrsc0
>>419
「……そうか」

自分も何度か異世界を巡ることはあったが、最終的に現実世界へと帰ることが出来ていた。
それと比べると、キル夫の場合は同情せざるを得ない。
異世界にいればいる程、現実世界が恋しくなっていくことがあることを絵楠自身、知っているからだ。

「そう気を落とすな、帰りたいって気持ちが消えない限りいつか必ず帰れるさ……俺みたいに、な」

精一杯の励まし。絵楠が今出来るのは、それしか無かった。
どれだけかかろうと、いつかは必ず帰れる​───────
気力さえ損なわなければ、結果は案外しっかりと付いてくるものだ。

「まぁ、そうなるな。ここが俺の元いた世界だ」

421名無しのカウンセリングだべ:2017/05/27(土) 13:22:20 ID:LPhqZ3lE0
>>420
「……そうだナァ」

続けていれば、いつか辿り着けるかもしれない
辿り着けないのだとしても、自分のいた場所に戻るには旅を続けるしかないのだろう

今はこうして、絵楠達に協力しているが
事が済めばまた違う世界へ行くのだろう。
今度はどこへ行くのだろうか

「こんな物騒な事が起きてなかったら、平和ないい世界なんだろうナァ」
「こんな物騒な事が起きてなかったら観光にはこれ以上ない場所ッス!終わったら適当に遊ぶッス!」
「こんな物騒な事が起きてなかったらそもそも町歩けないんだけどなオレら」

「それはそう、と このビル…… 如月がレジスタンスの?」

422名無しのカウンセリングだべ:2017/05/28(日) 00:04:01 ID:3zVK3xRE0
>>417
「烏屋さん!」

瑠奈の声が響く。男によりこちらへと倒れ込むように来た和を咄嗟落ちないよう支えた翔は、和を庇いながらも男を見る。
すでに両手は塞がっているため、どれだけ近くとも、翔からはこれ以上、男への行動は取れない。
元より、人間業ではないことをやってのける彼の身体能力の前では、自身など到底敵わないことも分かっている。
ただ、いざとなれば、外にいるであろう姉の友を呼び、和と瑠奈を逃がす算段を組み立てなが、男の動向を見落とさぬよう、じっと睨み付けた。

男の銃が麻酔銃であったことを、和に出血がないことを確認し、
多少動揺しながらも、瑠奈が下にいる男へ問いかけた。

「あなたがたは、あなたは、今の、この現状を、打開したいのですか?」

「それとも、このまま……混合していくことを、望んでいるのですか」

現実世界と他の世界を融合させようとしている、アレイスターの味方、もしくは賛同者なのか。
それを、阻止したいと思っているのか。

聖女のこと、『我々の世界』のことを聞いても、今の場所、状況的には詳しい説明も聞けないだろう。
だからか、せめて、どのような立場なのかだけを暗に聞いていた。
そこに、虚実が混じる可能性があると分かってはいるが。

423名無しのカウンセリングだべ:2017/05/28(日) 00:21:25 ID:H679hrsc0
>>421
「ははは!この事件が無かったら、今頃二人の事を取材してるかもしれないなぁ」

流石にしていいかの許可はとるけど、と一言。
絵楠はこの状況でも、比較的冷静に振舞っている。
本当は、姉の方は今も無事だろうか、兄は無理していないだろうかと心配な気持ちもある。
しかし、今地上で山亘理家を守れるのは自分ただ一人。
その気持ちを抱えて、絵楠は力強く生きていた。

「あぁ、ここがレジスタンススペース……俺達の基地だよ」
「絵楠、ワサビ!やっと戻ってきたか……って、なんだその饅頭!?」

スペースに入るや否や、キル夫を見てゼロが声を荒らげる。
怪獣には慣れているが、流石に饅頭の形をした生物、しかも二足歩行は馴染みがなかったのかもしれない。
一方のガイは、顔を覆うように雑誌が乗っている。どうやら眠っているようだ。

「お帰りなさい、絵楠さん」
「おっかえりー!何か情報は掴めたのかい?」

続けて、エイラと由紀が三人を出迎える。
この状況、キル夫としては困惑するだろう。絵楠とエイラの顔は瓜二つなのだ。
どちらかと言えば、昔の絵楠の髪型に近いエイラの方が馴染みやすく感じるか?

424名無しのカウンセリングだべ:2017/05/28(日) 09:43:57 ID:bywp5M/c0
ヘボット見てエタってないで書かないとなって思いました



「行かなくてよかったのか?」

 辺りを見渡せるような少し遠い場所にある高いビルの屋上で、マガタノゾーアが倒されるところを見た後。
 動こうとしない咲野に疑問を投げかける。

「うん。だってあの敵は大き過ぎて無理だし」
「あれ使えないのか?」

 あれというのはあれだ。あらゆる物理法則を従えてくるやつ。多分使えるはず。

「あれは、私のじゃないし、バランスブレイカーだし、可愛くないから使いたくない」
「確かに……。そして可愛くない……か」
「やっぱり、見た目は大事だと思うんだ」

 ――ぐらり、と。
 右目の視界が揺らいだ。左目は変わらず、現実(今)を。けれど、右目は、黄金色の右目は何かを――。

 ――黄金の■――

 それを見てしまった刹那、ありとあらゆる感覚が失われた。
 左目の視界が傾いた。自分が倒れそうになっているということに気がつけない。黄金の■を見て、意識が断絶してしまって。

「わわ、大丈夫!?」

 倒れないように身体を支えられた。

「っ――。……今のは、何だ?」
「また、何か見たの?」

 右の頬をハンカチで拭われる。

「…………なんか、恥ずかしいな。無意識に、涙出るなんて」
「黄金瞳なんだから仕方ないよ」
「少し……休んでいいか?」
「うん。いいよ。――じゃあ、私は急用が出来てしまったからちょっと待っててね!」

 そして、時間が過ぎた。
 体調はもう問題ない。

425名無しのカウンセリングだべ:2017/05/28(日) 09:47:18 ID:bywp5M/c0
「腹減ったー喉乾いたー」

 咲野を待ち続けてどれだけの時間が過ぎたのだろうか。30分? 1時間? 時間を確認出来ないから分からない。

 ここは屋上。外から来たので中に入る扉には鍵がかかっている。
 壁も天井もない密室のようだった。

「咲野ー……はやく戻ってこーい………」

 弱々しく、力なく、言葉を漏らした。

「空飛ぶ怪物とかに見つからないように……、いや、黄金瞳の価値知らないと、わざわざ狙ってこないか」

 黄金瞳の価値。自分でも分からないが。とにかく、わかる奴には輝いて見えるらしい。そして――



 いつの間にか、寝ていたようだ。
 夢を、見ている。
 ふわふわと、朧げな夢。

 誰かが傷ついている。
 立てないほどに傷つけられて、赤色に身を染めて。
 対峙している黒い人。そいつが、こんな風にしたのか。
――やめろ。
 声を出そうとするが、声が出ない。手を伸ばそうとするが、手が動かない。
 どうすることも、できなかった。
 この夢が、俺の見ている夢ならば。自由に動いたっていいじゃないか。
 これは夢だから意味がないと思いつつも。それでも、諦めずに――



 目が覚めた。
 見慣れた景色。ここは、ビルの屋上ではなく自分の部屋だった。

「あああああああああ! また寝てたああああああ!!」
「うわっ! 突然大声ださないでよ。びっくりしたぁ!」
「もう寝てたまるか! 行くぞ! あ、その前にお腹すいて力が出ない……! つーかビルの屋上にいたはずなんだけどいつの間に!?」
「うん。まずは落ち着いて?」
「無理。無理だ! ああ、もう外暗いし、俺は今日一日無駄に過ごしてしまった……!」
「無駄じゃないよ。…………お腹すいてるなら私が作ってあげようか?」
「マジで! 作れるのか!?」
「料理なんて作ったことないけどなんとかなるよ!」
「…………すごく心配だ……」
「大丈夫だよ。まかせて!」


 10分後。台所にて。

「わわ、失敗の程度で言えばかなり失敗してるけど、ちょっと原型とどめてるし、かなり失敗してる中のちょっと失敗って感じだから、ちょっと失敗したでいいかな?」
「………」
「え? それ食べるの? ちょっと失敗しちゃったやつだよ?」
「…………」
「そ、それ、そんなに美味しい? もしかして見た目は悪いけど味は美味しいってやつ? ――――うっわ、まっず!? これ食べ物じゃないよ!?」
「……………ごちそうさまでした」
「うわ、全部食べちゃった……。味覚大丈夫? もしかして私が変なの?」
「よし、行くぞ」
「う、うん。あの、本当に大丈夫?」
「…………腹は満たされた。量は問題ない」
「そ、そう……」

 こうして夜の街へ繰り出すのだった。

426名無しのカウンセリングだべ:2017/05/28(日) 10:40:23 ID:bywp5M/c0
「そういえば急用ってなんだったんだ?」
「ちょっと調べ物をね」
「なんの?」
「それは、黄金瞳についてかな」

 嘘はついていないが、本当のことも言っていない。
 けれど、解ってしまった。何について調べていたのか。

「虚空黄金瞳……アザトゥース……とか、についてか? この黄金瞳はアザトゥースの残滓だから嘘はついていないな」
「…………そうだよ。はあ、本当におまえには隠し事なんてできないなぁ」
「すまない」
「謝らないで。迷惑かけちゃったし、謝るのは私の方だね。ごめんなさい」
「いや、そんな、きみに謝られることなんてされてない……けれど屋上に置いてけぼりにするのは確かに迷惑……」
「屋上に置いて行ったのはわざとだよ。謝ったのはそのことについてじゃない」
「違うのか!? わざとって何で!?」
「怪物が出る街で黄金瞳を1人で出歩かせるなんて危険でしょ? だから、そう、壁も天井もない密室に閉じ込めたのさ!」

 今明かされる衝撃の真実!
 閉じ込めるなんて、なんてことを考えているんだこの子は! 何について謝ったのか知らないが、こっちの方がすごく迷惑だ。

「空飛ぶ怪物が出たらどうするんだ」
「あ、………んー………その時はあれだ。……呼べ。私が光速くらいのスピードで来よう」

 無計画! あまりにも無計画!

「心配になってきた……」
「大丈夫! たっくんは私が守る!」
「そうか……それはありがたいが………」



拠点潰したいけどこの2人は拠点のこと知らないしどうするかな

427名無しのカウンセリングだべ:2017/05/28(日) 19:53:36 ID:4B4lXlLI0
>>422
「今の世界の状況に関しての見解はあなた方と一致するでしょう。 私にとっても、組織にとっても 芳しいものではない」
「『コレ』のような物の対処は少ない方がいい」

「……ただ、この状況に対しての方針については、まだ決まってはいません」

アレイスター側の人間ではない、しかし進んで解決するか、傍観するかに関してもまだ決めていない
……少なくとも、こちらと進んで敵対するようなことは、ないはず

「しかしこの男と、所属しているだろう団体の確保については元より我々の仕事です」
「あなた方に害をつもりはありませんが、我々に刃を向けるようであれば ……それ相応の対応をさせてもらいます」

これからどこぞへと、姿を消すことを邪魔するなと告げる
二人の方から戦いを挑むような真似をしないことを、承知した上で釘を差した、のだろう

「……ここでの私の仕事は完了しました、もはや長居する意味はない」
「被害者と加害者、そして病院の騒ぎに関しては既に手を回しています。 あなた方は知らぬ存ぜぬで通してください」

適当な場所で、ガスを吸って眠ることをおすすめします ――そう告げると、
両手が塞がり、まともに動けない翔の横を通り過ぎ、病院から出ようとする男

この停電の後で被害者と加害者が行方不明となっては、警察内外問わず大騒ぎになるかもしれない
そんな騒ぎが起こる前に、何かしら手を打ってくれたらしい 融合する前の世界で、どんな規模の組織に所属していたのだろうか

階段を降りると、ふと振り返る男性

「…………あぁ、最後にそちらで寝ているお嬢さんに伝えておいてください」
「――――対して力も、覚悟もないくせに関わるな、と」

「それでは、 ―――――二度と会わないことを祈っています。」

428名無しのカウンセリングだべ:2017/05/28(日) 20:10:44 ID:4B4lXlLI0
>>423
「まともに出歩けないフラグじゃないッスかそれー!」
「オレはまだきぐるみと言い訳できるけどワサビ」
「キル夫はまばたきした瞬間でオレ以上のアウトッス!!」

警察に確保か、動物実験へドナドナされるのか
取材を受ける時無事な自由な姿でいられるだろうか、前例が……あるにはあるけどどうなるかはしらない

そして辿り着いたレジスタンススペース、キル夫が感心したように口笛を吹いた

「へー、こんなもん作っ…… 出会い頭にそれだもんな!?」
「ただいまッス! 拠点行った帰りのお土産ッス! ……昔の仲間ッスよ!」

直球で失礼、変な生物を見たと言わんばかりの声の荒げっぷりに
冗談で返したワサビが慌てて弁解するレベルの形相を浮かべるキル夫
こんなんそんないるわけないからしょうがなし

「……双子?」

429名無しのカウンセリングだべ:2017/05/29(月) 00:09:24 ID:jz6eJhNs0
>>427
「な、なんなんですか。混合って……今の世界の状況?
それに、組織とか団体とか、手を回したって……」

そのまま男を見送ってから、戸惑うように姉を見る翔。
瑠奈はその視線に肩をすくめる。

「話すと長くなるよ。組織云々は私も知らないけれど。
……後でちゃんと話すから、今はとりあえず、ロビーに戻りなさい」

「……あの男、信用できるんですか。
名前、知っていたようですが」

「それは私も驚いた。なんなんですかあの人」

「もしかして、寝ている間に、なんてことは」

「それはないでしょ。
そもそも彼、本物の拳銃も持っていたし」

拳銃を持つ男から拳銃のみを弾き飛ばす射撃能力、成人男性一人を抱えたまま目視が難しいほどの移動、
現状、こちらが勝てる要素は一つとしてない。
殺す予定であったなら、既に今ここで三人の死体は転がっていただろう。

「まあ、信用に関しては、している、というよりも、するしかない、かな。
私たちには情報量が少なすぎる。
とにかく、あの男性の言を信じるなら、警察の不祥事沙汰も病院の管理体制の甘さもなんとかなる、と思いますよ」

「対策しようのない不祥事と管理の甘さですけどね」

「だからどうにかしてくれたのでは」

なるものだろうか。発端はバス事故、表面化したのは瑠奈が行った通報で、救急車もパトカーも出動する事態になっているのだが。
なんとも言えない表情になる姉弟ではあったが、瑠奈は一つ咳払いをしてから、再度告げた。

「……とりあえず、さっき言ったようにロビーで倒れていなさい。
その酸素ボンベも適当に放っておいてもいいんじゃないかな」

「……姉さんは?」

「私はそもそも病院にいなかったからね……
また窓から出て病院の外に出るかな。
残してきた子たちも気になるし」

「外で寝るんですか?」

「寝ません。車で調べものしてきます。
頃合い見計らってそっち行く」

「はあ」

では、と上へと向かう前に、眠っている和の額を撫でた。

「……大丈夫、よね」

「寝ているだけですが、あの銃の効能がどんなものかはわからないので、なんとも。
元々安静にしていなくてはいけないのに、随分無理をさせてしまいましたし。
それに、あの男、返してもらう、とも……」

「……私、彼女の保護者に顔向けできるかしら」

「……一緒に謝りますよ。保護者、どなたかは存じ上げませんが」

430名無しのカウンセリングだべ:2017/05/29(月) 00:54:27 ID:H679hrsc0
>>428
「俺が何とか言い訳考えてみるか……?」
「俺達とかどうなるんだよ」
「ゼロさん達はまぁ……ダメだな多分」

スーツの質感とかないみたいだし、とボヤく絵楠。
空気は和むが、何というか無駄話にしかならないというか。
実際そうなのだが。

「双子って訳じゃないな。ただ顔が似てるだけの別人」
「まぁ、そうなります。僕はエイラ・アーウェン。レジスタンスのまとめ役と情報収集の中核を担当しています」
「うちは如月由紀!ここ如月ジャーナルの編集長で、レジスタンスのメンバーでもあるわけ!」

エイラと由紀が、キル夫に対し自己紹介をする。
ここにいる辺り、エイラの方の準備は恐らく済んだのだろうか?
よく見ると、画面に映し出された一際大きな部屋に巨大な魔法陣が描かれており、その詳細を書き示す文が打ち込まれていた。

「エイラ、これは?」
「僕の許可した人物のみが行き来できるように設定した、あの拠点の近くまで到達する通り道です」

エイラが言うには、自分の許可しないものが入った瞬間に異空間に放り出される仕組みにしたらしい。
この魔法陣を書き起すための準備に時間が必要だったらしく、早くから詠唱に取り掛かっていたのだ。
現在は数人の魔法使いが交代交代で魔法陣を維持している様子。

「キル夫さん……でしたか。あなたのことは魔法陣に書き示してませんでしたね……後で追加しておきますか」
「とは言っても、キル夫がどうするかにもよるぞ?」

431名無しのカウンセリングだべ:2017/05/29(月) 21:56:39 ID:3.07IcTA0
>>429
どの程度まで自然の形で収める事ができるか、
どの程度まで不審に思われずこの大騒動をまとめてくれるのか、現時点で探る術はない
幸いなことにこのガス自体の、あの男の異能の力として、この状況をただの平和で平穏なものと認識させる効果があるため
この病院に関しては何とかなる……かもしれない


「……スー…………スー…………」

二人の心配をよそに、押し付けられた麻酔銃を手に、眠りこけている和
バス事故から神経を擦り続けてきた分、疲れが溜まっていたのだろう
こうして眠らせたのはある意味正解だったかもしれない

首に刺さった麻酔針は気がつくと無くなっていた
体の中に入ったのかと思うも、よく見れば麻酔針には童守学園のエンブレムが刻まれていた
……深く考えないほうがいいかもしれない、ただの麻酔針型腕時計型麻酔銃

432名無しのカウンセリングだべ:2017/05/29(月) 22:02:55 ID:3.07IcTA0
>>430
「おう、よろしくな それでえっと、ワサビ」


「……なんの話だ?」
「オイラ達レジスタンスのグループに入るかどうかって話ッス、ここにいたら衣食住問題なしッスよ!」
「断ったら?」
「一応他にも行くあてはあるにはあるッスよ」
「ふーん……?」

話を振られ、ワサビを脇に寄せ何に誘われているか尋ねる
一応ここがだめならバーの方に行けばいい、ということはわかったが

「絵楠たち手伝うって決めたしオレも入るよ」
「魔法陣に追加頼む、エイラ」

433名無しのカウンセリングだべ:2017/05/29(月) 23:00:26 ID:3zVK3xRE0
>>431
「…………」

「…………」

「考えるのはやめましょ」

「ですね」

学園のマークを見た瞬間に同時に顔を合わせて頷く二人。
瑠奈と和の名を知っていた男性。情報が学園経由なら、翔のことも知っていただろう。
実際にそうかは断定できないが、繋がりは見えたことだし由とすることにした。

「じゃ、ちゃんとロビーのソファーに寝かせるのですよー。
診察室にもきちんと連れていくこと」

「分かっています」

「仕事しろよ警察官ー」

「僕、今日は非番なのに……」

本当は少し違うのだが、と口の中で呟きながらも、和を抱えると一階へと降りていく。
途中、酸素ボンベを適当に医療器具がある部屋の近くに転がしてから、姉や男に見習いハンカチで口元を押さえ、ロビーへと着くことになる。


一方、その後ろ姿を見てから、瑠奈は反対に階段を上がる。
上がりきったところで、近くの窓からじっと中を見ている姿があった。

「…………」

『…………』

「…………ど、どうも」

『……銃の音がしたときには窓を割ってでも入ろうかと思ったよ』

「その大きさじゃ窓だけじゃなくて壁も壊れちゃうね……」

こちらもこちらで一悶着ありそうではあるが、一先ず病院外に出られることにはなるだろう。

434名無しのカウンセリングだべ:2017/05/29(月) 23:32:39 ID:4B4lXlLI0
>>433
童守学園の関係者ならば、恐らく事件の裏工作も かなり無茶をして、できるのかもしれない
瑠奈達卒業生の履歴書には『童守学園』の四文字は無く、あるのは現実世界の近場の学校の名前
学園世界の特性か、隕石の事件の余波かこうした辻褄合わせを無理やり行う事は学園の常套句だった

安らかに、とは微妙に離れているがロビーのソファに寝かしつけると
恐らく自身もハンカチを離し、眠りにつくかもしれない
ガスがまだ残っているため、不思議と穏やかで平和な気分に浸りながら、眠りにつけるはずだ

使い方さえ間違えなければ、人の役に立てていたかもしれない、誰かを癒せたかもしれない
そんな能力、だったというのに


『…………』

瑠奈が戻ってくると、男がどこかへ消えたのを感じているのか
再び大人しくなりジェットの足に掴まれブラブラしている蜘蛛
あの暴れっぷりは、多分今も感じる空気の甘い匂いを感じてのことだろう、それが薄れていくのを感じているのだ

435名無しのカウンセリングだべ:2017/05/30(火) 02:02:12 ID:H679hrsc0
>>432
「分かりました。明日までに済ませておきます」

キル夫の返答を聞き受けた後、部屋を後にするエイラ。
少々働き過ぎのようにも見えるが、これが彼の日常風景なのだろう。
昔のような発明三昧の日々が、そっくりそのままレジスタンス業務に変わっただけだ。

「あ、そうそう絵楠ちゃん。新しいガシャット出来たってさ、試してみる?」
「新しいガシャット?分かりました、すぐ行きます」

絵楠も由紀に連れられて、違う部屋へと向かった様子。
今、レジスタンススペースのメインフロアに残っているのはキル夫とワサビを除けば、ウルトラマンであるゼロとガイのみであった。

「っかしよぉ、饅頭までいるとはなぁ」
「……饅頭……?」

改めて感心するような声を上げるゼロに反応するかのように目を覚ますガイ。
キル夫の姿を見るや否や、ゴクッと唾を飲んでいた。
​───────食べ物と勘違いしている。確実に。

>>426
『ゲームクリア!』
「……餓鬼がこんな夜中に何してんだ?」

二人の目の前へと吹き飛ばされ爆散する怪人。
怪物を撃破した当人であろう仮面ライダースナイプ​───────大我は変身を解除すると、暗に「とっとと帰れ」と言いたげな様子で二人に呟いていた。
その足元でぽつりぽつりと光る、小さな物体。

「こいつが付けてやがったか……手間かけさせやがって」

どうやら発振器のようだ。光の方角的に、南東を示している様子。
怪人を撃破した様子からも、怪人達の溜まり場を襲撃するつもりであろう大我。
彼について行くのも、存外悪くない手立てか?

436名無しのカウンセリングだべ:2017/05/30(火) 14:06:40 ID:bywp5M/c0
>>435
「ひゅう! 楽しそうだね! いつ出発する? 私も同行する!」

 赤い瞳を不気味に輝かせ、はしゃぐ咲野。その瞳の不気味さと表情の明るさが全く合っていない。

「お、落ち着け。行くのは危険だから勧められない」
「それと、私は餓鬼じゃない。正義の味方だよ! 悪の敵でも可!」
「俺の話聞いてる?」
「うん? どうしたんだい、たっくん。私の事が心配だから一緒に行きたいって? 大丈夫だよ。おまえくらい余裕で守れるさ」
「もちろん一緒に行くけど……。俺も、出来る限り頑張るよ」
「それじゃあ。輝いて。いつものように、きらきらと。――それじゃあ、行こうか! そこの………仮面ライダーブラックジャック!」
「仮面ライダースナイプな」

 知らないはずなのにさらりと名前を言う。黄金瞳のおかげかと拓人は思うが、《解析》の異能のせいである事は本人はまだ知らない。

437名無しのカウンセリングだべ:2017/05/30(火) 18:39:22 ID:Qx2Qf25.0
>>435
「それじゃ今日のところはもう一つの行く宛に当たるッス! 絵楠戻ってきたら情報の共有も兼ねて行ってみるッス」
「……流石に宿屋感覚で行くのはやべーんじゃねーの?」
「踊る猫の支店だから大丈夫ッス」
「ああー、ほんと色んな世界にあんなアレ」

この世界では宿屋というかホテルの需要の方が高いため、
いまいちパッとしないが異世界では割とポピュラーな宿屋らしい、踊る猫
ふと後ろに視線を感じると、ヨダレを垂らした鋭い眼光の青年が熱い眼差しを送っていた
……………

「く、食われる!? おいワサビ!オレん中の餡子が狙われてるぞ!」
「嘘つけッスあんたの中の外もマシュマロッス!」
「ボケにボケで返すなよ!?」

438名無しのカウンセリングだべ:2017/05/30(火) 20:13:16 ID:.RhFVOOE0
>>434
(……本当に不用心なほど平和な光景だ)

(……今はなにが起きているかは分からないけど、
こんなことが横行していたら、たいへん……)

(……今思えば寝た振り、に、すればよかった……
起きられるか……僕……)

そして、すやぁとそのまま眠りについた低血圧警察官(非番)。
とはいえ、この状況事態、異能が使われた特殊なものであるため、
おそらく、きっと、他の皆が起きる頃には起きられるだろう。たぶん。



「……落ち着いているね」

『そうですね。ボクもそろそろキツいから移動したいかな』

「それじゃあ車に移動しましょう。
調べたいこともあるし……
蜘蛛くんの手当ても、しなくちゃね。随分と、遅くなってしまったけど」

触るまで気づかなかった、自身たちと戦う前についたであろう傷をしっかりと見据えながら呟いた。
血が出るほどではないとはいえ、しっかりと付いているジェットの爪痕からは目を逸らさせてもらった。
治療はせずともしばらく立てば元には戻るだろうものだ。
一瞬捕食風景がよぎっただなんて、まさかそんな。

とりあえず、治療を最優先にと窓から病院を脱出し、車へと戻った。
病院内やシャッターの様子を見ながらも、蜘蛛の治療を始めた。

439名無しのカウンセリングだべ:2017/05/30(火) 21:49:50 ID:4B4lXlLI0
>>438
肝心の男は去ったと言えど、暴力により無理やり従わされた爪痕は大きいのか
相も変わらず大人しくじっとしている

かと思いきや、心なしか体がほんの少し上にそれているような気がする
顔らしき物が見当たらないが、見上げているのだろうか

じっと見られているのか見られていないのかわからない蜘蛛の治療を続けていくと、
男が去ってそう経っていないにも関わらず病院のシャッターが開きはじめ、中に明かりが灯る
中からどこか釈然としない表情を浮かべた人たちが出てくるのが見えた



「………っ……」

「…………!」

ソファの上で身を起こし、妙な痛みと そして、気を失う前に見た男の姿を思い出し、半身を起こす和
病院は明かりがつき、周りの人は今しがた起きたばかりというように欠伸をしながら寝る前しようとしていたことへ戻っていく

呼吸器ですぐに意識が回復した辺りで分かる通り、ガスを吸わないとそれだけで意識が回復する
翔も恐らくすぐに目を覚まし、何が起きたのか理解してなさそうな和を見つけるだろう

440名無しのカウンセリングだべ:2017/05/30(火) 23:27:50 ID:8iF0F0cg0
>>439
「どういう技術、いや、能力、なんだろう」

『塔や学園が破壊されても明日には直っているとか、そういう』

「ああ……ああ、うん、あったね、そんなことも。
……私の通報、イタズラ呼ばわりされてないといいなあ」

説教モードが解けた――後回しになったともいう――ジェットと軽い雑談を交わしながら、
蜘蛛の治療を進めていく。
目に見える範囲ところの傷口を綺麗にしたり包帯を巻く程度ではあったが。

「……これでだいたい手当てできた、かな。
……足とか頭とか包帯巻いちゃったけど前見えてる?
呼吸できてるよね……?」

傷も多かったため、若干蜘蛛のミイラっぽくなっている。
顔がありそうな部分は避けてはいるのだが、
顔がどこか分からない、どこを向いているのかも大まかな検討しかつかない上、
異世界の生き物だからとんでもないところに顔がついている可能性も……ということが一瞬にして頭に過った。



「……烏屋さん、おはようございます」

「いろいろ聞きたいことはあるとは思いますが、
とりあえず、今は一階のロビーです。
烏屋さんは、麻酔銃を受けてしまい、倒れてしまったのですよ」

すぐに起きれてよかったと内心安堵しながらも、現状を把握しきれない和を見た。
一先ず場所――これはもう見渡せばすぐ分かるだろうが――と、和が眠った原因を話す。

「容疑者と、あの……被害者らしき男は、もうここにはいません。
集団催眠も、停電も、なかったことになっている、らしいです」

「……詳細は烏屋さんの診察が終わってからにしましょう。
地下でも倒れてしまったり、ドアを突破したりと、無茶をさせたことでしょうし」

これ以上は長くなる。男と姉が交わしていた会話もあることだし、姉と合流してからのほうがよいだろう。
また、傷害事件はどのような扱いになっているかは自身でも分かっていないため、
和が診察室に入ってからすぐに、この場にいるはずの警察官とコンタクトを取ってみる予定ではある。

地下、そして警察官といえば、追い剥ぎされた同業者は無事に制服を返してもらったのだろうか。
まさか彼だけあのままではあるまい、と思いつつ、地下には確認にはいけなかった。
一応関係者以外立ち入り禁止であるし、万一身ぐるみ剥がされたままだったときの対処も思い付かなかったからだ。

441名無しのカウンセリングだべ:2017/05/31(水) 00:10:36 ID:4B4lXlLI0
>>440
『……………』ブルブル

問いを聞いてか聞かずか、
少し間を開けてブルブルと震え、再び沈黙
息苦しそうにしている様子はないし、見上げている顔?らしき部位は包帯に覆われてない
体の震えも怯えから来るものではなく自分の意思での左右運動であったため大丈夫だという意識表示だろう


「翔さん…… ……來咲、巡査?」

地下での慌てっぷりから、咄嗟に下の名前で呼んでしまったが
落ち着いたためか一度口にした呼び名を改める和

翔の話をひとまずは黙って聞き、男性に押し付けられた麻酔銃を持っていることに気づくと
何かを思い出したように自分の持ち物を確認し出した

「…………落としていたか、押されたときにスラれた…… 油断してた」
「それにしても、……無かった事に? あんな大規模な………」

何かをいいかけると、ちょうど自分の番号が呼び出された
そのまま続けたい様子だったが翔の推測もあり、麻酔銃をしまうと(現役警官の目の前で)、
診察室へと入っていった


「………今回の加害者? あぁ、それならもう本部の方に連行したはずだろ?」

加害者の弾性について聞くと、返ってきたのはこの返事
停電の事を尋ねても、極短い時間だったという言葉が返ってきたため
何とか事実を上書きしていったらしい。

ちなみに今のところ、半裸の男が出てきたという情報は出ていない模様

442名無しのカウンセリングだべ:2017/05/31(水) 00:38:24 ID:H679hrsc0
>>436
「……ケッ、勝手にしろ」

諦めた様子で、一人そそくさと歩き始める大我。
着いていった先にあったのは、廃校となった筈の学校。
辺りには見張りの怪人が数体彷徨いているため、拠点の一つと見て間違いないだろう。
規模としては中間くらいか。

「こいつにはもう用はねぇな」

茂みへと発信機を投げ捨て、大我は物陰に隠れて潜入の機会を伺っていた。
いっそ夜襲として突っ込むのもありだろうが。

>>437
「……ハッ!?た、食べないぞ」
「​───うー……」

キル夫が喋る姿を目の当たりにして、正気に戻ったかのように涎を拭き取るガイ。
何処までも人間らしく、何処までも食い意地を張ったウルトラマンである。
それと同時に、やけに疲労した様子で戻ってくる絵楠。
やれやれ参ったね~と呟きながら由紀も現れるが、よく見ると二人して服の裾が凍りついていた。

「はぁ、改めてギルの存在の重みを知ったな……」

ソファへと突っ伏す絵楠の手に握られている未知のガシャット。
しかし、ワサビならそこに描かれているものが何か分かるだろう。
それは、一度絵楠が変身し、今はアレイスターに奪われた力の一つ。
オーズ・プトティラコンボが描かれていたためである。

443名無しのカウンセリングだべ:2017/05/31(水) 07:37:21 ID:wykbYVa20
>>442
「まだ食欲が溜まった視線を感じるぜ……」

見た目柔らかそう、美味しそうな見た目ゆえにいたしかたなしたかし
怖い顔だと言われ、怖がられたり通報されない分だけマシな扱いであるが
ガイが近くにいる時には精神的に落ち着かないだろう

「おかえりッス! 奪われてたもんをまた作ったんッスねー……」

ああして取られなければこんな事せずとも、
そう思ったがいいが後の祭り、今更取りに戻れるものでもない

「んで絵楠、これからバーの方に行くッスけど一緒に行くッスか?」

444名無しのカウンセリングだべ:2017/05/31(水) 09:18:39 ID:bywp5M/c0
>>442
 自らを、誇示するかの如く。
 ただ、ただ、高らかに咲野は言い放った。

「ブエノス・ノーチェス! 愚鈍で無価値な怪物どもめ!」

 その声で怪人はこちらに気付くだろう。
 拓人は慌てて注意するが時すでに遅し。

「静かにしろ! 何やってんだ。馬鹿か!?」
「奇襲もいいけれど、それだとつまんないし。――さあ、ゲームスタートだ!」

 申し訳なさそうに大我の方を見る拓人。いつでも無計画の咲野は何をしでかすかわからない。

445名無しのカウンセリングだべ:2017/05/31(水) 19:16:56 ID:woeoUrbg0
>>441
(お、ある程度の意志疎通はできそう)

『大丈夫そうだね』

「ですな。
脅したり乱暴しちゃってごめんね」

主に男から引き剥がすときの行為のことだ。
傷がなく、かつ顔ではないだろうところを触れるか触れないかぐらいの感覚で撫でた。

「ジェットは、怪我は?」

『羽毛が少し』

「帰ったらブラッシングしなきゃだね」

片付けもそこそこに、
後部座席にジェットと蜘蛛を置いたまま、自身は助手席へと移動する。
そして、車内に放置していたパソコンを立ち上げた。

『コンピュータ……なにを調べるの?』

「今回の発端となった男の団体と、彼が奉っている【聖女】について」

病院内に起きたことを粗方ジェットに説明する。キーを叩く手は止めずに。
問題が大規模化したり表面に出たものはすでに回収され、なかったことにはなっているだろう。
それでも、多くの人やものがインターネットに繋がっている御時世、痕跡がないかを調べる。

『調べて殴り込むの?』

「殴り込まないし、こちらに何の被害もないなら組織とやらに任せるけど……
いざ、その団体がこちらに牙を向いてきたとき、情報は多いほうがいいでしょう。
実際に、烏屋さんは狙われた。
以後、または、他の誰かが狙われないとは限らない」

……そして、しばらく調べて一つの記事を見つける。

「……あの廃木材加工場……焼けてる……」

つい数時間前に自身が調べた拠点。
和同が言っていた篠目町のゴタゴタの意味も理解できたが、
しかし、ここは――エクスが実地調査に向かった場所である。
万が一、億が一ということがあるかもしれない。
ドローンが早々ばれて拠点を焼いて逃げたのか、戦いの末か、いっそ放火したかは分からないが、
どちらにせよ、事情は聞いておくべきであろう。



(……替え玉を用意したのか、誰もおらずとも裏側でそういう処理になったのかは分からないけど、
これで、なんとかなった、のだろうか)

一応関わってはいるから後で署に行けば詳細も分かるだろう。
誰かが冤罪をかけられてさえいなければ、こんな突拍子のないことの収まり方に、異論はない。今のところは。

(……しかし、あの麻酔銃、烏屋さんのだったか……
注意し忘れたけど、まあ、こんな状況なら持っていて当たり前か……)

姉にSNSで和が診察室に入ったこと、病院内の様子を送ってから、
翔は診察が終わるまでロビーで待つことにした。
先程の異様な光景など、なかったかのような周囲を、何とも言えない表情で見ながら。

446名無しのカウンセリングだべ:2017/05/31(水) 21:59:13 ID:D00H4UII0
>>445
『…………』

触れるか触れないか、指先に軽く感触を感じるだけだというのに、
手を伸ばした瞬間に身体がこわばったのがわかる
……あの男の残した傷は大きいようだ

今までの事故、事件を振り返ってみると、
病院で停電が起きたこと自体はSNSに投稿されていたが
あの男が起こした催眠に関しては内外問わず騒ぎとなっていない
試しにバス事故の方を調べても、眠っている間に事故が起きたという書き込みばかり出て
暴行事件には一切触れられていなかった。
…………事故の原因が運転手の居眠りによるものとなってるのは、カバーしきれなかったのかそれとも故意か。

事故、事件について調べ終え、あの男の団体について検索しても中々それらしいものはヒットしなかった
近隣の町と併せて調べたら小説サイトものしか当たらないし、
聖女では範囲が広すぎてアウト
あの男が話していた『治療』については、そのような伝承を持つ集落が登場するホラー話のサイトがヒットした

『組織』曰く、あの男はこの世界の人間ではないと告げていた
世界の融合が進む中、ネットの方は侵食度が低いのだろう ……まだ

447名無しのカウンセリングだべ:2017/06/01(木) 02:19:48 ID:H679hrsc0
>>443
「……」
「ガイ、腹減ってんなら飯奢ってやっから……これ以上アイツのこと見つめてやんな」

奢る、という単語に反応したのかゼロの方を向くガイ。
本当に食べることに関しては人よりも人らしいというか、何というか。
意外と気さくそうだが、飯だけは別物感がする。

「まぁ、そうなるな。擬似的にプトティラの力を再現したものがこれだから」
「しかし、ギルがいないとプトティラに似たものすら制御が難しいとはな……知らずのうちに、アイツに頼りすぎていたか」

ガシャットを見つめ、今はいないギルに想いを馳せる絵楠。
メダルさえ奪還すれば再会は容易いが、その奪還が容易ではない状況。
すぐにでもギル無しで擬似的なプトティラコンボを制御できるようにならなければならない。
焦りは禁物だが、気にはしておかなければ。

「マスターの所にか?そうだな、俺も一緒に向かうよ」

>>444
「!バカッ、勝手なことすん……だぁ、仕方ねぇ……!」
『バンバァンシューティング!』
「第二戦術、変身!」『レベルアーップ!』
『ババンバン!バンババン!Yeah!バンバァンシューティングッ!』
「もう少し考えて行動しろ、バカが!」

即座にドライバーを巻いた大我はガシャットを起動して変身。
咲野を標的と捉え向かってくる怪人達を後方からガシャコンマグナムで撃ち抜き、すぐさまカバーが出来る範囲へと入り込んだ。

「……仕方ねぇ、コイツラとっとと片付けて正面から突破するぞ」

448名無しのカウンセリングだべ:2017/06/01(木) 20:39:28 ID:4B4lXlLI0
>>447
「……あんにゃろーから必ず取り返すッス! 町の平和も、奪われたもん皆ッス!」

今は亡きギルを偲ぶ絵楠の肩をたたき、改めて告げるワサビ
まだ死んでないし偲んでもないが、あの高圧的な態度でこそ泥のように動くのも
アレイスターと敵対する理由の一つだろう

バイクが二人乗り、というわけで誰か一人を蛙にするわけにもいかず、
とりあえず徒歩で向かう一行
同じ神守町だし、そんなに時間はかからなかった




「! …………あぁ、いらっしゃい」
「(*゚д゚)ノ」
「いらっしゃーい!」

準備中、の立て札がかけられた扉を開けると、
どこか落ち着きがなくそわそわとしているマスター、無邪気に手を振る子供コンビが出迎えてくれた
前来たときとは違い椅子が地面に置かれ、商売開始間近と言った印象を受ける

「(*゚д゚*)」

何か手に持って、絵楠達の元へと向かうアネパ
見ると、小型サイズのアネパ…… 羊毛フェルトで作られた、そっくりのぬいぐるみだった

「梟木の兄ちゃんが帰ってきて作ってくれたんだ! 今奥の部屋で違うぬいぐるみ作ってる!」

ネコ耳の少年―― マスターがこっそり教えた所に寄ると、ライという名の子が鼻息荒く教えてくれた

「うわ、すっげーそっくり……!」

「へー、誰だかわからんないが上手に作ってるナァ……」

「すっげー似合わねぇ……」

「えぇ……」


口々に縫いぐるみの感想を言っている横で、マスターの電話が鳴り出す
『ちょっと待ってて』と手を上げると、電話を手に急いだ様子で部屋の奥に入っていった

「……和のお姉ちゃん、変なのに巻き込まれちゃったみたいで」

事情がわからないだろう一向に、自分の知ってる範囲で情報を告げた

449名無しのカウンセリングだべ:2017/06/02(金) 13:24:20 ID:bywp5M/c0
>>447
 迫り来る怪人を気にも留めず、驚いた表情で大我を見る咲野。

「ど、どうした? 敵来てるぞ!?」
「うん、わかってる。ただ、ずっとひとりで戦ってきたから……。誰かと一緒に戦うってこういうことなんだね。楽でいいかも」
「…………。分ったならもうあんな事するなよ?」
「だが断る!」

 潔く即答して、軽く目を瞑る。腰あたりに手を当て、短く、呟いて――。

「――機械帯、起動」

 ――姿が、変わる。
 黒。黒い姿。黒い服。けれど、暗い印象はない。何故なら――
 ――閃光が迸る――
 ――雷鳴が轟く――

 まばゆい光が、迸る。
 それは蒼色をした輝きだった。
 それは蒼天の輝きだった。
 空に見えるもの、空に輝くもの。
 雷の、輝き――

 ――そして――
 ――赤い瞳、輝いて――

 ――周囲に浮かぶ光の剣、5つ――

「誰も呼んでないが私は来た! そして見た私は勝つだろう!」
「カエサルか何か……? というか、前と違うな……。セーラー服は相変わらずだが、機械帯の色が金から黒になってリボン付いてるし、ポニーテールになってるし……」
「改造済みだ! ふふん、ポニーテールかわいいでしょ?」
「お、おう」

 その答えを聞いた咲野は微笑んで。――怪人を見据える。
 近くに拓人が居るため、力を抑えて。怪人に向け、雷電を、放つ――!

 機械帯を使って戦うのはこれで3回目。まだ使い慣れていないが、正確に。怪人を打ち倒す。

450名無しのカウンセリングだべ:2017/06/03(土) 00:46:43 ID:Joj6CQwA0
「………………」

処置してくれる先生が他の患者の方を当たってるということで、病室の中でぼんやりとしていた
骨は折れてこそ、いなかった
しかし大の大人がメリケンサックを持った手で殴られただけあって、無傷とはいかなかった。
骨にヒビが散見され、おそらく固定されるだろう
この状況下で利き手の腕にヒビ 何週間、かかるだろうか

「(…………動かないほうが、周りの人にとってむしろ好都合なのかもしれない)」

今回の事を思い出すと、ただでさえ重い気分がズシリと落ち込む
拠点制圧に向かう際の状況とは違う、マイナスからゼロに戻すための戦闘に犠牲
巻き込んでしまった人たちの事を思うと自己嫌悪で口の中が苦くなった

『その後悔は早計すぎるぞ、たまたま乗ったバスであんなこと起きるなんて誰が想像できるというんじゃ!』

…………頭の中で、いつものよう幻聴が
いや

「…………さっきの事は感謝してる、とだけ言っておくわ」
「あの扉を塞いでいた物 ………破壊されたの、あなたの仕業なんでしょう?」

『…………』

地下で閉じ込められた時、扉を押さえつけていた物を破壊したのは、間違いなく自分じゃない
それほどの力、出せないのだから

『……当然じゃ、今まで幻聴とかいないフリをされていたというのに』
『あんなに縋られとなっては、無視などワガハイには出来んよ』

「……………」

『………小娘、おぬしがワガハイ達や魔法に対していい感情を持っとらんのはわかる、信じられない理由も知っておる』
『それを変えろなんて無理な話じゃ ……それでも、構わんよ』

『…………ワガハイはお主を信じとる、助けるにはそれで十分じゃ』
「…………!」
『………… フー、話すだけでも大変じゃの…… しばらく、眠るとするか』

話しかけたのと同じく、唐突に気配が消えた
後に残ったのは、苦い、苦い嫌悪感だった

451名無しのカウンセリングだべ:2017/06/03(土) 21:08:06 ID:8iF0F0cg0
>>446
「……ないか。まあ、聖女とか悪魔云々だけじゃなあ」

せめて固有名詞の一つでも聞くことができていたのならば、少しでも範囲が狭められていたのだが。
そこで、ふと聖女を敬っていた男との会話が思い出される。

(……我々の、【家】、か。
あのまま連れていかれていたら、もう少しなにか分かったかもしれない)

(とはいえ、連絡手段や逃走手段が確立させていないことには、悪手、か。
過ぎ去ったことを言っていてもしょうがない。
あの人たちが対処をしてくれて、こちらに被害がこないのなら、言うこともない)

(……事件の収まり具合はこんな感じか。
犯人の存在は不明だが、あの人たちもそこまで下手なことはするまい)

翔からの連絡を確認した後にパソコンから目を離して、病院を見やる。

「……そろそろ烏屋さんの処置も終わるでしょう。
見に行ってきます。
二人でお留守番、できる?」

『大丈夫。いってらっしゃい』

ちらと蜘蛛を見た後で、ジェットがパタパタと翼を振る。
蜘蛛くんと仲良くね、と瑠奈は病院へと翔、そして和と合流するために向かった。

452名無しのカウンセリングだべ:2017/06/04(日) 00:30:08 ID:4B4lXlLI0
>>451

「………えぇ、事情聴取で遅くなるかもしれないけれど……えぇ、それじゃあ」

病院に入ると、恐らくマスターにかけていたのだろう
ちょうど和が病院の公衆電話の受話器を置くところだった

手当が終わり、青くなっていた頬にはガーゼが貼られ、
長袖で隠れてしまっているが右腕に包帯が巻かれ、
その他大小の傷に手当された後が見える

本人曰く、特に深い傷は右腕だけだと言っていたが
いかんせん包帯やガーゼが多い、マスターが見たらぶっ倒れるのではないのだろうか
本人も右腕の怪我に対して何か言われたのか、浮かない表情をしていた

「……! 來咲、さん」

「………… 今しがた治療が終わったから、マスターに連絡していたところ。 加害者がいなくなったらしいからどうなるかはわからないけれど……」

453名無しのカウンセリングだべ:2017/06/04(日) 00:35:45 ID:H679hrsc0
>>448
「度々来てしまってすみません、マスター」

何となく何かあったのだろうかと絵楠は察するが、ひとまずは挨拶から。
その次に目に止まったアネパのぬいぐるみを見て、思わず絶賛する声が漏れた。

「おっ、凄い可愛いな!アイツ結構手先が器用なんだなぁ」

今度、何か作ってもらおうか。
その場合はライダーでも頼むか、それともウルトラマンか。
と考えている矢先に教えられた、和の近況。

「そう、か。……となると、アイツは今病院にいるんだな」

徐にヘルメットを担ぎ、バーを出ようとする絵楠。
たった今から見舞いに行くつもりか──と思われそうだが、よく見るとスマホで何かをメモしている。
果物の名前からして、見舞いの品を買いにいくのだろう。
恐らく、少し先になるが明日の拠点攻略が終わり次第と言った感じか──今日行くのも、ありではあるが。

>>449
「!……アイツ、ただの餓鬼じゃねぇな……」

怪人達の急所を的確にガシャコンマグナムで撃ち抜きながら、スナイプは呟く。
少なくとも自分の知るバグスターや仮面ライダーとは全く違う異質な力。
どんな力を発揮するのか見てみたい気もするが、こいつらを片付ける方が先か。

「さっさとコイツらぶっ潰すぞ。第参戦術」
『ジェットコンバット!……レベルアーップ!』『バンバァンシューティング!』『アガッチャ!』
『ジェット!ジェット!イン・ザ・スカイ!ジェット!ジェット!ジェットコンバットー!!』

スナイプはオレンジ色のガシャットを刺すと、レベルアップ。
背中にジェット機を装着し、二丁のガトリングを装備した『コンバットシューティングゲーマー』となり、敵を打ち始める。

454名無しのカウンセリングだべ:2017/06/04(日) 12:25:37 ID:4B4lXlLI0
>>453
「……いや、大丈夫みたいだよ絵楠君 どうも入院するほどの怪我ではないらしい」

店の奥から電話を片手に、マスターが出てきた
安心したような、まだ心配しているような
そんな複雑な表情を見せている

「恐らく今回の騒動の原因とは、無関係だと思うけれど ……厄介な連中が他にいるみたいだね」
「それって『聖女』とかそんな連中ッスか?」
「いや、詳しい話はまだ聞いていないけれど 聞いた話によるとどうも暴力的な悪魔祓い、だとか何とか」
「なら違う奴らッスかねぇ……」

『聖女』とは関わりがない……? 果たしてそうだろうか
同じ場所で見かけたかもしれないし、見かけていないかもしれない
それはそうと、新顔に顔を向ける

「君は初めて見る顔、だね? 『踊る猫』へようこそ」
「あぁ、初めましてだナァ 宿屋として利用できるか?」
「元々酒場と宿屋一体型だからね、迷い込んだ異世界の人なら無償で提供しているよ」
「って言っても一晩借りるだけだからナァ……」

現物ですまん、とキル夫が出したのは小粒サイズの宝石
異世界だと他の世界の通貨が扱えないため、こっちの方を持ち歩いているのだろう
宝石を受け取ると、マスターから鍵を渡された

455名無しのカウンセリングだべ:2017/06/04(日) 23:32:01 ID:H679hrsc0
>>454
「!……そうか、よかった……」

安堵の声を漏らし、ヘルメットを机に置くとどっと疲れたように椅子へ座り込む絵楠。
思えば今日一日も、アレイスターと初めて邂逅した時に匹敵するほど濃い一日だった。
疲れが出るのも無理はないだろう。その分収穫もあったのだ、結果は上々。

「悪魔祓い、か……暴力を振るった時点で、ミイラ取りがミイラになるものと変わらない気がするな……」

理由はどうであれ、そんな簡単に人に暴力を振るうものではない。
その上悪魔祓いだのなんだの難癖をつけて正当化するなど、許し難い行為だ。
挙句の果てに自分の知り合い、しかも女性を傷つけたと来た。
──許す理由など、全くもってありはしない。

「アレイスターのこともあるけれど、聖女の方も気になるし……その、悪魔祓いとやらも放ってはおけないな」
「俺にどれだけ出来るかは分からないけど……やれるだけ、やってみよう」

456名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 00:13:53 ID:qAgreyYM0
>>452
「そうですか。
実は、先ほどの……病院が停電する前での連絡では私が慌てて切ってしまいまして、
悪いことをしてしまいました……随分と、心配をしていたでしょう」

私も後で改めて連絡を入れなくては、と呟いた後に、
瑠奈は和の手当ての跡、特に固定が施された腕を見た。

「……骨にも、影響が出てしまっていたのですね。
気づくことができなくて、ごめんなさい」

「お怪我の具合は、いかがだったでしょうか」



電話をする和を視界に捉えながら、翔は少し離れたところで、自身も通話をかけていた。
否、正確には着信を受けてのものではあったが。

「……そうですか。あの近くの、工場でも」

「いえ、こちらこそ、頼っていただき、ありがとうございました」

「この後は、先ほど、被害者の女性は診察が終わったため、通報者と共に署へ向かう予定です。
彼女がこの後の調書を取ることに同意するならば、ですが。
少なくとも、通報者は……ええ、そうですね、その通りです」

「…………ああ、はい、その件ですが」

「喜んで、受けさせていただきます、和同警部。
警部のお考えの通り、この件、なにか、ありそうですから」


「……姉に似た、ですか。
甚だ遺憾ではありますが、まあ、姉弟、ですからね」

457名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 12:33:02 ID:PaMtY9Go0
>>455
「んー……… 絵楠、聖女についての話が出た時、悪魔の話も出てた気がするッス」
「確か人に巣食う悪魔、がどうとか」

木材工場の壁に血で書かれていた、あの例の文字
聖女について書かれているとともに、確か人に巣食う悪魔に死を。 そう書かれていたはずだ

悪魔祓いというからには、人に取り憑いた悪魔を祓うのも仕事の一つ
それを指して悪魔祓いと呼んでいるなら、ひょっとして同一の────?

「……そういえば、君が向かった例の拠点、火事にあっていたね」
「話を聞くと放火のようだけど、それも『悪魔祓い』とやらが関わっているのかい?」

マスターの表情は、あまりよくない
和の怪我の原因である彼らにいい感情を抱いていないのは見ての通りだろうし、
何より悪魔と形容されてる存在が他ならぬ自分たち異世界の生物─── このバーの客もそうだし、保護対象もそうなのだ

458名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 12:46:00 ID:PaMtY9Go0
>>456
「……私も打撲程度にしか思ってなかった、それに折れるほどの怪我ではなかったから気づかないのも無理はない」

腕に痛みがあったのはもちろんだが、動かす事自体は問題なく出来ていたのだ
こういった応急処置は本人の自己申告によるところが多いし、あの場には専門家がいなかったのだからしょうがないだろう

「右腕の数箇所にヒビ、落ちた時茂みに入った時のかすり傷、バス内で負った顔の怪我」
「……を除けば無傷そのもの、痕には残らないみたい」

心配していた顔の怪我も、男がまだメリケンサックをつける前だったのが幸いしたのか痕には残らないらしい
大きな怪我を負っていないようだ、それにしては 表情がどこか暗かった

「…………それで、私が眠らされた後の話と、加害者についての話が聞きたいけれど……」
「……………… ここでは、目立つわね」

ちなみに服装は依然として、被害者の…… あの組織の男を助けた時についた血の跡が残ったままである

459名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 21:12:25 ID:aQ6guZ4s0
>>458
「そうですね……薬の処方が終わっているなら、一先ず車へと行きましょう。
そういえば、私の弟はどこへ行ったのやら。
…………消えたか」

「勝手に人を消さないでください」

後ろから半目の翔が声をかけてきた。
その手にスマホが握られているのを見て、ああ、と瑠奈は声を出した。

「詳細、聞けましたか。
誰だったとか、人相とか」

「――いえ、名前等はまだ。
それに、人相なんて、関わった張本人なのに聞けませんよ」

「……調書となると、犯人の様子からなにからの状況を説明しなくてはいけないはずですが、
本当になんとかなるのですかね」

「それはこちらとしても同意見
です」

周囲が一件落着の方向へと動いている中、自身たちだけ置いていかれているような、不透明な状況。
瑠奈は小さくため息をつくと、目線で駐車場を示した。

「とりあえず、移動するしか、ありませんかね」

「……その怪我です。調書を後日、落ち着いてから、というのもできますが……烏屋さんはいかがしますか」

和の様子を見てから、翔が告げた。
どことなく和の表情が冴えないことも、この進言の理由の一つだ。
先に帰るにせよ、共に署に行くにせよ、車内での情報交換はできるだろう。

460名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 21:59:00 ID:CTBFSDR60
>>459
「……………」

「………出来る事は今日のうちに済ませておきたいの」
「明日以降、行けるかどうかわからないから」

深く息を吸い、吐き出す
それが気持ちのスイッチとなったのか、すぐれなかった顔を隠し、無表情の仮面をつけた

「………それに日をおいて行ったら、警察署内でも妙な事件に巻き込まれそうな気がするもの」
「ただ ………えっと……………」

言い出しにくそうに、自分の服を見下ろす
この格好で警察署内に翔と入ったら被害者側ではなく加害者にしか見えないのだ
さしずめ瑠奈は保護者である姉か親戚の人か

「……………我儘言ってるのは重々承知だけど………… 私の家に、寄ってもらっていい、かしら」

461名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 22:48:18 ID:H679hrsc0
>>457
「!あぁ、確かにあったな。壁に書かれていた文字だったか」

ワサビに言われるまで忘れていたが、そういえばそんなことが書いてあった。
思い出したかのようにスマホを取り出し、カメラロールを確認する。
どうやら証拠として写真に残していたようだ。

「人に巣食う悪魔── 放火を行った奴らが残していった『聖女』──」

表情の良くないマスターの心配をしつつ、拠点での放火跡を思い起こす。
和達の方で現れた悪魔祓いと、自分たちの方で見かけた『聖女』に関する書き起こし──
この状況で繋がらない方がおかしい気もする。同一でない可能性もあるが、あまりにもに過ぎているのだ。
少なくとも、同一犯と見て良いだろう。

「何かしらの情報は掴めないか……?」

悪魔祓いと聖女、二つの単語に関する情報が流れていないかネットで検索を掛ける。
かなりのダメ元だが、何か一つでも情報が掴めれば幸いだが──

462名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 23:20:21 ID:4B4lXlLI0
>>461
聖女と悪魔祓い、2つで検索をかけてみる
……やはりつながらない、情報が多すぎる

「2つともよく聞く単語だからね 情報収集できる範囲が広いのが仇になっている」
「……そんな暴力的な連中が大規模で存在しているならば、もっと引っかかってるかもしれない。 神守町周辺の、小規模な団体様の可能性が高いかもしれないね」

過去にカルト宗教と言われる団体が派手に動いた結果、どうなったかはわかるだろう
こうした過激なニュースは人々の注目が集まりやすいし、注目が集まるということはネタにしやすいのだ
新聞社に勤めている絵楠の耳に、届かない辺り最近できた新興宗教……?

「事情聴取がどれほどかかるか、聞ければよかったんだけれども、彼女携帯を………」

「…………」

酒場に鳴り響く、マスターの携帯の着信音
先程鳴り響いた音とは違う、静かな音色 それを聞いて何故か体が強張った

「…………和の携帯から、だね」

電話を取ると、無言でスピーカーモードにした

「―――ザザッ――― ス――― ザッ……… ……マスター? 私、だけれど」

酒場に和の声が響く

463名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 23:45:39 ID:8iF0F0cg0
>>460
「ええ、そのくらい、お安いご用ですよ。
御自宅の場所さえ教えていただければ、車を飛ばします」

「気分が優れなくなったらいつでも言ってくださいね。
調査協力は任意のものですし」

方針は決まった、ということで、病院での用事を済ませた三人はこのまま車に乗り込み、
始めに和の家に行くことになるだろう。
――いや、三人だけではなかった。



「…………車に、入れたんですか」

「うん。それがなにか」

瑠奈の車。車内を覗きこむと、そこには後部座席の隅にいる蜘蛛と、床に座っているピジョットの姿。
この二匹の異世界の生き物たちが、運転席の後ろ側に固まっていた。
ジェットに関しては、三人が来ても首を動かさず微動だにもしないが……まさか、置物のつもりなのだろうか。

「この蜘蛛、大丈夫なんですか」

「……むしろ、蜘蛛くんのほうが大丈夫ではないかもね」

464名無しのカウンセリングだべ:2017/06/05(月) 23:57:39 ID:H679hrsc0
>>462
マスターの言葉通り、よく聞く単語故にまるで情報が集まらない。
創作物だの昔の書物だの、今欲しい情報とは関係ないものばかりだ。
挙句自分の耳にもあまり入ってない情報ときた──中々に難しい状況。

「つい最近立ち上がった宗教団体が無いか調べてみます」

マスターにそう告げ、次の検索候補を頭の中で整理し検索欄に入力し──
その途中で、和の声が響く。

「!和……怪我は、大丈夫か?」

マスターから聞いていたとはいえやはり心配なものは心配だ。
こうして声が聞けただけでも安堵できたが、本人の口から聞いておきたいものもある。
何よりこのタイミングで電話ということは、もしかすると──今欲しい情報に繋がるものがあるかもしれない。

465名無しのカウンセリングだべ:2017/06/06(火) 07:53:12 ID:QduksON20
>>463
お願い、と消え入りそうな声で頼まれたと共に告げられた住所は
カーナビで確認すると警察署の進行方向、着替えるだけならば多少時間が変わるぐらいだった

「……この治療の後見てると警戒する気も薄れていくわね」

数時間前はこんなに包帯ぐるぐる巻きではなかったはずの蜘蛛を見て、ポツリと感想をこぼす
どちら側に座るか少し悩んだ様子だが、蜘蛛とジェットの間に座り込み、蜘蛛の横にそっと左手を置いた




「………異世界と融合した時点でろくな事にならない気がしていたけれど………」
「………アレイスター一本には集中させてくれなさそうね」

和の家に向かう道すがら、今まであったことを翔に伝える意味でも昨日からの流れの話を聞いた
多分情報のほとんどが共有されたはずだ
一部気を使いそうな部分を除いてはおそらく

「元々『治療』の概念が存在していて」
「その『治療』を受けた誰かが、『聖女』として祀られるようになった ……そう聞こえるわね」

466名無しのカウンセリングだべ:2017/06/06(火) 08:12:13 ID:QduksON20
>>464
『─────』

『───大丈夫────ザザッ──大した怪我はない』

妙にノイズが入り、声が遠い電話だ
マスターの顔も和に向けている穏和なものではなく、むしろ警戒の色がありありと見える

「………今どこにいるんだい、和ちゃん」

『───事情聴取を受けに、警察署へ───ザザッ───向かっているところ』

「そうかい、二人とはまだ一緒なんだね?」

『────ええ』

「ところで君が隠れて貯蔵していたアレだけど 没収したからね?」

『───? え、ええ』

467名無しのカウンセリングだべ:2017/06/06(火) 10:03:47 ID:bywp5M/c0
>>453
「うん、そうだね。――ところで、どうしてそんなにくっついてくるんだい、たっくん。近くにいたら力出せないんだけど?」
「夜の学校って怖いだろ……。しかも廃墟だぞ? マジヤバイ。怖いと怖いが合わさって最強の怖さになってる……」
「大丈夫。怖くないよ」
「俺は怖い―――あっ」

 咲野は空を駆けるように浮いて。空を飛ぶ術を持たない拓人は置いてけぼりに。

「お、置いてくなぁぁあああ!! 昨日《怪異》を見たばっかりだぞ!? 正気度ポイント減ってる!」
「問題ない。その右目はアザトースの残滓でしょ? 耐えろ!」
「無理、無理。怖い!」

 泣き言を言う拓人を無視して、紫電を溜める。

「さて、終わらせようか。―――神(わたし)の雷霆をご覧あれ! ―――電刃、《双電公の神矢》(レイゴン・アロー)!」

 雷鳴、轟かせて。黄金の雷電、身に纏い。
 その輝き、視界を白く染めて――
 その雷電、怪人を打ち据えて――

「後はよろしくー」

 あと一撃でこの辺りにいる怪人は全て斃れるだろう。
 止めは自分で刺さずにスナイプに委ねる。

468名無しのカウンセリングだべ:2017/06/06(火) 10:08:15 ID:4th7lQJE0
>>466
「(……マスターが警戒している?)」

やけに聞き取りづらいノイズはともかく、マスターの顔付きを見て何かを察する絵楠。
ノイズとはいえ一瞬の間も気になるが、今の顔付きは、マスターが和に対して向ける表情だとは思えないのだ。
何かしらの訳があるのか、それとも──

「(……あっさりと受け入れた?)」

こういうものは見つかった場合、恍けるか焦って覆い隠すかが相場だと思うのだが。
何故、電話の向こうの和はこんなにもあっさりと認めたのか。
そもそも隠れて集めていたのだから見つかったら焦る筈である。
もしや。いや、もしかしなくても──

「……そういえば和、ゼロがやっぱり不便だって言ってたけど」

相手が何処までこちらの事を知っているかは知らない。
が、少なくとも今の状態ではスピーカーの向こうの人物が和とは到底思えない。
うまく炙り出せるかは知らないが、おまけで釘を刺しておこう。

469名無しのカウンセリングだべ:2017/06/06(火) 12:30:13 ID:CTBFSDR60
>>468

『───────』

『慣れるように言って』

プツン
最後の最後でゼロへの容赦ない発言が繰り出されると
電話の電源が切れた

今のはどうだろう、言葉の内容はゼロに言いそうだし、
その後すぐ切るのは本人もやりかねない

「…………十中八九、なりすましだとは思うけどね」

そんな心情を察して、苦笑いを浮かべるマスター
今しがた切れた電話を持つ

「さっき和が事件に巻き込まれたっていうのは聞いたよね? その時どうも携帯を落としてしまったらしいんだ」
「それなのにこうして電話がかかってくるのは2度目だよ……… ワサビ君、録音一緒に聞いてくれるかい?」
「ん、あいあいさーっス!」
「絵楠君、來咲君に電話してもらえるかい? 今どこにいるかと、和が電話してないかをね」

470名無しのカウンセリングだべ:2017/06/06(火) 23:37:22 ID:8iF0F0cg0
>>465
「……なんだかすごいことになっていますね。
しかし、これであんなニュースが流れていてもほとんどの人が無反応な理由が分かりました。
融合、とはまた大きく出たものです」

「傍迷惑なものですね。今日みたいな二次被害も増えてくるでしょう。
典型的なカルト集団が、本物の力を手に入れたとか、洒落になりません。下手な犯罪集団より手に負えないです。
それより手に負えないのがアレイスターさん、なのでしょうが」

「本物の力を手に入れたどころか、
あの男性の話によるなら異世界の集団が核となっているのでは」

そこまで話して、翔が息をついた。
もうそろそろ和の家に着くころであろうが、二人ともあの男性から、和に告げるように言われた言葉は話していない。
片方は完全に気を使い、もう片方はマスターには一応通しておこうぐらいの気持ちではいる。

471名無しのカウンセリングだべ:2017/06/06(火) 23:53:59 ID:4B4lXlLI0
>>470
「………カルト集団、暴行、聖女………」
「……どれも神守町にも夕闇町にも、馴染みが薄い 規模が小さかった集団として存在していた……」

「……自分たちに害成す者を『治療』するなら、『聖女』も元々は外部の……」

何かを考えるというよりも、思い出すように頭を動かし、
無意識に右手を動かし顔をしかめる

それからそう時間が経たずとも、烏屋が指定した住所近く……
古い町並みと同じくらい、古く、ボロい、なんだか幽霊の一人や二人出てきそうなボロアパートが見えてきた
昔のドラマで見たことがあるかもしれない、部屋に風呂がついていなさそうなレベルの古アパート

「ごめんなさい、すぐに着替えてくる」

そう断りを入れ、烏屋が車から降りるとアパートの一室へと入っていった
……・見れば見るほど幽霊が出そうな、妙な霊気を感じるのは気のせいか
「」

472名無しのカウンセリングだべ:2017/06/07(水) 01:16:42 ID:H679hrsc0
>>469
「……ビンゴ」

向こうとしては一瞬の焦りこそあったものの、その場を切り抜けたと解釈するだろう。
しかし絵楠側からすればそうでもない。そもそも絵楠は、ゼロが和に「ブレスレットを付けてくれ」と頼み込んだことまでは知らないのだ。
確かに本人の言いそうなことでこそあるが、本人ならばため息をつきながら「知っていたのね」と前に付けるのではないだろうか。
個人的な観点でこそないが、この和は間違いなく──

「マスターの懸念、当たりみたいですね」

やはりマスターも同じように思っていたようだ。
しかも聞いた話が正しいのなら、和は電話など出来ないはずである──
これで先程の電話がなりすましと確定したか。

「分かりました、今から電話しますね」

>>470
「──もしもし、瑠奈。今どこにいる?あと、和は一緒か?」

即座に電話を繋ぐと、マスターの方をチラリと向いてから──
聞くように頼まれたことを、瑠奈に向けて言った。


>>467
『ガシャット!キメワザ!』
『ジェット!クリティカルストライクッ!!』
「ぶっ飛びやがれ!」

トドメを任されたスナイプは必殺技の体勢に入ると空中で静止。
ガトリングに溜め込まれたエネルギーを一気に解き放ち、怪人達を殲滅した。

「……とっとと突入すっぞ」

473名無しのカウンセリングだべ:2017/06/07(水) 07:05:07 ID:bywp5M/c0
>>472
(2人とも空飛んでる………。俺だけ――いいや、俺は戦うことができないから……)

 地上でひとりぼっちとなった拓人はぼんやりと、空を飛び戦う2人を見ていた。
 咲野はふわりと地上に降りて、拓人の腕を掴むと大我の後に続いて足を進める。

「さぁ、行こう! さてさて、どんなものが待ち受けているのかな!」

 拓人は、ただ、付いていく。咲野の側から離れないように。
 咲野の力の源は電力ではなく、魔力でもなく、人が持つ輝き――。人ではない咲野は、輝きを自ら生み出すことができない。それ故に、輝きが近くにいなければ全力を出すことができない。
 だから、付いていく。電源として。諦めずに――。
 そう、諦めずに。夜の廃校が怖くても、恐怖で足が竦んでも、無理やり足を動かして。

(……俺にも、戦う力があれば……。見ているだけというのは、心苦しいな……)

474名無しのカウンセリングだべ:2017/06/07(水) 19:24:40 ID:XiCX98Bk0
>>471
「はい、ここで待ってますね」

アパートへと向かう和の背中を見たあとに、翔はアパートを見上げた。

「……すごいところに住んでいますね」

「あまり詮索するもんじゃないよ」

「分かってます」

翔は助手席に座り直す。
そして、今まで車内で語られていたことを頭の中で反芻させた。

「世界の融合を企む者に、暴力的エクソシスト、その他にも、単体で暴れる人や生き物もいる……ですか。
……本当に、また厄介なことに巻き込まれて」

「巻き込まれに行った記憶はあまりないんですがねえ。
前に言ったとおり、今回はバックアップのみのつもりですし」

「つもりになりますかね」

そこで、瑠奈の携帯電話が震えた。着信が来たのだ。
マスターか和同警部からだろうか、と端末を取り出した瑠奈が、一瞬動きを止めた。

「…………誰これ」

携帯電話の画面に映った番号を見て、呟く瑠奈。
エクスはマスターに教えてもらったのかもしれないが、瑠奈はエクスの連絡先を知らないのだ。
瑠奈の言葉に翔が画面を覗き込み、姉の顔を見た。

「……電話といえば、烏屋さんの件もありますし、出ない方が」

「いや、何か情報が得られるかも……イタズラだったらパスするかも」

「パスする前に切ってくれませんか?」

翔の言葉をスルーして、瑠奈は電話口に耳を傾けた。


>>472
「…………」

「…………どちらさまでしょうか。
出身の世界から言っていただけると……」

見知らぬ番号であり、名乗りの口上もないため数秒無言で返されたが、
口調や尋ねている内容的にもエクスであることは察した瑠奈。
しかし、電話を用いて和に成りすました者や、エクスのドッペルゲンガーたち――しかも、内一人は敵方である――のことも考えてそう告げた。
それにしてはもうちょっと言い様がなかったかとは感じるだろうが、
オレオレ詐欺のように先に名前を聞き返して成りすまされるケースを防止するために考えた結果である。

475マスター「君達同期で同じ町に10年近く住んでるんだよね……?」:2017/06/07(水) 20:42:52 ID:.d3PqMhY0
>>472 >>474
瑠奈や絵楠と違い、童守学園を学歴にそのまんま載せた場合のサンプルとして現実世界の学校に通っているらしいため、
ひょっとしたら学園が用意した物件で中は快適…… なのかも、しれない
中は快適で外はソコソコのバーと比べると底冷えするような不安を感じるが


「……絵楠君、名前 君同一人物が3人いるんだから」

「声だけ聞いたら誰が誰かわかんないッス」

マスターの電話を取り囲み、録音のノイズ部分を何か聞いている横からツッコミが入る
何か、単なるノイズではなく何かが聞こえるらしい ひょっとしたらその様子や声も瑠奈や翔に聞こえるかもしれない

476絵楠「忘れてたよマジで…… あ、ちょっと介入するね」:2017/06/07(水) 23:19:37 ID:H679hrsc0
>>474-475
「あ、悪い。……神守町の山亘理絵楠だ、普通に名乗り忘れてたよ……」

何というか、ドッペルゲンガー──基、違う世界の自分がいることに慣れるのもいいことばかりではない。
平然と電話したつもりだったが、思えば名乗り忘れていではないか。
ちょっと気が抜けてしまったというべきか、信頼故のミスというべきか。

「それで、さっきの内容なんだけど──」

そこまで呟いて、絵楠が口を動かすのを止める。
何かに気づき、いや──何かの音を、聞き取った?

「……何の、音だ」

しかし、確かに絵楠には聞こえた。
少なくとも音は電話の向こうから響いていたと絵楠は感じたため、瑠奈達の方に何かいるのかもしれない。
マスター達にもほんの少し聞こえただろうか?その音、いや声は──
獣の咆哮のような声と、何かを引き裂くような音。

「瑠奈、何かいるかもしれない!周りに警戒、してくれ……!」


そこまで絵楠が言ったと同時に、空高くから地面へと何かが落下した。
姿形は怪人のようだが──少なくとも、まだこの世界では見ていないタイプの怪人。
やがて、怪人の体が膜で覆われたかと思うと、ドロドロにとけ──その場に、腕輪だけが残った。


>>473
「……どうやら、アレを使ってやがるみてぇだな」

手に持ったレーダーに記された反応を見て、苛立つ大我。
レーダーに映されたのは、バグスターウイルス──彼や永夢が根絶を目指している新種のウイルス。

「オメェら、気をつけろよ……バグスターウイルスに発症したら俺しか治せねぇ」

477名無しのカウンセリングだべ:2017/06/07(水) 23:58:07 ID:8iF0F0cg0
>>475-476
「ああ、やはり山亘理さんでしたか。
ご本人さまですね、安心致しました。
ええと、烏屋さんのこと、です、が……」

後から微かに聞こえてきたマスターの声もあり、エクス本人であることに安堵する。
そして、会話を続けようとしたところで、エクスの異変に気付く。

「……音、ですか。どこから……」

『上……来るよ』

人間よりも遥かに身体能力が高い故か、ジェットが天井を睨みながら声を上げた。
瞬間、近くに落ちてきた怪人に、人間二人は声を失う。

「……はい」

「…………はい。
ええと、烏屋さんのことでしたっけ?
今は一緒に夕闇町の警察署に向かうところでして」

(え、会話続けるの?)

平然と話を続けた姉をドン引きしつつも、翔は窓から怪人の様子を見る。
そして、車内から出来る限り空の様子を覗いた。
あの声の持ち主が怪人なのかどうかは分からないが、
怪人がこのようになった原因がまだいるかもしれない、と警戒しつつも。

478名無しのカウンセリングだべ:2017/06/08(木) 00:14:10 ID:4B4lXlLI0
>>476-477
「絵楠君?」
「ま、またなんかあったんッスか!?」

獣の咆哮が聞こえずとも、絵楠の慌てた様子に周りが何かが起きたのだと察した
マスターの携帯から離れ、絵楠の周囲に集まる一行 何が起きているのか、知りたいのだろう




「……『聖女』……『治療』………」
「………あの暴行を受け続けた、被害者が…… 恐らく、そう呼ばれるようになった」

「聖女と呼ばれるほど尊ばれる存在になった彼女が、カルト集団と仇なしていないということは…… もう、生きている可能性は少ない」

「……騒ぎになっていないということは…… 遺体もまだ、見つかっていないはず」

薄暗いアパートの中、一人思考を勧める
自分自身を殴った形跡はなかった、ということは『治療』が必要とする患者は外の人間のはずだ
……あんな人間が施す『治療』を、喜んで受ける人はいない

「……宗教としてのはっきりとした関わりは無くても」
「行方不明とか、そんな形で……形跡が残っているんだとしたら」

479名無しのカウンセリングだべ:2017/06/08(木) 06:52:11 ID:H679hrsc0
>>477-478
「(あの咆哮、何か引っかかるんだ)」
「(俺が知っている、何かの様な──)」

絵楠が電話の向こうで思案している、その最中。
怪人が先程までその場所に『あった』であろう痕跡が残っている腕輪の元に凄まじい速度で現れる、何か。
──地面に落ちた腕輪と同一のものを左腕に装着し、赤い複眼を光らせた、緑の戦士。
一目見て、『仮面ライダー』に該当するものだと分かるだろう。

「ウゥゥ………」

だが、獣の様に唸り声を上げているそれは果たして本当に『仮面ライダー』なのか。
ただの獣宛らのその姿を見たものからすれば、仮面ライダーとは言えないかもしれない。
少なくとも、先程の怪人を殺めたのは間違いなくこの獣だろう。

「……!ガルルァッ!」

しかし、獣は瑠奈達とは違う方向に何かの気配を察知したのか。
その場を凄まじいジャンプで離れ、夜の闇に消えていった。

「……何か、何か引っかかるんだ……」

一方の絵楠は、独り言をぼやいていた。
恐らく、獣の咆哮を何処かで聞いたことがあるのだろう。自身の知るものよりは幾分音が高いが。

480名無しのカウンセリングだべ:2017/06/08(木) 09:54:01 ID:bywp5M/c0
>>476
「ウイルス!? 怖そうだな」
「私はウイルスとか大丈夫だけど……」

 咲野は人間ではないためバグスターウイルスには感染しないが、拓人は別だ。右目以外は普通の人間と変わらない。

(ただでさえ戦えないんだ。足手まといに、ならないように……)

 無意識に、黄金色の右目を覆うように強く押さえて。
 そんな拓人を咲野は心配そうに見る。

「安心して? 治せる人いるんだし、大丈夫だよ。私はウイルスとかよくわかんないから、お医者さんに任せるね!」

 大我に向かって笑顔でウインクをする咲野。その視線に、黄金瞳を持つ拓人に何かあったらただでは済ませないという想いも込めながら。

481名無しのカウンセリングだべ:2017/06/08(木) 18:55:02 ID:oSJUDPQc0
>>479
「…………」

「……黙ってしまわれた」

「……そりゃあ、騒ぎをスルーして報告続けようとしたからでは」

「ええ……なんなんだ……」

スマホを少し耳から離し、瑠奈も車外を見た。
そこには既に何もいない、その獣も去った後である。
まだ何か落ちているのかもしれないが、電話を繋げており、相手方が何やら考え込んでいる今、変に物音を立てるようなことをする気はない。

「……なんで昨日の今日で私は空からの落下体を見なくてはならないのでしょう」

「まあ、車に当たらなかっただけ幸いでしたね、としか」

「当たってたらさっきの人か、アレイスターさんに修理代請求してました」

「さっきの方は果たして人だったのでしょうか……。
そして飛び火するアレイスターさん」

「元凶っぽいらしいですし、少しは、ね。
さて、そろそろ思考が戻ってくる頃でしょうか。
もしもし、山亘理さん、大丈夫ですか」

翔との会話を中断して、瑠奈は山亘理へと再び話しかけた。

482名無しのカウンセリングだべ:2017/06/08(木) 20:30:44 ID:YhKRplFY0
>>479 >>481
すっかり黙りこくってしまった電話からで、マスターが絵楠を現実に引き戻そうとする声が聞こえ
今までの説明を始める絵楠
2度目の電話があったこと、
それが瑠奈達の行動と一致していること、
探りを入れてみるとほぼ偽者らしいこと
そしてノイズ混じりの、録音を聞かされた

「電話越しで申し訳ないけれど…… この時近くにいたかい?」

和一人の声しか聞こえなかった、
確か車から降りる直前まで話していたはずである
電話がかかってきたのはその前後、アパートに入ってすぐかけたとしてもタイミングとしては遅い

483名無しのカウンセリングだべ:2017/06/09(金) 17:21:40 ID:5waeUtdM0
>>480
「最も、そう簡単に発症するモンじゃねぇ……頭の片隅にでも入れときゃいい」

そう呟いた後、見張りの戦闘員を一人気絶させる大我。
経験値が違うと言ったところか、手馴れた様子だ。

「テメェらが関わる理由はねぇと思ったが」

その後、二人を見て一言呟く。

「……そうも言ってられねェか」

先程の戦闘を共にしたため、大我にも何となく察しはついた。
同じだ。レジスタンスと名乗り、この現状を打開しようとする者達──
彼等と今共にいる二人は、本質的に。

「……まぁいいか。いいかテメェら、無理はすんなよ」


>>481-482
「……あ、あぁ 悪い……ちょっと考え込んでた」

瑠奈と声ですら遠くに聞こえていたのか、マスターの声でふと我に返る絵楠。
瑠奈に詳細を説明すると、マスターの流した録音を自分も改めて確認する。
やはり、成りすましの可能性は高いだろう。

「(しかし、あの咆哮は……)」
「(後で瑠奈に、もしも姿が確認出来たのならどんな特徴をしていたか聞いておくか)」

484名無しのカウンセリングだべ:2017/06/09(金) 23:28:46 ID:8iF0F0cg0
>>482-483
「……山亘理さんから電話が来る1、2分前から、烏屋さんはご自分の家に寄ると一時的に別れています。
その間なら、まあ、できないことはないとは思いますが……。
それより前で、病院からマスターに連絡した後となると、
彼女は、電話をしていません。
携帯電話を持っていませんですしね」

アパート内に更なる予備があるなら話は別になるが、
しかし、和は成り済まされた事実を知っているのだから、その場合、電話の最初に予備端末を使っている旨を告げるだろう。
十中八九、否、ほぼ百パーセント成り済ましである。

「しかし、警察署へ向かう最中であることを……ある程度はこちらの行動を把握しているようですが、目的が見えませんね。
他の人物と行動しているならば、そこから携帯電話が手元にないことが判明する可能性が高いことは分かるでしょう。実際に知らせましたし」

「それでも、未だに相手が成り済ましをしている理由……
話を合わせているだけで同行者や周辺の行動は把握していないのか、
誘い出すかなにかをしようという魂胆か……」

そこまで話してから、小さく息をつく。
結局は推測の域から脱せないものだ。あれこれと、しかも電話上で言っても仕方のないことであるし、向こうも困ることだろう。

「すみません……長々と。
この先は、実際にお会いして話した方がいいかもしれませんね。
烏屋さんにも、確認いただきたいですし」

485名無しのカウンセリングだべ:2017/06/10(土) 14:56:39 ID:84xi7Dfc0
>>483-484
「いや、僕らの方も色々考えをまとめたかったしちょうどいい」
「なんにせよ気をつけてね、相手がどうであれ君達の動向を知っているのは間違いないようだから」

最初のなりすましから、本人がどこで何をしているかは掴めている、それだけは違いないのだ
前回はそれが元で救出に迎えたのだが、今回はどうなのだろうか
危機に瀕しているわけでもなければ、困っているわけでもない ……はず

電話での用件は、ひとまずこれで済んだだろう
このまま電話を切ってもいいの、かもしれない───

「ごめんなさい、少し遅く………」
「…………何かあったの?」

話が終わったタイミングで和が戻り、電話の向こうにもその声が聞こえた
無難な格好を選んだようだ、学校の制服に着替え
手にはやけに太い青色のファイルを持っている
身を寄せ合い電話で会話している瑠奈と翔から何かあったことを察したのか怪訝な表情を見せる

486名無しのカウンセリングだべ:2017/06/10(土) 21:41:28 ID:8iF0F0cg0
>>485
「おかえりなさい、烏屋さん。
ええ、少しね」

帰ってきた和の姿が無事そうであることを振り向いて確認する。
そのあと、ああ、と声を出した。

「……ちょうどバーに電話も繋がっていることでしょうし、ここで最終確認を取りましょうか」

「烏屋さん、病院を出てから……アパートへと行った後等に、マスターに電話で連絡をいれましたか?」

瑠奈は電話を口元から少し離し、その内容が電話の向こう側にも聞こえやすいようにしながら、
和に、そう尋ねた。

487名無しのカウンセリングだべ:2017/06/10(土) 23:01:11 ID:4B4lXlLI0
>>486
「……いえ、伝える用件は病院で話したし、ここまで電話する暇なんてなかったから……」

貴方達を待たせるわけには行かないし―― と、最もな事をつぶやく
今は落ち着いているが、昨日今日と瑠奈に対し恐縮しぱなっしであるし、
何も電話なら署で向かう途中でも問題ないのだ、待たせるような真似をしないだろう

最終確認はとれた、やはりなりすまし………

「ところで和ちゃん、君が隠れて貯蔵してた物だけど勝手ながら没収させてもらったよ」

「え、一体どれの…………」
「…………待って、今の無し」

「………あぁ、うん この彼女は本物みたいだね。 しっかりと全部探し出すとしようか」

「カマかけるなんてひどいわよマスター……」

君が自爆したじゃないか、というマスターの声とともにこれで本当に最終確認が取れたのだろう
代わりに違う地雷を踏み抜いてしまったようだが

「………その電話番号、確か山亘理さんの物だったわね」
「バーにいるってことはこっちの事情も説明されているでしょうし、されてなかったら多分これからするわね?」

瑠奈の携帯の画面にうつる番号、そしてバーに電話が繋がっている言葉から絵楠がバーにいる事に勘付いた
車から降り、アパートに向かう道すがら考えていたこと、そしてヒントになるかもしれない事を ……そしてヒントになるかもしれない物を、提示する

「『治療』の末に悪いものを全て出して『聖女様』になった、 ……考えたくないけれど、あの集団が女性を暴行した末に、聖女となった。 そうでしょう?」
「けれどもそんな話聞いたこともない、この近隣の出来事なのに話にすら上がらない、表沙汰になっていない」

「……暴行を受けた女性が戻ってきた、そんな話も」
「結果の話が見つからないのなら、原因の話はどうかしら」

『あのカルト集団は自分達以外の存在を悪魔憑きと捉えている』 つまり、『治療』を受けた人間は得てして部外者なのだ
あの男もそうだったし、和も、そして新たに悪魔憑きと認定された瑠奈も、全員外の人間だった

何より、内部の人間同士で『治療』を行い続けたら内容が内容だけに、破滅するのだ
笑う人間も殴る人間もいなくなる

「この町近隣で起こった行方不明事件や家出人の方を当たる、そこから情報を得ることができるかもしれない」
「………訳あってそうした事件、調べていたからまとめた資料持ってきた」

と、手に持つ青いファイルを見せる
関係ない事件が大多数だろうが、関係のある事件が紛れ込んでいるかもしれないと

488名無しのカウンセリングだべ:2017/06/11(日) 01:17:26 ID:H679hrsc0
>>484-487
「ふむ……」

和の動きのおおまかな内容は、瑠奈のおかげで把握出来た。
しかし、成りすまし犯の動機は未だに掴めないでいるのは変わらない。
何故和に成りすましていたのか、本当に誘い出すためなのか愉快犯か──
考えていてもキリはないか。

「……今度は、本物の和みたいだな」

その最中に聞こえてきたマスターと和の会話を聞き取り、今度の和は本物であることが確定。
同時にほんの少しだけ、ホットしたようだ。

「成りすましは確定、おまけに奴等の動きも大枠は掴めたか……」

動き、というよりは動機と呼ぶべきか。
とにかく、これで『悪魔祓い』と『聖女』に関わる人々が同一であることは確認できただろう。
しかし、てっきり絵楠は聖女が悪魔祓い共に指示を出す・或いは崇拝される存在かと思っていたのだが──
話を聞く限り、相当惨いことをされていたようだ。挙句帰ってきたという話もない。

「……そうだ。悪い、瑠奈。さっきの話を蒸し返すようになるけど……」
「そっちで獣の咆哮がしただろ。その辺りに何か落ちていたりしないか?こう……そうだな、腕輪みたいなもの……とか」

一方の絵楠は、さり気なく瑠奈へと腕輪が辺りにないかを確認してくれと伝えた。
腕輪自体は先程の怪物の痕跡がある部分に落ちたままだが、怪人の体液の塊がべっとりと地面には付いたままだ。
むしろ、腕輪にあまり付いていないのが不思議なほど──
正直写真さえとれば問題は無いだろう。絵楠が何か知っている様子なので、写真を撮って送るくらいで大丈夫かもしれない。

489名無しのカウンセリングだべ:2017/06/11(日) 23:51:50 ID:8iF0F0cg0
>>487-488
「なるほど……その資料も、後ほどバーで検証致しましょう。
こちらの詳細の話も、まだ出来ていませんし。
……先ほどの異形との遭遇についても、合わせて、ね」

「……それで、えーと、落ちているものですか?
これ、降りないと確認できませんね。
お二人は車内で待っててください」

懐中電灯投げなきゃよかったな、と呟きながらも、翔と和を置いて車の外に出る。
ジェットは不安そうに見守るなか、問題の跡地へと近付く。
車自体は外灯の下に置いていたものの、そこは暗がりでよくは見えなかった。
が、近寄ったことで怪人が落ちた跡をはっきりと目撃し、顔をしかめた。

「う……あ、ありましたよ。
腕輪、ですね。
これ、どうしますか、持って行きましょうか」

触りたくないなと心の中で思いながらも、そう尋ねた。

490名無しのカウンセリングだべ:2017/06/12(月) 12:52:32 ID:ES7OBEv.0
>>488-489
「ええ、ここで話すには長くなりすぎる…… 電話だと見せられないもの」
「…………異形との遭遇?」

テレビ電話だと文字が小さすぎる、写真だと面倒くさい
とりあえず報告だけしておきたかったらしく、言い終えると車の中にファイルを置いた



「……………」
「子供の落し物、というわけではなさそうね」

車の中にいろ、と言われたにも関わらず
横からひょっこりと顔を出し、共に腕輪を見る

「……來咲さん、回収するなら私がやった方がいいと思うわよ」
「他の異世界生物みたいに体に何かが入ってくるのなら、既に取り憑かれてる私の方が対抗してくれるかもしれないし」
「何か妙な機能があるとしても ………多分『無効化』できるはず」

チラリと、翔を見る
病院内であの催眠ガスの中一人だけ無防備でも影響を受けていなかった時のことを言いたいのだろう

491名無しのカウンセリングだべ:2017/06/12(月) 21:02:04 ID:bywp5M/c0
>>483
 経験の差。咲野の場合は――とある《結社》の構成員であったが、雷電の身となって正義の味方になった今は見る影もない。
 正義の味方だからという理由で昔のような事はしなくなった。例えば、昔は奇襲が得意だったが、今は正面突破一択。赫眼の力も今では全く使用しない。だが、雷電の身となってから1ヶ月も経っていないため、未だ不慣れな様子。
 拓人は言わずもがな。

 そして大我に無理をするなと言われて咲野はそれにうんうんと頷く。

「そうだよ。無理は良くないよ、たっくん」
「え? お、俺? 咲野もじゃなくて? 俺は別に無理なんて――」
「してるよ。戦えないくせにここまで付いて来て。ばかじゃないの?」
「……やっぱり、邪魔か?」
「違うよ。そうじゃなくて――」

 咲野は1秒にも満たない間に考えた後、拓人をじっと見据えて続ける。

「――おまえの右目はアザトースの残滓、そして私はニャルラトテップと同じ瞳。運命的な関係だね? おまえがあるじで、私が代行者。おまえが戦えないのなら、私がおまえに代わって戦おう。輝きを忘れぬ限り、私は、おまえの武器で在ろう」
「……そんな、咲野を武器だなんて思うことはできない」
「それじゃあ守られていて? 騎士に守られる姫のように」
「俺が姫? いやいやいや。ないないそれはない」

 否定する拓人をおまえにはその2択しかないと言わんばかりに無視して、大我の方に近づく。

「面白そうだったから首をっつこんでみたんだけど、何をすればいいの? 敵をボコボコにするのは任せて!」

 戦力的に、今のところは2人で1つという認識でいいだろう。雷電の力に慣れていない、といっても威力は絶大。敵を正面から倒すなら役に立つだろう。

492名無しのカウンセリングだべ:2017/06/13(火) 07:10:26 ID:H679hrsc0
>>489-490
「……もしや……瑠奈、余りにも触りたくなかったら、写真だけでも充分だ。俺の仮説が正しいとしたら、今となっては何の効力もないはず」

瑠奈の反応もごもっともだろう。絵楠も現物を実際に見た訳では無いが声の感じで何となく察しはついた。
そもそも先程まで居たと思われる怪人の体液がそこには残っているのだ。触りたくなくとも無理はない。
ここで和が出てきたのは、ある種運が良かったか。

と、いうことで拾った腕輪を少し見てみることにする。
青や赤に点滅している光、腕輪の内側に付いている大量の針。
そして僅かに香る、薬品の香り──

「……なぁ、今からそっちに出向いてもいいか?」
「腕輪を回収してそのまま如月ジャーナルに向かっておこうと思う」

そんな折、絵楠から飛び出す発言。
行動力の高さはさすが彼といったところか──
しかし、そんな時間があるのかどうかが一番の問題である。
既に夜なのだ、安易にうごかないほうがかいいのだが。

>>491
「アザトース?ニャルラトホテプ?」

──あいつが何言ってんのか時々わかんねぇ
博美にこびり付いた単語。
それはまだいいのだが、この拠点の意味は何なの大我の人からいいのな人はない。

493名無しのカウンセリングだべ:2017/06/13(火) 11:00:01 ID:t8ul/ZWo0
>>491
「アザトース?ニャル……何なんだ、そりゃ」

──こいつが何言ってんのか、時々全然わかんねェ
今まで受け持った患者の中にもそのような単語を言っていた患者はいたご、アレはゲームのキャラではないのか?
もしかすると、ソイツらは本当に存在するのか──?
等と考えていても埒が明かない。この拠点がある意味が大我には分からないが、バグスターウイルスが絡んでいる以上関わらないわけにも行かない。

「あぁ、派手に奴等をブッ飛ばしておけばそれでいい。バグスターウイルスの方は俺がブッ倒す」

一応、二人の力でもバグスターウイルスを倒せなくはないと思われる。
が、まだ力の制御が完全に出来ているか分からない以上は派手に場を荒らしてもらうのが一番好都合だ。
そんなことを言っている間に、拠点の中枢と思われる部屋の扉に辿り着いた三人。

「さぁて……ミッション、開始」
「!?何だ……!?」
「狼狽えるな。来ると思っていたぞ、仮面ライダー」

大我はそう呟くと、扉を思い切り蹴破った。
中にいる怪人達は当然焦るが、その中の一人──恐らくここの拠点を任されているであろう幹部、赤色で頭や肩の特記が特徴的なスタイルの『ゲノムス』が怪人達を静止し、静かに佇む。

「テメェら、行くぞ……第弐戦術」
『バンバァンシューティング!』
「変身!」

ゲノムスを見据え、ガシャットを起動する大我。
同時に怪人達もこちらを標的に捉え、一斉になだれ込む──!

494名無しのカウンセリングだべ:2017/06/13(火) 12:44:56 ID:LYqv/Yi.0
>>492
「……………」

瑠奈の手が触れないうちに腕輪を回収すると、
これ以上1秒たりとも触れたくないとばかりにビニール袋に突っ込み口を結ぶ
この腕輪をつけた人間に何かしら薬品を注入するもの、だろう恐らく

「…………それなら警察署で合流するのはどう?」
「ここで待ってたら他の人が来るかもしれないし、全員一気に事情聴取されるとも思わないし…………」

昨日今日で、外を出歩く怪人の数は減ったが
どうも瑠奈達が遭遇したことを考えると、外では待ちたくない
何より待つ時間が勿体無いのだ

495名無しのカウンセリングだべ:2017/06/13(火) 12:51:32 ID:kyDgG6KU0
>>490-492
「烏屋さん……もう、本調子ではないのですし、あまり無茶をしてはいけませんからね」

始めは和を咎めるようには見ていたけれど、口調は厳しいものでも責めるものでもない。
すぐに、まったく仕方ないなあとでも言いたげに目線を和らげた。
そもそもの車が近くにあるし、ジェットが開いたドアから半身出ているし、とりあえずは大丈夫だろうと判断したのもある。

「……この腕輪、先ほど怪人らしき方が落としたものなのですよね。
落としたといっても、あの世から干渉してくる手立てがない限り、本人が取り返しに来ることはないと思いますが」

「効力がないというなら私が持っても大丈夫そうですが……トングかなんかを車に入れてきていればよかった」

年下に変に気を使わせるまいと、腕輪を持ち上げた。
さすがに素手ではなく、ハンカチを用いてではあるが。

「それで……山亘理さんがこちらにきて、ということは、
こちらがバーに赴いてからでは遅い、ということでしょうか」

「情報共有も兼ねてどこか一ヶ所に集まりたかったのですが……」

戦力の要となるエクスには、なるべく早く情報を渡しておきたい。
しかし、夜である今、営業時間内に当たるマスターは動けないだろうし、だからといい、和が大きく関わり、異世界の者たちを保護している彼に今回のことを共有しない選択肢はない。
まあ、いつぞやのように、モニターかなにかで通信を繋いでおけばできるだろうが。

496名無しのカウンセリングだべ:2017/06/13(火) 12:52:32 ID:kyDgG6KU0
リロードしない民再発動
>>495はなかったことでお願いします

497名無しのカウンセリングだべ:2017/06/13(火) 23:24:52 ID:8iF0F0cg0
>>492,>>494
「ここで合流を待つのは私も避けたいところです。
ここは住宅街ですし、夜とはいえ、人目もあるでしょう。
それに……先ほどの方がいつ戻ってくるやも分かりませんし」

ハンカチで取ろうとした瞬間の和の早業に少し目を見張りながらも、エクスに伝える。
もう日が暮れており、未成年もいることだ。警察署での調書も、今日の内は簡単なものになるだろう。もしかしたら、あの組織が容疑者や被害者に関して手を回したことにより、通常よりも短いものになる可能性もある。
エクスがこちらに来ている間に、調書も終わるかもしれない。

「なるべくなら、一ヶ所に集まって情報共有したかったのですが……難しそうですかね」

相変わらずの根性さに少々呆れながらも呟いた。
若干、朝から東奔西走しているエクスの疲労度がどのくらいか心配な声色もあるが。

498名無しのカウンセリングだべ:2017/06/14(水) 00:54:17 ID:H679hrsc0
>>494-497
「確かに、な。一箇所で集まった方が俺もやりやすい」

そう言いながら、以前エイラから受け取った通信機に目を見やる絵楠。
腕輪を受け取った後、即座にエイラに詳細を伝えるためだろう。
現物を渡しておけば、絵楠としてもこの腕輪に関わる出来事を捜索しやすくなる。

「今の所、俺はまだバーから出ていないよ。そっちの指定した場所に向かうさ」

和と瑠奈に向かい、そう伝えておいた。
腕輪のことが気になることは確かだが、こちらにはバイクもある。
それに二人には早くその場を後にしておいてもらいたいのだ。

499名無しのカウンセリングだべ:2017/06/14(水) 14:25:46 ID:bywp5M/c0
>>493
「そ、それは、気にしないで。……うん。忘れていいことだ。アザトースと黒の王――ああ、えっと、ニャルラトテップのおとぎ話は、この世界の人には関係ないからね。もちろん、黄金瞳が顕現してしまったたっくんを除いて」

 大我も近くにいて、聞こえているということを忘れて、語ってしまった事を恥じて赤面する。
 一方、拓人はその言葉に驚いた様子で。その言葉は、まるで、自分がこの世界のひとではないと言っているようだった。本当にそうなのか、聞こうとしたが――。
 この拠点の中枢と思われる部屋の扉にたどり着く。
 あとで聞けばいいか、と拓人は思って。
 扉が開かれる前に、解析は終わっていた。その部屋に何が在るのか。怪人が、どれくらいいるのか。故に、少し離れたところで立ち止まる。

 さあ、ここからは戦いが始まる。
 咲野はすぐさま機械帯を起動させ、雷の輝きを放つ。

「正義の味方らしく名乗りを上げようか! ん、そんな暇ない? それじゃあ、手短に。――刮目せよ! 我が身、我が力、雷電なれば! ――さあ、どうかご笑覧あれ――」

 要望通り、派手に。派手に。

「痺れるぞ。耐えてみろ」

 雷鳴、響いて――
 辺りが、閃光で白に染まり――
 そして、雷電の衝撃。

 ――亜光速移動。
 倒れていない怪人を、雷電を纏わせた拳でぶっ飛ばす。

「さあ、来い、雑魚共! 輝きがある限り、私は、無限に戦えるのだから」

 スナイプがゲノムスと一対一で戦えるように。怪人達を引き付ける。

500名無しのカウンセリングだべ:2017/06/14(水) 19:31:08 ID:4B4lXlLI0
>>497-498
「……ここでどこで合流するか話し合っては本末転倒、強引だけど決めさせて貰うわ」
「山亘理さん、神守町の警察署までお願い。 そこで合流しましょう 本格的な話し合いができなくとも、軽い情報共有だけでもできるはずよ」

このまま話し続けていると、恐れている事態が起きるかもしれないと、一番年下のくせにきっぱり決める
マスターからは私が伝えておくから、と言いながら車の中に戻り、腕輪をファイルの開いているページに入れた

ネックなのが、取り調べがどれほどかかるかということ、どれほどかからないということ
早く終わっても遅く終わっても面倒なことになる、署についた前後で合流できると良いが

501名無しのカウンセリングだべ:2017/06/16(金) 12:29:09 ID:..f6DugY0
(署に行く途中でやりたいイベントがなかったことを祈りつつ)



電話を終え、絵楠が向かう場所、そして元々の目的地である警察署にたどり着いた
昨日から続く騒動のせいか慌ただしく警官が出入りし、病院の時とは打って変わり辺りに緊張感が漂っていた
………病院の方は能力のせいもあるだろうが

「…………さすがにまだ着いていないわね、私たちの方が近かったし」

車から降り、辺りを見回すも絵楠の影はまだない
ここなら他の人が多いし、怪人怪物もここを狙うような命知らずな真似はしないだろう、
まだ事件が始まった序盤の頃は

502名無しのカウンセリングだべ:2017/06/16(金) 21:01:40 ID:K4cY5mas0
ちと忙しかったゾ……

>499
「どうやらサシでやり合うしかなさそうだな……」
「フン、私に勝てるかな?」
「ケッ、吠え面かかせてやる」

互いに煽りあったと同時に、ゲノムスは光弾、スナイプはガシャコンマグナムからエネルギー弾を同時に発射。
どちらも相手には当たらず地面をかすめ取ったが、すぐさま肉弾戦へと移行。
ゲノムスの強烈な蹴りを受け止め、スナイプもまた肘鉄を喰らわせるが、それは避けられる。
一歩下がった後に再びガシャコンマグナムを四方八方に発砲したがゲノムスに弾き飛ばされ、逆に光弾の嵐を見舞われた。

「チィッ、手強い野郎だ……だが」
「……むッ!?」

光弾の嵐が止むのと同時に、天井に吊るされていた蛍光灯がゲノムス目掛け落下した。
どうやら先ほどの発砲はただやたらめったらと行なったわけではないらしい。

「テメェら、そっちは任せたぞ」

雑魚散らしを受け持ってくれた二人にそう告げると、スナイプは一際大きなガシャットを取り出す。
二人は知らないだろうが、それは飛彩が持っているはずのギアデュアルβであった。


>500-501
「あぁ、了解した。そっちに向かうよ」

和に指定されたポイントまでの道を思い出しながら、絵楠はライドベンダーの元へと向かう。
時間はさほどかからない。伊達にバイクには乗っていない。
つもりだが、流石に向こうに比べるとかかる時間が多いことには多いが。


「お待たせ、悪いな……少し遅れた」

和が車から降りて数十分後、ライドベンダーを駆った絵楠が警察署へと辿り着いた。
今日だけでもかなりの距離を走ったり、戦闘をこなしたりしているのだが、あまり疲労は溜まっていないようだ。
遊園地での戦闘がほぼ一方的なことと、バーにいた時間のおかげだろう。

503名無しのカウンセリングだべ:2017/07/02(日) 13:21:57 ID:bywp5M/c0
>>502
 雷鳴と共に「イェーイ!」という声をあげながら敵をぶっ飛ばしていく咲野。
 その姿、楽しそうで。

(やること、ないな……)

 先ほどの話で言えば、騎士に守られる姫の状態なのだろう。だが、雑魚敵は咲野が、ゲノムスはスナイプが相手をしているため、敵はこちらに近づいてこない。
 しかし、何もしない、というのはやはり落ち着かなかった。

(……スナイプの方を観戦するか)

 咲野のあの様子を見て放っておいても大丈夫だと思い、そっと視線をそちらに向ける。
 そして――


――それは、誰かのメモリー。

 ネクストゲノム研究所。バグスターウイルスの感染者。4名が消滅。

――さあ、解析の時間だ。
――すべて、すべて、解析して――

(電脳世界……電子生命体? …………。――解析は終わった。もうこれを視る必要はない。……けれど――)

――忘れてしまえば、何の意味も、ない――


(白昼夢……? こんな時に?)

 それを見たのは刹那の出来事で、時間は1秒も経っていなかった。
 右目から涙が溢れないうちに急いで拭う。
 白昼夢、見た内容は全て忘れてしまって。

――ああ、全て忘れてしまうなんて。
――意味がない。意味がない。

 気付けば、スナイプがガシャットギアデュアルβを取り出していた。

(あれは……シミュレーションゲーマーレベル50に――いやいやいや、なんだ今の!? 知らないはずなのに何で知ってんだ俺!? ああ、これ黄金瞳のせいか!)

 自覚のない解析の異能に混乱するが、全て黄金瞳の所為にして。そしてまた、気付けない。

504名無しのカウンセリングだべ:2017/07/03(月) 19:41:55 ID:4B4lXlLI0
>>502
「………町内とはいえ、結構かかるのね……」

町の中心、からちょっと離れた場所にあるバー
思った以上に時間がかかった事に、少し選択ミス感が漂う

「そんなにかからない…… と思いたいけれど、その間にチェックできるかしら」
「同時に話し合いはできなくともある程度情報を共有することはできると思うけど……」

そう言って差し出されたのは、話に出ていた青色のファイル
別の事件を追っていた、らしい時に作成した誘拐事件を主軸に記録したものだ
……ここに本当に手がかりがあるかは眉唾ものだが

505名無しのカウンセリングだべ:2017/07/08(土) 09:22:02 ID:H679hrsc0
>>503
『ガシャット!デュアルアップ!』
『スクランブルだ!出撃発進!バンバンシミュレーションズ!発進!』

拓人の思案や解析も、大我は何も知らない。
故に気に留めることもなく、即座にドライバーを起動。
飛来したシミュレーションゲーマを装着し、スナイプレベル50へと変身を果たす。

「その姿は……そうか、それがレベル50とやらか」
「チッ、そんなとこまで調べてやがんのか……まぁいい、速攻でカタを付けてやる!」

スナイプは宣言と共に機関砲を発射し、ゲノムスや周りの怪人を迎撃。
ゲノムスは光弾を放ち対抗するが、火力は明らかに機関砲の方が強力。

「ッ……この火力……!」
「舐めんじゃねェぞ、こんなもんじゃ済まねぇんだよ!」


>>504
「あぁ、すまん」

ファイルを受け取り、パラパラと捲る。
様々な記録を眺め、少しずつ頭に入れていく絵楠。

「……あ、そうだ。腕輪、持ってるか?」

その中で、腕輪に関して聞いておく。
スマフォの検索歴に、既に腕輪に関してのものが入力してあるようだった。

506名無しのカウンセリングだべ:2017/07/11(火) 10:55:57 ID:bywp5M/c0
>>505
「おお、すごい……」

 まるでヒーローショーを観る子供のように。
 まるでテレビを観ているかのように。
 これは現実だが、非現実のように観る拓人。非日常に巻き込まれてからそれほど経っていないため、未だに怪人との戦いを見るのは慣れていない様子。

「おいおい、私には感想とか声援とかないのか!?」
「……きみはいつまで遊んでいるんだ?」
「もちろん相手が死ぬまで。ちょっとくらい遊んだっていいでしょ?」
「駄目です。早く倒せ」
「――御意(イエス)。我が王(マイロード)、拓人」

 それは、絶対的な王の命令であるかのように。
 それは、命令を受けた騎士であるかのように。
 拓人の方へ跪く咲野。
 その光景に拓人は一歩下がる。ドン引きである。

「えっ!? いやいやいや、なっ、何それ……?」

 困惑している拓人を、いつものように無視して――

「輝きを持たぬ者よ。尊さを持たぬ哀れな者よ。お前の声は届かない――」

 ――迸るは黄金の輝き。
 ――黄金の、雷霆。

「残 念 だ っ た な !」

 その黄金の輝きに当たると、瞬く間に消滅する怪人達。
 あんなにいたのに、残るはスナイプと対峙しているゲノムスのみ。

「どうだ! 私だってやればできるよ!」
「えっ、ああ、すごいな……?」

 咲野はそれを聞いて、勝ち誇ったような表情をスナイプに向ける。

「けど、スナイプの方がすごくてかっこいいと思う。頑張れスナイプ……!」
「何……だと!?」

507名無しのカウンセリングだべ:2018/05/24(木) 01:09:01 ID:c53GNIkk0
『<インフィニティー!プリーズ!>』
「​──はぁッ!」
宇宙空間で巻き起こる、白金の魔法使いと怪人達の激戦。
白金の魔法使いは、時に干渉するタイプの高速移動能力を活かし、シャトルを取り囲むように迫っていた怪人達を次から次へと切り伏せていく。
爆散する怪人、そして他ならぬ彼本人からは微力なものから豊富なものまで多様な魔力が放出されており、白金の魔法使いはその魔力を吸収することで半永久的に戦うことが可能だった。
『<プラズマ!シャイニングストライク!>』
「はぁぁッ!」
そのうえで即座に戦闘を断つことを決めた彼は即座に武器にリングを翳すことで、必殺技の態勢となる。
そのまま投げ込まれる専用武器『アックスカリバー』によって怪人は倒され再びシャトルへ平和が訪れた。
「ふぃ〜」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板